短歌
露天風呂 孫の優しさ 背に受けて
蝉の鳴き声 風涼やかに
嫁さんが「おかあちゃんのご飯」と喜んでくれていたので、それは私の拠って立つ所でもあったが、徐々に重荷となり、無理をしても以前のようには行かなくなった。
否応もない老化の現実に戸惑っていたが、自然に嫁さんや息子たちがしてくれて、食事作りも後片付けも私はゆっくりさせてもらっていた。
帰りがけに「そうだよ。お母ちゃんはして欲しいことを言うだけでいいのよ」と言う嫁さんの言葉に、案じていた老化が喜びになった。
彼女は、私が訴える足指の痛みを手で触れて見てくれ、巻き爪の補助具を探してくれた。夜になるとズキズキする痛みは、爪が食い込んでいると彼女に指摘されて分かったことだった。
折角、温泉で背中を流してくれた孫娘に、相変わらず私が言いたいことを言ってしまって、ご機嫌を損ねてしまった。これも、何時ものこと。こんなことも家族ゆえ・・。家族に甘える年寄りの醍醐味を知ったが、帰宅前の集合写真に「いや、シャンとせんとあかん」と思っていたら、横綱みたいにえばって写っていた。一番弱いのに・・。