2004年8月12日、晴。盆休みを利用して表銀座と呼ばれる燕岳(つばくろだけ)から蝶ヶ岳まで縦走する2泊3日の山行だ。先月の奥穂は雨であったが今回は天候に恵まれそうだ。
11日夜さわやか信州号で新宿を発ち、12日4時25分穂高駅前に着く。予想外の乗合タクシーが待機していて予定より1時間も早い5時10分に中房温泉の登山口に着く、料金はバス料金並みで、早くて、快適だ、今もあるのかな?。登山口には朝風呂に行く浴衣姿の人も。
今日の行程は、中房温泉から燕岳、そこから表銀座を大天井岳(おてんしょうだけ)の下の大天荘までだ。大天井を「おてんしょう」と読むのは山登りか地元の人ぐらいだろう。
中房温泉(標高1450m)から燕山荘(2710m)までの合戦尾根は北アルプス3大急登の1つだ。標高差1200m、約4時間強の登りだ。第一ベンチで朝飯、おにぎり2個食べる。合戦小屋(2380m)までは途中目標があるので歩きやすい。歩き始めて約3時間、8時15分に合戦小屋に着く。
ここの名物は冷えたスイカだ。1/8切れ800円と高いが、3時間の登りで汗をかいた体にはたまらない美味しさだ。ここまで登ればあと1時間強で稜線に出る、8割方は登ったようなものだ。
合戦小屋を出てしばらく歩くと、目の前に三角の黒い岩が現れる。なんだろうと歩いて行くと徐々に大きくなり、なんとそれは槍の穂であった。言葉には言い表せぬ感動であった。
さらに標高を上げるとこれから向かう大天井岳も姿を現す。
8時55分合戦沢ノ頭に着く。燕山荘まで1.3km、燕岳まで2.3kmとある。
合戦沢ノ頭を過ぎ、見上げると燕山荘が見える。
尾根から北側(右手)の展望も利くようになる。左端の山は針ノ木岳だろうか?
双耳峰の山だから鹿島槍だろうか?
標高を上げるにつれ、槍も大天井も大きくなる。
周りの景色とお花畑を眺めながら登るうち、9時35分稜線に建つ燕山荘に着く。さすが表銀座の北の玄関口だ、人が多いい。
小休止ののち、燕岳に向かう。ここから北に1kmだ。
周りの山から抜きんでて白く輝いて見える。
北アルプスの大展望を見ながらの歩きは実に爽快である。NHKの小さな旅のTVクルーも来ている。10時20分燕岳の頂に着く。
団体さんが去るのを待って、静かに大展望を味わう。最高の天気だ!
読者の皆さん大展望の前に位置を再度確認しておこう。
南西の奥穂高から右回りに北に周りますよ。
手目の山並中央左大天井岳、奥中央左前穂、吊尾根、奥穂、右端槍ヶ岳
左端槍が岳、中央笠ヶ岳、右に樅沢岳、双六岳、右端三俣蓮華岳
左端双六、三俣蓮華、中央鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳、水晶小屋から真砂・野口五郎の稜線
左水晶岳、真砂・野口五郎、左三ツ岳、奥左端は五色ヶ原あたりか?
左端三ツ岳、読者の写真では確認できないが中央左に烏帽子岳、奥の稜線中央龍王岳、立山、剱岳。左端針ノ木岳。一番手前は北燕岳(300m先)
左端立山、剱、針ノ木、蓮華岳、奥左端は双耳峰だから鹿島槍ヶ岳かな。
一番手前左端が北燕岳。眺めるのは簡単だが書くのは大変だ(一寸グチ)。
大展望を満喫して、目の前の北燕岳まで足を延ばす。
北燕岳からすっきりと龍王岳、立山、剱岳、針ノ木岳を望む。手前左の白い沢は裏銀座の南沢岳と不動岳の間であろう。後日この稜線を歩くとはこの時には思ってもみなかった。
景色を堪能したので、燕岳へと往路を戻ろう。燕岳の頂には団体さんが居る。
大天井岳(右端)への縦走路は最初は平坦そうだが、最後の大天井岳への登りがきつそうだ。
左端は常念岳。
11時5分に燕山荘に戻り、パン、ソーセージ、チーズで昼食。途中、蛙岩(ゲエロ岩)という面白い名の岩を抜ける。
この岩が蛙に見えるからゲエロ岩なのだそうだが、どう見てもそのようには見えなかった。
平坦に見えた稜線歩きもこの大下りの頭から一旦下る。大天井岳まで3.5kmとある。あと2時間か。
大下りの頭からの眺めは、下って登り返して、平坦な稜線を進んで、最後に急坂の登りが待っている。
13時50分本日唯一のスリリングな切通岩をクサリとハシゴで通過。
ここには喜作レリーフが岩にはめ込まれてある。喜作新道を拓いた人なのだろう。
この先で大天井ヒュッテ(槍ヶ岳へ)の道を右に見送り、大天井岳への急坂の登りとなる。これを登り切れば今日の宿かと思うと疲れが出てくる。途中何度も今日の道のりを振り返り登った高さを確認する。
14時45分、展望の良い大天荘に着く。
大天井岳へ行くのは後回しにして部屋にあがってしばらく休む。布団は1人に1枚だ、ゆっくり寝られるぞ。
落着いたところで大天井岳に向かう。山小屋からわずかな距離だ。
15時40分大天井岳の頂に立つ。
山頂から明日の常念岳への縦走路を眺める。
靄が出てきてはっきりしないが、槍ヶ岳への喜作新道と東鎌尾根も見通せる。
山頂から山小屋がすぐなのがこれでわかるだろう。山小屋の先が常念への縦走路だ。
18時40分、夕焼けを眺めに表に出る。山小屋の草むらにトオヤクリンドウが。初めて見る。
明日も晴れたらいいな。槍ヶ岳
前穂高岳(左)、吊尾根、奥穂高岳
山小屋の夕食はハンバーグ。日焼けで顔や腕が痛い。
今日の行程、
5:10中房温泉5:30-6:00第一ベンチ6:15-6:35第二ベンチ-7:10第三ベンチ-7:40富士見ベンチ-8:15合戦小屋8:30-9:35燕山荘9:45-10:20燕岳-10:35北燕岳-11:05燕山荘11:30-12:00蛙岩-12:25大下りの頭-13:50喜作レリーフ(切通岩)-14:05槍ヶ岳分岐-14:45大天荘(2食、8500円) 15:40大天井岳