たわ言、泣き言、独り言 時々新刊案内

徒然につぶやきます。時おり自著の新刊案内もつぶやきます。

キス

2021年03月04日 20時48分11秒 | 読書感想文
「キス」(高遠 琉加, 2020/5, Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0887QWK5R/ref%3Dcm_sw_r_tw_dp_BXDDEKG0T3VFYRATJKS2

読了しました。
20分ほどで読めるBL短編です。
キスすることで相手に死をもたらす天使、あるいは死神。
夜の街を彷徨う彼は、絶望の気配に呼ばれて路上に横たわる男と出会います。
彼はいつものように男を死に誘おうとしますが……

男と暮らすことになった彼。
彼は人を死に誘うこと以外には全く無知で、そんな彼と男との生活が描かれます。
男と暮らしていく中で、彼にとって男の存在は大きくなり……

舞台が夜の街から始まるせいでしょうか、モノトーンな印象を受けます。
その中で、卵の黄身の黄色と、ケチャップの赤色が印象的でした。

シャープに研ぎ澄まされた刃物のような物語でした。
面白かったです。



砂の魚

2021年03月04日 20時29分33秒 | 読書感想文
「砂の魚」( 二一, 2020/2, Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B084P439ZK/ref%3Dcm_sw_r_tw_dp_G0T6JMV6KCAEWXP49YTK

読了しました。
30分ほどで読めるBL短編です。
失恋旅行に来た主人公は、森の中で朽ちかけた洋館を見つけます。
そこで出会った温和な紳士とのふれあい。
それは別れた恋人との関係を見直させるものでした。
旅から戻った主人公は、忙しい日常に忙殺されるのですが、そんな中、紳士と同じ名前の男性と出会います。
そして……

主人公は何かに餓えていて、その答えを求めてあがいているように見えます。
その姿が、砂漠に忽然と現れる湖に住む魚、つまり表題の「砂の魚」に結びつくのです。
過激な性描写も無く、全編を通して何か暖かいものに包み込まれているような印象を受けました。
それは、筆者の登場人物たちに向ける眼差しでしょうか?

ふんわりした不思議な読後感の物語でした。
面白かったです。