いつも乗ってる、馴染みの深いJRの路線ではあったのですが、その駅で降りるのは初めて。
夕暮近い商店街を歩きながら、ワタクシは久々に緊張していました。
「久々に」。
そう、ナゴヤ堂を立ち上げて、Tシャツを作り始めたあの頃なら、きっとこんな緊張もよくあったでしょう。
そう考えると、こういうのを忘れてしまってはイカンと思えるわけです。
こんな緊張をもっともっとしなくちゃあ・・・。
地図を頼りに結構歩いて、商店街も終わりのムードになってきました。
ええと、まだ行くのかな・・・? 商店街の中かと思ったんだけど・・・?
この日はずいぶんと大荷物でして、鞄が肩に食い込みます。
しかし、地図が示すのはまだ先。
半信半疑で歩いて、大きな道路とぶつかる交差点でキョロキョロ見回してみますと・・・ありました。
よかった。まだ間に合ったみたいです。
表の戸を開いて「ごめんください」、このくらいはワタクシだってちゃんと言えるのです。
その後がひどかった。
「あ、あ、あ、あのあのあの、雑誌で、こちらを拝見しまして、その、帽子を、作ってもらいたいんです。
私は、あの、Tシャツを作って売ってまして、でもTシャツだけじゃなくて、いくつかカバンもあるんです。
そのカバンを持ってきてますので、それをそれをバラして帽子に、キャスケットにしていただきたいのですが、どのくらいでしょうか?
いや、いくらかかって、何日くらいかかって・・・つまりその、どのくらいでしょうか?」
本当にこんな感じで、捲くし立ててしまいました。
店のご主人、つまり都内某所にある「鹿野帽子店」さんの鹿野さんは、
「つまり、それは、どんな感じで・・・?」
みたいなことを、やや大き過ぎるくらいの声でおっしゃいまして、ワタクシは「確実に怒らせてしまった!」と、早くも心の中でピンチに追い込まれていきました。
ドシロウトのお客さんが、帽子のことを知りもせずに「あんなのを作れ、こんなのを作れ」と勝手なことを言う、みたいなシーンを、
「布を持ち込んでいただければ、オリジナルの帽子もお作りします」
と雑誌の取材に答えられている鹿野さんは、絶対に経験しているはずなのです。
こんなことはTシャツの世界にだってよくある話で、正直、ワタクシごときでも同じような経験がないではないのですね。
今、自分が、あの時の厄介なことを言うお客さんと同じような立場である、という残念な状況が手に取るように解り、そしてそれはどうしようもない。
一日のお仕事も終わり近いであろう時間に突如現れ、そんな厄介なシーンを作り出したのが、他ならぬ自分というわけで、誠に申し訳ない気分でいっぱいになってしまいます。
しかし、ワタクシも商売上のお願いがあってやってきた身ですので、これはもう、ご勘弁をいただくよりありません。
せめて、なるべく丁寧に依頼をすることで、
「ああ、コイツ、冷やかしで来たんじゃないんだな」
と、まずは解っていただこう、そう決めました。
幸いだんだんワタクシも落ち着いてきまして、持ってきた参考図やナゴヤ堂のトート実物を鞄から取り出し、具体的に要望をお伝えすることができたのです。
「それは、どういう風にすればいいんですか?」
「そうすると、その部分は使えなくなっちゃうけど、大丈夫ですか?」
鹿野さんは、細かく質問をしてきますが、それを聞いているうちに、だんだん解ってきました。
もしかして鹿野さん、別に怒ってるんじゃないのでは?
帽子の卸と販売だけでなく、自ら作った帽子を売る職人さんでもある鹿野さんは、疑問が解決されれば、そしてこちらの要望が細かいところまでちゃんと伝わっていれば、きちんと仕事をしてくださるのですね。
そして、話が細かくなるほど熱心に聞いてくださって、質問もしてくださるようです。
さすが職人さん、凝り性な一面があるのですね。
それに、やはり帽子のことがお好きなのです、きっと。
なんだかワタクシもそれに応える形で、どんどん要望が細かくなっていきました。
初対面の、かなり年上の方に、あんなに要望を出したのって、ワタクシ初めてだったと思うのですが、その方がお互いのいい仕事のためには絶対いいはずですよね。
代金の交渉などもスムーズにまとまりまして、その日はとりあえず「黒機密トート」をお渡しして帰って来たのですが、帰り道はなんか感動しっぱなしでした。
数日後、連絡をいただきまして、またお店に出向きました。
「黒機密トート」から作り直した「黒機密キャスケット」ができていました。
前方から。
文字の入る面と入らない面が交互に配置されます。
つばの部分にも「できれば文字を」とお願いしましたが、その場で「たぶん無理」と言われてすぐに引っ込めました。
ちょうど反対側から。
左後ろの面にナゴヤ堂ロゴが入ります。
機密キャスケットの自慢はココ!
リボン部分に「DANGER!! DANGER!!」の文字が入るのです!
これは、特にお願いしたのですが、それでも「無理」と言われてしまえば、できることではありません。
クラウン部分6枚中3枚に文字を入れて、その上で「DANGER!!」部分を手つかずで残しておくというのは、なかなかの難題だったと思います。
鹿野さんに感謝!!
失礼ながら、実物を見たら思ってた感じと違うかも、なんて思ってましたが、完璧に注文通りで出来栄えには大満足でした!
スッカリ安心して、その場で今度は「あやしいトート」を、それも何点かお渡しして帰りました。
これも数日で出来てきまして、その中から「あや黒キャスケット」をご覧いただきます。
やはり「あや黒」は、黒に紫という色合いがステキ!
「あやしいキャスケット」の方は、リボン部分には文字は入りません。
これまた同じ位置にナゴヤ堂ロゴが。
あ、ちなみに今回作ったキャスケットは、他のもすべて頭回り58cmでお願いしました。
L寸ってことになるのだそうですが、鹿野さんによると
「今はだいたい女性用も含めて、このワンサイズですね」
とのことです。
女性用も同じ大きさで大丈夫なんですね。
いや、ホントにステキな帽子ができまして、いよいよこれをナゴヤ堂サイトで販売しようというのですが、実はお値段でまだ迷っています・・・。
「ネタTシャツ定食」の時には、少し強気に設定したのですが、だんだん弱気になってきました。
幸か不幸か、まだ1個も売れてませんので、値段を変えても誰にも怒られないはずです。
さあ、どうしよう・・・。
※ 明日も、キャスケットをご紹介しますよ!
夕暮近い商店街を歩きながら、ワタクシは久々に緊張していました。
「久々に」。
そう、ナゴヤ堂を立ち上げて、Tシャツを作り始めたあの頃なら、きっとこんな緊張もよくあったでしょう。
そう考えると、こういうのを忘れてしまってはイカンと思えるわけです。
こんな緊張をもっともっとしなくちゃあ・・・。
地図を頼りに結構歩いて、商店街も終わりのムードになってきました。
ええと、まだ行くのかな・・・? 商店街の中かと思ったんだけど・・・?
この日はずいぶんと大荷物でして、鞄が肩に食い込みます。
しかし、地図が示すのはまだ先。
半信半疑で歩いて、大きな道路とぶつかる交差点でキョロキョロ見回してみますと・・・ありました。
よかった。まだ間に合ったみたいです。
表の戸を開いて「ごめんください」、このくらいはワタクシだってちゃんと言えるのです。
その後がひどかった。
「あ、あ、あ、あのあのあの、雑誌で、こちらを拝見しまして、その、帽子を、作ってもらいたいんです。
私は、あの、Tシャツを作って売ってまして、でもTシャツだけじゃなくて、いくつかカバンもあるんです。
そのカバンを持ってきてますので、それをそれをバラして帽子に、キャスケットにしていただきたいのですが、どのくらいでしょうか?
いや、いくらかかって、何日くらいかかって・・・つまりその、どのくらいでしょうか?」
本当にこんな感じで、捲くし立ててしまいました。
店のご主人、つまり都内某所にある「鹿野帽子店」さんの鹿野さんは、
「つまり、それは、どんな感じで・・・?」
みたいなことを、やや大き過ぎるくらいの声でおっしゃいまして、ワタクシは「確実に怒らせてしまった!」と、早くも心の中でピンチに追い込まれていきました。
ドシロウトのお客さんが、帽子のことを知りもせずに「あんなのを作れ、こんなのを作れ」と勝手なことを言う、みたいなシーンを、
「布を持ち込んでいただければ、オリジナルの帽子もお作りします」
と雑誌の取材に答えられている鹿野さんは、絶対に経験しているはずなのです。
こんなことはTシャツの世界にだってよくある話で、正直、ワタクシごときでも同じような経験がないではないのですね。
今、自分が、あの時の厄介なことを言うお客さんと同じような立場である、という残念な状況が手に取るように解り、そしてそれはどうしようもない。
一日のお仕事も終わり近いであろう時間に突如現れ、そんな厄介なシーンを作り出したのが、他ならぬ自分というわけで、誠に申し訳ない気分でいっぱいになってしまいます。
しかし、ワタクシも商売上のお願いがあってやってきた身ですので、これはもう、ご勘弁をいただくよりありません。
せめて、なるべく丁寧に依頼をすることで、
「ああ、コイツ、冷やかしで来たんじゃないんだな」
と、まずは解っていただこう、そう決めました。
幸いだんだんワタクシも落ち着いてきまして、持ってきた参考図やナゴヤ堂のトート実物を鞄から取り出し、具体的に要望をお伝えすることができたのです。
「それは、どういう風にすればいいんですか?」
「そうすると、その部分は使えなくなっちゃうけど、大丈夫ですか?」
鹿野さんは、細かく質問をしてきますが、それを聞いているうちに、だんだん解ってきました。
もしかして鹿野さん、別に怒ってるんじゃないのでは?
帽子の卸と販売だけでなく、自ら作った帽子を売る職人さんでもある鹿野さんは、疑問が解決されれば、そしてこちらの要望が細かいところまでちゃんと伝わっていれば、きちんと仕事をしてくださるのですね。
そして、話が細かくなるほど熱心に聞いてくださって、質問もしてくださるようです。
さすが職人さん、凝り性な一面があるのですね。
それに、やはり帽子のことがお好きなのです、きっと。
なんだかワタクシもそれに応える形で、どんどん要望が細かくなっていきました。
初対面の、かなり年上の方に、あんなに要望を出したのって、ワタクシ初めてだったと思うのですが、その方がお互いのいい仕事のためには絶対いいはずですよね。
代金の交渉などもスムーズにまとまりまして、その日はとりあえず「黒機密トート」をお渡しして帰って来たのですが、帰り道はなんか感動しっぱなしでした。
数日後、連絡をいただきまして、またお店に出向きました。
「黒機密トート」から作り直した「黒機密キャスケット」ができていました。
前方から。
文字の入る面と入らない面が交互に配置されます。
つばの部分にも「できれば文字を」とお願いしましたが、その場で「たぶん無理」と言われてすぐに引っ込めました。
ちょうど反対側から。
左後ろの面にナゴヤ堂ロゴが入ります。
機密キャスケットの自慢はココ!
リボン部分に「DANGER!! DANGER!!」の文字が入るのです!
これは、特にお願いしたのですが、それでも「無理」と言われてしまえば、できることではありません。
クラウン部分6枚中3枚に文字を入れて、その上で「DANGER!!」部分を手つかずで残しておくというのは、なかなかの難題だったと思います。
鹿野さんに感謝!!
失礼ながら、実物を見たら思ってた感じと違うかも、なんて思ってましたが、完璧に注文通りで出来栄えには大満足でした!
スッカリ安心して、その場で今度は「あやしいトート」を、それも何点かお渡しして帰りました。
これも数日で出来てきまして、その中から「あや黒キャスケット」をご覧いただきます。
やはり「あや黒」は、黒に紫という色合いがステキ!
「あやしいキャスケット」の方は、リボン部分には文字は入りません。
これまた同じ位置にナゴヤ堂ロゴが。
あ、ちなみに今回作ったキャスケットは、他のもすべて頭回り58cmでお願いしました。
L寸ってことになるのだそうですが、鹿野さんによると
「今はだいたい女性用も含めて、このワンサイズですね」
とのことです。
女性用も同じ大きさで大丈夫なんですね。
いや、ホントにステキな帽子ができまして、いよいよこれをナゴヤ堂サイトで販売しようというのですが、実はお値段でまだ迷っています・・・。
「ネタTシャツ定食」の時には、少し強気に設定したのですが、だんだん弱気になってきました。
幸か不幸か、まだ1個も売れてませんので、値段を変えても誰にも怒られないはずです。
さあ、どうしよう・・・。
※ 明日も、キャスケットをご紹介しますよ!