オメガねこ

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「インボイス制度」 と 「免税業者」

2023年07月24日 | 経済
 国税庁の説明では、

消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます。

です。ここで言う「納税義務が免除」とは、事業者が直接納税する義務が免除されるだけであり、仕入れ時に発生する「仮払い消費税」は免除されません。当然乍ら、「仮払い消費税」は売れる前の負担なので、「益税」とか「預り金」などの議論以前の話です。

 今年の10月1日から「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入される予定で、消費税の仕入税額控除の要件の1つとして、適格請求書発行事業者が交付する「適格請求書」の保存が必要となるそうです。

 この適格請求書発行事業者となるには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して登録を受ける必要があるのですが、その経過措置として用意されているのは、

R5年9月30日まで:適格請求書でなくても100%を控除可能
~R8年9月30日 :適格請求書でなくても 80%を控除可能
~R11年9月30日:適格請求書でなくても 50%を控除可能
   以降     :適格請求書でなければ 控除不可能

だそうです。

 「消費税(等)」の税率は、「標準税率10%」と「軽減税率8%」以外に「公的医療保険の対象になる医療費は非課税」などが有り、「益税を許さない」を方便として「インボイス制度」が導入されるのですが、その批判の対象である「(消費税)免税事業者」が絡んでくると話は複雑になります。

 「事業者」には「消費税」を顧客から徴収する義務は無い(権利は有る)ので、当然ながら「免税事業者」も販売価格に消費税分を付加するかどうかは任意です。ところが、「免税事業者(課税売上高が一千万円以下が対象)」と言われているにも拘らず、売れない商品でも仕入れ時には「消費税等(仮払い消費税)」は負担済です。

 これは、「消費税は消費者からの預り金では無い」ことの証左で、「業者」が仕入れた時点(販売前)に負担する「仕入れ税(仮払い消費税)」とも言えます。「免税事業者」ならば、その字義から消費税を免除されているので「仮払い消費税」が発生する筈も無いのですが、帳簿上では「仮払い消費税」と書かれていて、消費税が免税されている訳ではありません。正確には、

「免税事業者」とは、売上利益に対する「消費税等」の直接納税が免除されている事業者で、課税仕入額に掛かる「仮払い消費税」は免除されていない。

と云う事です。

 「免税事業者」を含む事業者は、仕入れ時に支払った「仮払い消費税」分を経費として販売価格に上乗せしているのと同様に、「医療事業者の非課税部分」にも仕入経費の補償として上乗せされていて、表面上は見えないだけです。

 つまり、「免税事業者(適格請求書を発行していない事業者)」から買っても「消費税は含まれている」と言えます。事業者Aが「免税事業者」から物品Bを購入した場合、事業者Aは「物品Bの消費税部分」を仕入れ時に支払った上に、直接納税分から控除できない為、物品Bの消費税を事業者Aが二重払いする事になります。

 事業者Aは、消費税制度から受ける損失を補填する為に、販売価格を引き上げて最終消費者に負担させるか、値上げしない場合は事業者Aが損失を被る事になります。但し、これによって税収が増える(数千億円?)としても、この「複雑な消費税制」を説明する為の天下り機関が設立され、天下りの「益税」となり霧散します。



「消費税」 と 「売上税」

2023年06月26日 | 経済
 国税庁の説明では、

[消費税の納付税額]
=[課税期間中の課税売上げに係る消費税額(売上税額)] − [課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)]

で、現在は国と地方の合計で標準税率が10%(岸田メモには「20%を目標にする」と書かれているとの噂がある)なので、期間納税額は、

[消費税の納付税額]
=([課税売上額]-[課税仕入額])X(1/11)

です。ここで、売り上げの全てが「課税売上」で、仕入れには「課税仕入」と「非課税仕入」が混在した場合には、

[売上利益]
=[課税売上額]-([課税仕入額]+[非課税仕入額])

から、

[課税売上額]-[課税仕入額]
=[売上利益]+[非課税仕入額]

なので、

[消費税の納付税額]
=([売上利益]+[非課税仕入額])X(1/11)

となります。

 つまり所謂「消費税」は、「非課税仕入」に対して、仕入以前に徴収された「(仮払い)消費税」は無かった事にされ、売り上げが立った時点でその部分を二重に課税される事になります。

 「仮払い消費税」は、仕入れ時に課せられるので、実質的には「仕入税(間接税)」です。また、販売時に消費者から受け取る「(仮受け)消費税」は「販売税」で、その内の「非課税仕入+利益」に掛かる税金は「直接税」になります。つまり、販売業者から見ると、

「販売税」=「直接税」+「間接税」

となり、「直接税」は「課税仕入品」に対しては「売上利益」に掛かるのですが、「非課税仕入品」の場合はその商品価格」が「直接税(10%)」の対象になります。

 消費税法が改正(インボイス制度を導入)され、秋ごろから「非課税仕入」には非課税業者からの仕入れも含まれます。その場合には、「非課税業者」が仕入れ時に支払った「消費税(間接税)」と、課税業者が「非課税業者」から仕入れた非課税仕入れ額に掛かる「消費税(直接税)」の「二重課税」が発生し、国税局はこれを涼しい顔して受け取る事になります。

 「消費税」の字義からすると、消費(金額)に掛かる税金なので「消費者が払う」と考えられますが、実際には「直接納付+仮払消費税」は販売者が直接納税します。また、税務当局は「消費税は消費者からの預り金では無い」と正式に表明していることから、消費者が支払っているのは「商品価格」そのものです。

 非課税販売業者にしても、仕入れ段階で「(仮払い)消費税」を支払い済みなので、売れない場合も含めて販売業者は(間接的に)支払っています。但し、業者が販売時に「消費税分を正確に上乗せ」するかどうかは任意で、事業者の裁量に任されています。

 販売業者が仕入れ先に支払った「(仮払い)消費税」は、これが売れなかった場合に最終消費者から「消費税分」を受け取る事が出来ないので、実質負担者は「販売業者」になり、「仕入れ税」と言えます。また、「免税事業者」や「簡易課税制度」の対象企業は「消費税還付」を受け取る事ができないので、名実ともに「仕入れ税」と言えます。

 「消費税」は物品の譲渡に掛かる税金なので「物品税」とも言えます。製品の価格は「付加価値の累計」なので「付加価値税」が正しい名称なのですが、「付加価値」の大半が人件費の場合は「給与支払い税」とも言え「給与所得税」との二重課税となります。

 消費は所得から発生するので、その時点で支払う「消費税(相当分)」は三重課税です。


「民主主義」 と 「与信」

2023年06月06日 | 経済
 「与信取引」では、納品業者が取引先(顧客)に信用を供与した後に、その与信範囲内で物やサービスを提供し代金を受領するのですが、納品業者自体に「信用」が無い場合は注意が必要です。

 日本のバブル期に巨大化した企業や、中国の巨大企業(実質的には国営)は、自分の信用供与能力を超えた「与信」を与えた結果、多くのバブル企業が破綻(中国の場合は実質破たん中)しました。

 「与信」は川上企業(銀行・メーカーなど)から川下企業(或いは、個人)に与えられるのですが、本来の民主主義は国民(最終消費者)が最も川上に存すると云う思想なので、曲がりなりにも民主主義と言われている(戦後に米国から与えられたとされているww)日本では、国民が与える「与信」の範囲内でしか、政府や企業は活動が出来ない筈です。

 「強欲資本主義」では、資本力の大きい組織が「与信」によって、相対的に弱い企業や個人に対する生殺与奪権を握っています。それは、大企業ほど調査能力があるので、確実に「与信」を把握しているからです。

 最近「過払い金の救済ビジネス」が流行っているようですが、クレカの過払い利息が戻って来ると思い、最終的には「個人情報(当初は連絡先のみ)」を提供する事で「騙されやすい人リスト」に載ります。同時に、過払い金を支払った経緯から、個人に対する「与信の余力」も知られる事になります。

 貸し倒れの危険を回避するために「与信」が利用され、倒産確率が高く成ると「掛け売り取引」や「銀行取引」が停止されて、形式上は倒産するのですが、破産するかどうかは分かりません。

 私の「与信」は、銀行からの「借り入れ能力がゼロ査定」なので、全て自己資金で家を新築しました。つまり、「与信」は無くとも経済活動は可能と云う事です。但し、逆に私が与えた建築業者や銀行に対する「与信」も低いので、工事の進行に合わせて「出来高払い(4分割)」の契約で、現金払いにしました。

 銀行が破綻すると決済預金(通常、利息無し)以外は一千万円(ペイオフ)までしか保証されないので、私が銀行に与える「与信額」は一千万円です。但し、郵便貯金の総合口座では、保障最高額である1000万円(1300万円までは利用可能)を「通常貯金ご利用の最高額」にすると、これを超える金額はオートスイングによって「振替口座」に移され、全額保証の対象になります。なので、金庫代わりに利用するのには、郵貯が一番良いようですww

 つまり、銀行は「強欲資本主義」で生まれ、郵便局は「金融民主主義」を体現していると言えます。ところが今では、小泉改革による「郵政民営化」によって、その主要目的でもある外国資本の郵政三事業への入り込み(株主としての直接介入では無い)で、日本国民の「金融民主主義」が崩壊の危機にあります。



「通貨」 と 「貨幣」

2023年05月18日 | 経済
 通貨(カレンシー)には、

・現金(法定通貨:キャッシュ)
  貨幣:政府発行通貨(硬貨)
  紙幣:日銀発行通貨

・預金
  決済用預金(銀行破たん時に全額保護)
  貯蓄性預金(  〃    一千万円まで保証)

・暗号通貨(バンクレス通貨:分散型通貨)
  暗号資産(代替可能な暗号通貨)
  NFT(ノンファンジブルトークン:代替不可能暗号資産)
  
・その他(任意の貸借の記録)
  デビットカード(電子マネー)
  クーポン
  ポイント
  債券(国債などの公社債)
  請求書(債権)
  
等が有り、貨幣(硬貨)以外は何れも「貸借の記録」です。つまり、「誰かが借金をしなければ通貨自体が生まれない」と言えます。

 日本の法律では「貨幣は硬貨のみ」なので解り易いのですが、旧来からの経済学では「法定通貨は貨幣」としている事が、初歩的な混乱の原因となっているようです。実際に見ることが出来る「紙幣と硬貨」のみが法定通貨だと思い込み、日銀当座預金を含む「銀行預金」が通貨の大半を占める事を失念しているように見えます。

 法定通貨の一つである「紙幣」は、個人の財布の中では「硬貨と同じ通貨」に見えますが、「印刷された現物紙幣の量(約6兆円)」は「日銀通貨発行高(125兆円)」の1/20程度で、多くは銀行などに数字として「保存(或いは滞留)」しているようです。

 私の調査能力では毎年の硬貨の発行枚数は分っても「現行硬貨の総発行残高」が分からないので、Bingチャットにも訊いたのですが、同様に各年の発行額は分っても発行残高は分からないようです。おそらく、生活感覚からすると「紙幣」の百分の一以下だと思います。

 何れにしても、現在では通貨の大半は「預金通貨」なので、キャッシュレス化が進むと思いますが、私は「外国に利益を抜かれるクレジットカード」を持っていないので、今のところ普段の買い物は「現金一択」です。

 それはさておき、日本には、農業・工業問わず有り余るほどの「供給余力(GDPの増加要因)」が有ったのですが、酪農業の減産政策や、電子・家電製造技術を外国資本へ転売した為に、GDPは25年間で世界最低の2%しか伸びませんでした。

 それでも「潜在的供給能力」は有るので、民需が低迷した時には「供給能力」を超えない範囲で公的投資で補ってもインフレにはならないし、政府の借金(国債)が増えても公共資産(道路などのインフラ)と民間の資金が増えるので、「国が破綻する」どころか「国家が富裕になる」事は確実です。

 日本が左右の国よりも裕福になる事を嫌う人が政権を担っている限り景気低迷は継続し、その政権を選択したのが「無関心な国民」と「第五列な人民」なので、諦めるしかないのかも知れません。



「金本位制」 と 「国債本位制」

2023年05月06日 | 経済
 「金本位制」の場合は、法定通貨の信用は金(ゴールド)の保有量によって保障されるのですが、「農(米)本位制」は(将来の)農産物の生産量が担保します。

 ゴールドも農産物も、その「生産能力(余力)」に左右されるので、平時には安定的と言えるのですが、戦争や飢饉には脆弱です。そこで考えられたのが、単品を本位にするのではなく「経済指標全体(GDP)」の指標を担保にする現在の「管理通貨制度」です。

 「農本位制」は、単一国家では有効に機能するかも知れませんが、国際的な価値の調整が難しく、植民地を良しとしない国際社会では不向きです。

 「金本位制」の場合、「現物」の量が固定的なので経済状況によってその価値は大きく変動し、「現物」が先進国に集中しがちで紛争の原因にもなります。但し、一般には「世界共通の金本位制にすると、各国の経常収支は自然に均衡する」とされていますが、それは「経済力が均衡した国家間」での話です。

 「管理通貨制度」の下では、自国通貨量は国債の発行量とバランスしているので、「国債本位制」とも言えます。なので、経済目標が「適度なインフレを保つ」と設定された場合には、その条件が達成するまで国債の発行が必要になります。

 国内経済だけに限定すると、国内の生産能力を超える通貨発行はインフレを招き、逆に、通貨不足で生産能力を持て余す場合はデフレになります。

 物価動向に因らず、現在の様に「供給余力か過剰な時」に増税したり、経営者が資金効率を考え「低賃金労働者」を多用すると可処分所得が減少し「デフレスパイラル」に陥ります。

 経済を安定的に成長させる気が有るのなら、

・インフレ時には、国債発行(法定通貨の発行と等価)を減らす。
・デフレ時には、民間の供給能力を超えない程度に国債を増発して、有益な財政支出をする。

が、鉄則です。

 市中に通貨(国債の対価)を十分に供給しても、「もったいない」「倹約は美徳」などと言って、資金が滞留すると生産余力が過剰になりデフレになります。その場合は、国(政府)が基盤整備をするチャンスなのですが、過去の例からすると、政府は逆に、民間経済が活況の時に調子に乗って「無駄な公共投資」を加速しがちです。

 経済の主体は、政府(国外援助は除く)と民間(国際取引も含む)しか無いので、経済を安定成長させる気が有るのなら、民需が停滞した時に政府が「公共投資(防衛費も含む)」を加速すべきです。逆に、民需が過熱し過ぎた時には、政府が得意な「緊縮財政(防衛費は除く)」の出番です。

 ところが、日本の過去数十年間は、左右の国の顔色を見ている所為か、政府の所業はいつも頓珍漢で混乱を極めています。

 考えるに、国内決済は「国債本位制」で、貿易決済は「金本位制(物々交換を含む)」にして、基軸通貨国や国際資本からの「経済的独立」を目指すのも、一考に値するような気もします。各国の経済力に合わせた「金保有量」と「生産余力だけ」で貿易を均衡させ、「管理通貨制度」で国内経済を調整し易くします。
 
 過剰に国債を発行(通貨の発行と同義)すると、国内物価が上昇し、結果として金価格も上昇するので、国内経済に関しては「国債本位制」と「金本位制」は同じ結果になりますが、国内経済を制御し易い「管理通貨制度」が良いと思います。