「女性蔑視」 と 「放送禁止用語」

　例えば、尊敬されている偉人を蔑視する「偉人蔑視」とか、普通に暮らしている常人に対して「常人蔑視」等と云う言葉は無いと思います。有ったとしても、少なくとも「常人蔑視」する人は常人ではなく、寧ろ「蔑視」される対象となる、独善的な成り上がりもの、傲慢な成金、或いはこれから成金を目指す詐欺師の類だと思います。

　「女性蔑視」とは、女性を蔑視する事を云うのですが、上記の様に、蔑視の対象となるのは「偉人」や「常人」ではなく、蔑視されるべくして蔑視される人と云う事になります。

蔑視；対象の人物に対して低い評価を与える行為。或いは、そう思う事。

　この「低い評価」の意味は、本来の能力に対して不当に低い評価を与える時

と、低い評価が相当な場合も有り得ます。思い込みも含めて「東大卒を蔑視する」は、大きく分けて二通りの見方があります。

①　東大そのものを、過去の遺物として見下す。
②　東大を卒業したにも拘わらず、その無能さを批判する。

　「東大蔑視」は、一般に①を意味すると思うので、「東大」そのものが蔑視の対象に成るだけの価値しか無い場合です。同様に「女性蔑視」と云う言葉そのものを使う場合、その人は「女性」は蔑視される対象であると考えている事になります。つまり、「女性蔑視」の言葉自体が、女性を蔑視していると言えます。これらは、あくまでも「思い込み」も含みます。

　「最近の若い者は根性がない」も、思い込みも含めて「若者蔑視」と言え、少なくとも「若者」を普通以下であると評価しています。

　世の中には、東大卒を蔑視する人や、女性を蔑視する人は、確かにいます。ただし「東大蔑視」と云う言葉は通常使われません。それは、通念上「東大」は蔑みの対象ではないからです。

　ＮＨＫニュースの【IOCバッハ会長らの歓迎会 40人余りで開催へ】では、

「関係者によりますと、女性蔑視と取れる発言で辞任した組織委員会の森前会長も出席する方向で調整が行われているということです。」

と、「女性蔑視」を用いています。勿論、森前会長の発言を切り取らないで解釈すると「女性はその職域に関して（男性よりも）優秀」と言っていて、男女の違いを含めて一般的な意見を引用して（面白く）言っているだけです。

　つまり、「女性蔑視」と云う言葉を使用する人（報道機関）自体が、「女性は蔑視される対象」である、と理解している事になります。

　「こじき（乞食）」は法律用語ですが、「放送禁止用語」とされています。現在では「乞食を生業にしている人」は「民間人」にはいないと思うので、「こじき」は単に行為を表す言葉だと思われます。これが「放送禁止用語」と云う事は、法律用語である「こじき行為」以外に、実際に「乞食」がいると報道関係者は思っていると考えられます。

　自分たちが蔑まれるのを嫌がっているのか、或いは、周辺に「乞食」がいてそれを利用して報道ネタを得ているのかは判りませんが、私には「卑屈な人格者」に見えます。

　「こじき」が放送禁止用語なら、「女性蔑視」も含むべきだと思います。そうすると、常人が通常の会話をするたびに、報道関係者が「自分たちの事を言われているのではないか」と心を痛める事も少なくなると思います。

　また「関係者によりますと」で誤魔化せるのなら、「関係者によりますと、”こじき”と思しきＮＨＫ受信料集金人が、未納者の住むアパートの前に居座っていたということです」でも、放送禁止用語を使用したのは「関係者だ」、と言い逃れが出来る事になります。