今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。
四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。
四周目の第六回目は「れ」「そ」「つ」の三つです。
『れ』・・・蓮華草/紫雲英
紫雲英と書いてゲンゲと読みます。レンゲソウ、レンゲ、ゲンゲンとも呼びます。私はレンゲソウと呼ぶことが多いです。標準和名はゲンゲだそうです。マメ科の植物なので、空気中の窒素を使って窒素肥料の成分を作り出すことができます。ですから、田にレンゲソウの種をまいて育てることがあります。田にすき込むとよい肥料になるのです。
書き添えた文字は「以春風接人(しゅんぷうをもってひとにせっす)」です。「以春風接人 以秋霜自粛」と対句になっているのも見かけます。
紫雲英は当然、春の季語です。げんげ田という傍題もあります。
・げんげ田や花咲く前の深みどり 五十崎 古郷
・野道行けばげんげんの束すててある 正岡 子規
・げんげ田の誰か遊んでゆきし跡 半谷 洋子
『そ』・・・空
画面を100%の青で塗りつぶして、白(または消しゴム)で細い線をすーっと引いて飛行機雲にしました。飛行機の機影も白で描きました。もくもくと湧き上がる雄大積雲を描いて「爽」という字を書き添えました。真夏の空の様子です。
俳句の季語では「雲の峰」というのがあります。入道雲、積乱雲、峰雲などの傍題もあります。
・雲の峰幾つ崩れて月の山 松尾 芭蕉
・しづかさや湖水の底の雲のみね 小林 一茶
・雲の峰雷を封じて聳えけり 夏目 漱石
『つ』・・・土筆
土筆をアップで描いて、遠景に春の野と空を描きました。雲雀がさえずっている空です。「春」という字も書き添えました。雲雀は巣のありかを知られないようにするため、巣から離れたところまで歩いて移動し、そこから飛び立つそうです。帰巣するときも同様で、巣から離れたところに着陸し、歩いて巣に戻るのだそうです。
子どものころ、よく土筆を摘んできては食べたことを思い出します。「はかま」の部分を取り除くのが少々面倒くさいのですが、さっと茹でてお浸しにしたり、炒めて卵でとじたりしていただきました。今なら茹でた土筆を辛子醤油で和えたりしてお酒をいただくといいだろうな、と思うのですが、土筆を見かけることがなくなってしまいました。
「雲雀」も「土筆」も春の季語です。
・子規堂の土筆の丈の揃ひゐし 城 孝子
・過去帳の重くなる寺土筆ん坊 保坂 加津夫
・靴紐を結び直してつくしんぼ ずーみん