【社説①】:育休取得率公表 男性も子育て担わねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:育休取得率公表 男性も子育て担わねば
男性による育児休業(育休)取得率の公表が、四月から従業員千人超の大企業に義務付けられた。早ければ六月末までに企業などのホームページで公表される。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年04月05日 07:14:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:育休取得率公表 男性も子育て担わねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:育休取得率公表 男性も子育て担わねば
男性による育児休業(育休)取得率の公表が、四月から従業員千人超の大企業に義務付けられた。早ければ六月末までに企業などのホームページで公表される。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年04月05日 07:14:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.12】:市長の煮えたぎるような怒り 静岡・裾野市 保育園児虐待
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・12.12】:市長の煮えたぎるような怒り 静岡・裾野市 保育園児虐待
静岡朝日テレビの夕方ニュース、「とびっきり!しずおか」に出演していることもあって、このおぞましい事件を、より間近で見ている。
裾野市の「さくら保育園」で、保育士の女性3人が主に1歳児の園児に逆さづりにする、カッターナイフで脅すなどの虐待をしていたとして逮捕された。
直後、村田悠市長(35)は保育園の園長を犯人隠避容疑で告発した。そこに市長の煮えたぎるような怒りを感じる。園長だけでなく、市長はもちろん、保護者にも半年近く事件を隠し通した市の担当者をあぶり出そうという腹積もりなのだ。
市は今年6月に内部通報を受け、8月には目を覆いたくなるような15事例もの虐待行為を把握した。だが担当部長(発覚後更迭)らは、自分たちでとどめて部外に出さないことにし、一方で園は内部から保護者らに情報が漏れることを恐れて、10月に保育士全員に「一切口外しない」と書かせた誓約書を提出させた。
このため11月末、静岡新聞が一報を掲載、全国のメディアが押しかけてくるまで市長はもちろん、市民は何も知らされず、園児の母親の中には「あのときのアザはひょっとして…」と泣き崩れる人もいたという。
取材を続ける記者によると、村田市長は今年1月の市長選で自民党や連合静岡の推薦を受けて3選を目指した現職を相手に、市役所改革などを訴えて挑戦。県内最年少の市長となった。記者は「事件とは関係ないことですが」とつけ加えるのだが、痛さと苦しさで泣き叫んでいた園児がいることを承知で、すべてを隠し通した大人たちがいた。
事件が一層、どろどろとしておぞましく見えてくる。
◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)
ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。
■大谷昭宏のフラッシュアップ
元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】 2022年12月12日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【話題の焦点】:双子ベビーカー乗車拒否で炎上…子連れの親が自己チューなのか、世の中が不寛容なのか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題の焦点】:双子ベビーカー乗車拒否で炎上…子連れの親が自己チューなのか、世の中が不寛容なのか
小さな子連れをめぐる話題が立て続けにネット上で“炎上”した。
ひとつは、ゼロ歳児を抱えて新幹線に乗車したら、隣席の若い女性から「最悪」「ハズレだ」とぼやかれたという話。
もうひとつは元バレーボール日本代表の大山加奈さんが、双子のベビーカーでバスに乗車できなかったという話。
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子育ては大変(写真はイメージ)
顛末は省くが、ネット世論は大きく3つに分かれた。《子連れなら何でも許されると思って自己チューすぎる》《世の中が不寛容すぎる》、そして《どっちもどっち》。元バス運転手が言う。
■「正直どっちもどっちと思う」
「双子となるとなおさらベビーカーを乗せるのは大変だし、時間の遅れも気になりますが、公共交通機関ですからね。乗車拒否はしない。ただ、周囲が気遣ってもお礼のひと言もなかったり、子供が騒いでも注意しない親もいる。その一方で、子連れにあからさまな嫌みを言う乗客もいる。正直どっちもどっちと思うこともあります」
もちろん周囲に配慮する親もいるし、子育て世代を温かい目で見守る乗客だっている。
「お互いに《ご迷惑をかけてすみません》《ありがとうございます》《大丈夫ですよ》《気にしないで》のひと言があるだけでトラブルも減るはずですが、それができないケースが目につくのは、優越意識をコントロールできない人が増えているからでしょう」と、米心理学博士で医学博士の鈴木丈織氏は指摘する。
人間には本来、自分は他人より優れている、特別な存在だと思いたがる性質があるという。「セレブ」と呼ばれる人たちが分かりやすくて、何かをしてもらっても当然と考えたり、《なぜ自分が譲らなければならないのか》と傲慢になりがちだ。
「それが今は、大差ない一般の人同士でも優越意識をむき出しにしたりします。悪びれもしないし譲り合えないから、事態がこじれる。そんな無駄な優越意識にブレーキをかけられるようになるためには、子供の頃からの教育が鍵になりますが、なおざりにされてきたのでしょう。武道の《礼に始まり礼に終わる》ではありませんが、お互いに優越意識を抑え、たったひと言、礼を尽くすだけで、人間関係のトラブルの大半は解決するように思います」
マウントを取り合うような人たちは、“教育の失敗”の典型例なのかもしれない。
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載「話題の焦点」】 2022年11月15日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【HUNTER2022.06.02】:突然の買収劇に揺れる福岡県久留米市の認可保育園|背景に理事長のハラスメント疑惑
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.06.02】:突然の買収劇に揺れる福岡県久留米市の認可保育園|背景に理事長のハラスメント疑惑
ある日突然、社会福祉法人が運営する保育園に見ず知らずの人たちがやって来て、「私が次の理事長です」「財務資料を出して下さい」などと言われたら――。
保育事業を商売のネタにした“法人売買”とみられる動きが、福岡県久留米市で実際に起きた。子供を置き去りにした暴挙に驚いたのは、保育園で働く保育士に職員、そして保護者。寝耳に水の重大事件に、静かな地域の子育て現場が揺れている。
◇ ◇ ◇
騒ぎの舞台となっているのは、福岡県久留米市にある「高良内保育園」(運営:社会福祉法人高良内福祉会)。先月23日に法人の理事長である田畑典健氏から園長らに対し、「理事長を辞める。後任の理事長が話があると言っているので26日を空けておくように。自分は同席しない」と一方的に指示してきた。
園長以下関係者が唖然とする中、2日後になって、田畑理事長宛てにいきなり送られてきたのが下のFAXである。
文書のタイトルにある「デューデリ」とは、デューデリジェンスの略。投資家やM&Aの当事者が、対象企業の経営状況や財務状況などを調査することだ。つまり、このFAXは、高良内保育園及び高良内福祉会が買収もしくは吸収の対象として見合う組織かどうかを見極めるための資料の要求だった。
園長はじめ保育士、職員らにとって理事長交代の話も初耳なら、FAXを送りつけてきたのも聞いたことのない会社。田畑理事長からは何の説明もなかったため、園長らは要求された文書の提示を断った。理事長不在の席で、会ったことも話したこともない相手に、園の重要書類を見せられるわけがない。保護者から大切な子供たちをあずかっている認可保育園として、理不尽な指示を拒否するのは当然の判断だった。
説明を求める園長らに対し、満足な答えが示せない理事長。園側は、26日に理事長自身が対応することを条件に、やむなく求められた資料を用意することにしたという。この時理事長は、“後任の理事長”一行が、事前に久留米市役所を訪問することを明かしていた。
26日当日、園を訪れたのは複数の男女。田畑氏は、その中の一人の女性を「後任理事長の○○さんです」と紹介し、居並ぶ園長や職員たちに引き合わせていた。
ハンターの記者が確認したところ、FAXを送ってきたのは福祉施設などのM&Aを手掛ける東京の企業。「後任の理事長」として「よろしくお願いします」と挨拶した女性は、兵庫県で企業主導型の認可外保育園を複数運営する「株式会社」の社員だった。二つの会社から久留米にやってきた4人は、田畑理事長と別室に入り、数時間過ごしてから帰っていったという。
ここまでの顛末を聞いた保育士、職員、保護者らが猛反発したのは言うまでもない。地域に支えられ、多くの子供たちや保護者とともに歩んできた歴史ある保育園が、まるでテレビドラマに出てくるような理不尽な買収劇に巻き込まれた格好となったのだ。しかも理事長本人が、園の運営主体である社会福祉法人を、地域事情を知らない関西の会社関係者に渡そうとしているのだから、なおさらだ。
東京の仲介業者は商売で動いている以上、売り手か買い手のどちらか、あるいは双方から手数料を得ることが確実。その点について、事情を知ったある保護者は、「保育を金儲けの道具にしている人たちに安心して子供を任せることはできません。ただ、保護者に何の相談もなく、保育園をよそに売り飛ばすようなマネをする理事長が一番悪いんじゃないでしょうか。もともと理事長さんのハラスメント問題で揺れていたので、いずれ大きな騒ぎになるとは思っていましたが、まさか県外の業者に売り飛ばすとは……」と憤りを隠せない。
この保護者が言うように、背景にあるのは高良内福祉会の理事長によるセクハラ・パワハラ疑惑だ。次週から、これまでの取材で得た証拠や関係者の証言に基づき、歪む保育現場の実態を報じていく。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・保育事業を商売のネタにした“法人売買”・騒ぎの舞台となっているのは、福岡県久留米市にある「高良内保育園」(運営:社会福祉法人高良内福祉会)】 2022年06月02日 11:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:文を書き写す作業を2班に分けて行った実験がある。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:文を書き写す作業を2班に分けて行った実験がある。
片方には収益の一部を慈善活動に寄付するとあらかじめ伝えている。作業で手を抜く度合いはどちらが高かっただろう。
答えは寄付を知っていた班である。作業は社会にとって役に立つとの自覚が、少々の怠慢は許されるだろうとの心理につながるらしい。優越感が生むゆがみである、と社会心理学者ら女性3人の近著「認知バイアス事典」に学んだ。
汚職に手を染める政治家、上司のパワハラといったことも身勝手な優越感が背景にあろう。家庭の中で一家の大黒柱が横暴に振る舞うことがあるのも、その一種だという。
住宅メーカーが調べた「男性の家事・育児力」の都道府県ランキングで鹿児島は39位となり、昨年の19位から大きく沈んだ。配偶者と小学生以下の子を持つ20~50代の男女を対象に、男性の家事・育児時間など5テーマで点数を付けた。男性の取得した育児休暇の日数が、鹿児島は46位とほぼ最下位だったのが響いた。
一方で、幼児2人の世話をする育休中の男性の話が先日の本紙「ひろば」にあった。夫婦で助け合う様子からは、地元にも「育児力」の高い男性がいるのだと意を強くする。
この夫婦は互いのできること、できないことをうまく補い合っているように見える。大切なのは相手を敬い、思いやる心だろう。思い込みの優越感とは正反対の姿である。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月22日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:男性の育休 職場の風土から変えよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:男性の育休 職場の風土から変えよ
父親が育児休業を取りやすくする改正育児・介護休業法が、今国会で成立した。「出生時育児休業(男性版産休)」の新設に加え、企業に対し、従業員一人一人に育休取得を働き掛けるよう義務付ける。
男性が育児のために休業しやすくするよう法で促すことは評価できる。だが実際の取得につながるかどうか。実効性を持たせるためには、職場の意識変革など、なお大きな課題が残っていることを忘れてはならない。
新設される「男性版産休」は育休の特例措置だ。女性の産後休業に合わせ、子どもの誕生から8週間以内に計4週分の休みを取れる。2回に分けて取ることもできる。
この時期の女性は、産後うつの発症リスクが高いとされる。体調が回復しないまま、昼夜を問わない授乳やおむつ替えなど育児に伴う心身への負担は大きい。父親が育児や家事を担うことは、とても重要である。
また来年4月から、企業には従業員への育休取得を働き掛ける義務が課せられる。現在の努力義務から引き上げる。男女問わず育休制度について説明し、取得するかどうか確認しなければならない。従わない場合には、国が社名を公表できる。再来年4月には、従業員千人以上の大企業に、社員の育休取得状況公表も義務付けるという。
共働き世帯が増えてなお、7%台で低迷する男性の育休取得率を、政府はなんとか引き上げたいのだろう。ただ現実的にどこまで進むかは未知数だ。
鍵となるのは、企業風土の改善など職場の取り組みではないか。厚生労働省が昨年、男性労働者を対象に実施した調査では、過去5年間に勤務先で制度を利用しようとした人の26・2%が嫌がらせを受けた経験があると答えているからだ。人事上の不利益をほのめかされるなど上司による妨害が多く、嫌がらせを受けた約4割は育休取得を諦めたという。
そもそも制度の利用以前に、育児は女性が担うものという社会の風潮や、男性が「育休を取りたい」と言えない空気が職場にないだろうか。
2019年度の男性職員の育休取得率が92・3%という千葉市の取り組みは、参考にすべきだろう。千葉市では17年度から上司が部下に「なぜ育休を取るのか」ではなく「なぜ休まないのか」と理由を聞き取る調査を始めた。市長が幹部会議でも繰り返し取得を促し、管理職も積極的に働き掛けたという。
職場に「取得が当たり前」という雰囲気が醸成されれば、男性も申し出やすくなる、ということなのだろう。
企業にとっては、従業員が休めば、仕事のやりくりなどの課題が生じることは理解できる。しかし、子育て支援に力を入れる組織となることで、新たな人材確保につながるといった企業側のメリットもあるはずだ。
男性が育休を取ることの重要性を職場全体で理解し、日頃から業務の見直しや人員配置の工夫などにも取り組んでほしい。
もちろん、大企業だけ進めても意味がない。代替要員の確保が難しい中小企業への助成など支援策にも、政府は知恵を絞ってもらいたい。官民が手を携え、誰もが安心して仕事と子育てを両立できる環境整備をさらに加速させる必要がある。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年06月11日 06:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説①》:男性の育休制度拡充 取りやすい職場増やそう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:男性の育休制度拡充 取りやすい職場増やそう
育児に男性が主体的に関わっていく契機にしなければならない。
男性の育児休業取得を促す改正育児・介護休業法が成立した。子どもが生まれた直後に最大4週間取ることができるようになる。分割取得も可能だ。
2019年度の男性の育休取得率は7・48%にとどまっている。女性の83・0%に遠く及ばない。
期間も短く、18年度は「5日未満」が4割弱を占めていた。育児の負担が女性に偏っている状況は明らかだ。
男性が育休を取りづらい雰囲気が職場にある。そうした声が多く上がっている。業務に支障が出るとの懸念や、育児は女性の役割という固定観念があるからだ。
厚生労働省の昨年10月の調査では、育休制度などを利用しようとした男性の4分の1が職場で嫌がらせを受けていた。その4割あまりは育休の取得を諦めていた。
育休を取りたくても取れない男性が少なくない。昇進や昇給に影響するのではないかと不安に思っている人もいる。
改正法は企業に対し、従業員に取得の意向を確認するよう義務づけた。育休の促進は会社の責務であると明示したものだ。
従業員が1000人を超える企業には、取得状況を公表する義務も課された。
企業は、取得しやすい職場づくりを急がなければならない。
男性従業員の育休に力を入れる企業も出ている。幹部や人事担当者が、対象者と上司に積極的に働きかけている。
部下が取得しているかどうかを上司の人事評価に反映したり、育休中の仕事の引き継ぎをスムーズにする仕組みを設けたりしているところもある。
こうした企業では、イメージの向上につながり、採用応募者が増える一方で、離職者は減っているという。
従業員の育休取得に対応するための業務見直しで効率化が進み、職場内のコミュニケーションも活発化している。
先進事例として、多くの企業の参考になるだろう。
育休を終えても子育ては続く。男性が関わり続けられるように、多様な働き方を認め、長時間労働を是正する必要がある。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年06月11日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:子ども庁構想/選挙向けで済まされない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:子ども庁構想/選挙向けで済まされない
子ども関連施策の司令塔となる「子ども庁」創設の動きが、政府、自民党で活発になっている。菅義偉首相が参院決算委員会で実現に意欲を見せ、二階俊博幹事長に検討を指示した。
首相は「施策の縦割りを打破し、組織の在り方を抜本的に考えることが必要」と述べたが、唐突な印象が否めない。なぜいま創設する必要があるのか、国民に説明するべきだ。
子どもを巡る施策は、幼稚園や小中学校を文部科学省が、保育所、障害児施策、児童虐待防止を厚生労働省が担う。少子化対策や認定こども園、幼児教育・保育の無償化は内閣府が所管する。課題によっては法務省や警察庁も関わっている。
国民には分かりにくい上、調整が必要な施策などでは決定に時間がかかっていた。子ども庁創設はそうした問題を背景に、自民党で少子化対策に取り組む若手議員らが提言した。
専任の子ども担当相の下に医療や教育、警察など関連施策の調整を担う役所を置くのが柱である。虐待や不登校、教育格差解消のため、政府が情報を一元的に把握するという。
新型コロナウイルスの感染が広がる中、子どもの貧困や自殺は深刻だ。未来を担う世代の課題を優先し、既得権益を廃して省庁縦割りの弊害を解消するための改革は欠かせない。
だが気になるのは、子ども庁を衆院選向けのアピール材料にしたいとの思惑が透けて見えることだ。聞こえがよく、首相が掲げる「縦割り打破」のキャッチフレーズにも沿う。選挙の目玉公約として、突貫工事で器だけを作るようでは困る。
実際に創設するとなれば課題は多い。新たな役所が子どもの貧困や障害児、虐待などを包含するとした場合、カバーする年齢や学校によっては、対応に別の縦割りが生じる恐れがある。
新しい組織の役割や権限の在り方などについて、現場の声に耳を傾け、議論をより深める必要がある。
子ども庁は、中央省庁の再編につながる大がかりな仕事である。単なる選挙対策にすぎないのか、役所の既得権益にメスを入れるところに踏み込むのか。菅政権の覚悟が問われることを忘れてはならない。
元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月11日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:男性の育休促進 休める職場の実現こそ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:男性の育休促進 休める職場の実現こそ
男性に育児休業の取得を促す改正案が国会に提出されている。子どもの出生直後の期間も、男性が育休を柔軟に取得できる制度を新設することが柱だ。さらに休みやすい職場の実現を促したい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月03日 06:40:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説②》:養育費の不払い対策 実効性ある仕組み早急に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:養育費の不払い対策 実効性ある仕組み早急に
離婚後の養育費不払いを防ぐため、法改正の議論が始まることになった。上川陽子法相が法制審議会に諮問する方針を示した。
厚生労働省の2016年の調査では、123万世帯と推計される母子家庭のうち、養育費を受け取っているのは24%に過ぎない。
別居しても、親には子どもの生活を保障する義務がある。勝手な都合で、支払いを免れることは許されない。
ひとり親家庭の貧困率は5割近くに上る。特に、大半を占める母子家庭の家計は苦しい。母親の年間就労収入は平均で200万円にとどまっている。
コロナ禍で状況はさらに厳しくなっている。支援団体の調査ではひとり親家庭の7割近くが、収入が減ったか減る見込みと答えた。
養育費の不払いは、暮らしが困窮する一因になっている。適切に支払われる仕組みを早急に整えなければならない。
まずは、離婚時の取り決めが不可欠だ。母子家庭の半数以上が取り決めをしていない現状を変える必要がある。
法務省の有識者会議は、民法に養育費の請求権を明記し、取り決めの際に参考とすべき点を示すよう提言している。公的機関に届け出れば、強制執行が可能になるような制度の導入も求めた。
自民党からは、取り決めがなければ、原則として離婚できないようにする案も出ている。
ただ、DVなどによって、離婚時に話し合いができないケースは少なくない。裁判所での手続きを簡略化するなど、負担を減らす対策が必要だ。
養育費の支払いが滞らないようにするための方策も求められる。不払いに対し、ひとり親が法的手段を取るのは容易ではない。
欧米では、国や行政機関が養育費を立て替えたり、強制的に徴収したりする制度を設けている。導入の検討を進めるべきだ。
法律の専門家による相談体制の充実も欠かせない。利用しやすくするためには、国や自治体による支援が重要になる。
離婚に伴う子どもの養育について、日本はこれまで公的な関与が乏しかった。親の義務を明確にした上で、子どもの利益を最優先にした仕組みを設ける必要がある。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年01月31日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:待機児童1300人超 保育士の待遇改善急務だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:待機児童1300人超 保育士の待遇改善急務だ
子どもを保育園に預けたくても受け入れてもらえない。待機児童が社会問題となる中、解消には保育士不足が大きな壁となっている。
ことし4月1日時点の県内の待機児童数は1365人で、5年連続の減少となった。前年より337人減った。市町村が認可保育施設を増設し、受け入れを増やしていることが奏功している。
しかし、146施設で323人の保育士が不足したために、1220人の子どもが受け入れられない状況に陥っていることも県の試算で明らかになった。保育士が十分にいれば、待機児童の9割は解消できる計算だ。保育士不足は深刻だ。
さらに申し込んだ子どもに対し待機児童が生じた割合を示す「待機児童率」は2・19%で、2019年時点の全国平均の0・6%を大きく上回った。依然として全国ワーストの水準で、保育ニーズに応えられていないことを示す。
県内では各市町村で認可保育園の整備が進み、今年初めて、保育園に申し込む子どもの数より、保育園の定員が上回った。昨年10月からの幼児教育・保育無償化で申し込みが増えたにもかかわらず、保育園は十分補える定員を確保したのだ。
それなのに受け入れられない子どもがいるのは、保育士が足りないからだ。待機児童を年齢別に見ると0~2歳児の合計が1150人で、全体の84%を占める。認可園は国の基準で保育士が担当する子どもの数が定められ、低年齢の子が多いほど保育士が必要だ。ここでも保育士不足が壁となる。
保育の受け皿拡大と質の向上には保育士の確保が大前提だ。処遇を改善して、保育現場の人材難を解消しなければならない。保育士は命を預かるという重い責任を負い、体力の要る激務でありながら、保育士の平均年収は全産業平均を大きく下回っている。非正規雇用も多い。給与だけでなく、勤務シフトを工夫するなど職場環境を見直して、現場を離れた有資格者の復帰を後押しすることも必要だ。
今年は前期の保育士試験が新型コロナウイルス感染症拡大防止のために中止され、900人以上が受験できなかった。保育士不足に輪を掛ける可能性もある。
さらに特定の保育園だけを希望したなどの理由で待機児童に含まない「潜在的な待機児童」は1833人に上る。
現状は保護者が保育園を選べる状況にはない。自宅から遠い保育園しか空いていないなどの理由で入園をちゅうちょする例もあるだろう。保護者の生活実態や細かいニーズに応え、質の高い保育を確保しなければ、待機児童は減っても潜在的待機児童は増えるという矛盾が生じる。
誰もが安心して子どもを預け、働ける環境をどう整えるか。保育士不足を解消するため対策を早急に講じなければならない。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年06月21日 06:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【風向計】:男の育児「幸せの近道」 上野洋光
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【風向計】:男の育児「幸せの近道」 上野洋光
職場結婚した妻が異動で上京した昨秋以降、4歳と2歳の男児2人と暮らす。保育園の迎えや夕飯、入浴は近くに住む義父母が担ってくれているが、寝かし付けから登園までの時間と休日は一緒だ。
イメージ(写真と記事本文は直接関係ありません)
朝7時、洗濯物をたたみ、2人を起こす。抱っこをせがむ次男をなだめる。炊事、トイレ、着替え、片付け…。食事中に遊び始め、次男が「たたかれた」とわめき、長男は牛乳をこぼす。叱りたくはないが、大きな声も出る。
「おとうさん、きらい。おかあさんがいい」。子どもたちの厳しい物言いにたじろぐ時間はない。「お母さんはおらん。急いで着替えろ」
小泉進次郎環境相の育児休業取得を巡り、さまざまな議論がある。1月下旬は「取るだけ育休 嘆く妻」の記事も出た。男性の育児や家事のスキルが低く「休んでも役に立たない」と耳が痛い。
44歳で長男を授かり、2カ月間の育休を取得し、その間は仕事から解放された。そもそも子育てに終わりはなく、うんこがトイレでできるようになり、平仮名も少し覚えたと喜んでいると、親に口答えをするようになる。「成長」はうれしいが、育休中より今の方が確実にしんどい。
「子育て中の親はその時々に最大限の苦労をしていると感じるもの。だから子育ては親育ちの時間」。熟年の女性からの励ましだ。確かに家事力は向上し、我慢強くなった。同様に苦労したはずの両親への感謝も改めて感じた。
配偶者を嘆く気持ちも分かるが、育休はその後も男性が子育てに関わるための「登竜門」と考えてもらえないだろうか。失敗も温かく見守り、できることを増やす手助けは育児と同じ。公平な負担を目指すため作戦を練ってほしい。
育休から復帰後、後輩に育休を勧めるようになった。取得前、職場で何も言われなかったが、「仕事をせずに育児ですか」という罪悪感といたたまれなさがあった。私自身もその空気を醸す側だったのかも、と思う。いまだ社会を覆う雰囲気でもあるだろう。制度改革や収入補償の拡充も必要だが、小泉環境相の育休が、男性の育児を応援する社会の空気につながればいい、と期待している。
34歳の女性が首相を務める「幸福度世界一」のフィンランドでは男性の育休取得率が8割超。女性の社会進出を支え、育児や家事を普通に担当することが新時代の「幸せへの近道」なのかもしれない。
× ×
うえの・ひろみつ 福岡県赤村出身。フィリピンの邦字紙「マニラ新聞」を経て2000年入社。長崎総局などを経て19年9月から筑紫支局。
元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【風向計】 2020年02月21日 11:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:子どもの養育費/不払い解消へ国も対策を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:子どもの養育費/不払い解消へ国も対策を
子どもの貧困を減らすために解決すべき問題の一つが、養育費の不払いである。
夫婦は離婚しても、子どもを育てる責任を双方が負う。養育費を払うのは親の義務だ。ところが「踏み倒し」が横行し、ひとり親家庭の困窮の要因になっている。対策が急がれる。
国に先んじて、明石市が動きだした。2021年4月からのスタートを目指している新制度は、全国に例を見ない。
不払いの養育費を市が立て替え、払わない親から回収する。支払い能力があるのに応じない場合は、反則金に当たる行政罰の過料を科す。さらに、子どもの意思を確認した上で氏名を公表する。
氏名の公表は適切か、立て替えの財源に税金を使うだけに市民の理解をどう得るか-。有識者会議で検討している。課題はあるが、子どもの利益を最優先に具体策を練ってほしい。
そして何より、国が責任を果たさねばならない。
日本の子どもの貧困率は13・9%と先進国の中で依然高く、ひとり親家庭では50・8%にもなる。世帯収入が子どもの進学や健康に影響し、貧困の連鎖を生むとの調査結果もある。養育費の確保は死活問題といえる。
しかし、厚生労働省の調査では約8割の母子家庭が父親から養育費を受け取っておらず、半数以上は離婚時に養育費の取り決め自体をしていなかった。
海外では離婚の際に養育費の協議を義務付けたり、別居親の給与から天引きしたりする制度が導入されている。
国がどこまで関与するかについては慎重な議論が求められる。とはいえ、日本のように当事者の自助努力に任せきりでは限界がある。
養育費不払いの解消へ向け、国は当事者の意見を丁寧に聞きながら制度をつくるべきだ。
前進した部分もある。今春に施行される改正民事執行法は、養育費を払わない人の預金などを裁判所が把握し、差し押さえしやすい仕組みを盛り込んだ。
ただ、まだ不十分だ。安倍晋三首相は「貧困対策は未来を担う子どもたちへの投資」と繰り返し述べ、政府として対策推進を掲げている。政治の責任は極めて重い。
元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年02月16日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【安倍政権】:小泉進次郎氏が育休取得へ、産後3カ月で通算2週間
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権】:小泉進次郎氏が育休取得へ、産後3カ月で通算2週間
小泉進次郎環境相は15日、環境省内で開いた「選択と集中」実行本部の初会合で、まもなく第1子が生まれるのに合わせて、育児休暇を取得する考えを明らかにした。
「選択と集中」実行本部初会合で育児旧かの取得を宣言した小泉進次郎環境相
「選択と集中」実行本部初会合で、育児休暇の取得を宣言した小泉進次郎環境相
「公職を全うしながらどのようなかたちで取得するのか、正直悩んだ」とした上で「公務最優先、危機管理万全」をキャッチフレーズに掲げ「母親の負担が大きい出産から3カ月の間で、国会や閣議など重要な時間をのぞいた時間の中で業務に支障がないように」と述べ「通算2週間、取得したい」と述べた。
役所で必要な打ち合わせが生じた際は、メールやテレビ会議、副大臣や政務官が代理で対応するなどの対策を取るという。「私自身の働き方も改革しなから、臨機応変に、しっかりと公務への責任を果たしていきたい。政治家の育休取得じたいがニュースにならないような、そんな世の中をつくっていきたい」と述べた。
進次郎氏は昨年8月、タレント滝川クリステルと結婚後、初めて地元で開いた「0歳児からの活動報告会」で、育休取得を「率直に考えている」と表明。「お勤めの方と議員では、理解を得られる形(の取得の仕方)も変わる。『小泉進次郎の育休』は何が良い形か。いろいろなアイデアを聴きたい」と、国会議員として国民の理解を得られる形の取得を模索する考えを示していた。
当時はまだ大臣就任前で、その後大臣に就任したことを受けて、さらに慎重に取得の是非を検討していた。
この日の会議は、気候変動時代における環境省のあるべき姿を明確にし、事務業務の選択と集中を進めて同省を機動的、機能的にするため、大臣直属で発足した進次郎氏肝いりの会議。若手を中心に約30人が参加した。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・育児休業】 2020年01月15日 12:18:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
【政府】:幼保無償 対象外施設に2億円
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:幼保無償 対象外施設に2億円
政府は、十月から始めた幼児教育・保育無償化の対象外となっている「幼稚園類似施設」の救済に乗り出す。二〇二〇年度予算案で文部科学省が関連経費に二億円を盛り込んだ。地方自治体が現在、独自に支援している約百五十カ所を中心に補助金を充てる。自治体の補助と合わせ、保育料が実質的に無償になるケースもあるとみられる。
幼稚園類似施設は、実態が保育園や幼稚園に近いにもかかわらず、運営形態などを理由に無償化の対象外とされた。施設利用者らから「不公平だ」と不満の声が上がっていた。
補助対象は自然体験活動を中心とした活動をする施設や、神社などが子どもを集めて集団的活動を行う施設などを想定。施設の調査と支援を自治体に委託し、自治体を通じて対象施設に活動経費を提供する。補助金の使い方は各施設の判断。同省は「利用者の負担軽減につながる」と見込んでいる。
二〇年度予算案では、幼児教育・保育無償化にかかる費用に八千八百五十八億円を盛り込んだ。政府は当初、予算規模を七千八百億円程度と見込んでいたが、約一千億円上ぶれした。無償化の財源は消費税率の10%への引き上げによる税収増分を充てる。
内閣府は、予算規模が膨らんだ要因を「保育施設を利用する人が増加した」と説明。保育施設が増えたことも背景にあるとした。認可保育園や認定こども園の利用者は一年前と比べ約五万人増えたという。 (坂田奈央)
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・来年度予算案・十月から始めた幼児教育・保育無償化の対象外となっている「幼稚園類似施設」の救済】 2019年12月21日 06:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。