大正製薬は30日、JR新宿駅の構内に設置した自動販売機で風邪薬や解熱鎮痛剤などを販売する実証実験を行うと発表した。販売期間は今日5月31日から8月末まで。急に体調が悪化した人が通勤や通学の途中に手軽に薬を購入するケースなどを想定している。
JR 新宿駅構内の自動販売機で薬を売る実証実験。あくまでも「実証実験」なんですよ。というのも、法律上では薬を売ることにはものすごくハードルが高くて、日本の規制社会の典型といえるのが薬の販売なんです。小さな声でしか言えませんけれども、いろんな人の利権みたいなものが業界全体を複合的に支配しているわけです。
「医薬品は人の健康に直接影響するものだから、できるだけ慎重に取り扱わないといけない」と言われると、反論しにくいけれども、そこまで厳しくしなくてもいいんじゃないかと思うんですよ。ついこの前まで薬は原則として薬屋さんでしか売ることはできなかったのだけれども、それが今では効き目のそれほど強くない薬ならコンビニでも売れるようになっています。ただし、コンビニで売るためには薬剤師や登録販売者という特別な資格を持った人がいなければならないんです。
今回、実証実験が始まった自動販売機で売ることができる薬は、第2類医薬品、第3類医薬品、医薬部外品です。法律の趣旨からいうと薬剤師か登録販売者がいないといけないわけですが、どうして自動販売機で薬を売れるのか。それは、近くにある薬屋さんに薬剤師か登録販売者が常駐していて、何かあればすぐに連絡できるような環境になっているからなんですね。要するに、規制を徐々に緩和していくということなんです。
今まで規制していたことをいきなり緩和すると、「これまでの政策が間違ってたんじゃないか」という批判が出る恐れがあります。役人はこういう批判を嫌がるんですね。そこで、「実証実験をやりました」「実証実験の結果、特に問題がないので制限を緩和します」という手順を踏むことになるわけです。日本って、そういう面倒くさいことをたくさん積み重ねていかないと変わらない社会だということが、この薬の販売の問題1つ取ってみてもよく分かりますね。
自動販売機では風邪薬や解熱鎮痛剤などを売るのですが、私が必ず売れそうだと思う薬が1つあります。それは下痢止め薬。列車で移動中に便意をもよおして焦った経験は大抵の人にあるんじゃないですかね。失敗しちゃうと、子供だと不登校のきっかけになってしまうくらいだし、特に成人になってからだと社会生命を絶たれてしまいます。1粒飲めば下しそうな感覚が止まる下痢止め薬は必ず売れます。