ずーみんのはがき絵七十二候②

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はがき絵いろはうた四周目(その15)

2024-08-31 08:33:18 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズの四周目です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんでしたので、全部で四十四作品を紹介できました。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介してきました。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介しました。ご覧いただきありがとうございます。

 四周目の第十五回目は「せ」と「す」です。四周目の最終回です。

 

 

 

『せ』・・・節分

 節分のイメージをイラストにしました。ヒイラギにイワシの頭がさしてあります。梅の花があしらってあります。ヒイラギは漢字で書くと木へんに冬と書くのですね。「柊」の字をデザインして書き添えておきました。ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺して飾る「柊鰯」は、ヒイラギのとげとげした感じや、イワシを焼く時の匂いなどを鬼が嫌うと考えられているため、季節の節目に邪気が入り込まないようにしたおまじないです。

 節分の翌日が立春になるので、暦の上ではこの日までが冬ということになります。ですから「節分」は冬(晩冬)の季語になっています。

・節分のいづれも前座ばなしかな      久保田 万太郎

・節分の化けおほせたるおちよぼかな    後藤 夜半

・節分の豆少し添へ患者食         石田 波郷

 

 

 

 

 

 

 

『す』・・・ストレリチア

 ストレリチアという花を描きました。花屋さんには周年出回っているようにも思いますが、トロピカルな感じのする花だなと思っていました。別名をゴクラクチョウカ(極楽鳥花)というそうです。鳥の頭部を、それも熱帯の鮮やかな色彩の鳥の頭部を思わせる花の形です。調べてみて、青いのが花弁で、オレンジ色の部分はがくであることもわかりました。「彩」という字と取り合わせてみました。

 温室栽培で周年出回っているためでしょうか、俳句の季語にはなっていないようです。

・島の中翔るが如く極楽鳥花      遊雀

・室咲きの極楽鳥花飛翔せよ      きらら☆れい

・花舗早春極楽鳥花翔たむとす     堀井 英子

 

 

 ご覧いただきありがとうございます。「はがき絵いろはうた」と称して今までに描いたはがき絵をいろは順に紹介していくシリーズも、これで4周目が終わりました。

 5周目も「あつまれ!おえかきの森」というおえかきのチャットゲームで合作した絵をたくさん紹介していく予定です。解説文には俳句をまじえながら、新たに書き直してご覧いただいておりますので、5周目もぜひお付き合いくださいね。


はがき絵いろはうた四周目(その14)

2024-08-23 22:07:57 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズも四周目です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第十四回目は「し」、「ゑ」をとばして「ひ」、「も」の三つです。

 

 

 

『し』・・・シャボン玉

 シャボン玉を描いて「遊」という字を書き添えました。水ぬるむ春のころに遊ぶところから俳句では春の季語になっています。虹色に見える色合いと、光や景色の映り込みを描くのが難しいです。文字はあえてシャボン玉を避けて包み込むように書きました。「石鹸玉」と書いてシャボン玉と読みます。

・うすうすと幾つもあげぬ石鹸玉      原 石鼎

・美しきものは疾く消えしやぼん玉     鷹羽 狩行

・しやぼん玉楕円忽ち円となる       阿波野 青畝

 

 

 

 

 

 

 

『ひ』・・・未央柳(ビヨウヤナギ)

 ビヨウヤナギとキンシバイの違いは?などというサイトがたくさんあるくらい、この二種は似ています。私は雄蕊で見分けることができると思います。この絵のように長く伸びた雄蕊はビヨウヤナギに特有のものです。この糸のように長く伸びた雄蕊から連想して「紡ぐ」の「紡」という字を書き添えてみました。

 俳句では夏の季語になっています。

・又きかれ未央柳とまた答へ      星野 立子

・咲き出でぬ未央柳のたよたよと    古市 蛇足

・彼女眉目よし未央柳をむざと折る   高浜 虚子

・目に慣れし闇にも未央柳かな     稲畑 汀子

 

 

 

 

 

 

 

 

『も』・・・木星

 木星は太陽系最大の惑星です。縞模様が美しく、大赤班と呼ばれる地球3個分もある大きな渦巻きも特徴的です。

 私が中学生だったころですから、今からほんの少し前、天体写真をもとに木星の絵を描いたことが何度かあります。天体のイラストを描いて、天文雑誌に投稿するためです。「ケント紙」という言葉を初めて聞き知ったころです。ケント紙は高くてなかなか買えませんでした。

 木星の輪郭は円ではなく、赤道方向に膨らんだ楕円形です。この楕円を描くのに、ピン2本を紙に刺して、糸で輪を作ってその輪の中に鉛筆を入れて、糸がたるまないように注意しながら、楕円を描いたことを思い出します。楕円が描けたら紙の裏から消しゴムでこすると、ピンの穴を目立たなくできるよと教えてもらって、嬉しがってやっていました。

 当時は主に鉛筆を使って、モノクロで描いていました。大赤班を上の方に描いていたと思います。反射望遠鏡で撮影した画像をもとに描いていたからでしょうか。

 今はご覧のように、こんなにカラフルに描いています。大赤班は赤道より下に描いています。参考にした画像が、当時とは比べ物にならないぐらい鮮明で、とてもカラフルです。モノクロの画像なんか探しても見つかりませんでした。

 「木星」は季語ではないので、他の季語と取り合わせて一句を成さねばなりません。

・木星は椎の中ゆく夜長かな      佐野 青陽人

・木星は遠くて冬がきてしまふ     森 さかえ

・木星の堕ちて這ひたる蝸牛      龍 桔花

 


はがき絵いろはうた四周目(その13)

2024-08-17 23:31:02 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズも四周目です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第十三回目は「ゆ」「め」「み」の三つです。

 

 

 

『ゆ』・・・柚子

 「鬼柚子」とか「獅子柚子」とか呼ばれる種類の柚子を描きました。「冬至」という文字を書き添えてあります。

 冬至に柚子湯に入るのは、運を呼び込む前に体を清めるという禊の風習からきています。柚子の良い香りが邪気を払うと信じられています。

 俳句では「柚子」は秋(晩秋)の季語、「柚子湯」は冬至の習慣ですから当然、冬の季語になっています。

・いみじくもかがやく柚子や神の留守      阿波野 青畝

・なるかならぬか柚子は今年も寂寞と      加藤 楸邨

・葉まばらに柚子あらはるゝ後の月       正岡 子規 

 

 

 

 

 

 

 

『め』・・・迷彩柄

 迷彩柄をいろいろ描いて遊んでみました。そのうちの一点です。でたらめに描いているようですが、やってみるとなかなか難しいものでした。ともあれ、楽しく描きました。

 「迷彩柄」「迷彩服」など調べましたが、季語にはなっていないようでした。他の季語と取り合わせて一句を成さねばなりません。

・夕立なか迷彩服の駆け戻る      増田 守

・枯色も攻めの迷彩枯蟷螂       的野 雄

・蕨狩迷彩服の子と一緒        光成 敏子

 

 

 

 

 

 

 

 

『み』・・・弥勒菩薩

 京都は太秦(うずまさ)にある広隆寺というお寺の、弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしいぞう)を描きました。別名「宝冠弥勒(ほうかんみろく)」とも呼ばれるこの像は飛鳥時代の作で、我が国の国宝第一号なのだそうです。この像は木造ですが、韓国にはこの像とそっくりの金銅製のものがあります。韓国国立中央博物館に所蔵されているもので、韓国の国宝第七十八号です。どちらも直接拝見しましたが、本当によく似たお姿でした。日本と韓国のつながりの深さを感じさせてくれるのに十分でした。

 切り絵の作品を参考にさせていただいて描きましたので、モノクロの作品となっております。

 俳句の季語にはなりませんので、他の季語と取り合わせて一句を成さねばなりません。

・指先の影に秋立つ弥勒仏      中村 房子

・秋の雪弥勒菩薩へ行く途中     坪内 稔典

・青柳弥勒十年の小家哉       小林 一茶


はがき絵いろはうた四周目(その12)

2024-08-10 04:44:26 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズも四周目です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第十二回目は「あ」「さ」「き」の三つです。

 

 

 

『あ』・・・アホウドリ

 滑空するアホウドリを描いて「聖」という字を書き添えました。「愚」と「聖」に通じるものを感じるからです。

 また、アホウドリは漢字で「阿呆鳥」の他に、「信天翁」とも書くようです。天に信(まか)せて一日中同じ場所で魚が来るのを待っている翁(おきな)=老人のような白い鳥、というような意味です。

 英語でアルバトロス(albatross)、ゴルフで規定打数よりも一打少ないのをバーディー(birdie)、二打少ないのをイーグル(eagle)、三打少ないのをアルバトロス(albatross)といいます。規定打数よりも四打少なくホールアウトすることなどありえないと思うのですが、こちらはコンドル(condor)というそうです。パー6、パー7のホールは一般的でないため、パー5のホールでホールインワンの場合がコンドルになりますね。ちなみに規定打数よりも五打少ない場合の名称も存在していて、オーストリッチ(ostrich)だそうです。パー5のホールだと0打でホールアウトしなければならず、不可能に思えますが、パー6やパー7のホールもありますので、理論上は可能です。

 俳句で「信天翁」は季語になっていないようです。渡り鳥であり、日本付近にやってくるのは冬ですから、それなりに季節感を持つ鳥です。他の季語と取り合わせて一句を成しますが、季語のように使った作例も何句か見つけました。

・耳つくのそれらでもなし信天翁      正岡 子規

・日に一度入る日は沈み信天翁       三橋 敏夫

・あほうどりだけが見てきし夕焼こそ    山崎 照三

 

 

 

 

 

 

 

『さ』・・・サイチョウ

 サイチョウを描きました。オオサイチョウという種がよく知られていますが、ここに描いたのはアカコブサイチョウです。

 サイチョウは「彩鳥」だとばかり思っていましたが、「犀鳥」なのだそうです。そうとは知らず「彩」の字を書き添えてしまいました。

 いくつかの歳時記を調べましたが、「犀鳥」は載っていませんでした。

・ベランダにサイチョウの群れ集う朝      時任 幸之助(プノンペン日本人学校 中1)

 これはカンボジアの俳句なのですね。

 お絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」では「最澄」というお題で出題されました。比叡山延暦寺を拠点にして、日本の天台宗を開いた伝教大師ですね。この「最澄」というお題に対して、オオサイチョウの絵を描き、「さいちょう」という答えを引き出すことに成功しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

『き』・・・桔梗

 桔梗の花とつぼみを描きました。書き添えてあるのはハングルで、「꽃」です。「コッ」と読みます。「花」という意味です。韓国語で桔梗を「トラジ」といいます。韓国の田舎道を歩いていると、トラジが植えられていて、花を咲かせているのを見かけることがあります。韓国では花を愛でるよりも、根を食用にする「野菜」なのです。

 俳句では「桔梗」は初秋の季語です。キキョウ科の宿根草で秋の七草にも数えられていますが、実際には夏の暑いころから花を咲かせています。

・八ケ岳雲にうかべる野の桔梗       水原 秋櫻子

・雨はれて荒野の桔梗夕日照る       正岡 子規 

・おもかげをさだかにしたり白桔梗(西垣脩氏の忌)   細見 綾子

 


はがき絵いろはうた四周目(その11)

2024-08-03 05:19:50 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第十一回目は「こ」「え」「て」の三つです。

 

 

 

『こ』・・・コスモス

 コスモスの花と、花にとまって吸蜜するイチモンジセセリという蝶を描きました。「揺」という字を書き添えて風に揺れているイメージです。コスモスの花には白、白から淡いピンク~濃いピンク、濃紅などの花色があります。近年では黄色やオレンジ色、一つの花で複色のものなどが登場し、年々カラフルになっている感があります。チョコレートコスモスという、そのものずばりチョコレート色の品種もあります。日本では秋を代表する花のように思いますが、初めて韓国に旅行した時、キバナコスモスというのでしょうか、オレンジ色の品種が真夏なのにたくさん咲いていたことが記憶にあります。日本でも早生品種が出てきて、夏のうちから花を楽しめるようになってきています。極めて丈夫で育てやすく、茎が倒れても倒れたところから根が出てきて活着してしまいます。

 俳句で「コスモス」は秋の季語になっています。

・コスモスを離れし蝶に谿深し      水原 秋櫻子

・コスモスをはなれぬ蝶と貨車群と    中村 汀女

・コスモスや我より問ひてきく話     星野 立子

 

 

 

 

 

 

 

 

『え』・・・鉛筆削り

 鉛筆削り器を描きました。ステッドラーというドイツの文具メーカーのものです。素敵なデザインだと思います。日本でこのタイプの鉛筆削り器を製造している会社は一社しかないと聞きました。鉛筆を削ることによって新しくなる、というイメージで「新」という字を書き添えてみました。新しくなるのは鉛筆の書き味だけでなく、使う人の心も新しくするのではないかと思いました。

 「鉛筆」は季語ではないので、俳句に詠む場合は他に季語を取り合わせる必要があります。

・鉛筆を削りためたる日永かな      久保田 万太郎

・鉛筆を削り揃へし桜かな        山本 洋子

・小刀や鉛筆を削り梨を剥く       正岡 子規

 

 

 

 

 

 

 

 

『て』・・・デンドロビウム・ファレノプシス

 デンドロビウム・ファレノプシスという洋ランを描き、「薫」という字を書き添えました。デンドロビウムの「デン」とファレノプシスの「ファレ」を取って「デンファレ」と呼ばれることもあります。特に花屋さんなどでは「デンファレ」と書いて売られていることも多いようです。ラン科デンドロビウム属に分類されますが、胡蝶蘭(コチョウラン)の属名が「ファレノプシス」であるため、ちょっとややこしいですね。ファレノプシスは「蛾のような」という意味で、花の形からきています。

 俳句では「蘭」が秋の季語になっています。「デンドロビウム」も「デンファレ」も季語にはなっていないようです。「洋ラン」でも調べてみましたが、季語ではありませんでした。ただ、洋ランの中でも「カトレア」だけは冬の季語になっています。

・ある時は淋しき花と蘭を活け        稲畑 汀子

・清貧の家に客あり蘭の花          正岡 子規

・蘭の香やてふの翅(つばさ)にたき物す   松尾 芭蕉