今、私は、寝ずの番

今、夜勤中。晩は、10時にお弁当を食べた。それまで、新しい利用者が、テレビを視ていたから。
言葉を発せられない、53才の人。歩くとき、トイレも、介助が必要。時々笑ってくれる。だが、多分お父さんが、笑いかたを教えておかれたのだろう。
もう、高齢で、ご自分で面倒を見ることが困難になり、本人の妹夫婦にも、負担を掛けない様に、グループホームに入れることになさったのだろう。
お母さんは、先に他界。本人は仮死状態で、生まれてきたらしい。
気分の良いときに、その表情をするよう、しつけられたのか。
今、外は雨。
天井が、ガラスのあかりとりになっているので、そのぶん、外の音も、じかに聞こえる。
私は、前のこの家の住人は、ここで、自殺でもしたのかもしれないと思えなくない。何故なら、余りにもたちの悪いご近所さんだから、普通なら耐えられないだろう。
そうでなければ、あの、ケチの経営者がここを、選ぶワケがない。きっと、破格に安かったのだろう。私が、彼に他の場所でも、安く借りられるところがある、と、言うと、えらく気を悪くしていた。類は友を呼ぶ、で、自然は彼にここを選ばせたのかもしれない。
因みに、この夜勤、一回1万円。
最初は、冗談で、お試し夜勤だと思ったが、その後も、変わらず。
他の人が、そんな金額だから、夜の食事がついて当たり前だと言っていたので、分かったことだけれど。
これだと、仮眠がついても、時給600円くらい。私は寝ずの番をしているが、これだと、もっと安くなる。
ここの、夜勤をしている人々は、他所の有料老人ホームで働きながら、夜勤明けにここに来て、睡眠を取り、明くる朝また本職の方に、出勤しているようだ。
知的障害者施設をビジネスと考えるなら、精神病や、知的障害者が、どんどんカミングアウトしてきているので、老人ホームのあとのこれから増え続ける事業だろう。
特に、ストレスで病を得た人々も、こんな施設に入らなければ、生きていくことができない。
そんな社会現象が現代に形として、見えてきている。
複雑で、理不尽な、世の中がこの人達を生み出している。