「情報革命」 と 「共産主義革命」

　「共産主義革命」は（究極的には）世界統一共産主義を目指す為の革命で、市場・通貨・賃金労働などが廃絶された、無階級社会である共産主義社会が生まれ、階級抑圧の機構としての国家が消滅し、統一世界になり軍隊も存在しないので、その結果として戦争なども起こり得ないとした「ユートピア思想」です。

　現在の所は「共産主義（国家）」は存在しないのですが、「ユートピア」を目指す為の「革命」を起こす心算の人が何人かいるかも知れません。「ユートピア」は絶対的に正しいので、「革命」によって何億人が死んでも、それは、人間も自然の一部だとしたら進化論で言う「自然淘汰」に過ぎず、「科学的に正しい」と言えます。

　但し、「科学」の意味論では、現在の科学的結論の多くは将来の科学によって否定される事に「正当性」を保障しています。「科学的共産主義」を主張する事は、自ら「共産主義革命」の過程を否定していると言えます。

　また、科学的に「ユートピア」が正しいとする「正当性」は証明されていませんし、「進化論」も「論」と付いているように、単なる論であり「正当性」は証明されていません。この状態で「革命」を成し遂げるには「ユートピア」を正しいとする人だけが生き残る世界を構築する必要があり、反対派を排除する必要が有ります。

　「民主主義革命」が自己撞着で有る事は以前にも説明したので、ここでは書きませんが、更に矛盾に満ちた「情報革命」なる言葉が有ります。

　「情報革命」の言葉は、1939年にイギリスの科学者で共産主義者のJ.D.ベルナルの著書に書かれたのが最初のようですが、どうやら「科学的共産主義革命」の手段としての意味で使ったようです。私はベルナルの名前は、今ここで初めて知ったので詳しい事は判らないのですが、彼は「平和」と「共産主義」が同義語であるかのように信じていたようです。

　それは兎も角、現在では「情報革命」と「共産主義」とは直接的には関係なく、「農業革命」や「工業革命」の次に来る「革命」の意味で使われています。何れにしても、実態を伴う「革命」では無く、経済的な「儲け話」の類です。

　本来の「革命」とは、現体制を転覆させて「新機軸」に移行する事を意味しますが、現在の「情報革命」の実体はネットで注文し運送屋が宅配しているだけで、その効果はスポーツクラブで体を鍛える時間が増えただけです。それなら最初から「自ら運動の為に歩いて買い物に行き、自分で持ち帰る」事で達成できます。

　民主主義が成立している限り、これから数十年経過しても、今までと同様に、実質的に同じ事を業者名とサービス名を変えて行っているだけで「酒屋さんの注文取りと配達」が、「買い置きが少なくなった時の自動発注（ＩｏＴ）」が精いっぱいだと思います。

　但し、J.D.ベルナルが考案した「情報革命」で、「情報」を「革命」に利用する「理想思想」には注意が必要です。「平和主義者」や「人道主義者」の名のもとに、多くの人が犠牲になります。

　ビルゲイツが推進している「ワクチン・チップ」が代表的です。