1987年、前年のジャストアヒーローからビートエモーションを経て、BOΦWYはロックバンドがロックビジネスとして成立する事を証明し、純粋なロックファン以上に普通の歌謡曲しか聞かなかった層にまで浸透していきました。
そんな中、「BOΦWYが解散する噂がある」が広まる。
売れている、ロックビジネスとして成り立っているのに、何故解散?
噂を更に噂として強くしたのが、1987年夏、BOΦWYがイベントとして数ヶ所行ったライヴ。
いつもなら発売したアルバムを中心とした曲目構成なのに、ファーストアルバムからビートエモーションまでのこれまでの総括のような、ベスト盤みたいな曲目構成。
ただ、次のアルバムが秋発売だから、あくまでイベントでって可能性が高いのかな? とも。
確か夏に、アルバムに先駆けてシングル発売したマリオネットは、チャートの1位。
その後、アルバム サイコパス発売。
確か同時期にマイケル・ジャクソンのアルバムが大ヒットする中、邦楽1位だった(気がする。間違ってたらすいません)
個人的にこのアルバム、一番気に入ってます。
たぶん、ボーカル中心で聴く人ならビートエモーションか3枚目のボウイだと思うけど、ギター始めた自分にとって、コードワークを中心にボーカルの裏で弾いてるバッキングや、ちょっとしたフレーズに、シンプルなのに最大限のカッコ良さ、ギターのカッコ良さを感じた。
たぶん同世代のコピーバンドも同じだったと思う。
で、その前後にシングル 季節が君だけを変える、が発売。B面がクラウディハート。
タイトルが終わりを告げてるみたい。しかも、B面、クラウディハート。
やっぱり噂は本当かもって、皆思ってたはず。
サイコパスのライヴツアー。いつ、BOΦWYが解散宣言するのか、あるいはしないのか?
ツアー中、氷室のMCのたびに、オーディエンスに緊張が走る。でも、言わない。
音楽雑誌もメンバーと話できないし、周りのスタッフからも情報漏れない。
そして、ツアー最終日の12月24日クリスマスイブ。当時の「渋谷公会堂」
ライヴ本編のMCで何も言わず。
1回目のアンコールでも何も言わず。
2回目(最後)のアンコールでやっと氷室が「皆に言わなければならない事が……」
(この解散宣言(実際は解散という言葉は言ってないけど)については、またの機会に)
結局、
売れたにも関わらず、ビジネス的には名声を手に入れて、これからなんでもやりたい事が出来る状況なのに、アルバム出せば売れるって決まっているのに、そんな手に入れた名声にしがみつかず、いとも簡単に(なように。本人達にしかわからない何かがあったと思うけど)次のステージへ飛び込む潔さや、解散が決まっているのに、それをラストツアーとして盛りたてず、最後の最後までいつも通りのライヴに徹したライヴバンドの生きざまがカッコよかったのです。
因みに、翌年(1988)4月の東京ドームのこけら落としのラストギグスを「解散ライヴ」呼ばわりする人がいるけど、違います。
正式に1987年12月24日の渋谷公会堂をもって解散してるので、ラストギグスは、解散後のファンへの最初で最後のラストライヴなのです。
12月25日.新聞一般全国紙4社が、テレビ番組欄の下側、大きなスペースで「BOΦWY解散」の広告を打ち出しました。
マスメディアを利用しなかったバンドが、最初で最後(だと思われる)しかも新聞一般全国紙で流したのが「解散」だったのです。