ずーみんのはがき絵七十二候②

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はがき絵いろはうた四周目(その10)

2024-07-27 06:33:00 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第十回目は「ま」「け」「ふ」の三つです。

 

 

 

『ま』・・・マーガレット

 マーガレットの花を描きました。キク科の低木と書いてあります。木なのですね。和名もモクシュンギク(木春菊か?)だそうです。茎の下部が木質化するのでそう呼ばれるのです。

 「清」という字をデザインして書き添えたのは、花言葉「真実の愛」「誠実」「信頼」などからもわかるように、清廉潔白なイメージがあるためです。清らかな感じのする花だと思います。

 俳句では初夏の季語になっています。

・髪黒くマーガレットの中に立つ      高浜 虚子

・風白しマーガレットを野に置きて     稲畑 汀子

・マーガレットそれより白き産着干す    対馬 康子

 

 

 

 

 

 

 

『け』・・・月下美人

 月下美人の花を描きました。サボテン科の多年草で、花は夕方から咲き始め、明け方には閉じてしまいます。近縁種のクジャクサボテンは昼間に咲いて2,3日は花が咲いています。調べると月下美人の方がクジャクサボテンの原種に当たるのだそうです。

 私は大阪の鶴見緑地にある「咲くやこの花館」という大きな植物園で、「ドラゴンフルーツの花」が展示されているのを見たことがあります。クジャクサボテンとそっくりの花でした。

 俳句では月下美人が夏の季語になっていますが、クジャクサボテンは手元の歳時記に載っていませんでした。季語にはなっていないようです。

・月下美人大きな声は出さず見る     加藤 楸邨

・揺れて咲く月下美人の花八つ      佐藤 明日香

・今一度月下美人に寄りて辞す      森田 純一郎

 

 

 

 

 

 

 

『ふ』・・・フリージア

 馥郁たる香りのフリージアの花を描きました。「香」の字を書き添えていよいよ部屋中にフリージアの香りが満ちます。アヤメ科フリージア属の球根植物です。剣状の葉の間から花茎を伸ばし、数個の花が下から咲きのぼっていきます。白、黄、紫、紅など、豊富な花色があります。「親愛の情」「友情」「感謝」などの花言葉を持っています。香雪蘭(こうせつらん)、浅黄水仙(あさぎずいせん)の別名があります。

 俳句では春の季語になっています。別名の「香雪蘭」「浅黄水仙」も傍題として載っていました。

・書かぬ日の日記の上にフリージヤ      神蔵 器

・フリージア子に恋人のできたるらし     宇咲 冬男

・いさぎよき備前の焦やフリージア      大野 雑草子

 

 


はがき絵いろはうた四周目(その9)

2024-07-20 23:32:16 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第九回目は「お」「く」「や」の三つです。

 

 

 

『お』・・・オウムガイ

 生きた化石と呼ばれる動物はいくつかありますが、オウムガイもその一つです。中生代のアンモナイトに似ていますが、そのルーツはもっと古く、古生代のチョッカクガイなどと共通の祖先を持つそうです。その祖先の誕生はおよそ4億5000万年前から5億年前ぐらいまでさかのぼるそうですから、まさに生きた化石といえるでしょう。深海にすんでいるイメージがありますが、あまり深いところにはいないようです。殻の構造から、あまりに深いところでは水圧により殻が壊れてしまうのだそうです。オウムガイという名ですが、貝というよりはイカやタコに近い仲間で、頭足類といいます。触手は90本ほどもあるそうです。

 バックを黒く塗りつぶして、周囲にぼんやりとクラゲやクリオネなどをあしらってあります。ちなみに「オウムガイ」は俳句の季語ではありません。

・オウムガイの知恵柏落葉の知恵      いさな歌鈴

・まっしろな春へ伸ばすオウムガイの触手  いさな歌鈴

・短日の回転ドアからオウムガイ      黒田 崖

 

 

 

 

 

 

 

 

『く』・・・クローバー

 クローバーの葉を何枚か描いて「聞」という字を書き添えました。「クローバーの声が聞こえる少女」というのをテレビで見て驚いたことを思い出したのです。その少女はクローバーの声を聴いて、四つ葉のクローバーをいとも簡単に見つけるのです。非常に興味深く視聴しました。

 「クローバー」は俳句では晩春の季語になっています。「苜蓿(うまごやし)の花」という親季語の傍題になっていますが、苜蓿とクローバー(シロツメクサ)は別種の植物です。苜蓿の花は黄色、クローバーは白い花をつけるのでシロツメクサとも言います。赤紫色の花をつけるアカツメクサというのもあります。

・しづしづとクローバを踏み茶を運ぶ     高濱 虚子

・クローバー踏まねば行けぬ滑り台      佐藤 美恵子

・白詰草たどれば渡来人の裔         柿本 多映

 

 

 

 

 

 

『や』・・・焼きおにぎり

 香ばしい醤油の香りが漂ってきそうな焼きおにぎりを描こうと思い立って相方と合作しました。おむすび(焼き結び)とも言いますので「結」という字をデザインして書き添えました。

 冷凍食品のニチレイが制定したところによると10月8日は「焼きおにぎりの日」だそうですが、俳句では季語になっていないと思います。「握り飯」などでも調べましたが、季語として扱っている句は見つかりませんでした。

・羅の人のくれたる握り飯     岸本 尚毅

・二三人若草に座して握り飯    正岡 子規

・稍醉ひし月の酒宴や握飯     正岡 子規

 

 


はがき絵いろはうた四周目(その8)

2024-07-14 17:47:57 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第八回目は「む」「う」、そして「ゐ」をとばして「の」の三つです。

 

 

 

『む』・・・紫式部

 大河ドラマ「光る君へ」ではなく、植物の紫式部です。秋に紫色の小さな実を葉の付け根のあたりにつけます。枝が緩やかなアールを描いて、たおやかな風情を醸し出します。季節の「季」の字をデザインして書き添えました。俳句では紫式部で七音もあるので「実紫」「式部の実」などと五音に言い換えることも多いです。

・紫式部の実を過ぎにける日暮かな     加藤楸邨

・渡されし紫式部淋しき実           星野 立子

・脇床に灯る紫式部の実          ずーみん

・蹲(うずくまる)掛花生の式部の実    ずーみん

 

 

 

 

 

 

『う』・・・ウクレレ

 ウクレレを描いて「楽」の字を書き添えました。モンステラの葉の特徴ある形の影が揺れています。夏のけだるい午後です。どこかで遠くラジオが鳴っています。海からの風が心地よいです。うとうとしてしまいます。

 ウクレレは俳句の季語になっておらず、他の季語と取り合わせて詠む必要があります。

・あたたかやウクレレ漏るる生花店     はなあかり

・ウクレレに和音三つの端居かな      田中幸雪

・ウクレレの音と薫風が改札を       ずーみん

 

 

 

 

 

 

 

 

『の』・・・ノコギリザメ

 ノコギリザメをマンガチックに描きました。周りの魚たちもかわいく描けました。たまにはこんな画風で描くのも面白かったです。

 「ノコギリザメ」は俳句の季語にはなっていないようですが、「鮫」は冬の季語です。「鋸鮫」を「鮫」の傍題に見つけました。冬の季語として扱ってもよさそうです。「鮫」が冬の季語になったのは、鮫が冬期に美味になるから、という説明が載っていました。思えば鮫は年中泳いでいるわけですから、冬以外の季語と取り合わせて句にすることもありといえばありですね。

・竈へ火ハレの日の鮫切り分けて     いさな歌鈴

・鉤のんで結びし鮫の巨き口       鈴鹿野風呂

・遠浅に鮫の来てをる祭かな       男波弘志

 


はがき絵いろはうた四周目(その6)

2024-06-29 04:55:40 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第六回目は「れ」「そ」「つ」の三つです。

 

 

 

『れ』・・・蓮華草/紫雲英

 紫雲英と書いてゲンゲと読みます。レンゲソウ、レンゲ、ゲンゲンとも呼びます。私はレンゲソウと呼ぶことが多いです。標準和名はゲンゲだそうです。マメ科の植物なので、空気中の窒素を使って窒素肥料の成分を作り出すことができます。ですから、田にレンゲソウの種をまいて育てることがあります。田にすき込むとよい肥料になるのです。

 書き添えた文字は「以春風接人(しゅんぷうをもってひとにせっす)」です。「以春風接人 以秋霜自粛」と対句になっているのも見かけます。

 紫雲英は当然、春の季語です。げんげ田という傍題もあります。

・げんげ田や花咲く前の深みどり     五十崎 古郷

・野道行けばげんげんの束すててある   正岡 子規

・げんげ田の誰か遊んでゆきし跡     半谷 洋子

 

 

 

 

 

 

『そ』・・・空

 画面を100%の青で塗りつぶして、白(または消しゴム)で細い線をすーっと引いて飛行機雲にしました。飛行機の機影も白で描きました。もくもくと湧き上がる雄大積雲を描いて「爽」という字を書き添えました。真夏の空の様子です。

 俳句の季語では「雲の峰」というのがあります。入道雲、積乱雲、峰雲などの傍題もあります。

・雲の峰幾つ崩れて月の山       松尾 芭蕉

・しづかさや湖水の底の雲のみね    小林 一茶

・雲の峰雷を封じて聳えけり      夏目 漱石

 

 

 

 

 

 

『つ』・・・土筆

 土筆をアップで描いて、遠景に春の野と空を描きました。雲雀がさえずっている空です。「春」という字も書き添えました。雲雀は巣のありかを知られないようにするため、巣から離れたところまで歩いて移動し、そこから飛び立つそうです。帰巣するときも同様で、巣から離れたところに着陸し、歩いて巣に戻るのだそうです。

 子どものころ、よく土筆を摘んできては食べたことを思い出します。「はかま」の部分を取り除くのが少々面倒くさいのですが、さっと茹でてお浸しにしたり、炒めて卵でとじたりしていただきました。今なら茹でた土筆を辛子醤油で和えたりしてお酒をいただくといいだろうな、と思うのですが、土筆を見かけることがなくなってしまいました。

 「雲雀」も「土筆」も春の季語です。

・子規堂の土筆の丈の揃ひゐし      城 孝子

・過去帳の重くなる寺土筆ん坊      保坂 加津夫

・靴紐を結び直してつくしんぼ      ずーみん

 


はがき絵いろはうた四周目(その5)

2024-06-23 02:38:07 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第五回目は「か」「よ」「た」の三つです。

 

 

 

『か』・・・亀がわちゃわちゃ

 漫画風に亀をたくさん描いてみました。わちゃわちゃしています。新年らしくおめでたい感じに描きました。鶴もいます。松竹梅や鯛もあしらってあります。文字は「龜壽」と書き添えました。「亀寿」という字を旧字体で書いたものです。「鶴は千年 亀は万年」といって長寿をことほぐ意味があります。亀は俳句の季語になっていないようですが、「亀鳴く」という春の季語があります。亀は発声器官をもたないのですが、「心で聞く」ということでしょうか。

・亀鳴けり人老いて去り富みて去り     鷹羽 狩行

・亀鳴くや心の流転とめどなし       鈴木 真砂女

・亀鳴くや身体のなかのくらがりに     桂 信子 

 

 

 

 

 

 

『よ』・・・葉柄痕

 今から何年も前、冬から春に向かうまだ寒い日に、我が家のアジサイにナナホシテントウが這っているのを見つけ、フィルムカメラで接写しました。わざわざフィルムカメラと言わなくても、デジタルカメラがこの世に存在しない頃の話です。フィルム一巻を撮り終えて町の写真屋さん(D.P.E.と書いてありました)にもっていって現像してもらうのです。用紙に焼き付けてもらった写真を後日受け取りに行くと、「こちらのお写真で間違いございませんか?」と見せながら確認してくれます。ナナホシテントウを撮ったはずの写真に写っていてびっくりしたのがこの顔です。葉柄痕(ようへいこん)といって、ここに葉っぱがついていたというしるしの部分です。顔に見えます。というか顔にしか見えません。「萌」という字をデザインして書き添えておきました。

 葉柄痕は俳句の季語にはなっていないようですが、季節感のあるものなので、葉柄痕を読んだ名句がたくさん作られればそのうち季語として定着するかもしれません。

 

 

 

 

 

『た』・・・タイツリソウ

 キンポウゲ目ケマンソウ亜科ケマンソウ属ケマンソウは別名を「タイツリソウ」といいます。花茎がアーチ状に湾曲し、花がぶら下がって咲く様子が、鯛が釣り竿にぶら下がっているように見えるので、この名があるのでしょう。かわいらしい花です。今調べてみて毒があるのだということを知りました。ひと竿でこんなに釣れたらかなりの大漁なので「漁」という字を書き添えてみました。

 「華鬘草」は晩春の季語になっています。「鯛釣草」も傍題にちゃんと載っていました。

・鯛釣草たのしき影を吊り下げて     山田 みづえ

・鯛釣草片身づつ散る夕まぐれ      中野 冬太

・鯛釣草うらはらの世を明るうし     高澤 良一