太陽光だけで飛ぶスイスの電気飛行機「ソーラー・インパルス2」が3月9日、アラブ首長国連邦のアブダビから人類初の世界一周飛行に飛び立ちました。
重さ2.3トン、ジャンボ機より長い72メートルの両翼を持った単座機を交代で操縦するのは、スイス人パイロットのベルトラン・ピカール氏とアンドレ・ボルシュベルク氏の2人。
アブダビを出発したソーラー・インパルス2は、東回りにオマーン、インド、ミヤンマー、中国を経由、太平洋を横断してハワイへ。 北米大陸横断飛行はアリゾナ州フェニックスなど2箇所を経てニューヨークへ。大西洋を越えた後は、南欧ルートか北アフリカ沿岸のどちらかを飛んで出発地点のアブダビに戻る予定です。
カーボンファイバー製の超軽量機体に積む燃料はゼロ。勿論、排ガスもゼロです。
動力は、両翼に搭載した1万7000の太陽電池から供給される電力のみですが、今回初めて夜間飛行が可能になりました。
(アラブ首長国連邦、アブダビ 9日 取材・動画:ロイター、日本語翻訳:アフロ)
.
最終更新:3月10日(火)11時54分http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150310-00010001-reutv-int
ソーラー飛行機、世界一周に出発!
2015.03.09 17:30
空の旅に革命を起こすにはまだ時間が必要ですが、大きな一歩ですね。
気の遠くなるようなプランニングと、イマイチなテストフライトを経て、ついに有人ソーラー飛行機ソーラー・インパルスが世界一周に挑みます。現在、アラブ首長国連邦のアブダビを出発し、最初の目的地オマーンのマスカットへ飛行中とのことですよ。
ソーラー・インパルス 2は、この挑戦を念頭にイチからデザインされたものです。たくさんの電動モーターとリチウムバッテリー4台に電気を供給するため、17,000個以上の太陽電池を翼に載せています。完全に太陽光のみを電力源にするようデザインされ、バッテリーのおかげで夜も飛行可能です。ソーラー飛行機は過去にもありましたが、大陸間を飛べるのはこれが初です。そして計画通りに進めば、世界で初めて世界一周を達成したソーラー飛行機になるでしょう。
この旅は5ヶ月に渡って行なわれ、アブダビを出発して25日間のフライト期間を12回に分けて飛び、最後にはアブダビに帰って来ます。スケジュールを見てもわかる通り、この飛行機で最速記録を出すことはできないでしょうが、プロジェクトを指揮するスイス人飛行家のベルトラン・ピカール氏とアンドレ・ボルシュベルグ氏にとってそこは重要ではありません。彼らにとって最もエキサイティングなのは、このプロジェクトのエネルギー効率です。航空業界を変えるより前に、彼らはまず再生可能エネルギーの可能性に対する一般の認識を変えようとしているのです。なので、これは技術的なマイルストーンであると同時に、重要な宣伝行為でもあるのですね。
席は1つのみ(トイレも兼ねています)で、キャビンは暖房はおろか酸素すらありません。厳しいフライトになるのは間違いないので、12回と飛行を細かく分けたのも納得です。さらに機内食は脱水して真空パックしたものだそうなので、パイロットも思わずエコノミーの機内食が恋しくなってしまうかもしれません。
快適でおなじみのボーイングやエアバスには程遠いものですが、このプロジェクトが示す再生可能エネルギーの可能性は、未来に大きな影響をもたらすでしょう。ソーラーパネルを飛行機に搭載することに業界は非常に懐疑的ですが、世界一周フライトが成功すれば、将来的な飛行機の動力源として見直されるかもしれません。とにかく、ソーラーパネルが未来の飛行機を飛ばすことは望みますが、同時にトイレと席は別々で、今まで通り個室であることを切に願います。
http://www.gizmodo.jp/2015/03/solarimpulse_fly.html
人類に取って大きな第一歩ですが、フライトは過酷そうです。