はい、今日はこれ!
作家が「おしいれのぼうけん」「宿題ひきうけ株式会社」「大きい1年生と小さな2年生」などで知られる絵本作家の古田足日さん。
絵は「たろうのおでかけ」「ぐるんぱのようちえん」他、数々の作品がある堀内誠一さん。
まさにゴールデンコンビ!
この本は、ハッキリ覚えてます。
小学校の同級生のみきちゃんの家に友達何人かで遊びに行った時に、あったんですよ、この本が。
表紙が色とりどりでキレイだったので、つい手に取ってしまったんですが、ちょっと読んでみるとおもしろくておもしろくて・・・。
友達がみんなで遊ぶ中、一人で本とか漫画とか読む子供っていたでしょ?
あれあれ。あれがワタクシだったのです。
カミイはたけしとようこが紙の箱を集めて作ったロボットなのですが、このカミイ製作過程でいきなりワタクシが強烈に覚えていた印象的なシーンが出てきます。
カミイの顔を箱に描いたようこが、目を下がり目に描いてしまって、
「どうしよう。なきむしロボットになっちゃったわ」
と悲しそうに言った時のたけしの対応。
「いいよ、いいよ。なきむしロボットなんてめずらしいもの、おもしろいよ。ほんとうになきむしになるように、なみだのもとをいれとこう」
と言って、胴体になる箱の中に水色のビー玉を入れたのです。
な、なんというイケメン! 幼稚園児にして、こんな機転が利くなんて、許されるのか!?
案の定、ようこはもうにこにこです。
「飛ぶ教室」の時に、今のワタクシが中三に敵わないという話をしましたが、本日ここに堂々宣言させていただきます!
ワタクシのモテ度、大人度、人間的成熟度は、幼稚園児にも劣る!!
紙で出来ているからカミイなのですが、完成した瞬間、カミイは心を持ち、しゃべり、動きだします。
ここからがおもしろいところで、普通はこういう子供の読み物に出てくるロボットってのは、正義の味方だったり性格がよかったり、優等生的なキャラクターであることが多いじゃないですか。
しかし、カミイは正反対。
「こうてつせいのせかいいちりっぱなロボットだぞ。ちからだって、とってもつよいんだぞ」
と大いばりでワガママ。
力だけは本当に強いので手に負えません。
すぐに、そばにいた小さい女の子のぬいぐるみのちびゾウを取って泣かせてしまうという悪ガキロボットだったのです。
この本のレビューをいろいろと読んでみますと、この悪ガキロボットのカミイが、子供たちからするととてもおもしろく映るようで、そんなところが「ロボット・カミイ」の人気になっているみたいです。
子供って結構賢いところがありますからね、いろんな子供向けの本を読んでいて、内心そういう毎度繰り返される優等生キャラからのお説教みたいなお話の展開には、どこか飽き飽きしてる部分ってのがきっとあるんですね。
そこまで気づいてなくても、ロボットなのにワガママでいばりんぼというカミイに、どこかリアルというか、これまでのお話にないものを感じるのだと思うのです。
で、それだけだとカミイが好き放題ワガママをするだけの話になってしまうのですが、モチロンそうはならないわけで、カミイには解りやすい弱点として「水が苦手」というのがあります。
なんたって紙で出来てますからね。
いばりんぼだったカミイは、水をかけられると泣き出してしまうのです。
最初のちびゾウを取っちゃったシーンでも、カミイが偶然水たまりに足を突っ込んでしまったところから、水に弱いことに気づいたたけしとようこがカミイに水を浴びせると、カミイは泣きだしてしまいました。
で、これ以降、カミイがワガママをふるう → みんな困る → たけし、水をかける → カミイ、泣きだす → たけし、新たなカミイの興味を引くことを言って泣きやませる、というパターンができるのですね。
たけしとようこが通う幼稚園にカミイも通うことになるのですが、ワガママなカミイは、ここでもみんなに嫌がられることばかりするのです。
砂場で遊ぶうち、周りの友達に砂をぶつけると、みんなが嫌がっておもしろくなったカミイに、
「ようし、そんならみんな、カミイにすなをぶつけてやれ」
とみんなが砂をぶつけるのですが、カミイはロボットだから平気で、さらにみんなに砂を投げつけます。
怒ったたけしがカミイに水をかけると、カミイは泣き出すのですが、
「たけしくんが水かけたあ」
「だって、カミイはみんなにすなをかけたじゃないか」
「みんながぼくにすなかけたあ。あいこなのに水もかけたあ」
このカミイをどんな理屈で納得させることができるのか、ワタクシにはわかりません!
確かにカミイの言うことの方が理屈が通ってるような気がしてしまうのです!
ワタクシと同年代の方は、ほとんどが結婚され、子供さんもいて、親として時には子供を叱らなければいけない、という経験をされてきていることと思います。
でも、やっぱり叱る時でも、ちゃんと理屈を納得させて叱らなければいけないじゃないですか。
みなさん、教えて! このカミイをどう叱ってあげればいいんでしょうか?
こんな歳になって、そんなことが本気でわからないワタクシが恥ずかしいです・・・。
さらに、考えさせられるのが、おみせやさんごっこのシーンです。
ワガママ放題のカミイは、幼稚園でもみんなに嫌がられて一人グループにされてしまうのですね。
みんなはグループごとにお店を決めて、商品をダンボールで作ります。
カミイも電器屋をすることにして商品を作るのですが、全部を一人でしなければいけないので、できた商品も少ないし、出来もよくないのです。
せっかく来てくれた年少組のお客さんも、他のお店の商品の方がいいと言って、カミイの店を出てしまいます。
「ぼくはつよいロボットだもん。ひとりぼっちだってへいきだもん」
と強がりながらも、つい涙をこぼしてしまうカミイ。
いくら力が強くても、ひとりで全てをやるのでは限界があることもあるんだよ、という教えなのだとは思うのですが、どっこい、ワタクシはひとりでナゴヤ堂というお店屋さんをやってる人なのです!
負けるな、カミイ! 一人だって、やればできるさ!
結局その後、カミイの作ったテレビも売れて、ご機嫌を取り戻した時は、ワタクシも少しホッとしてしまいました。
ナゴヤ堂のTシャツも、他所様よりは出来が悪いかもしれませんが、みんな買ってね!
カミイはワガママいばりんぼで、とてもやっかいな奴だと思います。
実際にこういう言動をされたら、頭が痛いと思うのは、ワタクシだけではないでしょう。
しかし、今回大人になってこの本を読み返してみますと、実は紙箱で出来ているカミイが「こうてつせいのりっぱなロボットだぞ」と威張るのが、なんだか悲しく感じられるのです。
(「こうてつせい」は、カミイの自信の拠りどころのようで、何回かこの言葉が出てくるのです)
一応はロボットの国で幼稚園に通っていて、たけしとようこが箱でカミイを作ったから人間の国に来れたというので、なるほど、そもそもは鋼鉄製なのかな、と思ったのですが、
「ロボットようちえんの先生は、ぼくに、にんげんのくにへいってもかまわない、といったんだ。
にんげんのくにへいったら、いたずらカミイもこうてつせいのピッカピッカのロボットになれるかもしれない、ってね。
おかしいんだ、先生は。ぼくがこうてつせいだってことが、わかってないんだからね」
というカミイのセリフが飛び出して来たのです。
じゃあ、カミイは何で出来ているのか?
そして、どうしてカミイだけが、そのことに気づいていないのか?
たけしたちは、このセリフを聞いて、あきばこのロボットなのにこうてつせいだとおもいこんでいる、とおかしがって笑うのですが、今のワタクシにはこれがとても悲しいことに思えるのです。
何だか、おかしくて悲しくて、大人になってから読んだ方が考えさせられるお話でした。
この後からラストシーンの悲しさ、美しさもとてもステキですので、機会があればぜひ読んでみてくださいね。
そして、表紙もモチロンですが、本文中のさし絵もとても魅力的。
さがり目ながらも、どの絵でもカミイが実に悪い顔をしていて、この辺りもお子様にウケるのではないかと思います。
そして、最後に、そんなカミイを作ってしまったというサイトを見つけてしまいましたので、ついでと言ってはなんですが、ご紹介します。
http://blog.goo.ne.jp/handmaderken/e/9332031deb1c7bf4b66d3f5c6c8d39d6
ものすごい出来の良さ!
しかも表情が無限に作れる!
ぜひ一度ナマで見てみたい、すばらしいカミイです!
作家が「おしいれのぼうけん」「宿題ひきうけ株式会社」「大きい1年生と小さな2年生」などで知られる絵本作家の古田足日さん。
絵は「たろうのおでかけ」「ぐるんぱのようちえん」他、数々の作品がある堀内誠一さん。
まさにゴールデンコンビ!
この本は、ハッキリ覚えてます。
小学校の同級生のみきちゃんの家に友達何人かで遊びに行った時に、あったんですよ、この本が。
表紙が色とりどりでキレイだったので、つい手に取ってしまったんですが、ちょっと読んでみるとおもしろくておもしろくて・・・。
友達がみんなで遊ぶ中、一人で本とか漫画とか読む子供っていたでしょ?
あれあれ。あれがワタクシだったのです。
カミイはたけしとようこが紙の箱を集めて作ったロボットなのですが、このカミイ製作過程でいきなりワタクシが強烈に覚えていた印象的なシーンが出てきます。
カミイの顔を箱に描いたようこが、目を下がり目に描いてしまって、
「どうしよう。なきむしロボットになっちゃったわ」
と悲しそうに言った時のたけしの対応。
「いいよ、いいよ。なきむしロボットなんてめずらしいもの、おもしろいよ。ほんとうになきむしになるように、なみだのもとをいれとこう」
と言って、胴体になる箱の中に水色のビー玉を入れたのです。
な、なんというイケメン! 幼稚園児にして、こんな機転が利くなんて、許されるのか!?
案の定、ようこはもうにこにこです。
「飛ぶ教室」の時に、今のワタクシが中三に敵わないという話をしましたが、本日ここに堂々宣言させていただきます!
ワタクシのモテ度、大人度、人間的成熟度は、幼稚園児にも劣る!!
紙で出来ているからカミイなのですが、完成した瞬間、カミイは心を持ち、しゃべり、動きだします。
ここからがおもしろいところで、普通はこういう子供の読み物に出てくるロボットってのは、正義の味方だったり性格がよかったり、優等生的なキャラクターであることが多いじゃないですか。
しかし、カミイは正反対。
「こうてつせいのせかいいちりっぱなロボットだぞ。ちからだって、とってもつよいんだぞ」
と大いばりでワガママ。
力だけは本当に強いので手に負えません。
すぐに、そばにいた小さい女の子のぬいぐるみのちびゾウを取って泣かせてしまうという悪ガキロボットだったのです。
この本のレビューをいろいろと読んでみますと、この悪ガキロボットのカミイが、子供たちからするととてもおもしろく映るようで、そんなところが「ロボット・カミイ」の人気になっているみたいです。
子供って結構賢いところがありますからね、いろんな子供向けの本を読んでいて、内心そういう毎度繰り返される優等生キャラからのお説教みたいなお話の展開には、どこか飽き飽きしてる部分ってのがきっとあるんですね。
そこまで気づいてなくても、ロボットなのにワガママでいばりんぼというカミイに、どこかリアルというか、これまでのお話にないものを感じるのだと思うのです。
で、それだけだとカミイが好き放題ワガママをするだけの話になってしまうのですが、モチロンそうはならないわけで、カミイには解りやすい弱点として「水が苦手」というのがあります。
なんたって紙で出来てますからね。
いばりんぼだったカミイは、水をかけられると泣き出してしまうのです。
最初のちびゾウを取っちゃったシーンでも、カミイが偶然水たまりに足を突っ込んでしまったところから、水に弱いことに気づいたたけしとようこがカミイに水を浴びせると、カミイは泣きだしてしまいました。
で、これ以降、カミイがワガママをふるう → みんな困る → たけし、水をかける → カミイ、泣きだす → たけし、新たなカミイの興味を引くことを言って泣きやませる、というパターンができるのですね。
たけしとようこが通う幼稚園にカミイも通うことになるのですが、ワガママなカミイは、ここでもみんなに嫌がられることばかりするのです。
砂場で遊ぶうち、周りの友達に砂をぶつけると、みんなが嫌がっておもしろくなったカミイに、
「ようし、そんならみんな、カミイにすなをぶつけてやれ」
とみんなが砂をぶつけるのですが、カミイはロボットだから平気で、さらにみんなに砂を投げつけます。
怒ったたけしがカミイに水をかけると、カミイは泣き出すのですが、
「たけしくんが水かけたあ」
「だって、カミイはみんなにすなをかけたじゃないか」
「みんながぼくにすなかけたあ。あいこなのに水もかけたあ」
このカミイをどんな理屈で納得させることができるのか、ワタクシにはわかりません!
確かにカミイの言うことの方が理屈が通ってるような気がしてしまうのです!
ワタクシと同年代の方は、ほとんどが結婚され、子供さんもいて、親として時には子供を叱らなければいけない、という経験をされてきていることと思います。
でも、やっぱり叱る時でも、ちゃんと理屈を納得させて叱らなければいけないじゃないですか。
みなさん、教えて! このカミイをどう叱ってあげればいいんでしょうか?
こんな歳になって、そんなことが本気でわからないワタクシが恥ずかしいです・・・。
さらに、考えさせられるのが、おみせやさんごっこのシーンです。
ワガママ放題のカミイは、幼稚園でもみんなに嫌がられて一人グループにされてしまうのですね。
みんなはグループごとにお店を決めて、商品をダンボールで作ります。
カミイも電器屋をすることにして商品を作るのですが、全部を一人でしなければいけないので、できた商品も少ないし、出来もよくないのです。
せっかく来てくれた年少組のお客さんも、他のお店の商品の方がいいと言って、カミイの店を出てしまいます。
「ぼくはつよいロボットだもん。ひとりぼっちだってへいきだもん」
と強がりながらも、つい涙をこぼしてしまうカミイ。
いくら力が強くても、ひとりで全てをやるのでは限界があることもあるんだよ、という教えなのだとは思うのですが、どっこい、ワタクシはひとりでナゴヤ堂というお店屋さんをやってる人なのです!
負けるな、カミイ! 一人だって、やればできるさ!
結局その後、カミイの作ったテレビも売れて、ご機嫌を取り戻した時は、ワタクシも少しホッとしてしまいました。
ナゴヤ堂のTシャツも、他所様よりは出来が悪いかもしれませんが、みんな買ってね!
カミイはワガママいばりんぼで、とてもやっかいな奴だと思います。
実際にこういう言動をされたら、頭が痛いと思うのは、ワタクシだけではないでしょう。
しかし、今回大人になってこの本を読み返してみますと、実は紙箱で出来ているカミイが「こうてつせいのりっぱなロボットだぞ」と威張るのが、なんだか悲しく感じられるのです。
(「こうてつせい」は、カミイの自信の拠りどころのようで、何回かこの言葉が出てくるのです)
一応はロボットの国で幼稚園に通っていて、たけしとようこが箱でカミイを作ったから人間の国に来れたというので、なるほど、そもそもは鋼鉄製なのかな、と思ったのですが、
「ロボットようちえんの先生は、ぼくに、にんげんのくにへいってもかまわない、といったんだ。
にんげんのくにへいったら、いたずらカミイもこうてつせいのピッカピッカのロボットになれるかもしれない、ってね。
おかしいんだ、先生は。ぼくがこうてつせいだってことが、わかってないんだからね」
というカミイのセリフが飛び出して来たのです。
じゃあ、カミイは何で出来ているのか?
そして、どうしてカミイだけが、そのことに気づいていないのか?
たけしたちは、このセリフを聞いて、あきばこのロボットなのにこうてつせいだとおもいこんでいる、とおかしがって笑うのですが、今のワタクシにはこれがとても悲しいことに思えるのです。
何だか、おかしくて悲しくて、大人になってから読んだ方が考えさせられるお話でした。
この後からラストシーンの悲しさ、美しさもとてもステキですので、機会があればぜひ読んでみてくださいね。
そして、表紙もモチロンですが、本文中のさし絵もとても魅力的。
さがり目ながらも、どの絵でもカミイが実に悪い顔をしていて、この辺りもお子様にウケるのではないかと思います。
そして、最後に、そんなカミイを作ってしまったというサイトを見つけてしまいましたので、ついでと言ってはなんですが、ご紹介します。
http://blog.goo.ne.jp/handmaderken/e/9332031deb1c7bf4b66d3f5c6c8d39d6
ものすごい出来の良さ!
しかも表情が無限に作れる!
ぜひ一度ナマで見てみたい、すばらしいカミイです!