新古今和歌集の部屋

歌論 正徹物語 上 66、67、77



66
藻しほは、藻にしみたる鹽也。されば藻に寄する戀にも、もしほと讀むべき也。定家は藻鹽の枕と讀み侍り、只鹽ならば枕にはすべからず云々。

67
毎月御百首の書は、定家の鎌倉の右府の方へ進められし抄也。此樣安/\別したる事もなき物が重實也。やうがましく
あし引とはいかやうなる事
など樣々書きたるは、皆他家の説にて、家の口傳にては無き也。是をば毎月抄と申す也。
萬葉の古風しばらく御さしをき候へ
と、右府の方へ申されし云々。

77
定家卿の書きたる物に、「哥はいかやうに讀み侍るべき事にと尋ね侍りしに、『心ざしの及ぶ所にかなはんとすべし』と申されし、今も思ひ合せられ侍りて、有りがたき親のをしへなり」と書き給へり。心ざしに淺深有るべし。初心の時は、初心の心ざしの及ぶ所にかなはん樣に、うちむきて讀むべし。後心には、何とかけりても、心ざしの及ぶ所に叶ふべき也。
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