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石ころ

出会い



 朝から心に重くのしかかっていること。参加しなければならないことがあるけれどどうにもその気になれなかった。がんばるべきだけれど、正直がんばれない・・。

買い物に出かける直前になって、「やはり主に助けて頂こう」って、一言つぶやくような祈りだったけれど主に願った。「私に、その力をください。」


 スーパーで家族と別れてひとりショッピングカートを押していると、「ああ、むべちゃん!居た。居た。」って大きな声で手を振って2台のカートが突進してきた。
「ご主人に会って、来てるって聞いたから探していたんだよ。ほら、もうレジも終わったのに、わざわざ探して居たんだよ。」ってふたつの笑顔・・。

昔近所に住んでいた友人たち。探してもらったことが嬉しかった。積もる話をせわしくしやべった別れ際に、自分よりずっと若い彼女たちに、「体に気をつけてね。」と心から言った。いつまでも元気でいて欲しい、またこうして会いたいから。

彼女たちが繰り返した言葉が心に残った。「探しだんだよ。」探してもらった。だから出会えた。懐かしくてそのことがとても嬉しかった。
そう、私は淋しかったんだ・・。本当はずっと人恋しかったんだ。


 霊の深みに入り込むと、感情は置いてけぼりになってしまう・・ことさら無視するようになってしまう。
そんな感情の叫びさえ、主は知っていて下さったんだと思った。この出会いは出かけるときの祈りの答えだと気づいて・・。


 その夜、ポジティブに役割を果たす背中を押したのは、出会った彼女たちの笑顔であり、そのときの私の喜びだった。
素直に、側にいる人と笑って楽しめばいい、頑張らなくてもフッと居ればいい。そんな思いが心に満ちたから・・、
出かけてみると多くの人と居ることもいいなぁって・・、そんな良き時間を持つことが出来た。少しばかり、若い人のこと気遣ってあげることも出来た。

 
 不器用だから些細なことにも主の助けを必要としている。霊も魂も体も。
主は絶妙なバランスをご存じ。ただ、私の心が堅くなってひとりで頑張ろうとする時、主の助けを見失ってしまうだけ。
主は塩気を保って和合して暮らしなさいとおっしゃった。
塩気は自分自身に保って居ればよいものなんだ。

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