1975年といえば迂生はまだ12~13歳。それでも「感応」していたとすれば、思春期の男子女子を見くびってはならない、ということの証左かと。
吉岡晋太郎(鶴田浩二)「忘れなきゃ嘘だって言うのか?お前らは、その調子で、なんにでもたかをくくってるだけだ。恋愛も友情も、永続きすりゃあ嘘だと思う。人のためにつくす人間は、偽善者かバカだと思う。金のために動いたと言えば本当らしいと思い、正義のために動いたと言えば、裏になんかあると思うんだ。お前らは、そうやって人間の足をひっぱって、大人ぶっているだけだ。しかしな、人間は、そんな簡単なもんじゃないぞ」
中略
杉本陽平(水谷豊)「戦後三十年たってるんだからねえ」
吉岡晋太郎(鶴田浩二)「甘っちょろいと言うのは簡単だ。しかし、甘い綺麗事でも一生をかけて、押し通せば、甘くなくなるんだ、と俺は思っている」
杉本陽平(水谷豊)「ーー」
吉岡晋太郎(鶴田浩二)「しらけて、わけしりぶるのは勝手だが、人間には綺麗事を押し通す力もあるんだということを忘れるな」
杉本陽平(水谷豊)「ーー」
※以上、第1部3話「猟銃」から
〈2023年5月21日追記〉「甘い綺麗事」を「建前」に置き換えれば、「建前」という名の「理想」「理念」こそ「かけがえのない切実な願い・希望=本音」にほかならない人たちが存在します。その人たちにとって「建前」と「本音」は対立する二項ではなく、一致・かさなるものなり。
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