新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

『猫と庄造と二人のをんな』について

2024年02月04日 | 作家論・文学論
猫を抱く少女 ジュリー・マネの肖像 - 新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ) (goo.ne.jp)https://blog.goo.ne.jp/kuro_mac/e/bc8bf6fb9926d6c91ea29af423c4c9d5きのうご紹介した《猫を抱く少女》の猫、私の知る限り、かわいい猫画像ベスト3に入ります(そんなんに猫画像に詳しいわけではないですけれどね)。最近、谷崎潤一郎の『猫 . . . 本文を読む

生き急いだ人 太宰治生誕100年(再録)

2024年01月20日 | 作家論・文学論
「弘前の人には、そのやうな、ほんものの馬鹿意地があつて、負けても負けても強者にお辞儀をする事を知らず、自矜の孤高を固守して世のもの笑ひになるといふ傾向があるやうだ」(『津軽』)『津軽』は、太宰が自分のルーツを訪ねて歩いた津軽風土記。親友の亀井勝一郎、師の佐藤春夫は、『津軽』を太宰の最高傑作にあげた。なぜか人気のライトノベル『マリア様がみてる』(通称・マリみて)シリーズに、この作品に対する言及がある . . . 本文を読む

ドールと少女 澁澤龍彦『少女コレクション序説』とその時代

2023年12月07日 | 作家論・文学論
フランスの懐メロアイドルソングを引用したり、源氏物語を引用したり、少女=人形論批判の続きです。前振りが長く続いてしまいました。◆少女コレクションとその時代何年か前、仕事のお付き合いで、『文豪ストレイドッグス』劇場版を観に行きました(いろいろな付き合いがあるのです)。映画の内容についてはとやかく申しません。ただ、澁澤龍彦が芥川、太宰、ドストエフスキーと同格のラスボスなのには、「ふむ?」でした。澁澤龍 . . . 本文を読む

晩秋のあさがおと大和和紀さん

2023年11月01日 | 作家論・文学論
ある夜見た夢をモチーフに、いま書いている小説は、5パート構成の短編です。小説を書くのは、ずいぶん久しぶりです。原稿用紙換算で、10枚から20枚で収まるかなと思っていたのですが、第1パートの中半部ですでに2500字越え(6枚越え)。他者に対してすっかりこころを閉ざした気むずかしい主人公が、突然の来訪者に気を許し、過去の片鱗を見せるまでには、それだけの字数が必要になりました。もしかすると、中編くらいの . . . 本文を読む

バックボーンは太宰治?

2023年10月21日 | 作家論・文学論
昨夜の話の続きになるかもしれませんが……れんちゃんのお父さんは、若いころ対立セクトに属していたある人に、酒の席でこういわれたそうです。「あなたの思想的バックボーンは謎だ。かつてマルクス・レーニン主義党派に属しながら、ちっとも左翼らしくない。たった✕✕✕人の組合員を率いて、世界に冠たる✕✕社からの企業潰し攻撃を退けたあなたは、極左過激派の鏡だ。しかし、思想以外の言動、行動 . . . 本文を読む

漱石と鴎外、そして御田植神事

2023年10月09日 | 作家論・文学論
10代の若者アンケートで、「知らない日本語」の第一位が『忠臣蔵』で、認知度も1%にすぎなかったそうです。『忠臣蔵』がライフワークのひとつだった池波正太郎が聞いたら、激怒しそうですね。「おじいちゃん、最近の若者から見ると『忠臣蔵』はアホな主君のために従業員が犠牲になる、コンプライアンス上大いに問題のある、元祖ブラック企業物語ということになっているんですよ」「法令遵守をいうなら、吉良がお咎めなしこそ、 . . . 本文を読む

司馬の碑文について

2023年09月15日 | 作家論・文学論
『大阪城公園駅』の碑文について、触れました。1983年、大阪城400周年記念イベントと合わせて開業した、大阪城公園駅に掲げられた巨大な陶板の碑文です。(とりあえず、書き起こしにリンクを設定します)最初にお断りしておくと、司馬は、この碑文のなかで、良いことも言っているんですよ。「この城は落城することによって歴史を旋回させてきた」という主旨の指摘は、重要です。この碑文に「感動した」とおっしゃる方もいま . . . 本文を読む

このブログは吉村昭推しです……司馬遼太郎生誕100周年だそうですが?

2023年09月13日 | 作家論・文学論
今年は、司馬遼太郎の生誕百周年なんですね。昼の食堂で、NHKの『雑談「昭和」への道』番宣が流れて、気が付きました。1980年代のインタビュー番組の再放送のようですね。この番組そのものには興味ありませんが、司馬が関東大震災と同じ年に生まれたというのは、少し発見でした。以前、このブログにも書いたとおり、小学校時代の親友の薦めで『竜馬がゆく』も読み、そこそこ好きでした。司馬作品から離れるきっかけは、左翼 . . . 本文を読む

【資料】司馬遼太郎 大阪城公園駅陶板レリーフ 碑文

2023年09月12日 | 作家論・文学論
大阪城公園駅 おごそかなことに、地もまたうごく。 私どもは、思うことができる。この駅に立てば、台地のかなたに渚 [なぎさ]があったことを。遠い光のなかで波がうちよせ、漁人 [いさりびと]が網を打ち、浜の女 [め]らが藻塩 [もしお]を焼いていたことども。秋の夜、森の上の星だけが、遙かな光年のなかで思い出している。 夏、駅舎の前の森の露草の花の青さにおどろくとき、またたきの間 [ま]でも茅渟 [ちぬ . . . 本文を読む

消えたサンボ 逃げおせたピーター(付録:上製本のはなし)

2023年09月08日 | 作家論・文学論
一年前の記事です。ピーターラビット展の図録から、上製本のはなしに。私はこの図録は造本上、欠陥品であると指摘したわけですが、本に興味のない人にはイメージしづらかったと思います。図録の写真を撮ろうとしたら、どこかに行ってしまっていました。回り道ですが、岩波文庫・新潮文庫・ハヤカワ文庫が採用する「天アンカット製本」の話を書き加えました。われながら、ほかでは読めない、わかりやすい説明だと思います。他で読む . . . 本文を読む