石ころ

死の淵を経て (民数記22章)

 

主はバラムの目の覆いを除かれた。すると彼は、主の使いが道に立ちはだかり、抜き身の剣を手に持っているのを見た。彼はひざまずき、伏し拝んだ。(31)

 

裁かれるのはみことばの剣である。信じる者にはいのちとなり、信じないものには永遠に燃え尽きないゲヘナの死となる。
抜き身の剣には猶予はなく、彼は死の前に居たことに気づいた。

 

主の使いは彼に言った。「何のために、あなたは自分のろばを三度も打ったのか。わたしが敵対者として出て来ていたのだ。あなたがわたしの道を踏み外していたからだ。
ろばはわたしを見て、三度もわたしから身を避けた。もし、ろばがわたしから身を避けていなかったなら、わたしは今すでに、あなたを殺して、ろばを生かしていたことだろう。」(32~33)

 

バラムは自分が死を通っていたことを悟った。主は彼に「道を踏み外していた」と言われた。バラムは打たれて死ぬべき命を、ロバによって救われたことを悟り、主の使いに跪き伏し拝んだとき、彼は主の御用のために生きる者に変えられたのである。

 

バラムは主の使いに言った。「私は罪を犯していました。あなたが私をとどめようと道に立ちはだかっておられたのを、私は知りませんでした。今、もし、あなたのお気に召さなければ、私は引き返します。」
主の使いはバラムに言った。「その人たちと一緒に行け。しかし、わたしがあなたに告げることばだけを告げよ。」そこでバラムはバラクの長たちと一緒に行った。(34~35)

 

このバラムは先ほどまでのバラムではない。真に主の言葉を語るために生かされている者である。
死の淵を通って主を知ることがある。それは主のために生かされる命の恵みである。その人が恐れるのは死ではなく、生かされている主である。

 

バラクはバラムが来たことを聞いて、彼を迎えに、国境の端にあるアルノンの国境のイル・モアブまで出て来た。
バラクはバラムに言った。「私はあなたを迎えようと、人を遣わさなかったでしょうか。なぜ、私のところに来てくださらなかったのですか。私には、あなたをおもてなしすることが、本当にできないのでしょうか。」(36~37)

 

人は自分の計画のために神を礼拝する。偶像はそのために造られる。
天地創造の神を、自分の計画のために利用するような礼拝は、神に跪いてはおらず崇めてもいない。それは偶像と同じ扱いをしているのである。

 

バラクはバラムに「もてなしてやるではないか」と言う。もてなしてもらうことが目的なら、此処でバラムはバラクに仕える者となる。

 

バラムはバラクに言った。「ご覧なさい。私は今あなたのところに来ているではありませんか。私に何が言えるでしょう。神が私の口に置かれることば、それを私は告げなければなりません。」(38)

 

バラムはもう口先の言葉ではなく、神の言葉に生きる者であり、バラクに仕えるものではなく、神に仕えさせる者である。

 

あなたがたは古い人をその行いとともに脱ぎ捨てて、
新しい人を着たのです。新しい人は、それを造られた方のかたちにしたがって新しくされ続け、真の知識に至ります。(コロサイ3:9~10)


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

ムベ
デ某さんも腎がんという死の淵を通られましたね。
私はその御本を読んだことがありませんが・・、今もこれほどに鮮明に覚えておられるのですね。

人はみな一度死ぬ者ですが、死の淵に立たなければ、真正面から見つめることは無く、避けて避けてその時を迎えてしまうのです。
それでは、信じるだけで救われるまでにしてくださった、イエスさまの御救いも間に合わなくなるので、どのようにかして生きている間に死と真正面から向き合って、キリストの救いが成就して欲しいと願っての「石ころ」です。
その命は、御子を犠牲にするほどに神が愛しておられるいのちだからです。
デ某
高見順。
日本近代文学館の生みの親として知られる作家であり詩人です。
その作品を私は殆ど読んでいませんが、
詩集「死の淵より」は 折に触れ 幾度となく読み返しました。
食道がんで亡くなる前年(1964年)に書かれた詩集です。
ご自身の消えゆく命と若者達の躍動との対比が随所に光ります。
1971年に文庫本で買い求め それから半世紀余が経ちました。

> 死の淵を通って主を知ることがある。
> それは主のために生かされる命の恵みである。
> その人が恐れるのは死ではなく、生かされている主である。

高見順が この三行を意識して記したかどうかはわかりません。
が、死の淵にあって彼が見つめたものは 伝わってまいります。
澄明にして雄々しくも 怖れの断片はそこ此処にあり
読むたびに幾度も心をちぎられ しかし力の漲りを覚えました。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Weblog」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事