石ころ

「正しい」(創世記38章)

 

そのころのことであった。ユダは兄弟たちから離れて下って行き、名をヒラというアドラム人の近くで天幕を張った。
そこでユダは、カナン人で名をシュアという人の娘を見そめて妻にし、彼女のところに入った。(1~2)

 

ユダが兄弟を離れたことは当然な事であろう。罪を共にした者と傷を舐め合うことに何の良いこともない。

カナン人を妻に迎えることが禁じられていることをユダが知らないわけもないだろうが、主の忍耐のうちに彼への計画は変わることはなかった。


神の選びに相応しく在り続けることが、塵に過ぎない者に可能であろうか。誰でも、ただ神の忍耐によって祝福を受けているのである。

 

此処にユダの妻の名は書かれていない。ユダの妻の勤めは息子の嫁であるタマルが負うからであろう。聖書にイエスの家系として名が在るのはタマルである。

 

聖書には人の目に不都合な事実もありのままに書かれて、それはイエスの系図として新約聖書の冒頭に印されている。

 

これは息子の嫁が家系を継ぐ者を産む勤めのために、遊女を装って舅のユダに子を生んだ事実である。
そのようなことがありのままに書かれている聖書は、恐るべき真実の書である。

 

ユダの妻は三人の男の子を産んだ。

彼女は身ごもって男の子を産んだ。ユダはその子をエルと名づけた。
彼女はまた身ごもって男の子を産み、その子をオナンと名づけた。
彼女はまた男の子を産み、その子をシェラと名づけた。彼女がシェラを産んだとき、ユダはケジブにいた。
ユダはその長子エルに妻を迎えた。名前はタマルといった。
しかし、ユダの長子エルは主の目に悪しき者であったので、主は彼を殺された。(3~7)

 

ユダの血筋にあっても救いようのない長男エルは排除された。これはカナンの血筋が現れ出たことであろうか・・。
弟のオナンも、神の定めと父の願いを軽んじて、子孫を残す役割を負わずに排除された。神は才能ではなく素直さによって用いられる。神への素直さとは聖さである。

 

ユダは嫁のタマルに、「わが子シェラが成人するまで、あなたの父の家でやもめのまま暮らしなさい」と言った。シェラもまた、兄たちのように死ぬといけないと思ったからである。タマルは父の家に行き、そこで暮らした。(11)

 

日が経って、シェラによって子孫を得る望みがないことを悟ったタマルは、姑が死に、舅であるユダの居場所を知った時自分の役割を果たそうとした。

 

神はご計画を、単に人の行いの良し悪しによって左右されるものとはせず、人類の永遠の祝福のために、忍耐と憐みのうちに人の不足に耐えて、最善を成就させて下さる。

 

それでタマルは、やもめの服を脱ぎ、ベールをかぶり、着替えをして、ティムナへの道にあるエナイムの入り口に座った。シェラが成人したのに、自分がその妻にされないことが分かったからである。


ユダは彼女を見て、彼女が顔をおおっていたので遊女だと思い、
道端の彼女のところに行き、「さあ、あなたのところに入らせてほしい」と言った。彼は、その女が嫁だとは知らなかったのである。彼女は「私のところにお入りになれば、何を私に下さいますか」と言った。(14~16)

 

タマルはユダのしるしの品を受け取った。この計画が神から出たことであるとわかるのは、彼女が子を得たからである。子どもは神の祝福によるものである。

 

三か月ほどして、ユダに、「あなたの嫁のタマルが姦淫をし、そのうえ、なんとその姦淫によって身ごもっています」と告げる者があった。そこでユダは言った。「あの女を引き出して、焼き殺せ。」(24)

 

彼女の行為を姦淫というならそれは事実である。ユダも遊女と寝て姦淫を犯しているが、そのことは知らぬふりでタマルを裁こうとしたのだ。

 

イエスは姦淫の女が御前に引き出されて来たとき、「罪のない者から石を投げなさい」といわれると、その場には誰も居なくなった。ユダが居たら石を投げていたということであろう。

 

彼女が引き出されたとき、彼女はしゅうとのところに人を送って、「この品々の持ち主によって、私は身ごもったのです」と言った。また彼女は言った。「これらの印章とひもと杖がだれのものか、お調べください。」


ユダはこれを調べて言った。「あの女は私よりも正しい。私が彼女をわが子シェラに与えなかったせいだ。」彼は二度と彼女を知ろうとはしなかった。(25~26)

 

ユダの悔い改めは、二度とタマルを知ろうとはしなかったことである。主の赦しには明確な悔い改めが伴い、それによって罪赦された者は解放を得るのである。

 

ユダの「正しい」という言葉がそのとおりになって、タマルの名がイエスの家系として聖書に印された。


イエスの家系には正しい人々の名が印されているのではない。土の器に過ぎない人の弱さを持ちつつも、自分の成すべきことを、我を忘れて行った人々の名である。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Weblog」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事