現代視覚文化研究会「げんしけん」

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地獄少女 第十話「トモダチ」

2005年12月11日 23時50分54秒 | アニメ・映像全般
 第十話のストーリーは「仲の良かった【渋谷 みなみ】と【赤坂 詩織】。しかし【みなみ】の独占欲の強さに嫌気がさした【詩織】は急に態度を変える。裏切られた【みなみ】は腹いせに地獄通信にアクセスする。」という展開をして行きます。今作を通して「友達」「友人」としての「価値観」の違い、お互いの関係に置いての「概念」の差などが描かれ、観ているあなた自身はどうでしょうか?と問われている放映回の様に感じられた。全体的な内容もハッピーエンドに向っていた世界が、【みなみ】と【詩織】のちょっとした事で違った世界に変化して行った所も観ていて面白かったし、アニメ劇中の途中で依頼人【みなみ】の「黒藁人形」がターゲットであるはずの【詩織】の手に渡った時には、ワクワクして観る事ができました。何気ない友達同士のいざこざが、お互いの「勘違い」「誤解」「周囲の人間」などの要因により、2人の運命が大きく変わって行く様にはかなりのリアルで身近な恐怖がありました。アニメ作品を観ていて「こんな事で・・・」で「地獄通信」にアクセスされてしまう短絡さを描いておりますが、この中学生の時期では有って当然の感情だと思います。この時期の友人関係は「精神的なつながり」よりも「物理的なつながり」の方が強調されます。その点では【みなみ】と【詩織】の心情面を巧みに表現できたと感じる。最後の【みなみ】と【詩織】の神社での「黒藁人形」に関する2人のやり取りを観ていると、本当に悪いのは誰なのか?2人は本当に友達だったのか?と考えさせられる。作品全体を観ていて【みなみ】は友人として文句のつけ様がない位に良い友達だと思う。確かに、30分置きに携帯のメールはやり過ぎかもしれないですが、【詩織】に関しても周囲のクラスメイトに、その行為は「ストーカー」と言われるまで気が付かなかったし意識もしていなかったが、いったん、意識すると【みなみ】のやる事の全てが嫌になってしまう感情も実は、周囲の人間が作り上げた物だと感じる事ができます。今回で描きたかったのは、その事に関する噂と風評などが一番に怖さを感じる事だと表現しているのではないか?とも言えると考えております。
 今回のストーリーは、クラスメイトの楽しく会話する【詩織】とそれを見てイライラしている【みなみ】の2人の教室シーンから始まります。【みなみ】の【詩織】に対する怒りの感情を「シャーペン」の芯の演出で代用している所が良かった。この演出で【みなみ】のイライラを更に強調している。【みなみ】は「許さない!絶対に許さない!」と「地獄通信」にアクセスする。その頃【閻魔 あい】は紙風船で遊んでいた。私が好きなのが【あい】と【お婆ちゃん】との会話で「誰か相談する人とかいないのかねぇ・・・友達とか・・・」と言うお婆ちゃんの言葉は、今回の話に対してのかなりの皮肉な表現と感じられて好きですね。【あい】が【みなみ】の前に現れる。やって来た【あい】に嬉しくて握手をしてしまう【みなみ】に何か親近感を感じてしまった(笑)。【あい】から渡される「黒藁人形」の「赤い糸」をいきなり解こうとすると【あい】が「よく考えた方がいいわ・・・」と言う。このセリフには色んな意味が含まれているし、何となくではありますがどこか諭している感じの言い方がしましたね。「こんな事で解くの?」と【あい】が言っている感じがします。【あい】なりの優しさでしょうか?次に【みなみ】と【詩織】がお互いで何でこうなったのか?が描かれます。【みなみ】は「あなたとは、良い友達だと思っていた。あんな事があるまでは・・・」。【詩織】は「また見てる。そんなにあたしを苦しめたいの?あの時みたいに・・・」とお互いの言い分の様な感じで表現される。他の友人とも付き合うし、携帯メールの送らない事もあるかもしれないし、ちょっとした事故で【詩織】を転倒させてしまうかもしれないが・・・この場面では、お互いの「ボタンの掛け違い」が色濃く描かれている。ここで物語は進展をして行く。体育の授業中に怪我をした【詩織】が【みなみ】の机から「黒藁人形」を持ち出してしまうのだった。
 ここで【柴田 一】がアニメ劇中に出て来ます。今回は【つぐみ】ちゃんは出て来なかった・・・とても残念です。ファミレスでスクープをネタに現金を貰っていると自然と外の方へ目が行く【一】。そこには「黒藁人形」を持った【詩織】が立っていた。ストップモーションの様に、トラックのライトに照らされる「黒藁人形」・・・。急いで後を追うが見失ってしまう。再び【柴田親子】と【あい】は運命の糸で交わる事があるのかと期待しております。その【詩織】は神社の木に「黒藁人形」に対して「丑の刻参り」をします。「ストーカー!ストーカー!ストーカー!・・・呪われるのは、みなみ、あんたの方よ!」と走り去る。その後に【一目連】【骨女】【あい】が出て来る。【輪入道】は「黒藁人形」なので、木に刺さったままです(笑)。【骨女】が助けようとすると【あい】が「待って・・・」と言います。【一目連】「どうした、お嬢?回収しないのか?」と言われ、【あい】は「うん・・・しばらく、このままにして置こう・・・」と見守ります。憶測ではありますが、【あい】は【みなみ】と【詩織】の2人に対して「なりゆき」と言う「偶然」に任せたいと考えたと思います。その【みなみ】は「黒藁人形」を失くしたショックで学校を休みます。その姿を見ている【あい】。一方【詩織】は「呪いの効果?だったら、スゴイあの藁人形。でも、まさか死んじゃいないわよね」と心配する一面を見せる。そして実際の修学旅行の班決めになった時に、約束したクラスメイトの所へ行くと「あら?詩織、何でこっちに?」「もう、いっぱいだよ」と言われ、「えっ・・・でも、一緒にって、この間・・・」と戸惑ってしまう【詩織】。そして【みなみ】の携帯がメールを受信する。【みなみ】「えっ!」「会いたい。。。」と【詩織】からだった。「会いたい・・・どういう事」と考えている【みなみ】。またも「これまでの事、本当にゴメン・・・。だから、またともだちになって。」とメールを受信する。そのメールを読んだ【みなみ】は「こっちこそゴメンね。詩織・・・どうかしていた。詩織を地獄送りにしようだ、何てゴメン・・・」と泣くのだった。もちろん、その姿を見守る【あい】。急いで【詩織】の所へ向う【みなみ】。今度は2人のやり取りを【あい】【一目連】【骨女】で見ている。【みなみ】と【詩織】は、許し、悔い改めて抱き合うのだった。本当にここまでは感動的な展開でしたね。今回は「黒藁人形」を使わないで終わるのかと本当に思いましたから・・・しかし、ここからが『地獄少女』の作品のテーマである「人間の心」が描かれて行きます。ハッピーエンドでは終わりません(笑)。【詩織】が「これ使っちゃおうよ・・・呪うの・・・クラスのみんなを・・・」と言い出します。もちろん【みなみ】は使う事には消極的だった。その「黒藁人形」を使う事がどんな事になるかを理解していたから・・・。【詩織】が「赤い糸」を解こうする。そこで【みなみ】が「引くのは・・・その、あたしでないと・・・」と言うと【詩織】が「じゃあ、はい」と無理やりに「赤い糸」を解かせようと迫り出し、表情が険しくなる【詩織】。ここから【みなみ】と【詩織】との押し問答での言い合いが描かれる。その2人の姿を発見した【一】が向う。そして【詩織】はどうしてもできないと言う【みなみ】に対して「ねぇ・・・あたしたち友達よね・・・」「うん・・・」「本当の友達よね・・・」「うん・・・」「本当の友達なら、やってくれるよね?」と・・・言うって来るのだった。必死に抵抗する【みなみ】。「それとも、本当の友達じゃないの?」首を振りながら「うっん・・・ともだち」「だったら・・・だったら!!!」「あっー!・・・ねぇ・・・詩織・・・私達、本当に友達なの・・・?」と心の中で言うのが精一杯だった。ついに「赤い糸」が解かれて行く。そして【詩織】の姿無き悲鳴がその場を支配した。「あたし・・・あたしのせいじゃない・・・」と崩れ落ちる【みなみ】。【あい】「あなたのせいよ・・・」「うそ・・・」「これがあなたが望んだ憎しみの世界・・・」「そうなの?そうかも、そうなのかも・・・でも、詩織が悪いのよ。ともだちだからって、勝手すぎる・・・私の気持ちだって考えてよ」と本音を言う一面も表現されている。そこにまたも後手後手になった【一】が息を切らせて来る。【一】の問いに「たぶん、地獄・・・でも、いいの・・・いずれ、私も行くから、あっちでも友達でいてね・・・詩織」とどこか悲しげな表情で泣きそうな【みなみ】が印象的だった。
 しかし、【詩織】はなぜ?あそこまで「赤い糸」を【みなみ】に解かせたかったのか・・・が疑問に残りますね。いったん解こうとした意地なのか、それとも「好奇心」という名の危険な仮面をしてしまったのかと色々と推測されますが、「トモダチ」のキーワードがこれほど切なく描かれるとは・・・。感慨深い放映回だと思いました。