見出し画像

石ころ

紅葉はふかふかと・・

 朝、妹から電話があって、紅葉がそろそろ終わりだから山に行かないかと誘われた。ちょっと戸惑ったけれど、これぞ気分転換と急いで洗濯物を干し、主人の昼食を準備、身支度して愛車(原付バイク)に飛び乗って、黄金色の銀杏の下を通り妹宅まで走った。

「私、足が痛むかもしれないので、散歩になるかもしれないよ」「アハハ・・まさか3歩?」「足の薬指一本で体全体が不自由になるなんてね」「じゃあ、単車でのぼる?」「そんなのつまらない。3歩でも10歩でも歩こう。ラジオでガン予防のために一週間に3時間歩けって言っていたよ。」
足が動くよりも口が良く動く。口なら一日3時間だってこなせるんだけれど・・・。

 「あれ、あの犬居ないね」いつも飴など与えてちょっと遊んでから登った、あの犬小屋もなくなっている。「死んだんだって」「・・ちょっと淋しいね。」と、いうよりなんだかとてもつまらなくなった・・。妹は猫のなっちゃんの思い出を話し、私は兎のとこちゃんの思い出を話しつつ、しっとりと朝露に濡れた落ち葉を踏んで登ってゆく。

「ね、ね、あそこのもみじ綺麗やろう・・この前の台風で根が傷んでね、去年はほとんど葉を付けなくて駄目だったけど、今年は綺麗に色づいているよ。」
木にもドラマがあるのだ・・回復する木もあれば、痛々しく病んだ白い幹を骸骨のようにさらして林立している桜もある。

「もみじをライトアップしているんだよ。ほら、」電球をいくつも木に向けてセットしてある。「可哀想に夜は木も眠りたいだろうにね・・」人間のどん欲で酷使されている。弱った桜の間にあるもみじまでと、ちょっと辛い光景。本当は桜も紅葉が綺麗なんだけれど、弱っているから色づかないうちに散ってしまう。

 
 それでも空気は清々しくて、向うに広がる山々は、緑や黄色、紅、オレンジ色のモザイク模様が広がっている・・しっとりと潤してくれる空気を感じつつ、紅く柔らかい落ち葉をゆっくりと踏みしめて登る時足の痛みもほとんど感じない。

どこからかエナガの群れがやってきて、紅葉の小枝をさかんに飛び交い小さな体で葉つついては散らしている。
妹が頬をふくらませてプーッと吹く。私も同じようにプーッと吹く。
「駄目だね。これも年の所為だね、若い頃にはこれで山中の紅葉を散らしたものだよ。」二人で笑い転げつつ・・神様のプレゼントを満喫した。

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Weblog」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事