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「天皇大権」 と 「君民共治」

2020年08月24日 | 法律
「統帥権」とは軍隊を指揮監督する最高の権限で、天皇に「与えられた」国家を統治する為の「権限の一つ」ですが、統治権の下に統帥権が有ります。現在に当てはめると、首相に「与えられた」国を守る為の自衛隊に対する「最高指揮監督権」と言えます。

「統治権」の一部として「統帥権」があるだけであり、「天皇大権」が有るとすれば「統治権」ですが、「統治権」は大臣の輔弼と議会の協賛を必要とする事が明治憲法には書かれています。

第1条
大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス

第4条
天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬シ此ノ憲法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ

第5条
天皇ハ帝國議會ノ協贊ヲ以テ立法權ヲ行フ

第11条
天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス

第12条
天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム

第55条
國務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
凡テ法律勅令其ノ他國務ニ關ル詔勅ハ國務大臣ノ副署ヲ要ス

「統帥(権)」が「統治(権)」とは別条に書かれている事から、これを「天皇大権」と解釈する人が出て、混乱を招きました。今でも「統帥権」を「独裁権」と勘違いする人がいるようですが、軍隊に対する「元首による直接の指揮権」は現在も多くの民主主義国でも認められていて、独裁とは関係ありません。単なる「緊急事態」に於ける指揮系統と言えます。今の法律でも「総理大臣には自衛隊に対する最高指揮監督権」が有るとされていますが、「最高」ではあっても国会決議を無視する事は出来ません。

ところで「明治憲法」には「主権」の所在が書かれていません。

第1条に対して、他の条文で天皇を輔弼する事や憲法に従う事が明記されています。当然「陸海軍」が「大日本帝国」の一部である事は明らかなので、「天皇の統帥権」も憲法の条項に従う「義務」を生じます。

また、明治憲法の「発布勅語」と「上諭」には「君民共治」が書かれていて、国家統治に関して明治憲法の上では「主従関係」が無い事が判り、当然ながら、当たり前なので「主権の在り処」は書かれていません

いつの世にも、自己流に拡大解釈をして、自分の都合の良いように世を動かそうとする人は現れます。「明治憲法では天皇大権があり天皇に主権があったが、昭和憲法では象徴天皇制になり国民に主権が移った」と云うのがその代表例ですが、単に当たり前なので「明治憲法」には「主権の所在」書かれず、GHQが理解力のない人民の為にと思い「昭和憲法」に「国民主権」が明記したに過ぎません。

「人民」とは支配者に従うヒトの集合体のことで、「国民」とは「君民共治」を担う臣民を意味します。「君」は天皇の事ですが、「個人としての天皇」の事では無く「象徴としての天皇」を指します。「天皇」と「天皇陛下」は意味が異なり、「陛」とは宮殿の階段のことで「陛下」とは「階段の下」を意味します。象徴である「天皇」が地位を示す事に対して、「個人としての天皇」の敬称には「陛下」を付けます。

これは「親子関係」と同じで、「決まり事」です。自分の「親」を家族内で呼ぶときには、「オヤ」とは呼ばないで、例えば「父親」を呼ぶときは、力関係で「とうさん」とか「おい!オヤジ」とか言います。

また、親は子に対して「親権(統治権)」が有り、緊急時には「強権(統帥権)」を発しますが、何れも家訓に従う必要があります。子供が母親の承諾なしに家の防犯機能を変更したからと言って、父親の強権干犯問題は起きません。家を守るのは「家族全員の共同作業」なので、それぞれが「良かれと思う事を自主的に実行する」事が大切です。

これを、「国家」の場合は「君民共治」と言います。




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