ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

南摩ダム

2024-01-24 08:00:00 | 栃木県
2023年 3月20日 南摩ダム
2023年12月15日
 
南摩ダムは栃木県鹿沼市上南摩の利根川水系南摩川に水資源機構が建設中の多目的ロックフィルダムです。
利根川・荒川水資源開発基本計画 の一環として1969年(昭和44年)に利根川水系渡良瀬川の主要支流である思川での河川総合開発計画が採択され、その中核施設として南摩ダム建設事業が着手されました。
しかし用地買収の難航に加えバブル崩壊以降の利水需要の低減や公共工事見直し機運の高まりなどもあり事業は停滞します。
2016年(平成28年)に国土交通省は思川開発事業の『継続』を決定、これを受けダム建設事業が本格的に始動し、2020年(令和2年)より本体工事が着手され2024年(令和6年)竣工をめどに現在は堤体盛り立て工事が行われています。
完成の暁には、思川水系の洪水調節(最大150立米/秒の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、異常渇水時の用水補給、栃木県南部・埼玉県および北千葉広域水道企業団への上水道用水の供給を目的として運用される予定です。

南摩ダム最大の特色は遮水方式としてコンクリート表面遮水壁型が採用された点です。
コンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)は戦後間もなくの初期のロックフィルダムで複数採用されたものの、コンクリートの変形や劣化など耐久性に問題があり長く採用されることはありませんでした。
しかし技術革新によりこの問題が克服され、国内ダムの主堤体としては1972年(昭和47年)の岩手県の荒沢1号ダム以来実に50数年ぶりの建設となります。
事業を担当する水資源機構思川開発建設所で伺ったところCFRDを採用した一番の理由は『工期の短縮』。
CFRDはコア型ロックフィルダムに比べて堤体積の大幅削減が可能で工期の短縮、敷いては経費削減にもつながるとのことです。

ダムは南摩川に建設されますが、139.3平方キロの集水域のうち自己流域は12.4平方キロのみでその9割以上は思川主要支流の黒川及び大芦川からの導水によります。
黒川、大芦川にはそれぞれ取水放流工を設け南摩ダムへ導水する一方、渇水時には南摩ダムから両河川へ補給を行い河川流量を維持します。
また東日本のダムとしては初めて『渇水対策容量』が配分され、異常渇水時には1000万立米を利根川水系に補給します。

取水・放流工及び導水路(水資源機構思川開発建設所HPより)
黒川、大芦川から導水するだけではなく、渇水時にはダムから両河川に補給を行う双方向の導水路になっている点が特徴。
農業調整池では双方向の導水はままありますが、多目的ダムでは初めての例ではないでしょうか?

南摩ダムには2023年(令和5年)3月に初訪、同年12月に水資源機構職員様案内による見学会で再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
残念ながら見学会に際して工事現場内での写真はダムが完成するまでアップしないという条件となっています。

建設現場は左岸ダム上流側に設けられたダムサイト展望広場から遠望できます。
訪問時は堤体の盛り立てが佳境に入っていました。
(2023年3月20日)


南摩ダムの売りである、コンクリート表面遮水壁の建設作業はまだこれから。
(2023年3月20日)

右岸接岸部ではプリンスの設置工事が行われています。
(2023年3月20日)


見学会の開始前に展望台から
左岸側(向かって右手)からフェイススラブ(コンクリート表面遮水壁)の打設が始まっています。
また左岸では取水塔が8分程度出来上がってきました。
(2023年12月15日)


残念ながらこの日は雨予報のためメインスラブの打設は中止。
スリップフォーム(移動式型枠)には白いシートがかかっています。
(2023年12月15日)


左岸の管理棟建設も順調に進んでいます。
(2023年3月20日)

こちらはダム湖上流の南摩注水工の建設現場
大芦川・黒川からの導水がここから注水される一方、渇水時には南摩揚水機場からここ経由で大芦川・黒川に補給されます。
(2023年12月15日)


大芦川の取水放流工建設現場。
(2023年12月15日)


黒川の取水放流工建設現場。
(2023年12月15日)


ダム湖上流の原石山。
(2023年12月15日)


たぶん関東では水資源機構が手掛ける最後のダムになるであろう南摩ダム。
CFRDと言う型式以外にも特徴が多く、堤体完成後や試験湛水時も再訪したいものです。

0576 南摩ダム(1966)
栃木県鹿沼市上南摩町
利根川水系南摩川 
FNW 
 
86.5メートル 
359メートル 
51000千㎥/50000千㎥ 
水資源機構 
2024年竣工予定

大郷戸ダム

2023-04-08 18:00:00 | 栃木県
2015年12月04日 大郷戸ダム
2023年 3月20日
 
大郷戸ダムは栃木県芳賀郡益子町大郷戸の利根川水系小貝川左支流松本川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
益子町では灌漑用水源を小貝川および小規模溜池に依存していましたが、用水不足が絶えず安定した水源確保と灌漑設備の整備が求められていました。
1976年(昭和51年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県営かんがい排水事業及び圃場整備事業が着手され、その灌漑用水源として1986年(昭和61年)に竣工したのが大郷戸ダムです。
管理は益子町土地改良区が受託し、約400ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。

益子といえば益子焼を連想しますが、大郷戸は『水と緑の大郷戸』をキャッチフレーズに豊かな自然との共生を図っており、ダム湖岸には遊歩道や親水設備が設けられているほか、ダム回りの丘陵地は『大郷戸アルプス』として登山道が整備されています。
大郷戸ダムには2015年(平成17年)12月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。

ダム下の放流設備(2015年12月4日)。


ロックフィルダムですが堤体には芝が張られ見た目はアースっぽくなっています。
(2015年12月4日)


右岸ダムサイトの管理事務所
職員の常駐はありません。
初回訪問時は多数の釣り師が釣り糸を垂れていましたが、今は釣り禁止。
釣り糸をはじめゴミの放棄など行状の悪さによる自業自得です。


天端をはじめダム湖を周回する道路は車両の通行ができます。


総貯水容量は28万9000立米。
関東では珍しく自然林に囲まれています。
紅葉は素晴らしいだろうなあ。


天端から
ダム下は杉林、リップラップは秋冬に草が刈られます。


左岸の洪水吐斜水路
減勢工には1枚目写真の放流設備からの河川維持放流が流れ込んでいます。


左岸の横越流式洪水吐。


上流面はロック材で護岸。
唯一ロックフィルダムが確認できるパート。


関東では珍しい取水塔
陽に照らされ赤が鮮やか。


湖岸の記念碑。


ダム湖上流にある副ダム。
貯砂ダムと言うよりは親水設備として作られたようです。
対岸に歩いて渡ることもできます。


インレットは芝生の公園になっています。


ダム湖上流湖畔には遊歩道が設けられています。


 かつては釣りスポットとして知られた大郷戸ダムですが、釣りが禁止となり今はひっそり。
環境整備は素晴らしく、桜のや紅葉の季節にお弁当でも持参してのんびり過ごしたいダムです。

0579 大郷戸ダム(0079)
栃木県芳賀郡益子町大郷戸
利根川水系松本川
27.7メートル
150メートル
289千㎥/274千㎥
益子町土地改良区
1986年

菅又調整池

2023-04-07 18:00:00 | 栃木県
2015年12月04日 菅又調整池
2023年 3月20日
 
菅又調整池は栃木県芳賀郡茂木町下菅又にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
栃木県南東部に位置する芳賀台地は地味肥沃ながら水利に乏しく、生産性向上のため灌漑施設の整備が強く求められてきました。
1982年(昭和57年)に農水省による国営芳賀台地農業水利事業が着手され、栃木県が建設を進める東荒川ダムに特定灌漑容量を確保するとともに、灌漑施設の整備が進められその調整池として2002年(平成14年)に竣工したのが菅又調整池です。
農業水利事業全体も2004年(平成16年)に竣工し、6町にまたがる約2700ヘクタールの田畑向けの灌漑設備が整備されました。
管理は併せて建設された塩田調整池などとともに芳賀台地土地改良区が受託しています。
事業の竣工により首都圏から100キロ圏内と言う立地の良さを生かし効率的な近郊農業経営が可能となりました。
菅又調整池には2015年(平成17年)12月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。
 
茂木から国道294号を北に進むと左手に菅又調整池が見えてきます。
ダム下の建屋は揚水機場。


クレスト自由越流頂1門の簡易な洪水吐。


ダムサイトに上がります。
農業用ダムではおなじみ事業概要説明板。


天端にはチェーンが張られています。
塩田調整池訪問時に土地改良区で確認したところ、徒歩での立ち入りはOKとのこと。


上流面。


天端から
手前は放流設備、奥は揚水機場
減勢工は隧道を流下し100メートルほど先で小川に合流します。
菅又調整池の自己流域はわずかで集水の大半は塩田調整池からの導水によるため、簡易な洪水吐や減勢工で十分なんでしょう。


総貯水容量49万立米の貯水池。
集水の大半は塩田調整池からの導水によります。
導水路流入口は立ち入り禁止の上流側にあり見ることはできません。


日本家屋風?の取水設備機械室。


右岸から
堤高28.4メートルで堤頂部の『襟』がずいぶん大きく見えます。


天端は2車線幅ありますが、車両進入禁止。


右岸には駐車場らしきものがあります。
当所は塩田調整池同様親水施設として利用するつもりだったのでしょう。


洪水吐と取水設備。


3279 菅又調整池(0080)
栃木県芳賀郡茂木町菅又 
那珂川水系荒川
28.4メートル
105メートル
490㎥/488㎥
芳賀台地土地改良区
2002年

塩田調整池

2023-04-06 18:00:00 | 栃木県
2015年12月04日 塩田調整池
2023年 3月20日
 
塩田調整池は栃木県芳賀郡市貝町塩田にある灌漑目的のロックフィルダムです。
栃木県南東部に位置する芳賀台地は地味肥沃ながら水利に乏しく、生産性向上のため灌漑施設の整備が強く求められてきました。
1982年(昭和57年)に農水省による国営芳賀台地農業水利事業が着手され、栃木県が建設を進める東荒川ダムに特定灌漑容量を確保するとともに、灌漑施設の整備が進められその調整池として2000年(平成12年)に竣工したのが塩田調整池です。
農業水利事業全体も2004年(平成16年)に竣工し、6町にまたがる約2700ヘクタールの田畑向けの灌漑設備が整備されました。
管理は併せて建設された菅又調整池などとともに芳賀台地土地改良区が受託しています。
事業の竣工により首都圏から100キロ圏内と言う立地の良さを生かし効率的な近郊農業経営が可能となりました。

ダムに隣接して整備された芝ざくら公園は関東屈指の芝さくら公園として開花期には人気の観光スポットとなっているほか、ダム湖の『芳那の水晶湖』 も渡り鳥の休息地として知られ、冬場には多くの野鳥を見ることができます。
塩田調整池には2015年(平成17年)12月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
日時掲載写真以外はすべて再訪時のものです。

ダム下から
ロックフィル堤体ですが芝が張られ見た目はアースのようです。
凍上防止のため北海道などではロックフィルに芝が張られるケースが多々ありますが関東では珍しい。
向って左手(右岸)は洪水吐斜水路。
右手の建屋は浸透水観測所、左手は放流設備、青い鉄管は斜樋からの水路管。


ダム下には塩田揚水機場があります。
取水設備からの水がここで二つの幹線水路に揚水されます。


ダム上流から
『芳那の水晶湖』と名付けられたダム湖は総貯水容量は158万立米
集水はほぼすべて荒川からの導水によります。


ズームアップ
右手に斜樋、左手に越流式洪水吐があります。
湖畔には東屋が設けられるなど公園として整備されています。


右岸高台から
堤体は下流側から左岸に伸び堤頂長は460メートルに及びます。


森田頭首工からの流入口
訪問時は水田向け非灌漑期のため流入はなし。


右岸にある越流式洪水吐。(2015年12月4日)


洪水吐導流部
この先、1枚目写真の斜水路を流下します。


天端から
1枚目写真はちょうどこの下から撮りました。
手前建屋は浸透水観測所、青い鉄管は斜樋からの水路管、左手に半身で見えるのが揚水機場。


左岸から下流面
ロックフィルですが芝が張られ、草も伸びています。


天端は徒歩のみ開放
高台の建物は土地改良区地事務所
森田頭首工以下全ての施設をここで管制します。


右岸の斜樋
ここで取水された水が2枚目写真の揚水機場に送られます。

芳賀台地土地改良区ではパンフレットを作成して管理施設の紹介をしています。
詳しくはこちらをクリック。

3153 塩田調整池(0081) 
栃木県芳賀郡市貝町塩田 
那珂川水系荒川
29メートル
460メートル
1580㎥/1577㎥
芳賀台地土地改良区
2000年

西古屋ダム

2023-04-04 18:35:00 | 栃木県
2015年10月31日 西古屋ダム
2023年 3月20日
 
西古屋ダムは栃木県塩谷郡塩谷町船生の一級河川利根川水系鬼怒川左支流白石川にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により新たに誕生した東京電力は戦後の電力不足に対処するため積極的な電源開発や既設発電施設の増強を進めます。
鬼怒川水系では流域最大の発電能力を持つ下滝発電所の再開発に着手、1963年(昭和38年)に鬼怒川発電所として生まれ変わり、発電能力は従来の4万3000キロワットから12万7000キロワットに大幅増強されました。
一方で、従来下滝発電所の逆調整池の機能を担っていた中岩ダムでは増強された新発電所の水位変動を吸収することは不可能なため、鬼怒川左支流白石川に新たな逆調整池として西小屋ダムを建設するとともに、鬼怒川発電所放流口から当ダムへの導水トンネルを開削しました。
西古屋ダムは鬼怒川発電所と同じ1963年(昭和38年)に完成し、鬼怒川発電所の放流水の水量調整を行うとともに、併せて建設された塩谷発電所(最大出力9200キロワット)でダム式発電を行います。
全国には多くの発電用逆調整池がありますが、西古屋ダムのように河川変更による逆調整池は非常に珍しい存在と言えます。
西古屋ダムには2015年(平成17年)10月に初訪、2023年(令和5年)3月に再訪しました。
日時掲載写真以外はすべて再訪時のものです。

ダムには左右両岸からアプローチできますが、まずは右岸から
右岸の堤体は川からさらに50メートル以上続いています。
盛土されたのか?基礎地盤の関係でこうなったのか?

アングルを変えて。


右岸から超広角で
右岸ダム下に放流設備と分水工があります。
ここではダム建設以前からの既得灌漑用水と河川維持放流を分水します。


分水工をズームアップ
左手が河川維持放流、ゲートの先が灌漑用水路となります。
訪問時は非灌漑期のため、ゲートが閉められ河川維持放流が左手から白石川に流下します。
灌漑期になるとゲートが開けられ余水が河川維持放流となります。


洪水吐としてクレスト自由越流頂7門を備えています。
下の穴は排砂ゲート。


左岸から
写真左下に河川維持放流が見えます。(2015年10月31日)


転流工トンネル。(2015年10月31日)


左岸から天端
初回訪問時は天端への立ち入り規制はありませんでした。
現在は立ち入り禁止となっています。(2015年10月31日)


水利使用標識。


天端から減勢工を見下ろす
集水の大半が鬼怒川からの導水によるためか?水叩きだけの簡易な減勢工。
(2015年10月31日)


堤体右岸側にあるフローティング式の取水設備
ここで取水された水が3枚目、4枚目写真の分水工に送られます。
(2015年10月31日) 


上流面
手前が塩谷発電所向け取水工
奥の取水塔は今は稼働してないようです。


総貯水容量54万7000立米の貯水池。
白石川の集水域はわずか3%で貯水量の大半は鬼怒川からの導水に依ります。


鬼怒川からの導水路吐口。
 
(追記)
西古屋ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0562 西古屋ダム(0027) 
栃木県塩谷郡塩谷町船生 
利根川水系白石川
21.5メートル
189.7メートル
547㎥/400㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1963年
◎治水協定が締結されたダム

矢の目ダム

2021-05-09 00:47:01 | 栃木県
2015年12月19日 矢の目ダム
2021年 5月 4日
 
矢の目ダムは栃木県那須町豊原甲の那珂川水系板敷川にある灌漑目的のロックフィルダムで、1990年(平成2年)に栃木県のかんがい排水事業で建設されました。
完成後は那須町が受託管理を行い570ヘクタールの農耕地に灌漑用水を供給しています。
ダム周辺は県の水環境整備事業によってダム下公園や遊歩道などが整備され周辺住民の憩いの場となっているほか、貯水池湖面もカヌー教室などに利用されています。
矢の目ダムには2015年に初めて訪問し、2021年5月に再訪しました。
日付表記のない写真はすべて2021年5月のものです。
 
県道105号から矢の目ダムの標識に従って北に折れると、ダムが見えてきます。
ロックフィルダムですが、堤体には芝が張られ見た目はアースダムのようです。
 
ダム下流にある取水設備からの放流設備。
2種類の放流管があります。
 
ダム右岸の余水吐導流部(2015年12月19日)。
 
ダム右岸の横越流式余水吐。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
立派な天端ですが車両は進入禁止。
 
上流面も当然ロックフィル
奥は管理事務所。
 
総貯水容量110万立米と農業用フィルダムとしてはかなりの大きさです。
ダム湖上流は別荘地が続き自然公園になっています。
訪問時はカヌー教室が開かれていました。
 
赤が目立つ取水塔。
栃木県の農業用ダムは取水塔が多いですね。
 
ダム下は県の水環境整備事業で整備され公園になっています。
 
ダム下から。
 
周辺は定住者の多い別荘地ということもあるんでしょうが、下手な県ダムよりも環境整備が進んでいます。
湖面ではカヌー教室が開かれ、湖畔の遊歩道を何人もの住民が散歩やランニングを楽しんでいました。
 
(追記)
矢の目ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0575 矢の目ダム(0128)
栃木県那須郡那須町豊原甲
那珂川水系板敷川
29メートル
187メートル
1100千㎥/940千㎥
那須町
1990年
◎治水協定が締結されたダム

千振ダム

2021-05-09 00:32:55 | 栃木県
2021年5月4日 千振ダム
 
千振(ちぶり)ダムは栃木県那須郡那須町豊原乙の那珂川水系黒川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のロックフィルダムです。
ダム便覧には1971年(昭和46年)に栃木県の事業で竣工と記されており、現在は那須町土地改良区が管理を行っています。
ダムの手前200メートルほどにゲートが設置されダムに立ち入ることはできません。またダム上流側も那須ちぶり湖カントリークラブの敷地となっており、これまた立ち入り不可能です。
 
ダム手前のゲート。
 
ゲートから遠望
型式はロックフィルダムですが下流面に草が生え、見た目はアースフィルのようです。
 
こちらはグーグルの空撮写真
貯水池には取水塔、左岸に横越流式余水吐があります。
またダム下には底樋と思しき施設が見えます。
 
0566 千振ダム(1619)
栃木県那須郡那須町豊原乙
那珂川水系黒川支流
23メートル
130メートル
354千㎥/335千㎥
那須町土地改良区
1971年

沼原ダム

2021-05-07 00:54:31 | 栃木県
2021年5月4日 沼原ダム
 
沼原(ぬまっぱら)ダムは栃木県那須塩原市板室にある電源開発(株)が管理する発電目的のアスファルトフェイシングフィルダムで、揚水式発電の沼原発電所の上部調整池として1973年(昭和48年)に竣工しました。 
1960年代半ばから発電の主力は火力へと移り、さらに原子力発電の台頭もあり水力発電のシェアは低下する一方でした。しかしオイルショックによる原油高騰をうけて電力各社は水力発電に再着目、特に火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効に利用できる上に電力消費のピークに合わせて大出力の発電が可能な揚水発電に注目が集まりました。
電源開発(株)は農林省(現農水省)による深山ダム建設事業に発電事業者として事業参加、同ダムを下部調整池、沼原ダムを上部調整池とした沼原発電所を建設しました。
同発電所では上部ダムの沼原ダムと下部ダムの深山ダムの有効落差478メートルを利用して最大67万5000万キロワットの揚水式発電を行っています。
沼原ダムは那須山系南西端の標高1230メートルにある沼原と呼ばれる湿地帯に日本初のプール状貯水池として建設されました。
 
那須ハイランドGCから「沼原」の標識に従って北上すると正面に沼原ダムの下流面が見えてきます。
 
見えているのは自然の斜面を生かした下流面の一部で、実際の堤頂長はダム全周にわたり1597メートルに及びます。
 
ダム北側には湿原が残り、一帯は沼ッ原園地として遊歩道が整備されています。
また那須登山の起点にもなっており100台前後が駐車できる駐車場も設けられています。
 
案内板に書かれた沼原発電所概要図。
 
沼原池の石碑。
 
 
沼原ダム敷地はフェンスに囲まれ立ち入ることはできません。
ダム東側の展望台から
貯水池はいわば巨大な皿池で、上流面はすべてアスファルトにより遮水処理されています。
 
ダムの背後には男鹿山塊が続きます。
堤体の白線は水位目盛りで、この下に発電所への送受水設備があります。
 
こちらはダム堰堤北側。
 
ズームアップします
右手の草地が沼原湿原となります。
 
下部ダムである深山ダム湖範囲ある沼原電力所。
実際の発電所は地下にあるため目にすることはできません。
 
下部ダムの深山ダム
こちらもアスファルトフェイシングフィルダムです。
上下ともにアスファルトフェイシングフィルダムによる揚水発電は全国で2例しかありません。
 
下部池の深山湖。
 
0567 沼原ダム(1618)
栃木県那須塩原市板室
那珂川水系那珂川
FA
38メートル
1597メートル
4336千㎥/4220千㎥
電源開発(株)
1973年

三河沢ダム

2021-05-06 22:49:07 | 栃木県
2021年5月4日 三河沢ダム
 
三河沢ダムは栃木県日光市湯西川の利根川水系湯西川左支流の三河沢川上流部にある栃木県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、湯西川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、旧栗山村への上水道用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。 
三河沢ダムへ通じる管理道路入り口には「関係者以外立ち入り禁止」と書かれたゲートが設置されており、長く立ち入りできないものと思っていました。
ところが徒歩での立ち入りについては規制していないことがわかり、今回ゲートから往復約5キロ歩いてダム見学をしてきました。
 
管理道路入り口のゲート。
これじゃあ全面立ち入り禁止だと思っちゃいますよね?
 
ダムの手前にダム下に通じる道路があり、そこにも関係者以外立ち入り禁止と書かれたゲートが設置されています。
今回は「写真を撮るだけ」ということで立ち入らせていただきました。
 
ダム手前の展望デッキから
自由越流式クレストゲート5門、自然調節オリフィスゲート1門装備のゲートレスダムです。
 
上流面
一見水位が低いように見えますが、オリフィスから越流しておりこれで常時満水位です。
 
ダム名だけのシンプルな竣工記念碑
いいですね!
 
今回は職員さんが駐在されていましたが、職員不在でも天端の立ち入りは自由です。
職員さんのお話では左岸の擁壁上にカモシカがしょっちゅう姿を現し、時には長時間昼寝をすることもあるようです。
 
下流面
ガッツリ系の堤趾導流壁。
 
デフレクターと減勢工。
 
左岸から。
 
左岸から上流面
対岸は管理事務所で、休日の訪問でしたが職員さんが駐在されており、いろいろお話を伺うことができました。
 
総貯水容量は89万9000立米と県ダムとしてはかなり小ぶり。
正面の山は県境で山向こうは会津。
橋の左奥の森で毎年クマタカが営巣するそうです。
 
ダムへの道路に車両規制をかけている一番の理由は「自然保護」
その甲斐あって、クマタカやカモシカ、クマなどがが姿を見せる豊かな自然環境が維持されています。
なお、ダム便来掲載の経緯度と実際の経緯度にはずれがあります。
ここではダム便覧の数字ではなく、国土地理院地形図上の経緯度を記載しております。
 
(追記)
三河沢ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0588 三河沢ダム(1617)
栃木県日光市湯西川
利根川水系三河沢川
FNW
48.5メートル
97.5メートル
899千㎥/829千㎥
栃木県
2003年
◎治水協定を締結したダム

赤川ダム(細野ダム)

2021-05-05 17:10:13 | 栃木県
2015年10月31日 赤川ダム(細野ダム)
2021年 5月 4日
 
赤川ダムは栃木県宇都宮市福岡町の利根川水系赤川上流部にある灌漑目的のアスファルト表面遮水壁型(アスファルトフェイシング)アースフィルダムです。
既存の細野ため池を農林省(現農水省)の補助を受けた栃木県の事業で再開発し1970年(昭和45年)に赤川ダムとして竣工しました。
現在は宇都宮市城山土地改良区が管理を行い約120ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
堤体は均一型アースフィルで、上流面にアスファルト遮水壁を設けたいわゆるアスファルトフェイシングフィルダムです。
ロックフィルダムでアスファルト表面遮水壁を採用しているダムは相応数ありますが、アースフィルダムでは非常に珍しいタイプのダムと言えます。
また旧名の細野ため池から現在でも地元では細野ダムと呼ばれることも多いようです。
 
ダム湖周辺は宇都宮市森林公園として整備され宇都宮市民の山として親しまれている古賀志山の登山拠点となっているほか、サイクリングターミナルが設置され自転車王国栃木のスポーツサイクルのメッカにもなっています。
赤川ダムには2015年(平成27年)10月31日は初訪問し、2021年(令和3年)5月4日に再訪しました。
掲載する写真はすべて後者のものを使っています。
 
国道293号線各所に「宇都宮市森林公園」の表示が出ており到達は容易です。
ダム下からの眺め
ここから見る限りは普通のアースフィルダムです。
 
ダム右岸下流にある取水設備からの放流口
右手は余水吐からの導水路。
 
ちょっと見づらい写真ですが、ダム右岸の余水吐導流部。
 
左岸ダムサイトの赤川ダム概要図
型式は均一型土堰堤(アースフィルダム)となっています。
 
天端は関係車両以外通行禁止
登山のほか、近隣住民の憩いの場となっており散歩やウォーキングをする市民も多数いました。
木に隠れていますが、対岸に公園ビジターセンターと宇都宮サイクリングターミナルがあります。
 
上流面
アスファルトフェイシングされ、さらにゴム製の遮水シートが貼られています。
 
貯水池は総貯水容量32万7000立米と小ぶり。
背後に古賀志山の岩峰が聳え紅葉期には多くのカメラマンが三脚を立てる絶景ポイントです。
農業用ということで取水塔は表面取水式。

右岸の横越流式余水吐。
 
余水吐越しの貯水池
やはり紅葉期に来てみたいですね。
 
余水吐と上流面。
 
0565 赤川ダム(細野ダム)(0024)
栃木県宇都宮市福岡町細野
利根川水系赤川
FA
17.5メートル
221メートル
327千㎥/272千㎥
宇都宮市城山土地改良区
1970年

五十里ダム

2018-04-26 15:39:00 | 栃木県
2015年10月03日 五十里ダム
2016年12月10日 
2018年 5月 6日
 
五十里ダムは栃木県日光市川治温泉川治の利根川水系鬼怒川左支流男鹿川にある多目的重力式コンクリートダムです。
利根川水系最大支流の鬼怒川は『鬼が怒る』という名が示すように有史以来多数の洪水被害をもたらし、とくに川治温泉で鬼怒川に合流する支流の男鹿川の治水こそが鬼怒川本流の治水のカギを握るとされてきました。
 
男鹿川では内務省直轄の河水統制事業として1941年(昭和16年)より湯西川との合流点にロックフィルダム建設が着手されますが戦争激化で中断。戦後事業を引き継いだ建設省はより地盤が強固な鬼怒川と男鹿川合流点直上への重力式コンクリートダム建設を進め1956年(昭和31年)に五十里ダムが完成しました。
堤高112メートルは当時としては日本最高を誇っていました。
その後1966年(昭和41年)に鬼怒川最上流部に川俣ダム、1983年(昭和58年)に男鹿川合流点直上に川治ダム、2012年(平成24年)に男鹿川右支流湯西川に湯西川ダムが完成し、鬼怒川の治水能力は大きく向上しました。
また堤高100メートル以上の巨大ダムが近接する日本屈指の巨大ダム密集地帯となっています。
五十里ダムは五十里ダムは特定多目的ダム法制定以前に竣工している兼用工作物多目的ダムで、他の3ダムとともに国交省関東地方整備局鬼怒川ダム統合管理事務所により一括管理され4ダム連携のもと鬼怒川の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、栃木県企業局川治第1発電所での最大1万5300キロワットのダム水路式発電を目的としています。
 
五十里ダムでは2002年(平成14年)に上流の湯西川運用開始に備えて新たにコンジット放流ゲート2門が増設され、2005年(平成17年)には五十里ダム湖と川治ダム湖である八汐湖の間で連絡トンネルが開削され両ダム一体運用が可能となりました。
さらに2018年(平成30年)完成をめどに五十里ダム堰堤改良事業が行われており選択取水設備の新設と利水放流設備の整備、河川維持放流を利用した水力発電所の増設工事が進められています。
五十里ダムは1950年代を代表する巨大ダムとして日本ダム協会により『日本100ダム』に選定されています。
 
川治温泉から国道121号を北上、九十九折れを登り切ると五十里ダムが見えてきます。
国道121号線沿いの樹木が落葉し、樹間から五十里ダムを見ることができます(2016年12月10日)。
 
クレストの3門のローラーゲートをズームアップ(2016年12月10日)。
 
コンジットから放流されています
このコンジットゲートは日本最初のコンジットゲートといわれています(2016年12月10日)。
 
右岸展望台駐車場から(2016年12月10日)。
 
右岸から上流面。
手前に増設されたコンジットゲートの予備ゲートが2門(2016年12月10日)。
 
ダム湖(五十里湖)
9月の豪雨の影響でまだ水が濁っています。
 
天端(2016年12月10日)。
 
減勢工
右岸の二つの建屋は追加されたコンジットゲートの放流口です。
 
(2016年12月10日)。
 
天端はゲート部分だけクランクしています。
 
ローラーゲート 
 
五十里ダムでは2018年(平成30年)完成をめどに五十里ダム堰堤改良事業が行われています。
同事業では選択取水設備の新設と利水放流設備の整備、河川維持放流を利用した水力発電所の増設が行われます。
選択取水設備の増設工事。
(2018年5月6日)
 
(2018年5月6日)
 
追記
五十里ダムには最大3480万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに1355万4000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0559 五十里ダム(0002)
栃木県日光市川治温泉川治
利根川水系男鹿川
FNP
112メートル
267メートル
55000㎥/46000㎥
国交省関東地方整備局
1956年
◎治水協定が締結されたダム

川治ダム

2018-04-25 17:16:00 | 栃木県
2015年10月03日 川治ダム
2016年12月10日
2018年 5月 6日
 
川治ダムは栃木県日光市川治温泉川治の利根川水系鬼怒川上流部にある多目的アーチ式コンクリートダムです。
利根川水系最大支流の鬼怒川は『鬼が怒る』という名が示すように有史以来多数の洪水被害をもたらしその治水は古くからの重要課題となっていました。
鬼怒川流域では1956年(昭和31年)に男鹿川に五十里ダムが、1966年(昭和41年)に鬼怒川源流部に川俣ダムが建設され治水能力は大きく向上しました。
しかし、高度経済成長に伴う首都圏の水需要の急増や、流域の氾濫源だった地域での宅地化が進んだことでさらなる利水・治水治水対策が必要となってきました。
そこで建設省(現国交省)は男鹿川との合流点直上の鬼怒川に新たな多目的ダム建設を決め、1971年(昭和46年)より本体工事に取りかかり1983年(昭和58年)に竣工したのが川治ダムです。
川治ダムは特定多目的ダム法により建設され国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、川俣ダム、五十里ダム、湯西川ダムとともに国交省関東地方整備局鬼怒川ダム統合管理事務所により一括管理され、鬼怒川の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、農業用水、上水道、工業用水の供給を目的としています。
2005年(平成17年)には五十里ダム湖と川治ダム湖である八汐湖の間で連絡トンネルが開削され両ダム一体運用が可能となりました。
川治ダムは堤高140メートルの放物線アーチダムでアーチダムとしては国内第4位の高さを誇るほか、上部で大きくオーバーハングし国内最大の張り出し長を誇っており、日本を代表するアーチダムとして日本ダム協会による日本100ダムに選定されています。
 
下流からの見学ポイントはありませんが、天端を県道23号が走っており堤頂部の見学ポイントは豊富です。 
堤高140メートルのドーム型アーチで堤頂部の張り出しは最大16メートルにも及びます。
放流設備としては非常用洪水吐としてクレストローラーゲート6門、常用洪水吐としてコンジット高圧ローラーゲート2門とジェットフロートゲートを備えています。
 
2度目の訪問はコンジット試験放流に合わせました。(2016年12月10日)。
 
右岸から、右手は管理事務所(2016年12月10日)。
 
コンジット試験放流(2016年12月10日)。
 
 
 
減勢工
正面にジェットフロートゲート、その下から河川維持放流が行われています。


左岸から上流面
手前は選択取水設備。
 
ダム湖を挟んで上流から。
 
左岸のインクラインと艇庫。(2018年5月6日)
 
2度目の訪問は冬期コンジットゲート試験放流の見学となりました。
土日は天端からの見学のみでしたが、迫力ある放流を見ることができました。
 
追記
川治ダムには最大3600万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに3376万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0571 川治ダム(0003)
栃木県日光市川治温泉川治
利根川水系鬼怒川
FNAWI
140メートル
320メートル
83000㎥/76000㎥
国交省関東地方整備局
1983年
◎治水協定が締結されたダム

川俣ダム

2018-04-24 09:48:00 | 栃木県
2015年10月04日 川俣ダム
2016年12月10日
2018年 5月 6日 
 
川治ダムは栃木県日光市川治温泉川治の利根川水系鬼怒川上流部にある多目的アーチ式コンクリートダムです。
利根川水系最大支流の鬼怒川は『鬼が怒る』という名が示すように有史以来多数の洪水被害をもたらしその治水は古くからの重要課題となっていました。
鬼怒川流域では1956年(昭和31年)に男鹿川に五十里ダムが完成、これに次いで1966年(昭和41年)に鬼怒川本流源流部に建設されたのが川俣ダムです。
さらにその後の利水需要増加を受けて鬼怒川下流に川治ダムが、男鹿川右支流湯西川に湯西川ダムが建設されました。
川俣ダムは特定多目的ダム法により建設され国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、他の3ダムと国交省鬼怒川ダム統合管理事務所により総合的に管理され、鬼怒川の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、東京電力川俣発電所での最大2万7000キロワットのダム水路式発電を目的としています。
川俣ダムは堤頂長131メートルに対して堤高117メートルと日本一縦長のアーチダムとなっています。
またダム直下には狭隘な渓谷である瀬戸合峡の絶景が続き、ダム直下の『瀬戸合峡谷渡らっしゃい吊橋』は人気の観光スポットとなっています。
また2016年(平成28年)には日本ダム協会により日本100ダムに選定されました。
 
川治ダムから県道23号を西進、瀬戸合峡の狭い道を抜けると右手に川俣ダムの標識が現れます。
ダムの手前に駐車場があり、瀬戸合峡遊歩道入口のゲートから遊歩道を約300メートルほど歩くとダムに到着します。
遊歩道を進むと左手にダムが見えてきます。
ゲート操作室は被覆されています。
 
右岸から(2018年5月6日)。
 
ハウエルバンガーバルブから放流され虹が見えます。
堤体直下は工事中です。
 
同じアングルで(2016年12月10日)。
 
 
 
時折雪が吹き付ける生憎の天気
『渡らっしゃい吊橋』は12月~4月まで立ち入りできません(2016年12月10日)。
 
左岸から(2018年5月6日)。
 
総貯水容量8760万立米の川俣湖(2018年5月6日)。
 
右岸の艇庫とインクライン(2018年5月6日)。
 
瀬戸合峡遊歩道を歩いて吊橋に向かいます。
吊り橋からはアーチダムと真正面で対峙できます。
非常用洪水吐としてクレストローラーゲート6門、常用洪水吐としてコンジット高圧ローラーゲート2門とハウエルハンガーバブル1条を装備。(2018年5月6日)
 
コンジットゲートとバルブをズームアップ。(2018年5月6日)
 
瀬戸合峡遊歩道は往復1キロにも満たないショートコースですが、谷底から100メートルの高さの吊橋は迫力満点。
なんといってもダム正面に対峙できるのがうれしいところです。
 
追記
川俣ダムには最大2450万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに5139万2000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0563 川俣ダム(0005)
栃木県日光市川俣
利根川水系鬼怒川
FNP
117メートル
131メートル
87600㎥/73100㎥
国交省関東地方整備局
1966年
◎治水協定が締結されたダム

塩田ダム

2016-12-20 14:30:00 | 栃木県
2015年10月31日 塩田ダム
2016年12月11日 
 
塩田ダムは栃木県矢板市塩田の那珂川水系簗目川上流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
農水省の補助を受けた栃木県の事業により1987年(昭和62年)に本体工事が着工され、13年後の2000年(平成12年)に竣工しました。
運用開始後は矢板市が管理を受託しています。
なお高原山東山麓の塩谷町から矢板にかけての那珂川水系には塩田ダムを含め4基のダムが近接していますが、他の三ダムが栃木県営でダムカードを配布しているのに対し、塩田ダムはカードの配布がないせいか訪問者も少なく静かなたたずまいを残しています。
 
下流から遠望。(2016年12月11日)
 
下流面。
 
洪水吐と取水口からの導水路
堤体直下で合流します。
 
取水口からのトンネル導水路吐口
河川維持放流が行われています(2016年12月11日)。
 
下流面(2016年12月11日)。
 
上流面
右岸に取水塔と管理事務所があります(2016年12月11日)。
 
天端は徒歩のみ開放されています。(2016年12月11日)。
 
総貯水容量46万立米の貯水池(2016年12月11日)。
 
取水棟(2016年12月11日)。
 
右岸の横越流式洪水吐(2016年12月11日)。
 
洪水吐導流部
洪水吐の隣に東屋があります(2016年12月11日)。
 
下流はのどかな田園風景です。 
この眺めは栃木のふるさと田園風景100選に選ばれています(2016年12月11日)。
 
0573 塩田ダム(0029)
栃木県矢板市大字塩田
那珂川水系簗目川
21.6メートル
218メートル
460㎥/380㎥
矢板市
2000年

東荒川ダム

2016-12-18 13:50:00 | 栃木県
2015年10月04日 東荒川ダム
2016年12月11日 
 
東荒川ダムは栃木県塩谷郡塩谷町上寺島の那珂川水系荒川上流部にある栃木県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
荒川は那珂川の主要支流で、その名が示すように暴れ川でとりわけ利根川水系鬼怒川と河道が錯綜する中下流域では豪雨のたびに甚大な洪水被害が発生していました。
1968年(昭和43年)に荒川右支流の西荒川に県営治水ダムとして西荒川ダムが建設されましたが、荒川流域での治水対策は盤石とはいえませんでした。
一方、高度成長期以降の上水道需要の増加や農水省による国営芳賀台地農業水利事業への灌漑用水源の確保が求められることになり、栃木県は東荒川への多目的ダム建設を決定、1990年(平成2年)に竣工したのが東荒川ダムです。
東荒川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、西荒川ダムと連携した荒川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、芳賀台地土地改良区への灌漑用水の供給、塩谷町・さくら市・茂木町への上水道用水の供給、栃木県企業局東荒川発電所での最大600キロワットのダム式水力発電を目的としています。
 
塩谷町中心部から県道63号を北上すると東荒川ダムに到着します。
ダム左岸の展望台から
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂が10門、中央には取水設備と常用洪水吐としてオリフィスローラーゲート2門を備えています。
 
左岸上流から(2016年12月11日)。
 
減勢工と発電所(2016年12月11日)。
 
副ダムと洗堀防止目的のブロック工をズームアップ(2016年12月11日)。
 
ダム湖は総貯水容量610万立米、特にダム湖名はありません(2016年12月11日)。
 
天端は徒歩のみ開放されています。
右手はエレベータ棟、左手はオリフィスゲート操作室。
 
下流面(2016年12月11日)。
 
フーチングを覆うような背の高い堤趾導流壁が特徴(2016年12月11日)。
 
上流面(2016年12月11日)。
 
カラフルな水位計が刻まれたインクラインと艇庫
奥は管理事務所(2016年12月11日)。

尚仁沢はーとらんどで提供されるダムカレー
東荒川ダムを如実に表しているかどうかは別にして素揚げの野菜がおいしい。
 
追記
東荒川ダムには最大323万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに44万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0577 東荒川ダム(0006)
栃木県塩谷郡塩谷町上寺島
那珂川水系荒川
FNAWP
70メートル
290メートル
6100㎥/5330㎥
栃木県県土整備部
1990年
◎治水協定が締結されたダム