中村きみえ市議が病院行政について質問を行なっていますので、ご報告します。病院事業に関する市民アンケートについては、「10月中に調査票を郵送する」方向で検討しているとのことです。
【中村きみえ議員】
7月22日、8月19日と千葉市病院事業あり方検討委員会が開催され、委員会の答申では、「救急医療は体制の強化が必要、海浜病院の老朽化への対応として新病院を直ちに整備すべき、千葉市の推計入院患者数がピークとなる2030年を見据え、新病院に救急医療体制を集約するとともに青葉病院は新病院や周辺医療機関との連携・分担を進める中で、2030年以降も含めた長期的な視点で、適切な機能、規模を選択すべき、新病院を海浜病院の現敷地内で整備することは課題が多く、別の用地を速やかに確保できる場合は、比較評価を行ったうえで、建設地を選定すべき」と述べています。
私たちは市立海浜病院の存続と診療科目の充実を求めて署名を行い、10月1日現在11,163筆にのぼり、7月30日に病院局と懇談、8月8日には青葉病院の現地視察、8月10日には、公立病院のあり方について、地域医療と公立病院を守る千葉県民連絡会事務局の長平さんを招いて学習会を開催し、その必要性を学んできました。
「自治体病院は救急や災害医療等の政策医療をはじめ地域に必要とされる医療を提供するとともに、地域住民の健康の維持・増進に努める」と全国自治体病院協議会倫理綱領に定められています。綱領のような医療の実施を求めて質問します。
今後の病院事業のあり方の答申の受け止めについて、海浜病院の老朽化への対応に早急な検討をし、基本構想として両市立病院の具体的な方向性をまとめたいと答えていますが、具体的にはどう進めていきますか。
【病院局次長】
本年度は、市民を対象にしたアンケートを実施するとともに、市内部で基本構想案の検討を行い、その後、来年度にかけて有識者による意見の聴取やパブリックコメントを実施することにより基本構想としてまとめていく予定です。
【中村きみえ議員】
千葉市の西部地域、現在地に近接する場所で整備を進めていくべきですが、見通しをお示しください。
【病院局次長】
病院事業のあり方検討委員会の答申では、「海浜病院の老朽化への対応として、新病院を直ちに整備すべき」とし、その場合の建設地として、「早期の開院が可能であること、必要な施設規模が確保できること、他の医療機関の配置バランスを考慮した市民の医療ニーズに対応できることなど、様々な視点から比較評価を行った上で選定すべき」とされています。
今後、この答申の内容を踏まえて、新病院の整備、整備する場合の建設地について、早急に調査・検討していきます。
【中村きみえ議員】
海浜病院の老朽化で、雨天時の雨漏りの施設への影響は深刻であり、早急な建設を進めても最短で5年ほどかかるのであれば、まずは、配管の延命化を図るなど最低限の機能を保つ対策が必要ではありませんか。
【病院局次長】
海浜病院は、この10月で開院からちょうど35年となり、給排水管を始めとする施設の老朽化の問題に直面しています。このため、病院事業のあり方検討委員会の「海浜病院の老朽化への対応として、大規模改修で対応することは、整備期間の長期化や、診療機能の制限が避けられない等から適当でなく、費用対効果を考慮し全面建て替えが有効である。」との答申を踏まえ、新病院の整備について、検討を進めて参ります。当面の、配管などの老朽化への対応としては、不具合の生じた個所を補修していくことを基本としています。
今後も、不具合に対し可能な限り速やかに対応できるよう、日常的な点検、交換部品の事前準備など維持管理の徹底に努めていきます。
【中村きみえ議員】
千葉市と県内他市町村間における医療機関の救急車の収容状況について千葉市消防局がまとめた資料がありますが、そこでは、千葉市から市外の医療機関に6,102件、市外から千葉市に5,120件受け入れており、差し引きで、市から市外に982人で受け入れてもらっている実態があります。特に四街道市、習志野市、八千代市、浦安市など北西部の医療機関に受け入れていただいています。千葉市内に医療機関が集中してあるとはいえ、市内の医療機関だけで完結していないことが示されています。
海浜病院は、市の西部地域で救急医療体制が極めて乏しく、より充実することが求められています。花見川区では市外の病院の利用率が37%に及ぶなど実際には市内で完結していません。海浜病院の整形外科や泌尿器科も含めて診療科目の充実が求められていますが、見解を求めます。
【病院局次長】
海浜病院は、これまで、小児・周産期医療について、地域小児科センターや地域周産期母子医療センターを開設し、小児救急や周産期医療の重要な拠点として機能してきました。
また、平成28年度に形成外科・脳神経外科・泌尿器科を開設するなど、診療体制の充実を図ってきました。更には、高齢化の進展などに伴い、救急搬送件数が増加傾向にあることから、本年度に救急科を新たに設置して、救急受入体制の強化を図っています。
今後も引き続き、適切な診療体制の確保と充実に取り組んでいきます。
【中村きみえ議員】
千葉市病院事業あり方検討委員会の資料でも救急搬送件数の将来推計が示され、2020年に59,891人から2030年には67,774人と約8千人増えることが示されています。
千葉県保健医療圏の地域医療構想では、急性期は1,423床過剰だと指摘していますが、人口と救急搬送件数の増加からも市民の命と健康を守るためにも、急性期の病床を減らすことなく受け入れできる体制を整えることこそ必要ではありませんか。
【病院局次長】
地域医療構想は、急性期や回復期など将来の医療機能ごとの医療需要と必要病床数を推計し、地域の医療提供体制の目指すべき姿を明らかにしたものであり、これを踏まえた対応が医療機関に求められています。このため、市立病院も、現在担っている機能の強みをいかしつつ、他の医療機関との役割分担や機能分化を図ることにより、医療圏全体としての医療の質の向上や医療資源の最適配分による効率化につなげていく必要があると認識しています。
【中村きみえ議員】
先日救急搬送で同乗する機会が二度ほどありました。狭い道路を抜ける際に逆走し、交差点で通行する際も止まらない車もあるそうで、収容先の病院に到着するまで精神的にも肉体的にもストレスが多く、大変なことだと痛感しました。救急搬送では受け入れる病院があってこそ、早く目的地に到着できます。
青葉病院では、年間約5千件の救急車の受け入れを行い千葉市でトップクラスです。代表質疑では、「救急医療の提供が重要だと認識し、市内全体の対応力を上げるために将来にわたって安定的かつ効率的に提供できる市立病院の体制について検討していくことが重要と認識している」との答弁でした。この答弁では、市内全体の対応力を上げるために、市内全体の医療機関への働きかけていくのか、市立病院で完結していく方向で検討するのかその意図をお示しください。
【病院局次長】
現在も、民間医療機関をはじめ大学病院や国立・県立病院などの公的病院も含めた多くの医療機関が、救急医療をはじめとした市民の医療を担っています。
今後も、これらの医療機関とともに市民の医療を充実させていくことが必要であり、そのためにも、役割分担や連携を図りながら、市立病院として果たすべき役割を明確にし、その役割の強化を図っていくことが必要と認識しています。
【中村きみえ議員】
青葉病院では、感染症医療や児童精神をはじめ、24時間365日絶え間なく救急を受け入れています。今回の台風など災害時や感染症発生時にもベッドを確保し、市民の健康と命を守る立場を担う役割があります。政策医療を担うために、青葉病院は、市民の健康を守る立場で充実するべきではありませんか。
【病院局次長】
病院事業のあり方検討委員会の答申では、「現在提供されている政策的医療については、その機能を維持、発展させつつ、市立病院が引き続き担うべき」とされています。
今後、この答申を踏まえ、政策的医療も含めて、将来にわたって安定かつ効率的に提供できる市立病院の体制について、検討していくことが重要と認識しています。
【中村きみえ議員】
経営形態についてです。現行の経営形態である地方公営企業法全部適用移行後の評価と課題を踏まえて、今後の経営形態について検討し、現時点では現行の経営形態を継続することは妥当であるとの指摘があります。
現行の経営形態であれば、議会で診療科目や経営内容、人件費も含めた内容についても情報が公開され市民への説明責任も果たすことができます。現状のままの経営形態で進めていくことが必要ではないですか。
【病院局次長】
病院事業のあり方検討委員会の答申では、「経営の健全化を図りつつ市立病院の役割を果たすために、最も有効な経営形態について、継続的に検討していくべき。しかし、新病院の早期着工が最優先であることを考慮すると、現時点において、現行の経営形態を継続することは妥当である」とされています。現時点においては、現行の経営形態を継続することを基本としつつも、答申の内容を踏まえて、最も有効な経営形態について継続的に検討していくことも必要と認識しています。
【中村きみえ議員】
市民の声の反映についてです。
私どもは、再三、市民の病院であるから市民の声をきちんと反映すべきだと主張し、この間署名活動で出された声を代弁しながら届けてきましたが、答申を出すまでに市民の声をなんら反映する対策は講じてきませんでした。アンケートはいつ、だれを対象にどんな形で進め市民の声は、どこまで計画に反映されるのかお答えください。
【病院局次長】
アンケートの対象は、満18歳以上の市民3,500人を無作為で抽出し、10月中に調査票を郵送する方向で検討を進めています。
具体的な内容は、現在検討中ですが、市立病院を取り巻く環境を簡潔に説明したうえで、お答えいただくことを想定しています。また、市立病院に対するご意見・ご要望等を自由に記入できる欄も設ける予定です。基本構想の策定に当たっては、これらのアンケートの結果も参考にしていきます。
【中村きみえ議員】
厚生労働省は9月26日に医療体制の見直しを進めるため1,455の公立病院と日本赤十字社などの公立病院の診療実績を分析し、3割の424病院を実績が特に少ないか似た実績の病院が近くにあるため、病床数や診療体制を見直す検証が必要だとし、来年9月までに各病院に結論を出すように求めていると各紙報道されています。県内では10カ所の病院が示され診療実績が少ないとして県千葉リハビリテーションセンター、国立病院機構千葉東病院、地域医療機能推進機構千葉病院と、近くに実績がある医療機関として市立青葉病院が示され、市内に4カ所あり、中央区だけでも3カ所にものぼります。
厚労省は機械的に検討が必要だと病院名を挙げて再編を進めようとしていますが青葉病院だけにとどまらず、4カ所も病院削減を進めてしまったら、地域の医療が崩壊し、市民の命も守れなくなってしまうではありませんか。お答えください。
【保健福祉局長】
今回、国が公表した分析については、限られた医療資源をそれぞれの地域で真に活用し、次の時代に対応した医療を構築するために行われたものであると聞いています。
これは国の資料によると、一定の条件を設定して急性期機能等に関する医療機能について分析し、各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等について再検証を依頼するものであり、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではないとされています。
【中村きみえ議員】
病床削減を進める背景に医療削減ありきの国の狙いがあります。厚労省が強硬策をとっても、罰則規定はなく、厚労省に強制する権限もありません。自治体の首長の意向がきわめて重要です。今回の報道も含めて公立病院だからこそ、不採算の医療も含めて市民の命を守る立場で奮闘しており、再編合理化では、市民の命を守れないと反発の声が寄せられているのは当然です。市長として青葉病院をはじめ公立、公的病院を市民の命と健康を守る立場で、国に削減すべきでないと主張すべきです。お答えください。
【保健福祉局長】
国は、各地域において、今回の分析だけでは判断しえない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、それぞれの地域での議論を活性化するよう要請しており、本市も千葉県が開催する地域医療構想調整会議の場等において、真に必要な医療提供体制が確保されるよう、意見を述べていきます。
【中村きみえ議員】
公立病院は、利益最優先ではなく、政策的な医療を担い、市民の命と健康を守るためになくてはならない医療機関です。青葉病院だけでなく今回厚労省が発表した他の3つの病院についても、あわせて存続・充実するよう求めておきます。
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