路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政治部記者座談会】:①放送法内部文書は「亡くなった総務省職員」から託されたものか

2023-06-02 00:03:30 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【政治部記者座談会】:①放送法内部文書は「亡くなった総務省職員」から託されたものか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政治部記者座談会】:①放送法内部文書は「亡くなった総務省職員」から託されたものか

 安倍政権時代の放送法に関する内部文書の流出で大紛糾している今国会。それは岸田文雄・首相にとっても“地雷”となり得るものだった。国外に目を転じても、いまだ実現できていないウクライナ訪問や、国内外から大批判を浴びた林芳正・外相のG20欠席問題など多くの課題を抱える。番記者たちが見た裏側とは──。【全3回の第1回】

【写真】青いネクタイ、紺のスーツで会見する岸田文雄・首相

 ◆党内の保守派に配慮

窮地に立たされている高市早苗氏(時事通信フォト)(NEWSポストセブン)

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 【NEWSポストセブン】 2023年03月10日 07:12:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・03.12】:高市早苗氏、誕生日当日に総務省が行政文書確認を発表 四面楚歌か…煮え切らない進退発言

2023-04-17 11:00:00 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【中山知子の取材備忘録・03.12】:高市早苗氏、誕生日当日に総務省が行政文書確認を発表 四面楚歌か…煮え切らない進退発言

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・03.12】:高市早苗氏、誕生日当日に総務省が行政文書確認を発表 四面楚歌か…煮え切らない進退発言 

 立憲民主党の小西洋之参院議員が3月2日に問題提起した、放送法の「政治的公平」をめぐる総務省の文書の問題。当初は小西氏が「内部文書」と指摘するだけだったが、7日に総務省が、正式な「行政文書」と認め、「取扱厳重注意」の文書全文を公開。真贋(しんがん)論争に、ひとつの結論が出た。第2次安倍政権当時に官邸側による「圧力」があったかどうかが問われる中、官邸と総務省が当時、その解釈について協議を重ねた経緯が記され、小西氏や立民の追及姿勢はがぜん強まってきた。

高市早苗・経済安全保障担当相(2023年3月9日撮影)
高市早苗・経済安全保障担当相(2023年3月9日撮影)

 文書の中身とは別に、当初からこの文書の自身に関する記載を「捏造(ねつぞう)」と断じ、そうでなかった場合は大臣を辞任、国会議員も辞めるとたんかを切った高市早苗・経済安全保障担当相の去就も新局面に入った。しかし、その後、進退をめぐる高市氏の主張は煮え切らず、じわじわ“後退”しているような気配すら漂う。

 3日の小西氏との初対決では、閣僚の辞任、議員辞職も「構わない」と激しくたんかを切ったが、7日に正式な行政文書だと総務省が認めると、8日には「(自身に関する記載が)事実であれば責任を取りますよ。でも事実じゃないじゃないですか」と、主張。自身の進退はあくまで文書の真贋(しんがん)が前提で、総務省が行政文書と認めた後も、捏造との立場をかたくなに崩さない。

 9日には「総務省に不正確な文書が保存されていたということは、残念に思う」と、文書が書かれた当時の総務相の立場での言及。10日には「当時の総務相として、総務省の行政すべてに責任を持つ立場だったので、責任を感じる」「大変申し訳ない」と、捏造の主張を踏まえた立場で謝罪する展開になった。

 高市氏の声色は当初の勢いのままのように聞こえる。しかし、小西氏と向き合った立ち位置は少しずつ、後ずさりしているように感じる。

 永田町で取材すると、職や立場をかけた高市氏の発言について「安倍さんの答弁を思い出す」という声を聞いた。2017年2月17日の衆院予算委員会。森友学園の国有地払い下げ問題への自身や夫人の関与を問われた安倍晋三首相(当時)は「私や妻は一切関わっていない。関わっていたら間違いなく首相も国会議員も辞任すると、はっきり申し上げたい」と明言。委員会室はどよめいた。ただ、最初にハードルを高くあげると、下げるのは難しくなるのは世の常。立憲民主党の泉健太代表も10日の記者会見で「安倍氏のまねだ。自身の発言を曖昧にすることで、今の立場を維持するしかなくなった」と切り捨てた。

 今回の行政文書は、あの「モリカケ」問題を機に、文書管理のガイドラインが改訂される前に作成されている。そんなことも影響しているのか、関係者への調査を続けているとしている総務省も、正確性の是非にはっきりと踏み込まない状況が続く。「文書の作成者、もしくは文書に登場する関係者が公の場できちんと証言するほかない」「文書の中身を改ざんして誰が得をするのか。高市氏を煙たく思っている人だけではないのか」。取材した人の反応もさまざまだった。

安倍派のパーティーで笑顔で乾杯のジュースを掲げる、当時自民党政調会長の高市早苗・経済安全保障相(右)(2021年12月撮影)
安倍派のパーティーで笑顔で乾杯のジュースを掲げる、当時自民党政調会長の高市早苗・経済安全保障相(右)(2021年12月撮影)

 高市氏は昨年8月の内閣改造で、自民党の政調会長から経済安全保障担当相へ横滑りした。当時、岸田文雄首相から入閣要請の電話を受けた心境を「今も辛い気持ちで一杯」などとツイッターに記し、暗に入閣を拒むようで物議を醸した。当時、安倍氏から要請は受けるべきと諭されていたと明かしたが、安倍氏は亡くなり、強力な後ろ盾を失った。そんな経過もあるためか、今、高市氏をかばうような空気は、政府、自民党内に「ほとんどない」(関係者)状態だという。

 偶然とは思うが、総務省が小西氏が指摘した文書を正式な行政文書と認めた3月7日が高市氏の誕生日当日だったことにも、思惑が交錯した。「足かけ4年、大臣を務め、今でも(総務省には)愛情がある。多くのすばらしい職員がいることは誰より承知している」と訴えた高市氏は、どんな思いで今年の誕生日を過ごしたのだろう。

 高市氏をめぐっては、地元の奈良で行われる4月の奈良県知事選で総務相時代の秘書官の擁立に動いたが、5選を目指す現職との間で一本化調整ができずに「保守分裂」を招いたとして、批判する向きもある。地元では、今回の文書問題が知事選に影響することを不安視する声もあると聞いた。今の高市氏には国会でも地元でも「四面楚歌(そか)」という言葉がまとわりついている。事態打開への一手は、出てくるのだろうか。【中山知子】 

 中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年03月12日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考証】:放送事業者は総務省政治的公平に関する文書についてどのような認識を示したか?

2023-04-03 08:15:40 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【考証】:放送事業者は総務省政治的公平に関する文書についてどのような認識を示したか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考証】:放送事業者は総務省政治的公平に関する文書についてどのような認識を示したか?

 総務省の政治的公平に関する文書をめぐる政局は結局現時点で膠着状態だ。高市大臣の答弁は相当混乱したが、批判の急先鋒にたった小西氏も攻め手に欠くどころか本件とも関連する「失言」で立憲民主党が参議院憲法審野党筆頭幹事を更迭するなど展望に乏しい。

<picture></picture>(写真:イメージマート)

 ところで「萎縮」しているなどと指摘されがちな放送事業者はどのような認識を示したのだろうか。改めてNHK会長、民放連会長、各キー局社長定例会見(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ)なども出揃ってきたので概観のうえ簡潔に検討してみたい(フジテレビジョンは本稿執筆時点で公開されていないので割愛)。

 結論を先取りすれば、「萎縮」の存在を認めた社はなく、全体的にコメントを回避する傾向が強い。会見の順番もNHK、民放連、各キー局。慣例通りだが、本件に関して特別のメッセージを出した事業者は見当たらない。以下、それぞれの抜粋、引用である。

 ■NHK会長2023年3月定例会見(2023年3月15日)

 (記者)放送法が定める政治的公平の解釈を巡る総務省の行政文書問題について国会で議論が行われているが、NHKの見解は。

 政治的公平の解釈に関していろいろ議論が出ていますが、政府の統一見解につい てどうかとか、その辺のコメントは差し控えたいと思います。けれども、基本的にはNHKは不偏不党の立場を守りながら公平公正、自主自律を貫いて放送にあたっておりますし、今後ともそういう姿勢で臨んでいきます。放送法の規定を踏まえて定めている国内番組基準がありまして、そこでは「政治上の諸問題は、公正に取り扱う」「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う」と定めています。こうした基準に則って、原則として個々のニュースや番組において、対立する意見の双方を伝えるという努力をしています。またニュースや番組が複数回にわたる場合には、同一のシリーズの中で公平に取り扱うように努めていまして、NHKの放送全体として公平性を確保するようにしています。この姿勢は今後とも変わりなく、視聴者の声に耳を傾けながら、よりよい放送の実現に向けて、視聴者国民の判断のよりどころになるよう情報の提供をしていきたいと思っています。

 (記者)基本的には1つ1つの番組ごとで政治的公平性についてバランスをとるようにしているということではなく、NHKの放送全体で、公平になるということが基本という理解でよいか。

 1つ1つ(の番組)でやるのか全体としてやるのか、そういう分け方で考えているわけではなくて、公平性を維持するために、複数の意見があるときは平等に取り扱うとい う原則に立ちながら、1つの番組を作るときにも考えているし、シリーズで放送していくときには、その中で公平が保たれるように考えていくということだと思います。

 (記者)放送法4条の法解釈をめぐる問題について、どのように受け止めているか。

 放送法4条については多様な意見があると承知していますが、放送事業者としてや るべきことは、そこに書いてあるとおり、確かな事実を報道することに尽きるわけで、そういう努力を放送事業者はやっていかなければいけないと思っています。

 (記者)国会で松本総務大臣が放送法の解釈について、従来の解釈を変えたものでは なくて補充的説明をしたものだという認識を示した。その上で、放送関係者にもそのことは理解いただけると認識していると話していたが、解釈は従来と変わらないという認識か。

 基本的にそういう事になってからも、それ以前も、政治的公平性についての見解を示されたことがあるとは私は聞いていませんので、変わったかどうかも分からないということです。いずれにしても、そういう中でNHKとしては、従来から政治的公平性を貫くように自主自律で放送にあたっています。

 ■(https://www.nhk.or.jp/info/pr/toptalk/assets/pdf/kaichou/k2303.pdf

 から引用。強調は引用者による。なお同日のメディア総局長会見では言及なし)

■民放連会長2023年3月定例会見(2023年3月16日)

 ○政治的公平について

  ◆記者:政治的公平に関する国会での議論をどのように見ているか。

  ◆遠藤会長:行政文書の真贋について今、精査しているところだと思うのでコメントは控えたい。

  ◆記者:政治からの独立についてどのように考えているか。

  ◆遠藤会長:放送法は放送事業者の自主・自律を大原則としており、番組内容に関する政治や行政の関与はあってはならないと考えている。

  ◆記者:電波法との関係についてどのように考えているか。

  ◆遠藤会長:2016年の総務大臣答弁の際、民放連の井上会長は会見で、放送法は放送事業者の自主・自律を大原則とする法律であり、公権力の介入は抑制的であるべきだといった趣旨を述べ、放送全体を見て判断してほしいと述べた。そうした考えに変わりはない。放送事業者が政治的公平に十分に留意し続けることが公平さを守ることに帰着すると思う。

  ◆記者:野党は補充的解釈を撤回すべきと主張しているがどのように考えているか。

  ◆遠藤会長:議論の端緒が真贋を問われている行政文書であるので、コメントは控えたい。

  ◆記者:民放各局では動揺や委縮は無いという理解か。

  ◆遠藤会長:2016年の総務大臣答弁以降も、報道情報番組に関わる部分が委縮したとは思っていない。

 ■https://j-ba.or.jp/category/interview/jba105961

 より引用。強調は引用者による)

 ■日本テレビ2023年3月27日 日本テレビ 定例記者会見

 Q. 放送法について

 A. 本件詳細について、評価等コメントはこの場においては控えさせて頂きたい。一般論的に、我々放送事業者としては、放送法の定めとその精神に則り、国民の知る権利に正しく応える不断の努力を積み重ねている。

 これまでどおり放送法を順守して自主的、自律的に放送する姿勢を貫いてゆくことに尽きると考えます。番組審議会・BPOが十分に機能していると思っている。

 しっかりとコンテンツを出していく観点から、視聴者がどのように感じるかを受け止めながら、放送局として公平性を追求し、お伝えしていきたい。

 ■(https://www.ntv.co.jp/info/press/pdf/press189.pdf

 より引用。強調は引用者による)

 ■テレビ朝日早河洋会長・篠塚浩社長 記者会見(3月28日)の要旨(2023年3月29日)

 ※放送法関連について。放送法が定める政治的公平の解釈をめぐる総務省の行政文書問題だが、今回のこの一連の議論について受け止めは。

 篠塚社長:いわゆる総務省の行政文書を国会で様々議論されているのは当然承知しており、当社の報道情報番組も適宜取り上げている。当社としては、これまでも常に放送法に基づいて公平公正な報道に努めてきた。今後も同じように公平公正な報道に努めていく。

 ■(https://company.tv-asahi.co.jp/contents/interview/0061/index.html

 より引用。

 ■TBSテレビ2023年3月29日定例会見に関して

 ※同社会見は記者との質疑があったと思われるが、本稿執筆時点でコーポレートサイト掲載の定例会見要旨では質疑部分が省略されている。暫定的に、会見を報道している産経新聞から引用。

 佐々木社長は文書の内容に対するコメントは避け「放送法の『政治的公平』は、局の番組全体を見て判断されるものだという認識だ」と述べた。

 (「現場への影響はない」 政治的公平巡りTBS社長 https://www.sankei.com/article/20230329-TSX5XFNAJVNTRPANE4KLAUGVXY/ より引用。強調は引用者による)

 ※なおTBSテレビ3月社長定例会見概要は以下。

 ■https://ssl4.eir-parts.net/doc/9401/ir_material3/203470/00.pdf

 ここまでの会見抜粋から明らかになるのは、「萎縮」の存在や現場への影響を認めた社はないが、全体的にコメントを回避する傾向だ。例えば新聞紙面では総務省の政治的公平文書に関する問題は相当の紙面を割いて報じられてきた。そのなかには当該文書のなかで名指しされた番組のディレクターなどが「萎縮」に言及するものもあったし、その一方でこの間、批判的な報道を展開する番組が各局で多数放送されてきた。その意味では萎縮の実状はいまひとつ判然としないのだが、上記のそれぞれの会見は各団体、事業者の「公式見解」といえる。

 それでも、どこか奇妙な印象を受けないだろうか。萎縮を認める社はひとつもないが、かといって積極的に論評する社も見当たらないのである。なぜ、どの社も声明を出したり、積極的に論評したり、批判したりしないのだろうか。放送法第4条が求める政治的公平性はそもそも番組編集に関するものである。

 (国内放送等の放送番組の編集等)

 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

 二 政治的に公平であること。

 三 報道は事実をまげないですること。

 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 ※放送法第4条より引用。強調は引用者による

 そうであるにもかかわらず、放送事業者が放送行政に関する問題に関して、事業者としての態度や積極的論評を示す様子がまったくといっていいほど認められないのだ。放送事業者全体に規制当局や政治との余計な摩擦を避けたいという「摩擦回避志向」が蔓延していないだろうか。メディアに対する視聴者の信頼は単に番組を通して築かれるものではなくなりつつある。現代の視聴者は当然のことながら「事業者としてのメディア」にも注目しているはずだ。他の企業においても説明責任や透明性、製造物責任が問われることが多く、番組等ではメディアもそれらを追求するが、マスメディア、ネットメディア問わずメディア企業は総じて自らの説明責任や透明性には鈍感なように思われる。特に放送法による特別な制約と自主的規律が求められる放送事業者はそれらにもっと敏感になり、本腰を入れるべきだ。「政治に対する萎縮」についての視聴者の認識が「誤解」であり、放送事業者は萎縮などしていないと主張するならなおさらそうであってほしい。

 ※関連拙稿

 総務省放送法に関する「政治的公平に関する文書」問題をどの視点で読むか――解釈変更と萎縮の有無を中心に(西田亮介)

 ■https://news.yahoo.co.jp/byline/ryosukenishida/20230314-00340783

社会学者・東京工業大学准教授

 博士(政策・メディア)。専門は公共政策、社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授等を経て、2015年9月東工大に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。

 元稿:YAHOO!JAPAN NEWS 主要ニュース 社会 【話題・国民の知る権利・総務省の政治的公平に関する文書をめぐる問題・担当:西田亮介 社会学者・東京工業大学准教授】 2023年03月31日  16:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【総務省】:放送法に関する「政治的公平に関する文書」問題をどの視点で読むか――解釈変更と萎縮の有無を中心に

2023-04-03 08:15:30 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【総務省】:放送法に関する「政治的公平に関する文書」問題をどの視点で読むか――解釈変更と萎縮の有無を中心に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省】:放送法に関する「政治的公平に関する文書」問題をどの視点で読むか――解釈変更と萎縮の有無を中心に 

 立憲民主党小西議員の公開をきっかけに、総務省の政治的公平に関する文書とそれに付随する放送行政への関心が高まっている。遅れて総務省も「小西議員が公開した文書については、すべて総務省の『行政文書』であること」が確認されたと述べ(3月7日)、本稿執筆時点では正確性等に関する精査を継続しているという(3月10日)。

<picture><source srcset="https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/ryosukenishida/00340783/title-1678525382110.jpeg?pri=l&w=800&h=450&order=c2r&cx=0&cy=0&cw=1920&ch=1080&exp=10800&fmt=webp" type="image/webp" /><source srcset="https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/ryosukenishida/00340783/title-1678525382110.jpeg?pri=l&w=800&h=450&order=c2r&cx=0&cy=0&cw=1920&ch=1080&exp=10800" type="image/jpeg" /></picture>
(写真:イメージマート)

総務省|政治的公平に関する文書の公開について https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000503.html

総務省|「政治的公平」に関する行政文書の正確性に係る精査について https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000505.html

 本件に関する強い懸念は、本件が例えば文書を公開した小西氏が「官邸の密室で『一つの番組で放送法の政治的公平違反を判断できる』との解釈に改変され、言論の自由に大きな侵害の危険が生じている」と述べるような事態か否かということであろう。確かに小西氏が指摘するような可能性は全く懸念されないわけではないが、かといってそれほど自明なものでもないはずだ。小西氏の指摘は「放送法解釈変更の有無」「言論の自由に大きな侵害の危険の有無」にわけて考えることができるから、このとき少なくとも4通りの仮説が生まれる。もっとも懸念の程度が強い仮説が「放送法の解釈変更有り+侵害の危険有り」であり小西氏の先の言明をはじめ多くの新聞社説等もこの仮説を比較的当然のように採用している印象だ(①)。それに対してもっとも懸念の程度が低い仮説が「解釈変更無し+侵害の危険無し」になる。仮に①の結論に至るにしても、その他の仮説の検討や棄却を試みるなどもう少し丁寧な検討がなされてもよいのではないか。

 「放送法解釈変更の有無」と「言論の自由に大きな侵害の危険の有無」を比較すると、案外、後者の評価が難しい。「言論の自由に大きな侵害の危険がある」とは具体的にいったいどのような場合だろうか? 政府が報道に対して「圧力」を加えるのは全く好ましくないが、法の定める範囲で報道事業者と緊張関係が生じることは現実には頻繁にありえるのではないか。仮に「言論の自由に大きな侵害の危険の有無」を、よく言われる「放送事業者の萎縮」に限定してみてもやはり評価は難しい。萎縮を認める報道事業者はまずないだろうし、実際には各社各番組でも本件を批判的かつ相当の熱量を持って展開している。過去のコメンテーターの変更や番組編成の変更が何らかの政治的介入と相当の蓋然性を持って観察できるかといわれるとこれまた案外難しい。特に芸能事務所非所属の専門家やコメンテーターは普段から頻繁に新しい人物が登用されるし、数字が厳しければ番組編成は大きく変わるからだ。

 少々懸念するのは、共同通信社の世論調査には本件に関する項目が含まれていた一方で、ほぼ同時期のNHKの月例世論調査の項目に本件に関する質問が含まれていなかったことだろうか。これだけ関心が高まっているだけに触れないほうが不思議でもあり、摩擦回避志向のようにも見える。ただし共同通信社の調査のほうがあとで行われているから、NHKの対応は10日付け文書を受けての慎重対応なのかもしれないし、前々から設計した設問を決め打ちしただけかもしれない

 ■報道の自由へ「介入」65% https://reut.rs/3Jg4AWu

 ■NHK世論調査 内閣支持率 | NHK選挙WEB https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

 放送事業者の萎縮懸念に関しては、近く開かれるはずのNHK、民放各社の定例会見や業界団体等からの言及の有無や言及があればその内容等も注視したい。

 「放送法解釈変更の有無」はどうか?さしあたり 岸田総理と松本総務大臣は解釈変更を否定している。「解釈変更有り」を主張するにあたって例示されがちな総務省平成28年政府統一見解はむしろ「解釈変更なし」を明記したともいえる。

 「政治的に公平であること」の解釈は、従来から、「政治的問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであること」としており、その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の「番組全体を見て判断する」としてきたものである。この従来からの解釈については、何ら変更はない。(「平成28年2月12日政府統一見解政治的公平の解釈について」より引用。強調は引用者による)

 その後に「一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない」ことが「補充的説明」され、その後の国会質疑等でもこの解釈が踏襲されている(以下、「極端な場合」の例)。

 ・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

 ・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

 総務省の政治的公平に関する文書は専らこの経緯を詳述したものである。もちろんこの「公式見解」や認識を文字通りに受け取る必然性もない。実際の運用等による「解釈変更有り」の可能性は残るからだ。それでは「解釈変更有り」という認識は、具体的にはどの事例や判例、行政処分や行政指導を念頭においたものだろうか? 小西氏の先程のTwitter投稿の前後の投稿を辿ってみても具体例は示されておらず、何を念頭において「放送法解釈変更有り」と述べているのかはよくわからなかった。この点、具体的な対象が示されると解釈変更の有無がより明確になるのではないか。

 なお「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」論理は、総務省資料中p.45でも示されるように、民放において総理の単独談話が放送された件に関する政府委員の答弁等を通じて、どちらかといえば政府与党を擁護する論理として磨かれてきた(資料中では「年金問題について野党の国会議員しか出ていない番組」等も扱われている。p.53)。その意味では政権内にあった当時の礒崎補佐官が「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」論理の変更を主張し、現在は野党サイドから「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」論理の解釈変更があった、つまり「一つの番組で判断するようになった」ことが主張される点には奇妙な捻じれがある印象だ。もし解釈変更有りの立場に立つなら、コロナ禍におけるワクチン行政など見方によっては「国論を二分する」政治的課題についてワクチン担当大臣の主張が相当程度肯定的に報じられたような番組の評価はどうなるのだろうか。だが当時、こうした番組は批判的目線を向けられるというより肯定的に報じられていた印象が強い。

 筆者はむしろ90年代〜00年代の間に、椿事件やライブドア事件、その後の竹中総務大臣の私的諮問機関の設置等多くの放送行政を揺るがす出来事があり、同時に行政指導が多数出されるなど、放送事業者が萎縮か、少なくとも政治や規制当局との摩擦回避志向をそれまで以上に強くするだけの動機づけと合理的理由があったと考える。それらを経てなお、今回の2010年代半ばの一連の出来事を通じて放送法解釈変更が生じ、放送事業者が顕著な「危機に晒された」かと問われるとよくわからないというのが現状認識だ。厳密に論証するためには追加の資料や当事者である放送事業者の認識、声明等が重要になってくるように思われる。なお、その後、放送は徐々にインターネットにそれまでの支配的地位を脅かされ、新たな危機に直面している(広告費ではインターネットに抜かれ、視聴時間や利用時間も中年以下世代ではインターネットが逆転している)。

 下記拙稿にも書いたが、放送事業者はその表現の自由が尊重される一方で、自律と自立も求められている。これまで後者はお手盛りになっていなかったか。十分国民の信頼を得られてきたか。反省すべきがあるなら反省すべきで、取り組み強化を考えるべき時期ではないか。放送行政はわかりにくく、インナーサークルの論理に影響されやすい。各放送事業者は他の事業者と比較してもより高い公益性が求められる事業者だ。社会に対して積極的に自律に関する考え、取り組み等を今まで以上にアウトリーチするべきだ。

 ※ 筆者による問題初期の経緯の整理については以下拙稿を参照のこと。

 放送法内部文書は何が問題か、官邸の“威光”背にした首相補佐官の個人的関心(JBpress)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8321bc81a7452415edfaeba6e4fb856ca4c123f3

<picture></picture>
社会学者・東京工業大学准教授

 博士(政策・メディア)。専門は公共政策、社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授等を経て、2015年9月東工大に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。

 元稿:YAHOO!JAPAN NEWS 主要ニュース 政治 【話題・放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書の真贋(しんがん)について・担当:西田亮介 社会学者・東京工業大学准教授】  2023年03月14日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【総務省】:放送法「行政文書」問題が浮き彫りにする日本の封じ込め体質――内部告発は悪か 

2023-04-03 08:15:20 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【総務省】:放送法「行政文書」問題が浮き彫りにする日本の封じ込め体質――内部告発は悪か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省】:放送法「行政文書」問題が浮き彫りにする日本の封じ込め体質――内部告発は悪か

 放送法の解釈変更をめぐる総務省の内部文書が公開された問題は、はからずも日本が「内部告発者に冷たい国」であることを、改めて浮き彫りにしたといえる。 

  • 日本は諸外国と比べても内部告発者に冷淡な制度しかなく、これは問題の隠蔽をエスカレートさせる体質につながってきた。
  • 放送法の解釈変更をめぐる内部文書の公表を受け、内部告発者を特定するべきという意見は与野党にある。
  • それは内部告発によってしか明らかにされない疑惑や問題を抑え込もうとする圧力になりかねない。
  • <picture></picture>(写真:イメージマート)

◆「内部告発者が問題」なのか

 総務省は3月7日、安倍政権時代の放送法をめぐる官邸とのやり取りに関する内部文書を公表した。

 その内容は立憲民主党の小西洋之議員がすでに公表していたものと同じく、2014年から2015年にかけて安倍元首相や当時の高市早苗総務相、礒崎陽輔首相補佐官らが政権批判の目立つTBS「サンデーモーニング」など個別の番組を念頭に、TV放送の「政治的公平」に関する法解釈を強引に変更して規制を強めようとしたと示唆するものだった。

国会で答弁する高市大臣(2023.2.8)。この約1ヶ月後、立憲民主党の小西議員が問題の内部文書を公表した。
国会で答弁する高市大臣(2023.2.8)。この約1ヶ月後、立憲民主党の小西議員が問題の内部文書を公表した。写真:つのだよしお/アフロ

 高市氏はこれを「捏造」と強調しているが、総務省が行政文書と認めたことで、疑惑はかなり濃くなった。

 詳しい経緯は他に譲るとして、この問題で注目すべき点の一つは、与党以外からも「行政文書作成の経緯や明るみに出た経過、その趣旨や目的についての精査が必要」という主張があがった点だ。

 なかでも国民民主党の玉木雄一郎代表は「ああいう形で行政文書が安易に外に流出すること自体は、国家のセキュリティ管理の問題としてはもちろん問題」と主張し、賛否はともかく多くの人の関心を集めた。

 結論的にいえば、こうした論調は一歩間違えれば「内部告発者が問題」となりかねず、それは国際的にみても特異な日本の封じ込め体質を助長するものといえる。

 ◆内部告発しか選択肢がない方が問題

 大前提として、内部情報を何でも表ざたにすることは認められないだろう。官公庁でも民間企業でも、あるいは我々のような個人事業主でも、守秘義務が守られるという信頼がお互いになければ契約すらできない。

Facebookの個人情報流出に関して米連邦議会で証言する内部告発者クリストファー・ワイリー氏(2018.5.18)。欧米では日本より内部告発者の権利が保護されている国が多い。
Facebookの個人情報流出に関して米連邦議会で証言する内部告発者クリストファー・ワイリー氏(2018.5.18)。欧米では日本より内部告発者の権利が保護されている国が多い。写真:ロイター/アフロ

 しかし、その一方で、多くの人にかかわる深刻な問題が内部情報によって初めて「問題」として認知されたことも、数え切れないほどある。

 最近の例では、ロシアやカタールで行われたFIFAワールド杯の選定で大規模な買収があった疑惑も、関係者のリークで初めて表面化した。Facebookから大量の顧客情報が流出し、それが2016年アメリカ大統領選挙に影響を及ぼしたことも、内部告発をきっかけに明らかになった。

 東京五輪をめぐる多くのスキャンダル、民間企業で相次いだ検査データ改ざん問題、自衛隊の南スーダン日報の隠蔽など、日本でも同様の問題は多い。

 今回の問題に関していえば、内部情報が流出したことよりむしろ、重大な疑惑が内部告発によってしか表面化しなかったことの方が、健全なガバナンスという意味でよほど大きな問題といえる

 ◆政治的意図が問題なのか

 さらに玉木代表は「ある場合には政治的意図を持って、こういうリークが行われて、我々が大きく振り回されてしまう」とも述べている。この「政治的意図」とは、来月の統一地方選挙が念頭にあるのかもしれない。

FIFAワールド杯の招致に関する買収疑惑について発表するスイスの検察官(2015.6.17)。この問題も内部告発がきっかけで表面化した。
FIFAワールド杯の招致に関する買収疑惑について発表するスイスの検察官(2015.6.17)。この問題も内部告発がきっかけで表面化した。写真:ロイター/アフロ

 いずれにせよ、「公益のためというより、特定の者のためにリークが行われたなら問題」という趣旨は一見もっともらしいが、仮に政治的意図があったとしても、それが問題とはいえない。

 今回の内部告発は日本の報道の自由に関わる問題だ。日本は報道の自由で先進国中最低レベルと評価されている。各国の報道の自由を比較する「報道の自由ランキング」で日本は180カ国中71位と、アフリカのモーリシャス(64位)やケニア(69位)より低い。

 この状況の暗部を告発するリークが「公益に反する」と考えるなら話は別だが、玉木代表も今回の内部告発の内容そのものの重要性は否定していない。とすると、仮に内部告発者が何らかの政治的意図を持っていたとしても、それと公益は両立すると認めざるを得ないはずだ

 ところで、政治家は特定の政治的信条や意見に従って行動するものだ。そもそも何を公益と捉えるかは立場によって異なり、そのなかで政治家は「自分たちが公益と考えるものの拡大」と「自分たちの政党の議席の増加」の両立を目指す。

選挙のイメージ。
選挙のイメージ。写真:イメージマート

 今回の内部情報のソースは総務省関係者といわれている。だとすれば政治家ではないかもしれない。

 しかし、政治家に認められている「公益と政治的意図の両立」が政治家以外には許されないというのなら、それはそれでおかしな話であり、政治的意図をことさら問題視することにどれだけの意味があるのか不明になる。

 ◆内部告発者を守らない日本

 ただでさえ日本は国際的にみて内部告発者を守らない国だ。

 日本の公益通報者保護法は、公的機関や民間企業の内部で行われている不正を、内部の努力で改善されない場合に告発することが権利として認められている。

 ただし、内部告発者を実質的に保護する仕組みはない

 この法律では内部告発を理由とした解雇、派遣労働者契約の解除、その他の減給、降格といった不利な扱いは無効と定めているが、役所や企業の「犯人捜し」や報復人事を規制する罰則規定はない。

隠蔽のイメージ。内部告発を抑制しようとすることは、問題があってもひたすら隠蔽を繰り返す悪循環を生みやすい。
隠蔽のイメージ。内部告発を抑制しようとすることは、問題があってもひたすら隠蔽を繰り返す悪循環を生みやすい。写真:イメージマート

 例えば、欧米の多くの国では内部告発者の減

 給・降格などが「報復人事でなかった」ことを、雇う側である役所・企業が証明しなければならない。逆に、日本では「報復人事だった」ことを雇われる側が自ら証明しなければならない。

 韓国や中国でも、内部告発者に不利な人事を行った側に罰金・懲役などの刑罰が科される。

 これらと比べて、日本では不正を告発した者が閑職に追いやられたり、離職を迫られたりすることが珍しくない。それは内部告発のコストとリスクを高め、ひいては問題があってもひたすら内部で隠蔽し続けようとする悪循環を生みやすい。

 つまり、内部告発にブレーキをかけようとすることは、それ以外で明るみにならない問題を闇に葬りやすくする。

 今回の疑惑に関していえば、この段階で内部告発そのものを疑問視することは、国際的にみても特異な、この国の封じ込め体質を助長するものといえる。玉木代表の言い方を多少もじっていえば、「ある場合には政治的意図を持って、‘情報が封じ込められて’、我々が大きく振り回されてしまう」のだ。ここでいう「我々」とは、もちろん国民のことである。

<picture><source srcset="https://news-pctr.c.yimg.jp/uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFlHZ-lVjSCI3npXVYKE5vkgK0hRmLwT_-ubgwki4aCOC4mA2shFOeh2LgJN75jhb5dHSJGyKE20OrIbTQX4vkec8I_RIEO5A6perOdmm2AxsaY6jbwe4YjvIBX5pmQmne3YZlfd0LraM3LmVHZgqwMPXKuXD3oY7ya-sOaDamQi2" type="image/webp" /><source srcset="https://news-pctr.c.yimg.jp/uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFlHZ-lVjSCI3npXVYKE5vkgK0hRmLwT_-ubgwki4aCOC4mA2shFOeh2LgJN75jhb5dHSJGyKE20OrIbTQX4vkec8I_RIEO5A6perOdmm2AxsTXpvqLlcalYmGRJCBkmiQdw9g3aeEaOQyhx2jaL_Is7SwzdRi-Vb1iQqpRmStZNh" type="image/jpeg" /></picture>
六辻彰二 国際政治学者

 博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。

 元稿:YAHOO!JAPAN NEWS 主要ニュース 政治 【話題・高市早苗・経済安全保障担当相・放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書の真贋(しんがん)について・担当:六辻彰二 国際政治学者】  2023年03月09日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【総務省行政文書問題】:青木理氏「憲法が禁じる検閲になる」、礒崎元補佐官発言内容に言及

2023-04-03 08:15:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【総務省行政文書問題】:青木理氏「憲法が禁じる検閲になる」、礒崎元補佐官発言内容に言及

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省行政文書問題】:青木理氏「憲法が禁じる検閲になる」、礒崎元補佐官発言内容に言及 

 TBS系報道番組「サンデーモーニング」(日曜午前8時)は12日、放送法の「政治的公平」をめぐり問題になっている第2次安倍政権時に作成された総務省の行政文書に関するニュースを取り上げた。

関口宏(2018年撮影)関口宏(2018年撮影)

青木理氏

               青木理氏© スポーツ報知/報知新聞社

 文書には、当時の磯崎陽輔首相補佐官が「けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある」との発言をしたと記され、具体的な番組名として「サンデーモーニング」などが挙げられている。

 司会の関口宏にコメントを求められたジャーナリストの青木理氏は「いちばんの肝は、礒崎氏が『けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要がある』という部分」とした上で「テレビにはいろんな番組があり、いろんな意見はあると思う。その中で修正したりということはあると思うが、時の政権幹部がテレビ番組、報道を取り締まる必要があるという発想は、憲法が禁じる検閲になる」と指摘。「時の政権幹部がこういうことを言うことが、我々の社会に何をもたらすかは、ちゃんと考えないといけない」と指摘した。

 霞ケ関の官僚出身で、外務省トップの外務事務次官などを歴任した藪中三十二氏は「メディアの役割はフェアでないといけないが、政府の政策についてクリティカル(批判的)な見方をするのが、メディアの役割といわれる。そういうグローバルスタンダードからみても、ちょっといかがなものかと思う」と評した。

 総務省は7日に、文書が同省の行政文書だと認めたが、当時の総務相で文書に名前が登場する高市早苗・経済安全保障担当相は、自身に関する記載について「捏造(ねつぞう)」という立場を崩していない。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政治・総務省行政文書問題】  2023年03月12日  09:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【疑惑】:行政文書騒動は、自民党内で勃発した菅と安倍の「代理戦争」だった…!低次元すぎるニッポンの権力闘争の正体

2023-04-03 08:14:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【疑惑】:行政文書騒動は、自民党内で勃発した菅と安倍の「代理戦争」だった…!低次元すぎるニッポンの権力闘争の正体

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【疑惑】:行政文書騒動は、自民党内で勃発した菅と安倍の「代理戦争」だった…!低次元すぎるニッポンの権力闘争の正体

 ◆表面化した「権力闘争」

 放送法の解釈変更を巡る総務省の行政文書騒動は、黒を白と言い繕う安倍晋三一強政権の歪みを象徴している。

 文書の作成は'14年から'15年にかけてのこと。奇しくも、あの森友・加計学園問題が進行していた時期と重なる。

 森友・加計問題では、官房長官だった菅義偉が文科省の行政文書を「怪文書のようなもの」と嘯き、今回は総務大臣の高市早苗が膝元の総務省文書を「捏造」と言い放つ。どちらも墓穴を掘っているとしか思えない。反面、彼らの慌てぶりはある意味、想像がつく。

一強と謳われた安倍政権は実のところ一枚岩ではなく、内情は常に熾烈な権力闘争が繰り広げられていた。今度の総務省文書をよく見るとそれが読みとれる。

 総務省文書で、解釈変更に前のめりになってきたと指摘されているのは、首相の安倍本人と首相補佐官の磯崎陽輔、所管大臣の高市である。だが、そのほかに重要なキーパーソンがいる。官房長官の菅、政務担当の首相秘書官・今井尚哉、総務省から派遣されていた事務担当の首相秘書官・山田真貴子の3人だ。

 '15年3月5日、首相官邸で補佐官の磯崎と秘書官の山田が、安倍に放送法の解釈変更について説明した。そこには政務秘書官の今井も同席している。官邸の首相執務室で「番組をただす」と意気込む安倍や磯崎に対し、秘書官の山田は「官邸と報道機関との関係に影響がおよぶ」と諭したという。

 総務省から派遣されている山田は8日後の13日、実務にあたる同省情報流通行政局長の安藤友裕に報告、と同時に安倍と高市の電話会談があったことが文書に記録されている。そこから5月12日の参院総務委員会で高市が「一つの番組のみでも極端な場合は政治的公平性を確保しているとは認められない」と法解釈変更の答弁をする。

 ◆大声で叱咤する「総理の分身」

 一方、総務官僚の山田と安藤は当初、総務官僚として放送の自由を尊重しようと抵抗を試みたのだろう。そこで官邸ナンバー2の官房長官で、総務大臣経験者の菅を頼ろうとした。だが、磯崎から「この件は総理と私の2人で決める」と一括される。それも文書に残っている通りだ。そこから法解釈変更の流れが一気に加速する。

 キーパーソンの一人、「総理の分身」と異名をとった首相の政務秘書官・今井は、安倍政権であらゆる政策に口を挟んできた。政務秘書官は各官庁から派遣される事務担当秘書官を束ねる官邸の首席秘書官に位置づけられ、山田の上司にあたる。

photo by Gettyimages

 今井にとって部下の山田は菅が見出し、内閣人事局人事により'13年11月、女性初の首相秘書官に登用された総務官僚だった。本来、官邸の広報担当秘書官は経産省出身の者が担うのが恒例で、政権発足当時は柳瀬唯夫が担ってきたが、柳瀬に代え菅人事により山田がそこに就いたのである。ちなみに、柳瀬は加計学園の獣医学部新設問題で「総理の意向」文書に記録された首相秘書官だ。

 女性の広報担当秘書官登用は安倍政権にとって鳴り物入りの官邸人事だっただけに、初めは今井も山田を大事にしてきたのかもしれない。そのため放送法解釈の変更について、当初の3月まではむしろ慎重だったように文書に書かれている。

 だが、いったん法解釈変更の流れが出来上がると、今井の山田に対する態度が豹変する。ある官邸関係者はこう話した。

 「たとえば、そのあとの『女性が輝く社会推進法案』に関する中間とりまとめのときも、今井さんは山田さんにつらく当たるようになった。彼女は『各省庁のヒアリングができていない。何やっているんだ』と怒鳴られていました。実際、山田さんが担当した首相のフェイスブック更新が一晩滞ってしまうこともありました。

 で、今井さんは、『ふざけるな』とエキセントリックに大声でがなり立てる。それで叱られたほうは縮こまってしまうのです。とにかく今井さんは立て板に水のようにまくし立てるので、山田さんは何も言い返せない。今井さんから怒鳴られ、よく泣きじゃくっていました。しまいに仕事をとりあげられ、山田さんは放心状態になってボーとしていました」

 ◆菅と今井の確執

 そうして菅が寵愛した女性初の首相秘書官は、わずか1年8ヵ月の在任期間で官邸から去り、総務省に出戻った。そして、このあたりから官邸内で菅と今井の確執が囁かれるようになっていった。 

 菅は'15年7月、今井にあてつけるかのように、古巣の総務省に出戻った山田を情報通信国際戦略局長に抜擢する。これも総務省初の女性局長誕生と話題になり、山田はさらに翌'16年6月には中央省庁初の女性大臣官房長とむしろ出世街道を駆け上がっていく。

 山田は'17年7月、放送法を所管する情報流通行政局長になるのだが、皮肉にもそこで例の東北新社問題に直面する。東北新社に就職した菅の長男・正剛らによる総務官僚接待だ。

photo by Gettyimages

 東北新社は'16年7月以降、延べ13人の総務官僚に対し、39回の料亭接待などを繰り返していた。そのなかで放送行政の責任者である情報流通局長の山田は、接待問題の中心にいた。

 その後、安倍政権がコロナ対応で失速し、菅と今井の溝は深まり、'20年9月、菅政権が誕生する。と同時に山田も内閣広報官に就任。東北新社による接待問題が発覚し、広報官の座を追われる羽目になる。

 放送法解釈変更を巡る行政文書の裏には、安倍・菅政権の低次元な権力闘争が潜んでいる。

 

 ■森 功 ジャーナリスト

 

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【話題・立憲民主党の小西洋之参議院議員が国会で公表した「総務省の内部文書」問題・担当:森功 ジャーナリスト 】  2023年03月11日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【恫喝・礒崎陽輔】:「局長ごときが、首が飛ぶぞ」総務省文書で暴言連発「自称・安倍側近」議員のヤバすぎる「言行録」

2023-04-03 08:14:00 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【恫喝・礒崎陽輔】:「局長ごときが、首が飛ぶぞ」総務省文書で暴言連発「自称・安倍側近」議員のヤバすぎる「言行録」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【恫喝・礒崎陽輔】:「局長ごときが、首が飛ぶぞ」総務省文書で暴言連発「自称・安倍側近」議員のヤバすぎる「言行録」 

 ◆「ただじゃあ済まないぞ」

 立憲民主党・小西洋之参議院議員が国会で公表した「総務省の内部文書」。文書作成当時の総務大臣として答弁した高市早苗・経済安全保障担当大臣が「捏造だ」「捏造でなければ議員辞職する」と啖呵を切ったために、高市氏の進退問題に注目が集中している。

 しかし、文書そのものの「主役」は別にいる。前参議院議員で、第二次安倍内閣で2012~2015年に総理補佐官を務めた、礒崎陽輔氏だ。

Photo by gettyimages

 文書の中には、総務省の官僚に対して、下記のようにきわめて威圧的な口調で命令し、当時の安倍晋三総理の威光をことあるごとにチラつかせる磯崎氏の言動が克明に記されている。

 「何を言っているのか分かっているのか。官房長官に話すかどうかは俺が決める話。局長ごときが言う話では無い」
 「俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ。首が飛ぶぞ。もうここにも来ることができないからな」
 「この件は俺と総理が二人で決める話」
 「官邸の構造論を分かっておくように」
 
 磯崎氏は元総務官僚である。1982年に旧自治省に入省し、北海道や静岡県、大阪府堺市などへの出向を経て総務省自治行政局国際室長、大臣官房参事官など要職を歴任。2007年の参院選に出馬して初当選した。2007年当時は第一次安倍政権で、この選挙で大敗して安倍氏は辞任に追い込まれるわけだが、ともあれ磯崎氏はバッジを手にした。

 当選した磯崎氏は、地元・大分の衆議院議員で現・安倍派最高顧問の衛藤征士郎の引き合いもあり、安倍派に入会した。しかしほかの代議士からの評判は、あまりかんばしいものではなかったようだ。

 ◆だんだん恫喝みたいに…

  ある自民党安倍派関係者が言う。

 「東大法学部卒ということもあるでしょうが、とにかく『俺が一番頭がいい』という自負がものすごく、常に周りの人を見下すような態度なのが目につきました。そういう意味では茂木(敏充・自民党幹事長)にタイプが似ているけれど、茂木さんには実力がありますからね。

 礒崎さんは、確かにそこそこ仕事はできるし頭の回転も早いのですが、特に役人と話すときには必ず『爆発』することでも知られていた。今回の文書でも書かれていたように、最初のうちは比較的丁寧でも、話が進むにつれて怒鳴りつけるようになり、最後はほとんど恫喝のようになってしまう。財務省の幹部などエリート中のエリートにだけ、いつも慇懃でした」

 しかし、安倍氏はそんな磯崎氏を気に入っていたという。きっかけは2012年、安倍氏が総理に返り咲いた総裁選だ。礒崎氏は安倍陣営の選対で参院事務局長を務めた。事務仕事ができ、指示したことにはすぐに従う礒崎氏を、安倍氏は重宝した。

「加えて、思想信条が安倍さんに近かったことも大きいでしょう。憲法改正や国防軍の創設といった、安倍さんがやりたいと考えていた政策にも明確に賛成していたことが、初当選でいきなり総理補佐官に抜擢された背景にあるはずです」(前出・自民党安倍派関係者)

 ◆「変なヤクザに絡まれた」

 総務省文書によれば、礒崎氏は先にも触れたように「この件は俺と総理が二人で決める話」「官邸の構造を理解しろ」と総務官僚に対してすごんでいた。これらはつまり、「俺は安倍総理の最側近なのだ」という強烈なアピールを込めた発言にほかならない。

 ただ、当時の官邸において、本当に礒崎氏がそれほど強大なパワーを持っていたかといえば、疑問符がつく。安倍政権で官邸に入っていた自民党議員のひとりが言う。

 「当時の礒崎さんは、次の人事で閣僚になりたいという思いを強く持っていて、何かヒットを飛ばしたいと考えていたんです。つまり、礒崎さんの総理に対する個人的な点数稼ぎに、総務省とほかの官邸官僚が巻き込まれたという話。山田さんや、安倍最側近だった今井(尚哉・元総理補佐官)さんもドン引きしていました」

 総務省文書の中で、当時総理秘書官を務めていた山田真貴子氏は、総務官僚との協議において「礒崎補佐官は官邸内で影響力はない」「総務省としてここまで丁寧にお付き合いする必要があるのか疑問」「今回の話は変なヤクザに絡まれたって話ではないか」と述べていたことが記録されている。

 文書を素直に読むと、磯崎氏が安倍総理の威光を借りて官僚を恫喝し、自分のスタンドプレーを通そうとした……という構図が見えてくる。

  ◆参院補選出馬の可能性も?

 いまは落選中の礒崎氏だが、4月に行われる参院大分選挙区の補選に立候補する可能性はまだ残っている。自民党大分県連関係者が言う。

 「今回は公募で候補者を選ぶことになったのですが、礒崎さんは応募しなかった。同じ派閥で参院幹事長の世耕弘成さんに頭を下げれば公認してもらうこともできたはずなのに、そういうことはしなかったようです。

 ただ正直、公募組にもめぼしい候補はいないから、このままでは野党の弾しだいで負けてしまうかもしれない。礒崎さん本人は出馬に意欲を示していたし、ここから『適任者がいなかった』として、実績のある礒崎さんに再び声がかかる可能性もないわけではない。

 実際、県連の一部からは『今回の一件で知名度が上がったから、礒崎さんに出てもらえば勝てるのでは』という声が冗談混じりに上がっているほどです」

 文書をめぐる国会対応に補選、さらには統一地方選と、自民党にとっては舵取りの難しい局面が続きそうだ。

 磯崎氏の「犠牲者」といえるかもしれない高市早苗大臣の窮地について、「高市早苗排除が始まった? 『放送法文書』騒動は総務官僚の『大反乱』なのか」にて詳報する。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【話題・立憲民主党・小西洋之参議院議員が国会で公表した「総務省の内部文書」・担当:週刊現代編集部】  2023年03月10日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【考証】:小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか…? その信憑性について考えてみる

2023-04-03 08:13:50 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【考証】:小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか…? その信憑性について考えてみる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考証】:小西洋之議員が公表した「放送法文書」は“捏造”なのか…? その信憑性について考えてみる

 ◆総務省職員から入手したという文書

 参議院予算委員会の質疑において、放送法をめぐる問題で、小西洋之議員が総務省職員から入手したという文書に基づいて、高市早苗大臣らに詰め寄る一幕があった。

Gettyimages

 文書に記載された生々しい会話も、いろいろと出てきた。

 「サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストは呼ばない。あんなのが番組として成り立つのがおかしい。とにかくサンデーモーニング。総務省もウォッチしておかないとダメだろう。けしからん番組を取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」

 磯崎首相補佐官が総務官僚にこのように話したとか、「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと高市大臣が語ったとか……。

 こういう話を聞くと、政府部内でとんでもない謀略が行われていたのだろうと思ってしまうのが、ごく自然な反応ではないか。

 しかも、今回の文書について、「同じものが(総務省の)放送政策課に存在するということの確認を受けている」と小西議員は述べている。

 これを否定する答弁は政府側からも出ていないので、総務省内にこの文書があったこと自体は間違ってはいないと見ていいと思う。

 そうなると、いよいよもって政府が怪しいということになるわけだが、真相はどこにあるのか、考えてみたい。

 ◆「放送法4条」の解釈

 今回問題になっているのは、放送法4条の解釈だ。

 放送法4条は、放送事業者が放送する番組の編集にあたり、

 (1)公安及び善良な風俗を害しないこと
 (2)政治的に公平であること
 (3)報道は事実をまげないですること
 (4)意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

 を求めている。このように、事実に基づき、政治的立場に偏りなく、多くの角度から取り扱い、風紀的な問題を生じさせない報道を心がけよというのが放送法が求めるところだ。

 放送法の解釈については、仮に特定の番組が特定の見方に偏っていたとしても、他の番組がそれを補っていることもあるだろうから、番組一つで問題視するのは適切ではないというということが、長年言われてきた。

 安倍政権当時の平成28年2月、この解釈に関して、より具体的なものが政府の統一見解として明確化された。

 放送局の番組全体を見て判断するとの基本路線はそのとおりだとしつつも、一つの番組のみでも、不偏不党の立場から明らかに逸脱している場合などは、政治的公平を確保しているとは認められないとしたのである。

 この政府統一見解を、従来の放送法の解釈を明確化したものだというのが政府側の言い分であるのに対して、放送法の重大な解釈変更だと考えているのが小西議員だということになる。

 そしてこの点については、政府見解の方が正しいと言うべきだろう。

 ◆昭和39年に示された判断

 昭和39年4月28日に、政府側委員の宮川岸雄氏は、こう述べている。

 「ある一つの番組が、極端な場合を除きまして、これが直ちに公安及び善良な風俗を害する、あるいは、これが政治的に不公平なんである、こういうことを判断する——一つの事例につきましてこれを判断するということは、相当慎重にやらなければもちろんいけませんし、また、慎重にやりましても、一つのものにつきまして、客観的に正しいという結論を与えることはなかなかむずかしい問題であろうと思うのであります」

 宮川氏の発言は長々としてややわかりにくいので、私なりに噛み砕くと、極端な場合を除いて、ある一つの番組が直ちに放送法に違反するか否かを判断するのは、相当慎重にやらなければいけない、という内容だ。

 これは逆に読めば、一つの番組の内容であっても、放送法に違反するかどうかの判断は、十分に慎重に行うならば、判断できる余地はないわけではないし、極端な場合には慎重に判断する必要すらない、ということになる。

 この昭和39年に示された判断は、その後に問題視されることがなかったことから、この解釈は歴代の政権で引き継がれてきたものだと見ることができる。そしてこの内容は、安倍政権が示した政府統一見解とも矛盾するものではない。

 読みようによっては、むしろ昭和39年の答弁より安倍政権の政府統一見解のほうが若干緩い判断になったと解釈できる余地すらある。

 以上を踏まえて、今回の文書の内容に信憑性があるかどうかを考えてみよう。

 ◆解釈変更がない以上

 小西議員の文書は、放送法についての重大な解釈変更があったことを前提とし、この件は一筋縄でいかない大問題だったということが、総務省の役人だけでなく、磯崎首相補佐官、高市大臣、安倍総理までを含めた共通認識になっていたことを前提としている。

 冒頭に一部を紹介したが、この文書によれば、高市大臣は放送法の解釈変更について、「本当にやるの?」「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと発言したことになっている。

 だが、安倍内閣の認識としては、すでに昭和39年の段階で国会で語られ、その後引き継いできた内容について明確化しただけでしかない。解釈変更がない以上、高市大臣が「本当にやるの?」「これから安保法制とかやるのに大丈夫か」「民放と全面戦争になるのではないか」などと口にするということは、どう見ても考えられないのである。

 平成27年5月に高市大臣が行った答弁と平成28年2月に安倍総理が行った答弁に食い違いがあるから、その結果として、きちんとした政府の統一見解を文書として出せとの声が野党からあがり、それに基づいて出されたのが政府統一見解だと、高市大臣は発言している。

 高市大臣は、仮に高市大臣と安倍総理が、小西議員の文書に書かれているとおりに、放送法の「解釈変更」について事前に打ち合わせをしていたのであれば、こうした見解の食い違いが起こるのはおかしいのではないかと発言している。この議論は非常に説得力がある。

 また、小西議員の文書によると、高市大臣は平成27年2月に総務省の役人から答弁に関するレク(レクチャー)を受けたことになっている。だが、高市大臣にこの件に関して質問があったのは平成27年5月であって、答弁の3ヵ月前に答弁対策のレクを受けたというのは時系列的に合わない。

 高市大臣は答弁に合わせて答弁前夜に行われるレクも受けていないし、答弁当日の朝に行われるレクすら受けていないことも語っていた。高市大臣は公務員の働き方改革を推し進める見地から、レクを受けずに自分で答弁書を用意するようにしていたという。

 この高市大臣の答弁に信頼を寄せるならば、高市大臣にレクが行われていると記載している文書は、事実に基づかずに捏造されたものだと推論するのが妥当だろう。

 ◆「公文書」として認められるのか

 そもそも、今回の総務省の文書については、そもそも公文書として認められるかどうかの段階から争いがある。

 小西議員が参院予算委員会でこの文書を質疑資料として配布しようとしたが、与党側は文書の正確性に疑義があるとして配布を認めなかった。

 これは文書に登場する人物に内容の確認を行ったところ、多くの人から事実に反するとの回答があり、正規の文書として認めることはできないと与党側から指摘があったためである。

 正式文書化に際して、関わった当事者全員の確認を取るというのは、公文書に限らず、民間の文書であっても、当然のプロセスではないか。こうしたプロセスを取らないという実に杜撰なことを行えば、後で「言った」「言わない」問題になる可能性がある。

 事実にないことを捏造し、文書に登場する人物に確認しないままに済ますということが可能となる仕組みになっていたとすれば、それは公文書のあり方からして、大問題であるのは言うまでもない。

 もっとも、総務省の放送政策課に同じ文書が存在するというのは事実なのだろう。そのこと自体は岸田総理も否定していない。

 しかしながら、正規のプロセスを踏まずに謀略的に文書を蓄積し、これを「証拠」として政権を追い詰めるということが行える仕組みは、公文書管理のあり方からして断じて認められるべきではない。

 そして今回は、そうした謀略が取られた可能性が極めて高いと言わざるをえない。

 ◆日本の公務員の倫理観

 当事者として身に覚えのないことが書かれていることから、高市大臣は今回の文書について捏造ではないかと話していたが、これに対して小西議員は、なぜ総務省の幹部が悪意を持ってこういう文書を作るのかと、高市大臣に詰め寄った。

 これに対して高市大臣は、NHK改革でNHKに対して非常に厳しい姿勢を取っていて、NHKの理事が菓子折りを持ってきたのを突き返したこともあるとのエピソードも交えながら、こうした高市大臣の態度が総務省の一部の幹部の大きな反発を招いたのではないかと説明している。

 NHK改革が進めば、総務官僚の天下りなどの利権にも大きな影響を及ぼすのは避けられない。この流れを総務官僚が強烈に嫌がったことは、決して想像できない話ではない。

 このように見た場合、少なくとも今回の文書の一部については、総務省の一部の官僚が政権与党に打撃を与えるために、事実関係のない話を作り上げた可能性が高いと考えるべきではないか。

 登場人物に内容の確認をしないで、文書を作り上げることを行い、それが「公文書」として保管される仕組みを作っているとすれば、日本の公務員の倫理観を大きく失墜させるものである。

 このような重大な疑惑を持たれていることについて、岸田政権がこの解消のために大ナタを振るうことを躊躇することがあってはならない。さらに言えば、政権からどんな動きがあるかにかかわらず、公務員自身が、自らが疑われることになることへの強い危機感を持って、今回の疑惑の追及を行ってもらいたいものである。

 

 ■朝香 豊 経済評論家

 

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【話題・立憲民主党の小西洋之参議院議員が国会で公表した「総務省の内部文書」問題・担当:朝香豊 経済評論家】  2023年03月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・03.05】:高市氏VS小西氏の総務省「圧力」文書問題で思い出す かつて「国会の爆弾男」が語った言葉

2023-04-03 08:10:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【中山知子の取材備忘録・03.05】:高市氏VS小西氏の総務省「圧力」文書問題で思い出す かつて「国会の爆弾男」が語った言葉

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・03.05】:高市氏VS小西氏の総務省「圧力」文書問題で思い出す かつて「国会の爆弾男」が語った言葉 

 立憲民主党の小西洋之参院議員が3月2日、放送法の「政治的公平」をめぐる新たな解釈に関し、第2次安倍政権時に官邸側の「圧力」があったとする総務省の「内部文書」だという文書を公表した。2014年から2015年にかけて、官邸と総務省の担当者と協議の経緯が記されているという。小西氏は「個別の番組への政治的な圧力」だと指摘。政権側は現段階で、その真贋(しんがん)をめぐり慎重な立場をとっているが、行方次第では、岸田政権を揺るがしかねない可能性もはらむ。

高市早苗経済安全保障担当相(21年9月撮影)
高市早苗経済安全保障担当相(21年9月撮影)

 文書の信ぴょう性の是非に加え、当時の安倍晋三首相と電話した内容とする記載が、文書に書かれていると指摘された高市早苗・経済安保担当相(当時の総務相)が、文書を「全くの捏造(ねつぞう)と考えている」と断言したためだ。捏造でなかったことが判明した場合は、閣僚の辞任、議員辞職も「構わない」と、たんかを切った。

 高市氏は2021年の自民党総裁選で岸田氏に敗れたが、閣僚経験を重ねた有力女性議員の1人。後ろ盾とされた安倍氏の死去で立場はさらに不安定になってはいるが、勢いであんなたんかを切るとは思えない。切るには切るなりの理由があるはずだ。一方、小西氏は放送法を所管する総務省の官僚出身。文書は、古巣でもある同省の職員から託されたとし「超一級の行政文書」と主張している。

 第2次安倍政権では、加計学園の獣医学部新設をめぐり「総理のご意向」などと書かれた文書の存在が指摘された。当初、「確認されない」としていた政権は最終的に存在を認め、大きな不信感を招いた。森友学園国有地売却問題では、公文書の改ざんという、あってはならない事態が起きた。政権に都合の良くない記載がある文書が公になった時、時にあり得ない展開をたどる可能性があるということが露呈した。

 小西氏と高市氏のやりとりがあった後、インターネット上では、高市氏の反論を念頭に「捏造文書」という言葉がトレンドワードとなった。立憲民主党の前身の1つ、民主党では2006年、結果的に「偽」と判明したメールをもとに政権を追及する質問を国会で行ったとして、所属議員が辞職に追い込まれ、執行部も総退陣。今回のやりとりを受けて、SNS上には当時のことを指摘したコメントも多くあった。

 当時、「偽メール」問題の取材をしていて、当初は真実のように語られた内容が、だんだん離れていく経緯を目の当たりにした経験がある。

 取材する中で、かつて政権中枢のスキャンダルを暴いて「国会の爆弾男」といわれた楢崎弥之助さんに、インタビューをした。話を聞いた当時、メールが真実かどうか最終的な結論はまだ出ていなかったが、楢崎さんは自身の経験や状況を踏まえ、「厳しい」との見方を示していた。

「国会の爆弾男」と呼ばれた楢崎弥之助さん(2006年2月撮影)
「国会の爆弾男」と呼ばれた楢崎弥之助さん(2006年2月撮影)

 独自入手した内部文書をもとに、国会で政権を追及する場合に必要な「身構え方」は、こちらが想像する以上だった。「いったん権力の存立にかかわるような問題が出た時、権力は身構える。あらゆる手段を使って、つぶそうとする。私は経験しましたから」。楢崎さんは2012年に亡くなったが、モリカケ問題の時も、楢崎さんに聞いたこの言葉を思い出したものだ。「情報が来てもすぐに取り上げることはできない。全部自分で調べ、足で歩いて真実かどうか確かめた。1つのネタについて3~4カ月、長いものなら半年はかかる」。事実をつかむため、いかに周到な準備が必要かも説いていた。

 「最後はどうせ真贋論争になる。本当かどうかが問われた時、協力して説明してくれますかという許可を取れた時だけ(質問を)やった」。仮に自身の指摘が間違いだったら「議員は辞める覚悟でした。国会の権威って、軽く見てはいけません」とも話していた。

 「モリカケ問題」では、都合の悪い文書が明るみに出た場合の処し方が、権力側に突きつけられた。一方、国会で内部文書をもとにした追及がなされる時は、追及する側の「身構え方」にも、関心が注がれることになる。

 今回、小西氏が指摘するような「圧力」の事実があったのか、それとも高市氏の言う「捏造」の内容なのか。第2次安倍政権下のことではあるが、高市氏自身の言及で進退がかかる形となり、岸田首相の責任にもつながる問題になった。小西氏の問題提起が、政権内に混乱を生む「芽」になったのは確かだ。【中山知子】

 中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年03月05日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証】:総務省文書はなぜ流出したか...女性初の首相を狙う高市早苗は孤立無援状態に陥った

2023-04-01 07:47:50 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【検証】:総務省文書はなぜ流出したか...女性初の首相を狙う高市早苗は孤立無援状態に陥った ■<「辞職する」とたんかを切った高市元総務相は、安倍政治「清算」のただ中にいる?>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証】:総務省文書はなぜ流出したか...女性初の首相を狙う高市早苗は孤立無援状態に陥った ■<「辞職する」とたんかを切った高市元総務相は、安倍政治「清算」のただ中にいる?>

 3月3日の参院予算委員会で立憲民主党の小西洋之議員が質疑に立ち、総務省の内部文書を入手したとして元総務相の高市早苗経済安全保障担当相を追及した。

ニューズウィーク日本版

 高市氏は2015年5月、放送法4条が規定する「政治的な公平」の判断基準に関する解釈に実質的な「修正」を加える答弁を総務相として行った。それまでの半年間、礒崎陽輔首相補佐官(当時)の強い働きかけで大臣答弁の原案擦り合わせが行われ、省内や官邸内の慎重論を安倍晋三首相が「正すべきは正す」と最終的に退けた経緯を示す報告書やメモ計78ページ分が流出した。<button class="sc-fwyeXZ ljFcvn" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-fwyeXZ ljFcvn" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">REUTERS/Issei Kato</button>

REUTERS/Issei Kato

 高市氏は自身に関わる文書4点は「捏造」であると断言したが、総務省は3月7日、これらの文書が総務省保存の行政文書だと認め全文をウェブで公開し真贋の決着を早々につけた。文書の信憑性と内容の正確さは別物だが、「森加計疑惑」における公文書改ざんの轍を踏まないとする判断があったのか、政府内の機微に触れる内部文書がこれだけ大量に黒塗りなしで一般公開されることは珍しい。

 焦点となっている放送法の解釈問題は次のようなものだ。同法4条は放送事業者が遵守すべき放送番組編集の準則として「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」「政治的に公平であること」などを定めている。

 「個々の番組に対する政治的公平性の判断は非常に難しい。極端な場合を除いて、一つの事例について判断することは相当慎重にやらねばならず、ある期間全体を貫く放送番組の編集の中で判断する」

 1964年の参院逓信委員会で郵政省電波監理局長がこう答弁して以来、郵政省の業務を引き継いだ総務省も政治的公平性について「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」という解釈を維持してきた。

 ところが、その「極端な場合」という例外を突いてきたのが礒崎首相補佐官だった。流出文書によれば、14年11月に情報流通行政局長にレク(説明)を要求し「番組を全体で見るときの基準が不明確であり、一つの番組でも明らかにおかしい場合があるのではないか」と指摘。国会での質問を用意するので、それに対する総務大臣答弁を準備するように指示したという。

 <「政治的圧力」の衝撃>

 礒崎氏の働きかけを受けて総務省は「殊更に特定候補者を取り上げる選挙特番など、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす場合」や「国論を二分する政治的課題について一方の見解のみを支持する番組等、不偏不党の立場から明らかに逸脱している場合」という2つの具体例を示した答弁原案を作成する。高市氏が総務相時代の15年5月に行った答弁はこの原案をなぞったものだ。 

 <流出の背景事情>

 <女性初の首相を狙う高市氏は孤立無援状態に>

 元稿:NewsWeek 日本版 主要ニュース 社会 【話題・国民の知る権利・総務省の政治的公平に関する文書をめぐる問題・担当:北島 純(社会構想⼤学院⼤学教授)】 2023年03月31日  17:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・03.10】:介入を許容したのか、阻止に回ったのか

2023-04-01 07:43:30 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【政界地獄耳・03.10】:介入を許容したのか、阻止に回ったのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・03.10】:介入を許容したのか、阻止に回ったのか 

 ★国会は相変わらず放送法を巡る行政文書についての“真偽”について審議が続いている。8日の質疑で経済安保相・高市早苗は「私の発言や私と安倍総理の電話に関する記載がある計4枚。私自身が申し上げたものではなく、正しい情報ではないということで捏造(ねつぞう)と申し上げております」。問い「安倍総理との電話も、この世に存在しなかったのか」。高市「そうでございます。放送法に関して法解釈などに関わることについて、安倍総理と電話でお話ししたことはございません」。

 ★9日の参院内閣委員会でも「総務省の職員、優秀な方も多いと思います。足かけ4年働かせていただいて愛情も持ってます。でもこんな不正確な文書が保存されていたということについては本当に残念に思います」と譲らない。今回の事案は立憲民主党・小西洋之が総務省から入手した文書を公表し、後日、総務省が「全て総務省の行政文書であることが確認できた」と認めたものだ。つまり当初は怪文書扱いされていた小西文書に総務省本物お墨付きを与えたが、高市の言う「4枚」が「捏造」であり9日段階で「不正確文書」だというわけだ。

 ★それなら小西が公表した文書以外の関連する文書や高市がやっていないと言い張る当時の首相・安倍晋三との電話会談の議事録か要旨、メモなどを出せばいい。または小西は新たな文書をかざすことができないものか。状況証拠は高市に圧倒的に不利だが、高市唯一強みはこの電話会談の相手である安倍故人となっていることから最後まで突っぱねられるという部分だけだろう。大切なことは当時の官邸放送法解釈について介入して高市はそれを許容したなのか、阻止に回ったのかという立場問題だ。高市のクビを取るための作業とは別に本質的な問いに答えるべきだ。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年03月10日  07:26:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・03.08】:自民も立民も…高市問題を巡り、続く疑心暗鬼

2023-04-01 07:43:10 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【政界地獄耳・03.08】:自民も立民も…高市問題を巡り、続く疑心暗鬼

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・03.08】:自民も立民も…高市問題を巡り、続く疑心暗鬼 

 ★2日、立憲民主党参院議員・小西洋之が安倍政権下で首相官邸側と総務省側で当時の首相補佐官・礒崎陽輔が「放送法の事実上の解釈変更」を求めた経緯が記されたとされる資料を公表。7日、「資料の確認」と時間稼ぎをしていた総務相・松本剛明は「すべて総務省行政文書であることが確認できた」とした。首相・岸田文雄は6日の参議院予算委員会で「放送法についての政府の解釈は変わっていない」として、報道の自由への介入にはあたらないとの認識を示した。

礒崎 陽輔
いそざき ようすけ
98 isozaki yosuke.jpg
2017年、農林水産副大臣当時

 ★経済安保相・高市早苗文書を「捏造(ねつぞう)」とまで言っていたが、7日の会見で「私に関しての4枚については内容不正確であると確信を持っている」とトーンダウン。ただ自ら進退についてたんかを切った分、進む引く厳しい立場に変わりはない。高市の評価は下がるだけだ。自民党議員が言う。「奈良県知事選候補者選定の失敗、政治資金不記載疑惑、そして今回の件と高市案件が多すぎる。これが高市つぶしなのかは分からないが、勝ち目のない戦に入り込んだのは間違いないだろう」。岸田が追い込んだのかは分からないが、文書が不正確でも安倍政権が放送法解釈変更を仕掛けたのは事実。だが放送法はゆがめられていないとなれば、今となっては高市の責任だけがクローズアップされる。

高市早苗氏

高市早苗氏

 

 ★立憲民主党は小西の金星に沸いているのかと思いきや、衆院国対委員長・安住淳は「なんでこれが衆院の予算委員会でできなかったか」と悔やんでいる。参院ではインパクトが弱く、元同僚で自民党入りした松本も一緒に責められたと「衆院でやっていれば」との思いが強くあるようだ。だが参院では「今回の衆院予算委員会を見ていても新しい話題に飛びつくばかりで防衛費問題は生煮えだった。参院ではじっくりやる」との思いが強い。院の性質の問題もあるものの、高市問題を巡り自民・立憲両党内の疑心暗鬼は続く。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年03月08日  07:29:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・03.04】:公文書をないがしろにしてきたツケ

2023-04-01 07:42:40 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【政界地獄耳・03.04】:公文書をないがしろにしてきたツケ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・03.04】:公文書をないがしろにしてきたツケ 

 ★岸田政権の批判が出ているが、批判する党の幹部も相当お粗末と言わざるを得ない。それでも「野党に任せるよりはまし」と考える人たちが多くいるが、どこかでその体たらくを反省させなければいつまでたっても自民党自体が進歩しない。自民党支持者は党が相当の人材難であることを承知すべきだ。元首相・安倍晋三の長期政権が主要閣僚や党幹部を側近で固め人材育成を怠ったからだが、ここまで劣化するともう過誤できない。

 ★自民党参院幹事長・世耕弘成は外相・林芳正のG20出席に際し参院予算委員会出席を優先すべきと野党張りの筋論を展開し、国際会議を断念させた。本来自民・自由連立政権の時に当時の自由党党首・小沢一郎が副大臣の設置を要求、公務での閣僚の外遊時に副大臣などが答弁できるようにした。世耕はそれを承知で「基本的質疑は参院の質疑の中でも非常に重要度が高い」と外相の委員会出席を強要していた。ところが3日の会見では外務省から「通常の海外出張のルーティンと同じように紙が回ってきた」と弁明。これでは外務省が強く言わなかったからと言わんばかりだ。その判断ができないのなら、安倍派の領袖(りょうしゅう)になるとか、衆院に鞍替えして首相になりたいなどと寝言を言う前に重要度や優先度を学んでほしい。

 ★3日の参院予算委員会では立憲民主党・小西洋之が総務省の内部文書を元に質問したが、資料配布に理事会で与党側から「どういう文書か明確でない」と待ったがかかる。メディアは当時の総務相・現経済安保相・高市早苗の「捏造(ねつぞう)」発言ばかりだが、首相・岸田文雄も答弁で「文書の正確性などが不明であるものについて申し上げることはない」とした。文書に登場する当時の首相補佐官・礒崎陽輔はツイッターで「総務省と意見交換をしたのは事実」と認めた。週明けまでの時間稼ぎのつもりか、まずは公文書をないがしろにしてきた歴代政権のツケと記しておきたい。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年03月04日  07:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:公文書否定する高市氏 閣僚としての資質を疑う

2023-03-31 07:44:20 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

《社説②》:公文書否定する高市氏 閣僚としての資質を疑う

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:公文書否定する高市氏 閣僚としての資質を疑う

 公文書は政策などの決定過程を記録した歴史資料だ。閣僚でありながら、その内容を否定する強弁を、いつまで続けるつもりなのだろうか。

 放送法の「政治的公平」を巡る第2次安倍晋三政権の行政文書を、「捏造(ねつぞう)」と決めつけてきた高市早苗・経済安全保障担当相の態度である。当時、放送行政を所管する総務相を務めていた。

 文書に記された2015年2月13日の「高市大臣レク(説明)」について、総務省が「あった可能性が高い」との見解を示した。文書はレクの際に職員が作成し、省内で共有されていた。

 しかし、高市氏は「この時期に放送法の政治的公平について話した事実がない」と否定し、内容が「不正確だ」と主張している。

 「私が言うはずもないことがたくさん書かれている」のがその根拠だという。文書が事実なら閣僚や議員を辞職する考えを示してきたが、レクがなかったとの主張を裏付ける日程表などは見つかっていない。

 総務省の文書は発言者に内容を確認していないため、受け止め方が異なる場合もあろう。だが、内閣府は「行政文書に該当するかは、確認の有無で左右されない」との見解を示している。 

 閣僚は各行政機関のトップとして行政文書を管理する責任者だ。それを尊重する立場にある。

 にもかかわらず、高市氏は総務省が「悪意を持って捏造」したと述べ、NHK改革に関する「私の態度が気に食わなかったのだろう」と感情をあらわにしている。

 公文書や官僚への信頼を自らおとしめる言動である。閣僚としての資質を疑わざるを得ない。

 そもそも問題の本質は、政府による「政治的公平」の判断に関する解釈変更がどのように行われたかだ。文書には安倍氏の意向を踏まえ、当時の礒崎陽輔首相補佐官が働きかけた詳細が記される。

 岸田文雄首相は「総務省から説明しなければならない」と語り、まるで人ごとのようだ。行政全体の信用に関わる深刻な事態である。行政府の長として国民の不信を拭う責任がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月18日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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