【母が穏やかに過ごせますように】
入院する前日、短冊にそう書いて
ちょっと可愛いらしい飾りのすぐ横に結んだ。
翌日、入院したばかりの母に
看護師さんが短冊をくれた。
私が前日に書いたのと同じような
鮮やかなピンクの短冊を、母も選んだ。
昨夜、面会時間が終わった帰り。
少し薄暗く、だだっ広いロビーの中の
幾つかある中の玄関脇にある笹を選び、
母が書いた短冊をそっと結んだ。
玄関の明かりに照らされた笹には、
既にたくさんの色とりどりの短冊が。
そのほとんどは、病気の回復を願うもの。
でも母は、もうそんなんじゃないから
【皆が幸せになれますように】
なんて書いていた。
今、ちょと遅めの昼休憩。
今日はお客さんがいっぱいで忙しい。
病院の母からラインがきていた。
入院してからずっと
あれを持ってこい、これを持ってこい、
ああして欲しい、こうして欲しい、
ああなった、こうなった、だの何だの
いっちょ前の長い文章を頻繁に送ってきやがる。
私にだけでなく兄にも送っているようだ。
病人のくせに…ちょっとうるさい。
でも、
なかなかしぶとくて、
なんだかちょっと嬉しい。
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