本書では、音道サン、今までの警視庁機動捜査隊員として勤務していた立川分駐所から隅田川東署に転勤した設定になっています。隅田川、という地名が示すとおり、そこは東京の下町でありまして、もともと下町出身の彼女にとっては何となく親しみを感じる土地柄であるはずです。
しかししかし、現代社会には、そしてその現代社会に生きる人間たちの心の底には得たいのしれない悪意・闇があまねく潜んで、そんな本来人情あふれる土地柄の下町でも時折牙をむく・・・それが「犯罪」という形をとって社会の表層に現れてくる・・・そんなテーマを持つ4つの話を例によってうまーく料理していますね!
どの話も格別凶悪な犯罪を扱ってはいませんが、登場する犯人たちの心の奥底からの孤独、あるいは絶望といったものにゾッとする気がするのも私だけではないでしょう。
少し異色なのは、第3短編の「木綿の部屋」です。音道サンとかつて名コンビを組んでいた「皇帝ペンギン」こと滝沢刑事の娘夫婦の問題に一夜付き合うことになった彼女の脳裏に「家族」や「愛」に関して色々な思索が生まれます。犯罪らしい犯罪が発生しない話なのですが、彼女の恋愛観や人生観に多く触れられる本編は、特に彼女のファンにとっては貴重な1篇かもしれません。
もうひとつ、音道ファンにとって気になるのは、ほとんど全篇に恋人である昂一さんとの交流が描かれていること、それが音道サンの精神を概ね安定させ全体を通じて落ち着いた印象を与えているような感じがします。私生活でもハードな仕事の合間にちょっと恋人と電話で話して心が落ち着く・・・という事があると思うけど、そんな二人のいい関係が好ましい雰囲気を全篇に漂わせているのです。
二人のこれからの成り行きも気にならなくはないけど、新刊の「風の墓碑銘」では再び滝沢刑事とコンビで凶悪犯罪に挑むそうですので、そちらも非常に楽しみデース!
しかししかし、現代社会には、そしてその現代社会に生きる人間たちの心の底には得たいのしれない悪意・闇があまねく潜んで、そんな本来人情あふれる土地柄の下町でも時折牙をむく・・・それが「犯罪」という形をとって社会の表層に現れてくる・・・そんなテーマを持つ4つの話を例によってうまーく料理していますね!
どの話も格別凶悪な犯罪を扱ってはいませんが、登場する犯人たちの心の奥底からの孤独、あるいは絶望といったものにゾッとする気がするのも私だけではないでしょう。
少し異色なのは、第3短編の「木綿の部屋」です。音道サンとかつて名コンビを組んでいた「皇帝ペンギン」こと滝沢刑事の娘夫婦の問題に一夜付き合うことになった彼女の脳裏に「家族」や「愛」に関して色々な思索が生まれます。犯罪らしい犯罪が発生しない話なのですが、彼女の恋愛観や人生観に多く触れられる本編は、特に彼女のファンにとっては貴重な1篇かもしれません。
もうひとつ、音道ファンにとって気になるのは、ほとんど全篇に恋人である昂一さんとの交流が描かれていること、それが音道サンの精神を概ね安定させ全体を通じて落ち着いた印象を与えているような感じがします。私生活でもハードな仕事の合間にちょっと恋人と電話で話して心が落ち着く・・・という事があると思うけど、そんな二人のいい関係が好ましい雰囲気を全篇に漂わせているのです。
二人のこれからの成り行きも気にならなくはないけど、新刊の「風の墓碑銘」では再び滝沢刑事とコンビで凶悪犯罪に挑むそうですので、そちらも非常に楽しみデース!
コメント&TBありがとうございます。
早速、遊びに来ました。
私も「風の墓碑銘」楽しみにしており、文庫化が待ち遠しいです。
後、もう一つ書かれている「聖なる黒夜」読んでみたいと思いました。
偏った作家さんばかり読む傾向があるので、こういうきっかけは嬉しいです。
またお勧めがあれば、書いて下さい。