2025年問題とは何か?
「2025年問題」
とは、
団塊世代
(=1947~
1949年
生まれの戦後の
ベビーブーム
世代)
が、
2025年までに
75歳以上の
後期高齢者に
突入する事で
日本社会全体に
大きな影響を
与える問題の
ことである。
この世代は
約800万人と
人口が多く
医療
や
介護サービス
の需要が
急増するため、
財政
や
社会保障制度
への負担が
懸念されている。
総務省のデータに
よれば、
75歳以上の人口は
2023年の時点で
2076万人、
2025年には
さらに増加する
と予測されて
いる。
このような
高齢化は、
急に始まった
ものではなく、
30年前の
1990年と
比べると
75歳以上の
人口は約2倍に
増加している。
加えて、
今後も少子化が
進むことで、
働き手である
若い世代が
減少するため、
日本社会は
ますます
大きな課題に
直面する。
高齢化が社会保障費に及ぼす影響
高齢化の進行に
伴い、
社会保障費の
増大が深刻な
問題となる。
日本では、
高齢者向けの
医療費
や
介護費用
が
公費(税金)で
賄われる部分が
多いため、
75歳以上の
人口が増えれば
増えるほど、
財政負担が
大きくなる。
たとえば、
2020年度に
社会保障に
投じられた
公費は42兆円に
達しており、
1990年度の
5兆円から
約4倍に
増加する。
このような
増加は、
税収
や
保険料
だけでは
賄いきれず、
政府は
借金に
頼らざるを
得ない。
その結果、
国の財政は
悪化し、
将来世代への
負担がさらに
増す可能性が
ある。
働き手不足と介護人材の課題
高齢化が進むと、
介護の必要性が
高くなる。
しかし、
介護を担う人材
の不足も大きな
問題である。
2022年の時点で、
介護職員の
不足人数は
約100万人に上り、
2030年には
さらに
増加すると
予測される。
厚生労働省は、
2030年度までに
約240万人
2040年度には
約272万人
の介護職員が
必要になる
と試算している。
同時に、
介護が原因で
仕事を辞め
ざるを得ない人
(=介護離職者)
が増加する。
経済産業省に
よると、
2030年には
約318万人が
「ビジネス
ケアラー」
(=働きながら
家族の介護を
行う人)
になると
予想されており、
これが
労働生産性の低下
や
企業の成長への
阻害要因
になる
とされている。
試算によれば、
介護離職
や
生産性低下
による経済損失は
年間約9兆円に
達する可能性
がある。
現行の社会保障制度の課題
現在の日本の
社会保障制度は、
基本的に
税金
や
保険料で
支えられて
いるが、
高齢化が進むに
つれ、
仕組みの限界が
見えてくる。
政府は
「全世代型
社会保障」
と呼ばれる
新しい制度を
導入しよう
としているが、
これには
以下のような
課題がある。
現代世代の負担増
高齢者人口が
増加する一方で、
現役世代
=(働く世代)
は、
減少している
ため、
1人あたりの
負担が増えて
いる。
これにより、
現役世代の
生活が
圧迫され、
消費
や
経済活動
にも悪影響を
及ぼす。
財政の悪化
社会保障費の
増大により、
政府の
財政赤字が
拡大している。
2025年には
社会保険給付費が
約137.8兆円に
達すると
予測されており、
政府が
対応しなければ、
制度そのものが
維持できなくなる
可能性がある。
制度の不公平感
現行制度では、
高齢者が享受する
給付
と
現役世代が
負担するコストの
バランスが取れて
いない。
特に、
経済的に余裕の
ある高齢者が
多額の給付を
受けている
一方で、
負担能力が低い
現役世代が
過剰な負担
を背負って
いる
という指摘が
ある。
解決策としての方向性
「2025年問題」に
対応するためには、
従来の政策の延長
ではなく、
抜本的な改革が
必要である。
以下に主要な
解決策を示す。
デジタル技術の活用
介護や医療の
分野で、
AI
や
ロボット技術
を活用する事で、
少ない人手で
効率的な
サービスを
提供する
ことが
可能である。
たとえば、
介護ロボットを
導入することで、
スタッフの負担を
軽減し、
高齢者に対する
ケアの質を
向上させる事が
期待されている。
外国人介護人材の受け入れ
労働力不足を
補うために、
外国人労働者の
受け入れを
拡大する事も
重要である。
既に
特定技能ビザを
活用して
外国人介護職員の
採用が進んでいるが、
さらなる
規制緩和
や
受け入れ支援が
求められる。
地域コミュニティの強化
高齢者同士が
助け合う
「地域
コミュニティ」
を形成し、
介護の負担を
軽減する
取り組みも
有効である。
地域ごとに
高齢者が
集住する事で、
効率的な
介護サービスの
提供が可能と
なる。
家族への支援強化
家族が介護に
専念できるよう、
休業制度
や
金銭的支援の
充実
が必要となる。
たとえば、
介護休業中の
所得補償を
拡大する事で、
介護離職を
防ぐことが
できる。
働き方改革の推進
介護と仕事を
両立できる
働き方を
推進する事も
重要である。
テレワークの
導入
や
柔軟な
勤務時間制度
を広める事で、
介護を担う
世代の負担を
軽減する事が
できる。
日本社会の未来に向けて
少子高齢化は
構造的な問題で
あり、
状況の改善は
容易ではない。
しかし、
適切な政策を
実行し、
効率的な
社会システムの
構築で、
悪化を食い止める
ことは可能である。
2025年以降、
日本社会は
「少ない人手で
最大の成果を
上げる」
時代に突入する。
働く意欲
や
能力
を持った人が、
性別や年齢に
かかわらず
活躍できる
環境を
整えることが
不可欠である。
そのためには、
政府や企業
だけでなく、
地域社会全体
で協力し、
新しい価値観に
基づいた
社会づくりを
進める必要が
ある。
2025年は、
日本が
これまでの
延長線上では
なく、
新しい未来を
切り開く契機
と捉えるべき
時期である。
社会全体で
優先事項を
整理し、
一人ひとりが
安心して暮らせる
仕組みの構築が、
今後の
日本の成長と
安定に繋がる
と信じる。