姫が王子を追いかけてトンネルを行く
暗さに不安を覗かせながら、お兄ちゃんを見つめている
こんな景色を見ていると、ふと 私が幼かった頃を思い出す
父と妹たちとで近所の山へピクニックに行った時のあの薄暗い木々と草薮の中を掻き分けて歩いた
妹たちは必死で私を追い、私は父のそばを離れなかった
そして結核を煩っていた父の心の中を読み取るかのように不安を覚えた
あの時、父は何を思っていたのだろうか
あの後親子は持ってきた餅を焼いてお昼を食べて、歌を歌いながら手を繋いで帰った
背の高いリンドウの青い花やセンブリを見つけたり、喜んだ
薄暗くなった夕暮れの中、家に帰り着くまで、ずいぶんと長い間歩いた