木村翔龍 川柳のかけら

気の向くままに5.7.5
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セレクション柳人11 野沢省悟集より

2013-06-14 20:57:18 | 17音字の詩(川柳)
セレクション柳人11 野沢省悟集より
第一章 今生
光年の雪降る 瞳から瞳
傘の中に雪をふらせる西行と
掌の茶碗ときどき海へ行くらしい
亀裂渦舌髪睫毛夜の夜
潮騒や頬紅き娘を捨てて来て
目で食べるもののひとつに妻の指
海を泳ぐピアノ一台掬おうと
鏡の裏の桜を見てはいけません
桃があり指から生えてくる画鋲
てふてふが一瞬かわく家裁前
しぶしぶと銀行へゆくしゃぼん玉
梅雨に濡れ無声映画にまぎれ込む
四十歳にきびつぶしている海月
じゃが芋ににじむ色気をどうしょう
コスモスは白から咲いて川ひとすじ
蕎麦の花ばあさんふたりじじひとり
笑窪なき牛乳瓶と時雨れるか
きりぎりす忘れた頃に手を洗う
以下省略