たわ言、泣き言、独り言 時々新刊案内

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港町の玉手箱

2021年03月13日 20時06分46秒 | 読書感想文
「港町の玉手箱」(七迦 寧巴, 2020/12, Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08R9PTG3W/ref%3Dppx_yo_dt_b_d_asin_image_o00?ie=UTF8&psc=1

読了しました。
3時間半ほどで読める現代小説です。
本を読むことが好きな女性主人公が、その成長とともに新しい世界の扉を開けてゆく、そんな成長と、そして恋愛の物語です。
それが、主人公の経験する少し不思議な出来事とともに語られてゆきます。
その不思議な出来事、物語の味付けとして語られているのかなと思いきや……

主人公は、その成長の節目節目に目の前に提示される新しい世界への扉に、わりと大胆に挑戦して自分の世界を広げてゆきます。
それにともなって、新たな出会いと、そして別れを経験します。
このあたりの物語展開は、好みが分かれるかもしれません。

物語の最後には、もっとも大きな別れが主人公を待っています。
それは、文字通りの別れではなく、現世に帰った浦島太郎が、持ち帰った玉手箱を開けることで現実に引き戻されるような、そんな”別れ”です。
それも唐突なものではなく、物語の中に丁寧に織り込まれた出来事が、物語のラストで一気に収れんするような展開なのです。
なるほど、だからこのタイトルなのかと、わたしは一人で納得してしまいました。
さて、あなたが読んだら、そこにどんな感想を抱くでしょうか?
それは読んでのお楽しみです。