石ころ

逃れの町(申命記19章)

 

あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地の国々を、あなたの神、主が絶ち滅ぼし、あなたがそれらを占領し、それらの町々や家々に住むようになったとき、(1)

 

国々を「主が立ち滅ぼし、あなたがそれらを占領し」とある。敵を滅ぼすのは主であり、その地をお言葉通りに支配するのである。

世にはあらゆる敵があり、それらを滅ぼされるのは主である。人のなすべきことはみことばへの従順。必要なことは、敵がどのようであるかを思い巡らせることではなく、主が何を命じられたかを覚えることである。

 

外敵を滅ぼした次に現れるのは内なる敵であり、罪の世では神の祝福のうちに在っても、問題が尽きることはない。
主はそれらを良くご存じであり、知恵ある備えを予め命じられる。それゆえ従順によって平和を得るのである。

 

あなたの神、主があなたに与えて所有させようとしておられるその地に、三つの町を取り分けなければならない。
あなたは距離を測定し、あなたの神、主があなたに受け継がせる地域を三つに区分しなければならない。殺人者はだれでも、そこに逃れることができる。(2~3)

 

意図せずに命を奪ってしまったり、傷つけることが起こるのは、罪が入った人の不完全さによることである。主はその弱さにも寄り添って、必要を備えるように命じられる。

 

これは、その場所に逃れて生きることができる場合、すなわち、前から憎んでいたわけではない隣人を、意図せずに打ち殺してしまった殺人者に関する規定である。(4)

 

「いのちにはいのち、目には目、歯には歯」と主が復讐に限度を設けられたのは、悲しみと怒りのままに、相手の全てを奪うことのないためであった。
此処で神は、過ちによって死なせた者が復讐から逃れる町を設けられた。

悪意が無く不用意に命を奪ってしまったた者に対する守りである。それは不用意なこと故に、復讐する者にとってもいつ立場を変えることになるかわからないことである。

 

たとえば、隣人と一緒に、木を切り出そうと森に入り、木を切るために斧を手にして振り上げたところ、斧の頭が柄から抜けて隣人に当たり、その人が死んだ場合、その者はこれらの町の一つに逃れて生きることができる。(5)

 

復讐が在るのは、悪意があろうとなかろうと、愛する者を喪った家族の嘆きには変わりがないからである。そのやり場のない悲しみの向かう所が、相手に同じ悲しみを負わせるという希望の無い繰り返しになる。

 

血の復讐をする者が怒りの心に燃え、その殺人者を追いかけ、道が遠いためにその人に追いついて、打ち殺すようなことがあってはならない。その人は前から相手を憎んでいたわけではないから、死刑に当たらない。
それゆえ私はあなたに命じて、「三つの町を取り分けよ」と言ったのである。(6~7)

 

逃れることが出来る距離に備えられた町は、人の弱さ足りなさを覆うものである。
キリストの十字架の救いはただ信仰によって完全に、そう神が彼の罪を忘れるほとに完全に贖うものである。

いのちの嘆きを解消するのは、唯一はキリストに在る永遠のいのちの希望である。滅びることなきいのちの望みが復讐心を癒やし、キリストの平安が心に訪れるのである。

 

しかし、もし人が自分の隣人を憎み、待ち伏せして襲いかかり、彼を打って死なせ、これらの町の一つに逃れるようなことがあれば、
彼の町の長老たちは人を遣わして彼をそこから引き出し、血の復讐をする者の手に渡さなければならない。彼は死ななければならない。(11~12)

 

この町には悪意をもった殺人者は入れない。「いのちのはいのち」が求められ彼の命が守られることはないのだ。


しかしキリストの贖いは、それまでの行いに悪意の有無を問わない。意図の有無を問わず、キリストに救いを求めるすべての者の過去、現在、未来の罪の代価を、神の前に完全に支払うものである。

 

神の子の聖なる命を持って御父のご計画を行い、信じる者をすべての罪科から救い出してくださったのだ。キリストの十字架によって救われない罪は何もない。

 

ただ、天地創造の神の愛を信じず、御子キリストを拒絶するなら、その人は十字架の贖いとは無関係であり、自分の罪を抱いて死ぬことになる。それが彼の選びによることだからである。

 

神は御子キリストの十字架の血潮の洗いにより、キリストを信じ告白する者を義としてくださった。神はキリストをすべての罪びとのいのちを救う完全な逃れの町として、罪なき命を提供して下さった。それも、イエスの御名を口にして祈り求める者のごく近くに・・。

 

もしあなたの口でイエスを主と告白し、あなたの心で神はイエスを死者の中からよみがえらせてくださったと信じるなら、あなたは救われるからです。(ローマ10:9)


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