ずーみんのはがき絵七十二候②

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はがき絵いろはうた四周目(その6)

2024-06-29 04:55:40 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第六回目は「れ」「そ」「つ」の三つです。

 

 

 

『れ』・・・蓮華草/紫雲英

 紫雲英と書いてゲンゲと読みます。レンゲソウ、レンゲ、ゲンゲンとも呼びます。私はレンゲソウと呼ぶことが多いです。標準和名はゲンゲだそうです。マメ科の植物なので、空気中の窒素を使って窒素肥料の成分を作り出すことができます。ですから、田にレンゲソウの種をまいて育てることがあります。田にすき込むとよい肥料になるのです。

 書き添えた文字は「以春風接人(しゅんぷうをもってひとにせっす)」です。「以春風接人 以秋霜自粛」と対句になっているのも見かけます。

 紫雲英は当然、春の季語です。げんげ田という傍題もあります。

・げんげ田や花咲く前の深みどり     五十崎 古郷

・野道行けばげんげんの束すててある   正岡 子規

・げんげ田の誰か遊んでゆきし跡     半谷 洋子

 

 

 

 

 

 

『そ』・・・空

 画面を100%の青で塗りつぶして、白(または消しゴム)で細い線をすーっと引いて飛行機雲にしました。飛行機の機影も白で描きました。もくもくと湧き上がる雄大積雲を描いて「爽」という字を書き添えました。真夏の空の様子です。

 俳句の季語では「雲の峰」というのがあります。入道雲、積乱雲、峰雲などの傍題もあります。

・雲の峰幾つ崩れて月の山       松尾 芭蕉

・しづかさや湖水の底の雲のみね    小林 一茶

・雲の峰雷を封じて聳えけり      夏目 漱石

 

 

 

 

 

 

『つ』・・・土筆

 土筆をアップで描いて、遠景に春の野と空を描きました。雲雀がさえずっている空です。「春」という字も書き添えました。雲雀は巣のありかを知られないようにするため、巣から離れたところまで歩いて移動し、そこから飛び立つそうです。帰巣するときも同様で、巣から離れたところに着陸し、歩いて巣に戻るのだそうです。

 子どものころ、よく土筆を摘んできては食べたことを思い出します。「はかま」の部分を取り除くのが少々面倒くさいのですが、さっと茹でてお浸しにしたり、炒めて卵でとじたりしていただきました。今なら茹でた土筆を辛子醤油で和えたりしてお酒をいただくといいだろうな、と思うのですが、土筆を見かけることがなくなってしまいました。

 「雲雀」も「土筆」も春の季語です。

・子規堂の土筆の丈の揃ひゐし      城 孝子

・過去帳の重くなる寺土筆ん坊      保坂 加津夫

・靴紐を結び直してつくしんぼ      ずーみん

 


はがき絵いろはうた四周目(その5)

2024-06-23 02:38:07 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第五回目は「か」「よ」「た」の三つです。

 

 

 

『か』・・・亀がわちゃわちゃ

 漫画風に亀をたくさん描いてみました。わちゃわちゃしています。新年らしくおめでたい感じに描きました。鶴もいます。松竹梅や鯛もあしらってあります。文字は「龜壽」と書き添えました。「亀寿」という字を旧字体で書いたものです。「鶴は千年 亀は万年」といって長寿をことほぐ意味があります。亀は俳句の季語になっていないようですが、「亀鳴く」という春の季語があります。亀は発声器官をもたないのですが、「心で聞く」ということでしょうか。

・亀鳴けり人老いて去り富みて去り     鷹羽 狩行

・亀鳴くや心の流転とめどなし       鈴木 真砂女

・亀鳴くや身体のなかのくらがりに     桂 信子 

 

 

 

 

 

 

『よ』・・・葉柄痕

 今から何年も前、冬から春に向かうまだ寒い日に、我が家のアジサイにナナホシテントウが這っているのを見つけ、フィルムカメラで接写しました。わざわざフィルムカメラと言わなくても、デジタルカメラがこの世に存在しない頃の話です。フィルム一巻を撮り終えて町の写真屋さん(D.P.E.と書いてありました)にもっていって現像してもらうのです。用紙に焼き付けてもらった写真を後日受け取りに行くと、「こちらのお写真で間違いございませんか?」と見せながら確認してくれます。ナナホシテントウを撮ったはずの写真に写っていてびっくりしたのがこの顔です。葉柄痕(ようへいこん)といって、ここに葉っぱがついていたというしるしの部分です。顔に見えます。というか顔にしか見えません。「萌」という字をデザインして書き添えておきました。

 葉柄痕は俳句の季語にはなっていないようですが、季節感のあるものなので、葉柄痕を読んだ名句がたくさん作られればそのうち季語として定着するかもしれません。

 

 

 

 

 

『た』・・・タイツリソウ

 キンポウゲ目ケマンソウ亜科ケマンソウ属ケマンソウは別名を「タイツリソウ」といいます。花茎がアーチ状に湾曲し、花がぶら下がって咲く様子が、鯛が釣り竿にぶら下がっているように見えるので、この名があるのでしょう。かわいらしい花です。今調べてみて毒があるのだということを知りました。ひと竿でこんなに釣れたらかなりの大漁なので「漁」という字を書き添えてみました。

 「華鬘草」は晩春の季語になっています。「鯛釣草」も傍題にちゃんと載っていました。

・鯛釣草たのしき影を吊り下げて     山田 みづえ

・鯛釣草片身づつ散る夕まぐれ      中野 冬太

・鯛釣草うらはらの世を明るうし     高澤 良一


はがき絵いろはうた四周目(その4)

2024-06-15 19:21:46 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第四回目は「ぬ」「る」、そして「を」をとばして「わ」の三つです。

 

 

 

『ぬ』・・・ぬる燗

 ぐい呑みを持つ手を描いて「咲」という字をデザインして書き添えてあります。この絵に「ぬる燗」と題し、『ぬ』の部をクリアしようという魂胆です。実は『ぬ』の部は少々ネタ不足に悩んでいます。俳句では「温め酒(ぬくめざけ/あたためざけ)」が秋の季語、「燗酒」「熱燗」などが冬の季語に分類されています。さて、「ぬる燗」はどうなのでしょう。

 この絵のぐい吞みはやや粗い長石および石英を含んだ陶肌の、伊賀焼のものです。手にしたときに少しいらっとした手触りがあります。そこが持ち味です。窯の中で灰を被った部分がガラス質になって、自然の釉薬として働いています。「ビードロ」と呼ばれる薄緑色の部分です。

・ぬくもりのあるかなきかに温め酒     長谷川 櫂

・菊剪りし指の匂ひや温め酒        徳丸 峻二

・温め酒夫の遺愛の白磁杯         芝 尚子

 

 

 

 

 

『る』・・・ルリボシカミキリ

 カミキリムシの一種、ルリボシカミキリを描きました。書き添えた「天牛」もまた「カミキリムシ」を表す漢字です。長い触角を牛の角になぞらえたものだといいます。韓国語でカミキリムシを「하늘소(ハヌルソ)」とういうのですが、「하늘(ハヌル)」は「天」、「소(ソ)」は「牛」ですから、韓国語でもカミキリムシは「天牛」ということになります。「カミキリムシ」の意味するところは「紙切り虫」でも「噛み切り虫」でもなく、「髪切り虫」です。嚙む力が強く、髪の毛でも簡単に切ってしまうことから名づけられたようです。実際に髪の毛を口元にもっていくと簡単に切ってしまいます。

 「天牛」は夏の季語。私は柳の木にいるゴマダラカミキリをもっともよく見かけるような気がします。

・天牛のぎいと音して日没りけり     佐藤 鬼房

・天牛の星空の髭長々と         斎藤 夏風

・天牛の金剛力を手にしたる       大石 悦子

 

 

 

 

 

『わ』・・・若ごぼう

 私が住む大阪府東部では、春先に「若ごぼう」が出回ります。春を告げる食べ物と言ってもよいかもしれません。特に八尾市が産地として有名です。炒めて食べることもありますが、多くは煮びたしにしていただきます。この絵では厚揚げと炊いていますが、我が家では薄揚げと炊くことの方が多いかもしれません。若ごぼうを食べると「ああ、春が来たな」と感じることができます。

 俳句歳時記を見ると「新牛蒡」「若牛蒡」は夏の季語、それも晩夏の季語に分類されていて「あれ?」となりました。調べてみますと、歳時記に載っているほうの新牛蒡・若牛蒡というのは、種まき後3、4か月で収穫される早蒔きの牛蒡のこと、と書いてあったので、これは若いといえども根を食べる牛蒡で、私が若牛蒡と呼んで春先に食べているのは、もちろん根も食べますが、根はまだ小さく、主に茎(葉柄)を食べているものです。絵でも緑に着色しているでしょう。この収穫が春先なのです。

・しなやかに小石畑の新牛蒡      沢木 欣一

・いにしへの赤土粘る新牛蒡      沢木 欣一

・新牛蒡時くればする厨ごと      北原 志満子

 ですから ↑ これらの「新牛蒡/若牛蒡」は晩夏に収穫して根を食べる牛蒡ということになります。


はがき絵いろはうた四周目(その3)

2024-06-09 05:07:11 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第三回目は「と」「ち」「り」の三つです。

 

 

 

『と』・・・トケイソウ

 トケイソウの花をアップで描いて「時」という字をデザインして書き添えました。先にバックを黒で塗ってから絵を描きました。

 トケイソウはトケイソウ科トケイソウ属の植物の和名です。めしべが三裂しているのを時計の長針、短針、秒針に見立て、花弁が円形に並んで放射状に配置されているのを時計の文字盤に見立てた名称です。特徴ある花の構造だと思います。果物のパッションフルーツの花でもあります。俳句では夏の季語になっています。

・江ノ電の柵は枕木時計草     松本 三千夫

・天国の時をきざむや時計草    鷹羽 狩行

・時計草時計回りに刻流れ     宮津 昭彦

 

 

 

 

 

『ち』・・・千鳥

 千鳥はチドリ目チドリ科の鳥です。40種類以上いるそうです。この絵はコチドリという種を描きました。河原の石ころとそっくりな卵を産みます。卵やひなを狙う敵の目をくらますために、巣から離れてから飛び立ったり、親鳥がけがをしたふりをして敵の注意を引き付けたりすることがあるそうです。

 千鳥は俳句では冬の季語ですが、このコチドリは夏を中心に活動します。かき氷の旗に「波に千鳥」の柄があしらわれていますね。あれはコチドリなのかもしれません。波を世間にたとえ、大波小波を夫婦で乗り越える意味から夫婦円満、家内安全を表す縁起の良い文様です。家紋にも採用されています。

 「酔」という字をデザインして書き添えましたのは、酔った人の足取りがおぼつかないことを指す「千鳥足」という言葉があるからですが、波と戯れるようにつつーっと浜辺を走り、甲殻類やゴカイなんかを捕食している様子はおぼつかないどころか、大変すばしこく見えます。

・俊寛の枕ながるゝ千鳥かな      飯田 蛇笏

・楯に似し岩めぐり鳴くは千鳥かな   河東 碧梧桐

・子千鳥の蜘蛛より軽く走るかな    川端 茅舎

 

 

 

 

『り』・・・リーフィーシードラゴン

 トゲウオ目ヨウジウオ科の魚、リーフィーシードラゴンを描きました。ドラゴンなので「龍」という字をデザインして書き添えてあります。褐藻類に擬態していますが、タツノオトシゴと非常に近い種です。タツノオトシゴ同様、オスに育児嚢があり、メスはオスの育児嚢に産卵し、オスは稚魚が自分で泳げるようになるまで卵や稚魚を守ります。

 リーフィーシードラゴンも近似種のウィーディーイードラゴンも、タツノオトシゴも季語にはなっていないようです。他の季語と取り合わせて作句するとよいですね。

・春の海竜のおとし子拾ひけり     幸田 露伴

 私はちりめんじゃこの中にタツノオトシゴを見つけて、マッチ箱に脱脂綿を敷いてそこに保管していたことがあります。どこかに無くしてしまいましたが、しばらくは宝物でした。

 

 

 


はがき絵いろはうた四周目(その2)

2024-06-02 09:24:00 | おえかきの森

 今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。

 四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。

 四周目の第二回目は「に」「ほ」「へ」の三つです。

 

 

 

 

 

 

『に』・・・日光菩薩

 奈良時代に造られた塑像で、現在は東大寺ミュージアムでお目にかかることができます。日光菩薩と月光菩薩で対になって、薬師如来の両脇に立っておられるというのが一般的ですが、こちらは薬師如来ではなく不空羂索観音の脇侍として安置されていたそうです。このことからもこの像が日光菩薩像であるかどうかは疑わしく、「伝・日光菩薩像」と表記しておいたほうがよいかもしれません。

 「おえかきの森」で相方と合作した絵ですが、切り絵の作品を参考にして描いたのでモノクロ作品となっております。日光菩薩の種字である梵字を書き添えました。この字で「ア」と発音します。

 

 

 

 

 

 

 

『ほ』・・・ホットケーキ

 ふんわりと焼けたホットケーキを三段重ねて、バターをのせてメイプルシロップをかけた絵を描きました。

 私はホットケーキとパンケーキの違いについてよくわかっていませんが、どうもホットケーキという言葉は日本生まれで、海外では通じないようです。日本ではホットケーキといえば「甘いもの」という認識で、パンケーキには甘くない食事系のものもあるといった感じでしょうか。

 ホットケーキを冬の季語として載せている歳時記もあるようですが、私はあまり季節を感じません。一年を通して食べているのではないでしょうか。この先ホットケーキを季語として使った名句が出てくれば季語として定着していくことでしょう。

 

 

 

 

 

 

『へ』・・・ヘリコニア

 ショウガ目オウムバナ科オウムバナ属の1属約100種を園芸ではヘリコニアと呼びます。熱帯アメリカと南太平洋諸島に分布するとありました。見るからにトロピカルな感じを受ける花です。トリニダード・トバゴという国では国花なのだそうです。

 オウムバナ科は以前はバショウ科と呼んでいました。茎は葉鞘が包みあってできている偽茎で、バナナやストレリチアなどと同じ作りです。高さ50㎝ぐらいの小型種から6~7mにもなる大型種まであります。産地ではハチドリによって受粉する種が多いそうです。

 「独特な個性」「風変わりな人」といった花言葉があります。見た目からきているのでしょう。俳句の季語にはなっていないようです。

 

 

 ご覧いただきありがとうございます。「はがき絵いろはうた」四周目は「あつまれ!おえかきの森」というおえかきのチャットゲームで合作した絵をたくさん紹介していく予定です。今回紹介した3点もみな「おえかきの森」で生まれたものです。解説文を新たに加えてご覧いただいておりますので、四周目もぜひお付き合いくださいね。