ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

須川ダム

2024-01-19 07:31:08 | 奈良県
2023年11月27日 須川ダム

須川ダムは奈良県奈良市須川の淀川水系木津川左支流前川にある奈良市企業局が管理する上水道用水目的のアーチ式コンクリートダムです。
大河のない奈良市では県外の木津川に水源を求め1915年(大正4年)に近代水道事業が認可され、1922年(大正11年)に水道事業が開始されました。
戦後の復興や高度成長による人口増加から奈良市の上水需給はひっ迫したことを受け、1959年(昭和34年)に市東部の白砂川および布目川を水源とする『自然流下水源導水路事業』が着手され、その調整池として1969年(昭和44年)に竣工したのが須川ダムです。
事業全体も1971年(昭和46年)に竣工し、新たに日量8万4000立米の上水供給が可能となりました。
しかし大阪のベッドタウンとして宅地開発は続き人口増加に拍車がかかります。
そこで、奈良市は水資源開発公団(現水資源機構)の布目ダム建設事業に水道事業者として事業参加し1992年(平成4年)の同ダム供用開始により自然流下水源導水路事業による供給量は日量15万立米に増大しました。
布目川および白砂川で取水された水はいったん須川ダムで貯留されたのち専用管で緑ヶ丘浄水場に送水されます。
2021年(令和5年)現在、自然流下水源導水路による上水供給は奈良市水道事業全体の約6割を担っており、須川ダムはその根幹を担う重要な調整池となっています。

自然流下水源導水路概要図(奈良市企業局HPより)


須川ダムは前川に建設されましたが、前川に水利権はなく集水はすべて布目川および白砂側からの自然流下水源導水路に依ります。
また、福岡県の須恵ダムとともに全国で2基しかない市区町村が管理するアーチ式コンクリートダムとなっています。

須川ダムは奈良市水道事業の根幹を担う調整池となっており、保安上の理由から立ち入りは制限されており、ダムは上流からわずかに遠望するのみです。
今回は事前に見学申請を行い企業局職員様の案内でダムの見学が叶いました。
見学の詳細については『須川ダムダム研見学会』をご覧ください。

ダムの左岸側高台に管理棟や説明板が並びます。
これは須川ダム記念碑。


水利使用標識。


左岸高台から
須川ダムはこのアングルからの眺めが一番。
アーチ堤体と円形の取水塔の配置が絶妙。


自然流下水源導水路流入口
須川ダムの流域は直接流域5.2平方キロに対し間接流域119平方キロです。
前川に水利権はないため、直接流域分は河川維持放流として放流されます。


自然流下水源導水路の説明板。


ダム及び取水塔断面図
これを見ればドームアーチであることがよくわかります。
奈良ですから大きさを比較するのに登場するのは大仏さま。

 
左岸ダムサイトまで下りてきました。
洪水吐はクレストローラーゲート4門。
設計洪水流量は85.51立米/秒。


昭和40年代竣工のダムでは珍しい円形取水塔。
多孔式選択取水設備となっています。


左岸から
堤高31.5メートル、堤頂長107メートル
このアングルで見るとドームアーチだとよくわかります。


ダム下の建屋は放流バルブ室。
バルブ室の右手にプラムラインが見えます。
プラムラインが堤体から突き出ているのもドームアーチならでは。


天端はゲート部分だけ高くなっています。


天端から減勢工を見下ろす
右下は上記のバルブ室
ゲートは堤体右岸寄りにあり、減勢工はダムから左寄りに流下します。


副ダムのさらに下流
このまま前川となります。


こちらは河川維持及び既得水利権用のゲート
何度も繰り返すように前川には水利権がないため、前川の流入量はここから放流されます。

奥は艇庫
手前はインクライン。


残念ながら見学はゲート部分まで、今はダム下の見学も対応していないとのこと。
ダムの見学を終えた後は、普段唯一須川ダムの展望スポットとなる上流の橋へ
貯水池は総貯水容量79万7000立米。


こちらは布目川取水場。


白砂川取水場。
この写真はダム仲間のYさん撮影です。


上記のように、見学会の詳細については別項で紹介しますが、改めて対応していただいた奈良市企業局の皆様には厚く御礼申し上げます。 

(追記)
須川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1566 須川ダム(2031)
奈良県奈良市須川町
北緯34度43分29秒,東経135度54分48秒
DamMaps
淀川水系前川

31.5メートル
107メートル
797千㎥/793千㎥
奈良市企業局
1969年
◎治水協定が締結されたダム

布目ダム

2024-01-18 08:00:00 | 奈良県
2015年12月31日 布目ダム
2023年11月27日
 
布目ダムは奈良県奈良市北野山町の一級河川淀川水系木津川水系左支流布目川にある水資源機構が管理する多目的た重力式コンクリートダムです。
戦後の水道需要増大に対処するため1962年(昭和37年)の「水資源開発促進法」により淀川水系では水資源開発公団(現水資源機構)により河川総合開発が進められることになりました。
淀川左支流の木津川では1969年(昭和44年)の高山ダムを皮切りに、青蓮寺ダム室生ダムが建設され、布目ダムは大阪のベッドタウンとして人口が急増していた奈良市向けの上水供給を主目的として木津川上流ダム4番目のダムとして1991年(平成3年)に竣工しました。
布目ダムは高山ダム青蓮寺ダム室生ダム比奈知ダム川上ダムと連携して木津川および淀川の洪水調節(布目ダムとしては布目川の最大毎秒310立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定用水への補給、奈良市・山添村への上水道用水の供給を目的としています。
また河川維持放流を利用して布目発電所で最大990キロワットの管理用発電を行っがあります。

また布目ダムには右岸に脇ダムとして堤高18.4メート、堤頂長128メートルのロックフィルダムがあります。
ならば布目ダムはフィルコンバインドダムではないか?となるのですが、実はこの脇ダムは地山を削って設置された右岸鞍部止水工のため、型式は重力式コンクリートダムとなります。
同様にロックフィルの止水工を持つダムとしては山梨県の塩川ダムがあります。

布目ダム平面図(水資源機構HPより)


布目ダムには2015年(平成28年)12月に初訪、2023年(令和5年)11月に再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
右岸下流側に公園や遊歩道が設けられ堤体を望めます。
堤高72メートル、堤頂長322メートルとなかなかのスケール。
右岸側が屈曲しています。
(2023年11月27日)


洪水吐は非常用クレスト自由越流長11門、常用高圧ラジアルゲート1門を装備。
さらに写真では見えませんが低水放流設備として主管および分岐管ジェットフローゲート各1条ずつを備えています。
(2023年11月27日)

 
ダム下流面と管理事務所。
(2023年11月27日)

同じ場所から下流を見ると
こちらは山添村への上水道設備。
(2023年11月27日)

 
コンクリート堤体と脇ダムの接続点。


脇ダム下流面。
(2023年11月27日)

 
右岸脇ダム部は堤頂幅が50メートルに及び、写真のように園地になっています。
(2023年11月27日)

脇ダム上流面
こうやって見ると本当のロックフィルダムのようです。
(2023年11月27日)

 
重力式コンクリート堤体と脇ダム接続点から見た下流面
右岸側は独特のカーブを描いています。
(2023年11月27日)


天端は2車線幅ですが、一般車両は通行できず徒歩のみ開放。
(2023年11月27日)


天端の建屋群、右手が貯水池側
手前は選択取水設備、奥はコンジットゲートハウス。
(2015年12月31日)

 
減勢工を見下ろす
左手地下に管理用発電所があります。
(2015年12月31日)

 
ダム湖は布目湖で総貯水容量1730万立米。
利水容量の大半は奈良市向け上水容量となります。
(2015年12月31日)

 
上流から
左手は選択取水設備
右手のコンジット予備ゲートは改修工事中
(2015年12月31日)

 
貯水池上流の副ダム
貯砂及び上流の水位維持による環境保全を目的に設置されています。
(2015年12月31日)

(追記)
布目ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1580 布目ダム(0163)
奈良県奈良市北野山町
淀川水系布目川
FNW
72メートル
322メートル
17300千㎥/15400千㎥
水資源機構
1991年
◎治水協定が締結されたダム

池原ダム

2023-05-15 18:02:46 | 奈良県
2023年4月22日 池原ダム 

池原ダムは左岸が奈良県吉野郡下北山下池原、右岸が同村上池原の一級河川新宮川水系北山川にある電源開発(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
戦後の電力不足の中、日本有数の多雨地帯を水源とし包蔵電力豊富な新宮川水系では半官半民の電源開発(株)が発電事業を担うことになります。
北山川流域では1962年(昭和37年)に発電放流水を流域変更して太平洋に放流する尾鷲分水の取水ダムとして坂本ダムが完成、次いで1964年(昭和39年)に竣工したのが池原ダムおよび池原発電所です。
翌年には17キロ下流に七色ダムが完成し、池原ダムを上部調整池、七色ダムを下部調整池とする最大出力35万キロワットの混合揚水式発電が稼働しました。
池原ダムは湛水面積および総貯水容量はアーチダム最大を誇るほか、堤頂長は同第2位、堤体積は同5位と我が国のアーチダム屈指のスケールを誇っています。
また堤体には放流設備はなく、非越流型堤体の約600メートル南側にローラーゲート4門を備えた洪水吐が設置される非常に珍しい構造となっています。

アーチ堤体と洪水吐の位置関係
オレンジがアーチ堤体、赤が洪水吐


アーチ堤体直下には下北山スポーツ公園があり、各種スポーツ施設やキャンプ場、ロッジなどが整備され人気のアウトドアスポットになっているほか、池原貯水池は関西屈指のバス釣りスポットとして知られており、ダムは日本100ダムに、貯水池はダム湖百選に選ばれています。

右岸池原ダム展望台より
アーチダムとしては日本屈指のスケールを誇りますが、非越流式堤体のため放流設備が一切ないのっぺらぼう。
ある意味異形のダムと言えます。
写真左奥に洪水吐と取水設備が垣間見えます。


堤体直上に繋留設備があります。


毎度おなじみ、ダム名の付いたバス停
こちらはコミュニティバス。


堤体には『池原ダム  電源開発株式会社』の文字。


右岸から
このアングルからアーチダムを超広角で撮影するとデフォルメによりどこのダムもみな同じような絵になるのですが。
池原は放流設備のない非越流式堤体ですので天端もスッキリ。
一目で池原とわかります。


ダム下の下北山スポーツ公園と併設キャンプ場
昭和40年代、この運動施設で鍛えた下北山中学男子サッカー部および女子バレー部は、全校生徒100名前後にも関わらず、長く奈良県中学大会の頂点を極め全国大会でも活躍しました。

天端中央のダム湖百選のプレート。
池原貯水池は湛水面積843ヘクタール、総貯水容量3億3837万3000立米とアーチダム中最大規模を誇ります。


洪水吐と取水設備
天端から正面に洪水吐ゲートと正対できるダムは池原くらいでしょう。
取水設備は右から1号~4号まで並びます。
右手の1号2号取水口は建設当初からの中層取水口
左の3号4号は1991年(平成3年)に竣工した表面取水設備。
洪水時の貯水池濁水が問題化する中、北山川下流の環境改善のため濁水発生時に表層の清水取水を行うために設置されました。


左岸から。


天端は国道425号線が通ります。


取水設備越しにアーチ堤体を遠望。


洪水吐のピア
洪水吐の上も国道425号が通り、支流の東ノ川に沿って15キロ進むと坂本ダムに着きます。


洪水吐越しの北山川、複雑に蛇行しています。
発電施設は写真やや右手、導流部の先に垣間見えます。


水利使用標識
最大出力35万キロワットを誇るため、認可取水量も毎秒342立米と桁違いの数値。

国道169号線沿いには北から大迫ダム、池原ダム、七色ダムと3基のアーチダム(七色は重力式アーチ)が続きます。
さらに国道425号を使って坂本ダムに寄り道すれば、一度に4基のアーチダムを楽しめるアーチ密集地帯。
バラエティに富んだ4つのアーチをはしごすればアクセスの悪さなど吹っ飛ぶこと請け合い。

(追記)
池原ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1565 池原ダム(1977) 
左岸 奈良県吉野郡下北山村下池原 
右岸         同村上池原 
新宮川水系北山川 
 
 
111メートル 
460メートル 
338373千㎥/220083千㎥ 
電源開発(株) 
1964年 
◎治水協定が締結されたダム 

坂本ダム

2023-05-13 18:21:57 | 奈良県
2023年4月22日 坂本ダム 

坂本ダムは奈良県吉野郡上北山村川合の一級河川新宮川水系東ノ川にある電源開発(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
戦後の電力不足の中、日本有数の多雨地帯を水源とし包蔵電力豊富な新宮川水系では半官半民の電源開発(株)が発電事業を担い1950年代半ば(昭和20年代末)より電源開発に邁進します。
東ノ川では発電に供した水を流域変更して太平洋に放流する尾鷲分水が着手され1961年(昭和36年)にクチスボダムと尾鷲第二発電所が、翌1962年(昭和37年)に坂本ダムと尾鷲第一発電所が竣工しました。
坂本ダムで取水された水は約7キロの導水路で尾鷲第一発電所(最大出力4万キロワット)に送られ、放流水は流域変更して銚子川水系又口川に放流されます。
さらに下流のクチスボダムから尾鷲第二発電所(最大出力2万5000キロワット)を経て再び流域変更し、中川経由で太平洋に放流されます。
発電により流域変更されるケースは複数例ありますが、2度の流域変更を伴うのは他に例がありません。

坂本ダムに通じる国道425号線は災害により長く通行止めが続いていましたが、2022年(令和4年)にようやく全線復旧しました。
今回は尾鷲市のクチスボダムから国道425号を利用して坂本ダムに至りました。
堤高103メートル、堤頂長256.7メートルとなかなかのスケール
放流設備としてはクレスト自由越流頂11門、低水位放流用ハウエルバンガーバルブ1条を装備。
この位置から全景を治めるには超広角を使うしかありません。


ハウエルバンガーバルブをズームアップ。


左岸ダムサイト
左岸を名ばかり国道425号が通ります。


親柱の銘板。


水利使用標識。


天端は車両通行可能
写真ではわかりづらいんですが、対岸の山腹にプラントやクレーン台座跡があります。


天端から
シュートの下流に副ダムがあります。
すぐ下流が池原貯水池になるためか?河川維持放流はありません。
池原貯水池満水時にはすぐ下流まで湖面となりますが、この秋冬が少雨だったため水位が低く、ダム下流は水無川となっています。


総貯水容量8700万立米
こちらも少雨のためかなり水位が下がっています。
尾鷲第一発電所の取水口はこの上流約2.4キロにあります。


右岸から。


11門のクレスト自由越流頂のうち左右両端2門は越流頂が高くなっています。
両岸の洗堀防災の意図があるんでしょう。


右岸の慰霊碑。


左岸から上流面
このアングルで見るとドームアーチであることがよくわかります。


ダムから約2.4キロ上流にある尾鷲第一発電所古川取水口。
最大取水量は21立米/秒で、約7キロの導水路で県境を越えて発電所に送られます。


上流から見た取水口とインクライン。
水位がかなり低い。


インクラインをズームアップ。


ダムから導水される尾鷲第一発電所
最大4万キロワットのダム水路式発電を行い、放流水は流域変更され銚子川水系に放流されます。

(追記)
坂本ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1563 坂本ダム(1976) 
奈良県吉野郡上北山村河合
新宮川水系東ノ川
103メートル
256.3メートル
87000千㎥/68000千㎥
電源開発(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム 

天理ダム

2021-09-24 00:24:50 | 奈良県
2015年12月30日 天理ダム
2021年 9月19日
 
天理ダムは奈良県天理市長滝町の大和川水系布留川にある奈良県県土マネジメント部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、布留川の洪水調節(最大毎秒160立米のカット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、天理市への上水道用水の供給を目的として1978年(昭和53年)に竣工しました。
天理ダムは奈良県内では最初に完成した補助多目的ダムです。
2016年(平成28年)~18年(平成29年)にかけての改修でコンジットゲートが増設され、より柔軟な洪水調節が可能となりました。
 
天理ダムにはコンジットゲート増設前の2015年(平成27年)12月に訪問し、増設後の2021年(令和3年)9月に再訪しました。
ダム下から
こちらは再訪時の写真。
洪水吐左岸側(向かって右手)に常用洪水吐としてコンジットゲートが増設されています。
 
こちらは2015年12月訪問時の写真
天理ダムは非常用洪水吐としてクレストローラーゲート2門および常用洪水吐としてコンジットバルブ1条を備えていました。
しかしコンジットバルブの放流量が小さいため柔軟な洪水調節が困難でした。
 
こちらはコンジットバルブ
手前からの放流は河川維持放流。
 
増設されたコンジットゲート
堤体に穴をあけ、新たに放流管が設置されました。
手前建屋内に引っ張りラジアルゲートが格納されています。
 
左岸から下流面。
 
天端は国道25号線が走っています。
一級国道ですが、大半の車両は並行する名阪国道を使うため通行量はさほどでもありません。
 
天端から減勢工を見下ろします。
左手がコンジットゲート。
ダム下には天理ダム名物の国道25号線ヘアピンカーブ。
 
こちらは河川維持放流。
 
右岸ダムサイトに管理事務所があり艇庫とインクラインが隣接しています。
 
らせん階段のついたゲートピア。
 
上流から
『青垣湖』と命名されたダム湖は総貯水容量250万立米と県ダムとしてはかなり小ぶり。
 
ゲートをズームアップ
多段式取水ゲートの左手にクレストローラーゲート。
ちょっと見えづらいですが、ローラーゲートの左手に増設されたコンジットゲート取水口があります。
 
追記
天理ダムにはには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1569 天理ダム(0159) 
奈良県天理市長滝町
大和川水系布留川
FNW
60.5メートル
210メートル
2500㎥/2250㎥
奈良県土マネジメント部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

本郷溜池

2017-01-17 11:38:04 | 奈良県
2017年1月3日 本郷溜池
 
本郷溜池は奈良県宇陀市大宇陀にある灌漑用アースダムでダム便覧によれば1935年(昭和10年)に竣工しました。
1974年(昭和49年)に奈良県のため池整備事業により改修され現在は宇陀市が管理を行っています。
 
桜井から国道166号線を東進、宇陀市に入るとすぐに大規模農道を右折して南下すると右手に本郷溜池の堤体が見えてきます。
本郷温泉椿寿荘が目印です。
下流から。
 
右岸に洪水吐導流部が見えます。
 
天端は車両通行可。
温泉の日帰り入浴客の駐車場になるようです。
 
下流面。
 
洪水吐導流部と下流面。
 
右岸の洪水吐
かわいい円形です。
 
上流面はロックフィル
左岸には温泉宿が隣接しています。
 
取水塔だと思ったら東屋・・・
東屋の下に斜樋があります。
 
溜池。
 
地元の方の話では夏にはヤギを放して上下流面の除草をするそうです。
見てみたいな・・・・
 
1552 本郷溜池(0810)
奈良県宇陀市大宇陀本郷
淀川水系本郷川
23メートル
138メートル
宇陀市
1935年

倉橋防災ダム(再)

2017-01-17 10:42:46 | 奈良県
2017年1月3日 倉橋防災ダム(再)
 
倉橋防災ダム(再)は奈良県桜井市倉橋にある灌漑・農地防災目的のアースフィルダムです。
古くからこの地にあった倉橋溜池を奈良県の事業で整備して1956年(昭和31年)に倉橋溜池(元)として竣工しました。
1987年(昭和62年)から奈良県の防災溜池事業による再開発が着手され、堤高をかさ上げし洪水調節目的を付加して2000年(平成12年)に倉橋防災ダム(再)として竣工しました。
管理は倉橋溜池土地改良区が受託しています。
 
ダム周辺には多くの寺社や古墳が点在しており。ダムも倉橋ため池ふれあい公園として整備され周辺住民の憩いの場となっています。
ダム右岸には3基の記念碑が並び駐車場になっています。
 
天端は車両進入禁止。
 
ダム湖は総貯水容量190万立米と灌漑用の溜池としては大きなサイズ
ダム湖を囲むように公園として整備されています。
 
取水塔。
 
左岸の管理事務所。
 
下流面には『くらはし』と書かれていますが冬枯れのこの時期ははっきり見えません。
 
洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
下流から
減勢工。
 
下流面は犬走りを挟んで3段になっています。
 
1585 倉橋溜池(元)
奈良県桜井市倉橋
大和川水系栗原川
31メートル
245メートル
1714千㎥/1714千㎥
倉橋溜池土地改良区
1956年
-------------- 
3086 倉橋防災ダム(再)(0809)
溜池奈良県桜井市倉橋
大和川水系栗原川
FA
36.5メートル
250メートル
1900千㎥/1858千㎥
倉橋溜池土地改良区
2000年倉橋防災ダム竣工

二津野ダム

2016-08-05 10:16:24 | 奈良県
2016年8月1日 二津野ダム
 
風屋ダムは左岸が奈良県吉野郡十津川村山手谷、右岸が同村桑畑の一級河川新宮川本流(十津川)にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
日本屈指の降水量を誇る紀伊山地各河川では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した関西電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で当地域の埋蔵電力は豊富で、新たな電源開発を関西電力のみで行のは財務的、物理的にも困難で、一級河川新宮川水系については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
同社は昭和30年代より新宮川水系での電源開発に着手し1960年(昭和35年)に風屋ダムと十津川第一発電所が完成、次いで1962年(昭和37年)に竣工したのが二津野ダムです。
ここで取水された水は約8キロの導水路で同時に完成した十津川第二発電所に送られ、最大5万8000キロワットのダム水路式発電が行われています。
この後電源開発は新宮川水系に5基のダムと4箇所の発電所を建設し、併せて一般水力24万5000キロワット、混合揚水35万キロワットの発電能力を有するに至りました。
 
十津川村中心部から国道168号線を南下すると眼下に二津野ダムが見えてきます。
国道からアーチダムを俯瞰できるのは珍しい。
プランクトンの影響か水は濃いエメラルドグリーン。
対岸に八角形の取水設備と取水ゲートが見えます。
 
取水設備をズームアップ。
ここから十津川第二発電所へ送水されます。
 
放流設備としてクレストに7門のローラーゲートを装備。
ゲートとピアはグリーンで統一されています。
また右岸側1門に河川維持放流用のオリフィスゲートが2門ついています。
 
河川維持放流。
対岸上流側に集落があるため、天端は車両通行可能。
 
仮排水路跡。
 
 
総貯水容量4300万立米のダム湖(二津野貯水池)
水の緑色が濃い。
 
左岸から
 
上流面
対岸の管理事務所裏手にインクラインが見えます。
 
ダム湖は緑、森も緑、ゲートとゲートビアも緑
まさにグリーンのアーチダムでした。
 
追記
二津野ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1562 二津野ダム(0501)
左岸 奈良県吉野郡十津川村山手谷
右岸         同村桑畑
新宮川水系十津川
76メートル
210.6メートル
43000千㎥/11000千㎥
電源開発(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム

奥里ダム

2016-08-05 10:12:01 | 奈良県
2016年8月1日 奥里ダム
 
奥里ダムは奈良県吉野郡十津川村内原の新宮川水系滝川にある電源開発(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
新宮川水系での電源開発に着手した電源開発(株)は風屋ダムの貯水容量確保のため、ダム下流で熊野川(十津川)本流に合流する支流の滝川から風屋貯水池への導水を図ります。
その取水ダムとして1960年(昭和35年)に建設されたのが奥里ダムで、ここで取水された水は約4キロの導水路で風屋ダムに送られます。
 
国道168号の風屋大橋北詰を東に折れ、滝川沿いの村道を進むと左手に奥里ダムが現れます。
訪問時は全面越流しており、恰もアーチのナイアガラと言うべき眺め。
堤体両岸が高くなっているうえに堆砂が進んでいるので、ぱっと見アーチ状の砂防ダムに見えます。
 
水叩きは中央に向けて傾斜しており越流した水は中央に集まります。
 
 
ズームアップ
とにかく水がきれい!!
 
 
越流部左手に排砂ゲート。
取水口は写真真下手前側にあります。
 
 
 
堆砂率100%
総貯水容量17万6000立米に対し有効貯水容量はゼロ。
でも取水できればいいという判断なんでしょう。
 
3598 奥里ダム(0500)
奈良県吉野郡十津川村内原
新宮川水系滝川
20.5メートル
81.3メートル
176千㎥/0千㎥
電源開発(株)
1960年

風屋ダム

2016-08-04 19:19:50 | 奈良県
2016年8月1日 風屋ダム
 
風屋ダムは奈良県吉野郡十津川村風屋の一級河川新宮川本流(十津川)にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
日本屈指の降水量を誇る紀伊山地各河川では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した関西電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で当地域の埋蔵電力は豊富で、新たな電源開発を関西電力のみで行のは財務的、物理的にも困難で、一級河川新宮川水系については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
同社は昭和30年代より新宮川水系での電源開発に着手し、同水系同社初のダムとして1960年(昭和35年)に竣工したのが風屋ダムです。
ここで取水された水は約8.5キロの導水路で同時に完成した十津川第一発電所に送られ、最大7万5000キロワットのダム水路式発電が行われています。
この後電源開発は新宮川水系に5基のダムと4箇所の発電所を建設し、併せて一般水力24万5000キロワット、混合揚水35万キロワットの発電能力を有するに至りました。 
 
国道168号で十津川村に入り、十津川沿いを南下すると風屋ダムに到着します。
天端は車両通行可能で両岸に駐車場がありますが、今回は左岸に車を止めてダムを見学します。
駐車場の脇に巨大な予備ゲートが横たわっています。
 
ケーブルクレーン台座跡。
 
左岸から
 
天端は車両通行可能。
 
右岸には管理事務所と十津川第一発電所への取水口。
 
天端から下流を眺めると・・・。
 
総貯水容量1億3000万立米のダム湖(風屋貯水池)
右手は風屋集落。水没家屋の多くがここに移住したようです。
 
堤体上流面。
鉄骨トラスのゲートビアが特徴的。
 
下流の風屋大橋から
クレストローラーゲート4門と導流部中央にハウエルバンガーバブルを装備。
 
追記
風屋ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1561 風屋ダム(0499)
奈良県吉野郡十津川村風屋
新宮川水系十津川
101メートル
320.5メートル
130000千㎥/89000千㎥
電源開発(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム

旭ダム

2016-08-04 15:37:45 | 奈良県
2016年8月1日 旭ダム
 
旭ダムは奈良県吉野郡十津川村旭の新宮川水系旭川にある関西電力(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
奥吉野発電所は関西電力3番目の純揚水式発電所として1983年(昭和58年)に完成し、旭ダムは同発電所の下部調整池として前年の1982年(昭和57年)に竣工しました。
上部調整池である瀬戸ダムと有効落差505メートルを利用して最大120万6000キロワットの純揚水式発電を行っています。
旭ダムはドーム型アーチダムで、ダム中央部はオーバーハングになっているのが特徴です。
また堆砂対策として日本で初めて排砂バイパストンネルが併設されました。
一方上部調整池である瀬戸ダムは管理道路入り口が閉鎖され関係者以外立ち入ることができません。
 
国道168号線の田長瀬トンネルの先から村道を旭川沿いに進むと旭ダムに到着します。
ダム中央がオーバーハングになったドーム式アーチ。
 
放流設備としてはクレストラジアルゲート3門のほか、堤体下部にホロージェットバルブ2条を装備。
 
クレストラジアルゲートはもちろん関電ブラック。
 
堤体下部にはホロージェットバルブが2条
奥は常用洪水吐に相当し最大放流量100㎥/秒、手前は河川維持用で10㎥/秒。
 
天端は立ち入り禁止で見学は左岸からのみ。
 
上流面をみるとドーム型アートであることがよくわかります。
訪問したのは夏の午前、電力需要が高まる午後に備えて夜間のうちに上部ダムに揚水されたため水位は低くなっています。
 
インクライン。
 
ダムの説明板。
 
東日本大震災前までは奥吉野発電所に隣接した旭エレハウスで地下発電所や瀬戸ダムの見学を受けてけていました。
しかし原発停止による関西電力の収益悪化で、旭エレハウスは閉鎖、見学も中止されています。 
 
追記
旭ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1571 旭ダム(0498)
奈良県吉野郡十津川村旭
新宮川水系旭川
86.1メートル
199.4メートル
16920千㎥/12500千㎥
関西電力(株)
1978年
◎治水協定が締結されたダム

池津川取水ダム

2016-08-04 14:04:23 | 奈良県
2016年8月1日 池津川取水ダム
 
池津川取水ダムは左岸が奈良県吉野郡野迫川村中津川、右岸が同村立里の新宮川水系池津川にある国交省近畿地方整備局が管理する重力式コンクリートダムです。
猿谷ダム下流で新宮川に合流する支流の川原樋川流域の水を猿谷貯水池へ導水するための川原樋川導水トンネルを構成する4基の取水堰堤の一つで、4基の中で唯一堤高15メートルを超えています。
ダムの目的は猿谷ダム同様不特定利水と関西電力西吉野第一発電所でのダム水路式発電です。
 
川原樋川導水トンネルと池津川取水ダムの概略図(国交省近畿地方整備局の説明図より)
 
五条市大塔町国道168号線から県道734号に入り県道とは名ばかりの悪路を池津川沿いに遡上すると池津川取水ダムに到着します。
路上の落石が多くあまりにもひどい道路状況に何度も引き返そうかと迷いましたが、無事到着できてホッとしました。
見た目の堆砂率は100%。
貯水池はなくほぼ砂に覆われていますが取水できればOKということなんでしょう。
 
堆砂が進みダムのすぐそばまで接近できます。
 
土砂吐ゲートと取水口。
 
左手が沈砂池。ダム下を川原樋川導水トンネルが通っており、ここで取水した水は猿谷ダムへ送られます。
 
小さなダムですが、これでも国交省直轄ダムです。
 
3593 池津川取水ダム(0497)
左岸 奈良県吉野郡野迫川村中津川
右岸         同村立里
新宮川水系池津川
NP
16.8メートル
42.7メートル
--千㎥/--千㎥
国交省近畿地方整備局
1956年

九尾ダム

2016-08-04 11:17:50 | 奈良県
2016年8月1日 九尾ダム
 
九尾(つづらお)ダムは奈良県吉野郡天川村九尾の新宮川水系十津川左支流天の川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
全国屈指の多雨地帯である紀伊半島では、その豊富な水量を生かして戦前から各河川で電源開発が進められてきました。
九尾ダムもそんな発電施設の一つで、1937年(昭和12年)に戦前の五大電力の一つ宇治川電気によって建設され、ここで取水された水は和田発電所(最大出力2100キロワット)と長殿発電所(完成当時最大出力1万5300キロワット)に送られ計1万5400キロワットのダム水路式発電が開始されました。
天の川流域の発電施設は日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業を継承しています。
しかし2011年(平成23年)の紀伊半島大水害により長殿発電所は全壊、2018年(平成30年)に出力を1万6200キロワットに増強して復旧工事が竣工しました。
 
天川村中心部から天の川沿いに県道53号を進むと左手に九尾ダムが見えてきます。
 
関電ブラックのラジアルゲートが5門。
訪問時は長殿発電所停止中のためゲートはすべて開放。
 
和田発電所への取水口。
取水も中断中。
 
天端。
 
5門のゲートは開放されたまま
奥に排砂ゲートがあります。
 
 
高速でシャッターを切ると鱗が現れました。
 
2018年(平成30年)の長殿発電所再建までゲートの開放は続きました。
 
追記
九尾ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1553 九尾ダム(0496)
奈良県吉野郡天川村九尾
新宮川水系天の川
26.5メートル
98.2メートル
1137千㎥/648千㎥
関西電力(株)
1937年
◎治水協定が締結されたダム

川迫ダム

2016-08-04 10:55:32 | 奈良県
2016年8月1日 川迫ダム
 
川迫(こうせ)ダムは奈良県吉野郡天川村北角の新宮川水系十津川左支流天の川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
全国屈指の多雨地帯である紀伊半島では、その豊富な水量を生かして戦前から各河川で電源開発が進められてきました。
川迫ダムもそんな発電施設の一つで、1940年(昭和15年)に戦前の五大電力の一つ宇治川電気によって建設され日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業を継承しています。
天の川および弥山発電所の放流水がダム湖に貯留され、ここで取水された水は約4.4キロの導水路で川合発電所に送られ最大7000キロワットのダム水路式発電が行われています。
 
天川村中心部から国道とは名ばかりの国道309号を東に進むと川迫ダムに到着します。
右岸から。
 
国道を挟んだ斜面にプラント跡と思われる施設が残り、巡視船が置かれています。
 
上流から
関電なので当然ゲートは黒なんでしょう
管理橋はゲート部分だけが高くなった戦前、戦中に多く見られる形状。
 
ずいぶん堆砂が進んでいます。
この貯水池左手に関西電力弥山発電所があるんですが、写真を撮るのを失念してしまいました。
 
追記
川迫ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1556 川迫ダム(0495)
奈良県吉野郡天川村北角
新宮川水系天の川
36.5メートル
111.6メートル
476千㎥/400千㎥
関西電力(株)
1940年
◎治水協定が締結されたダム

上津ダム

2016-08-03 23:53:37 | 奈良県
2016年7月31日 上津ダム
 
上津ダムは奈良県山辺郡山添村西波多の淀川水系遅瀬川にある灌漑・上水目的の重力式コンクリートダムです。
奈良県北東部に位置する大和高原は標高200~500メートルの隆起準平原で冷涼な気候と多発する朝霧を利用して茶栽培が盛んな一方、複雑な地形と乏しい水利により農業経営は零細で生産性向上のため灌漑施設の整備が重要課題となっていました。
1975年(昭和50年)に農水省による国営大和高原北部地区農業総合開発事業が着手され、その水源として2000年(平成12年)に竣工したのが上津ダムです。
運用開始後は関係自治体である奈良市・天理市・宇陀市・山添村が管理を受託していますが、実際の管理は山添村に委任され、約1800ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するほか、山添村簡易上水道に上水道用水を供給しています。
また2014年(平成26年)には河川維持放流を利用した上津ダム小水力発電所(最大出力53キロワット)が増設されました。
 
名阪国道山添インターから県道80号を西に向かい村道を南に折れると上津ダムに到着します。
農業用ダムらしく洪水吐はクレスト自由越流頂3門のみ。
水質によるものか導流部が茶色になっています。
 
天端親柱にはツツジの装飾。
 
天端は車両通行可。
 
取水設備。
ダム湖の水はずいぶん濁っています。
導流部の着色は水質によるものなんでしょう。
 
インクラインはなく、左岸に桟橋。
 
減勢工。
手前は河川維持放流を利用した小水力発電所
奥は灌漑用水の機場
訪問時は小水力発電所からの放流に加え下部放流設備のジェットフローゲートからも放流されていました。
 
見づらいですが奥の建物から斜面に沿って鉄管が伸びています。
ここをポンプで揚水して灌漑用水を送水します。
 
下流面。
 
上流から。
 
追記
上津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1577 上津ダム(0494)
奈良県山辺郡山添村西波多
淀川水系遅瀬川
AW
63.5メートル
264メートル
5600千㎥/5120千㎥
奈良市・天理市・宇陀市・山添村
2000年
◎治水協定が締結されたダム