今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。
四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。
四周目の第十一回目は「こ」「え」「て」の三つです。
『こ』・・・コスモス
コスモスの花と、花にとまって吸蜜するイチモンジセセリという蝶を描きました。「揺」という字を書き添えて風に揺れているイメージです。コスモスの花には白、白から淡いピンク~濃いピンク、濃紅などの花色があります。近年では黄色やオレンジ色、一つの花で複色のものなどが登場し、年々カラフルになっている感があります。チョコレートコスモスという、そのものずばりチョコレート色の品種もあります。日本では秋を代表する花のように思いますが、初めて韓国に旅行した時、キバナコスモスというのでしょうか、オレンジ色の品種が真夏なのにたくさん咲いていたことが記憶にあります。日本でも早生品種が出てきて、夏のうちから花を楽しめるようになってきています。極めて丈夫で育てやすく、茎が倒れても倒れたところから根が出てきて活着してしまいます。
俳句で「コスモス」は秋の季語になっています。
・コスモスを離れし蝶に谿深し 水原 秋櫻子
・コスモスをはなれぬ蝶と貨車群と 中村 汀女
・コスモスや我より問ひてきく話 星野 立子
『え』・・・鉛筆削り
鉛筆削り器を描きました。ステッドラーというドイツの文具メーカーのものです。素敵なデザインだと思います。日本でこのタイプの鉛筆削り器を製造している会社は一社しかないと聞きました。鉛筆を削ることによって新しくなる、というイメージで「新」という字を書き添えてみました。新しくなるのは鉛筆の書き味だけでなく、使う人の心も新しくするのではないかと思いました。
「鉛筆」は季語ではないので、俳句に詠む場合は他に季語を取り合わせる必要があります。
・鉛筆を削りためたる日永かな 久保田 万太郎
・鉛筆を削り揃へし桜かな 山本 洋子
・小刀や鉛筆を削り梨を剥く 正岡 子規
『て』・・・デンドロビウム・ファレノプシス
デンドロビウム・ファレノプシスという洋ランを描き、「薫」という字を書き添えました。デンドロビウムの「デン」とファレノプシスの「ファレ」を取って「デンファレ」と呼ばれることもあります。特に花屋さんなどでは「デンファレ」と書いて売られていることも多いようです。ラン科デンドロビウム属に分類されますが、胡蝶蘭(コチョウラン)の属名が「ファレノプシス」であるため、ちょっとややこしいですね。ファレノプシスは「蛾のような」という意味で、花の形からきています。
俳句では「蘭」が秋の季語になっています。「デンドロビウム」も「デンファレ」も季語にはなっていないようです。「洋ラン」でも調べてみましたが、季語ではありませんでした。ただ、洋ランの中でも「カトレア」だけは冬の季語になっています。
・ある時は淋しき花と蘭を活け 稲畑 汀子
・清貧の家に客あり蘭の花 正岡 子規
・蘭の香やてふの翅(つばさ)にたき物す 松尾 芭蕉
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