吉田ナゴヤ堂本舗・店主の日記

まぬけTシャツ一本勝負!「吉田ナゴヤ堂本舗」店主がTシャツを作る! 売る! 売れない!

ナゴヤ堂キャスケットへの道1

2010-09-06 23:18:57 | 日記
いつも乗ってる、馴染みの深いJRの路線ではあったのですが、その駅で降りるのは初めて。

夕暮近い商店街を歩きながら、ワタクシは久々に緊張していました。

「久々に」。

そう、ナゴヤ堂を立ち上げて、Tシャツを作り始めたあの頃なら、きっとこんな緊張もよくあったでしょう。

そう考えると、こういうのを忘れてしまってはイカンと思えるわけです。

こんな緊張をもっともっとしなくちゃあ・・・。



地図を頼りに結構歩いて、商店街も終わりのムードになってきました。

ええと、まだ行くのかな・・・? 商店街の中かと思ったんだけど・・・?

この日はずいぶんと大荷物でして、鞄が肩に食い込みます。

しかし、地図が示すのはまだ先。

半信半疑で歩いて、大きな道路とぶつかる交差点でキョロキョロ見回してみますと・・・ありました。

よかった。まだ間に合ったみたいです。

表の戸を開いて「ごめんください」、このくらいはワタクシだってちゃんと言えるのです。

その後がひどかった。


「あ、あ、あ、あのあのあの、雑誌で、こちらを拝見しまして、その、帽子を、作ってもらいたいんです。

 私は、あの、Tシャツを作って売ってまして、でもTシャツだけじゃなくて、いくつかカバンもあるんです。

 そのカバンを持ってきてますので、それをそれをバラして帽子に、キャスケットにしていただきたいのですが、どのくらいでしょうか?

 いや、いくらかかって、何日くらいかかって・・・つまりその、どのくらいでしょうか?」


本当にこんな感じで、捲くし立ててしまいました。

店のご主人、つまり都内某所にある「鹿野帽子店」さんの鹿野さんは、


「つまり、それは、どんな感じで・・・?」


みたいなことを、やや大き過ぎるくらいの声でおっしゃいまして、ワタクシは「確実に怒らせてしまった!」と、早くも心の中でピンチに追い込まれていきました。

ドシロウトのお客さんが、帽子のことを知りもせずに「あんなのを作れ、こんなのを作れ」と勝手なことを言う、みたいなシーンを、


「布を持ち込んでいただければ、オリジナルの帽子もお作りします」


と雑誌の取材に答えられている鹿野さんは、絶対に経験しているはずなのです。

こんなことはTシャツの世界にだってよくある話で、正直、ワタクシごときでも同じような経験がないではないのですね。

今、自分が、あの時の厄介なことを言うお客さんと同じような立場である、という残念な状況が手に取るように解り、そしてそれはどうしようもない。

一日のお仕事も終わり近いであろう時間に突如現れ、そんな厄介なシーンを作り出したのが、他ならぬ自分というわけで、誠に申し訳ない気分でいっぱいになってしまいます。

しかし、ワタクシも商売上のお願いがあってやってきた身ですので、これはもう、ご勘弁をいただくよりありません。

せめて、なるべく丁寧に依頼をすることで、


「ああ、コイツ、冷やかしで来たんじゃないんだな」


と、まずは解っていただこう、そう決めました。

幸いだんだんワタクシも落ち着いてきまして、持ってきた参考図やナゴヤ堂のトート実物を鞄から取り出し、具体的に要望をお伝えすることができたのです。


「それは、どういう風にすればいいんですか?」

「そうすると、その部分は使えなくなっちゃうけど、大丈夫ですか?」


鹿野さんは、細かく質問をしてきますが、それを聞いているうちに、だんだん解ってきました。

もしかして鹿野さん、別に怒ってるんじゃないのでは?

帽子の卸と販売だけでなく、自ら作った帽子を売る職人さんでもある鹿野さんは、疑問が解決されれば、そしてこちらの要望が細かいところまでちゃんと伝わっていれば、きちんと仕事をしてくださるのですね。

そして、話が細かくなるほど熱心に聞いてくださって、質問もしてくださるようです。

さすが職人さん、凝り性な一面があるのですね。

それに、やはり帽子のことがお好きなのです、きっと。

なんだかワタクシもそれに応える形で、どんどん要望が細かくなっていきました。

初対面の、かなり年上の方に、あんなに要望を出したのって、ワタクシ初めてだったと思うのですが、その方がお互いのいい仕事のためには絶対いいはずですよね。

代金の交渉などもスムーズにまとまりまして、その日はとりあえず「黒機密トート」をお渡しして帰って来たのですが、帰り道はなんか感動しっぱなしでした。



数日後、連絡をいただきまして、またお店に出向きました。

「黒機密トート」から作り直した「黒機密キャスケット」ができていました。

cas-kurokimitsu2.jpg

前方から。

文字の入る面と入らない面が交互に配置されます。

つばの部分にも「できれば文字を」とお願いしましたが、その場で「たぶん無理」と言われてすぐに引っ込めました。

cas-kurokimitsu3.jpg

ちょうど反対側から。

左後ろの面にナゴヤ堂ロゴが入ります。

cas-kurokimitsu4.jpg

機密キャスケットの自慢はココ!

リボン部分に「DANGER!! DANGER!!」の文字が入るのです!

これは、特にお願いしたのですが、それでも「無理」と言われてしまえば、できることではありません。

クラウン部分6枚中3枚に文字を入れて、その上で「DANGER!!」部分を手つかずで残しておくというのは、なかなかの難題だったと思います。

鹿野さんに感謝!!



失礼ながら、実物を見たら思ってた感じと違うかも、なんて思ってましたが、完璧に注文通りで出来栄えには大満足でした!

スッカリ安心して、その場で今度は「あやしいトート」を、それも何点かお渡しして帰りました。

これも数日で出来てきまして、その中から「あや黒キャスケット」をご覧いただきます。

cas-ayakuro4.jpg

やはり「あや黒」は、黒に紫という色合いがステキ!

「あやしいキャスケット」の方は、リボン部分には文字は入りません。

cas-ayakuro5.jpg

これまた同じ位置にナゴヤ堂ロゴが。



あ、ちなみに今回作ったキャスケットは、他のもすべて頭回り58cmでお願いしました。

L寸ってことになるのだそうですが、鹿野さんによると


「今はだいたい女性用も含めて、このワンサイズですね」


とのことです。

女性用も同じ大きさで大丈夫なんですね。



いや、ホントにステキな帽子ができまして、いよいよこれをナゴヤ堂サイトで販売しようというのですが、実はお値段でまだ迷っています・・・。

「ネタTシャツ定食」の時には、少し強気に設定したのですが、だんだん弱気になってきました。

幸か不幸か、まだ1個も売れてませんので、値段を変えても誰にも怒られないはずです。

さあ、どうしよう・・・。



※ 明日も、キャスケットをご紹介しますよ!
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