ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

亀越池

2018-03-31 16:41:41 | 香川県
2018年3月21日 亀越池
 
亀越池は香川県仲多度郡まんのう町炭所東の土器川水系大谷川にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
起源は江戸初期の寛永年間まで遡り、当時干ばつで苦しんでいた岡田村(現丸亀市綾歌町岡田上)の役人だった岡田久次郎が私財を投下して1633年(寛永10年)に築造しました。
池の完成により岡田村の生産石高は3倍にも膨れ上ったそうです。
平成に入り県営のかんがい排水事業で水路が整備されるとともに、国営の農地総合防災事業により池の大規模な改修が行われ現在の姿となりました。
県営事業にあわせて従来岡田上地区が利用してきた亀越池用水と香川用水の水源転換に掛かる協定が結ばれ、亀越池直下流の満濃東部地区の受益者が亀越池の水を利用できるようになり、より効率的な水利用が可能となりました。
池の管理は現在も岡田上地区の受益者で構成される綾歌郡亀越池土地改良区が行い543ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
また石製の底樋管がCランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
下流から遠望。
 
堤体は犬走りを挟んで2段構成、基部はコンクリートの擁壁。
 
堤体左手から滝のように水が流下しています。
洪水吐からの導流部が自然の岩盤を流下しており、直近の雨で水位が上がった影響でまるで天然の滝のような様相です。
 
こちらは底樋樋門。
石造り扁額入りの立派なポータルで、底樋管全体がCランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
堤体下流面。
 
堤体は害獣防止フェンスで厳重に囲まれています。
天端や下流面には猪が掘削したような穴が多数あり、漏水につながる猪除けのフェンスです。
 
こちらの施設は水源転換協定による満濃東部地区への用水補給の取水設備。
 
天端から
件の施設からのパイプが堤体を下ります。
 
洪水吐や斜樋はフェンスに阻まれて見ることができません。
車で貯水池上流側に回り込みなんとか斜樋を撮影することができました。
この斜樋は上から4枚目の樋門へと続いているようです。
 
総貯水容量は95万8000立米
よそなら大規模ですが香川では中堅サイズ。
 
見学ポイントは限定されますが、とにかく洪水吐導流部の激しい溢流が印象的な亀越池でした。 
 
2146 亀越池(1257)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町炭所東
土器川水系大谷川
19メートル
106メートル
958千㎥/958千㎥
綾歌郡亀越池土地改良区
1663年築造
1993年大規模改修竣工

備中地池

2018-03-31 15:28:04 | 香川県
2018年3月21日 備中地池
 
備中地池は香川県仲多度郡まんのう町造田の土器川水系備中地川にある灌漑用目的のアースフィルダムです。
現地竣工記念碑によれば1962年(昭和37年)に農林省の補助を受けた香川県のかんがい排水事業によって建設され、1995年(平成7年)~1998年(平成10年)にかけての国営総合農地防災事業により大規模な改修が行われ現在に至っています。
管理は土器川右岸土地改良区連合が行い約100ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
備中地という名前は戦国時代にこの地を治め長宗我部元親の侵攻で敗死した造田備中守に由来するとされています。
ダム便覧では1961年(昭和36年)竣工となっていますが、ここでは竣工記念碑に合わせて1962年(昭和37年)竣工とします。
 
流面は犬走りを挟んだ2段構成。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
天端から洪水吐導流部
堤体中段部分は洪水吐導流部の方が高くなっており、堤体との間に導流壁が作られています。
 
 
横越流式洪水吐。
 
上流面は谷積みの石で護岸
左岸に斜樋があります。
 
天端からの眺め
池の下流は谷筋に沿って水田が続き民家が点在します。
 
総貯水容量32万1000立米の貯水池
松の生えた中島が特徴的。
 
天端は車両通行可能で轍が残りますが、対岸で行きどまりです。
 
左岸に建つ昭和37年の竣工記念碑と平成10年の改修記念碑。
 
 
起源が明治維新以前に遡るものが多い香川県の溜池の中では珍しく戦後建設された溜池です。
 
2173 備中地池(1256)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町造田
土器川水系備中地川
21.6メートル
103メートル
321千㎥/321千㎥
土器川右岸土地改良区連合
1962年

長柄ダム(元)

2018-03-31 03:19:56 | 香川県
2018年3月21日 長柄ダム(元)
 
長柄ダム(元)は香川県綾歌郡綾川町東分の綾川本流上流部にある香川県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1935年(昭和10年)に香川県は河水統制事業による最初のダム事業として長柄ダム建設事業に着手しますが戦争激化により中断、戦後1949年(昭和24年)に国の補助を得て事業が再開され、香川県土木部所管ダムとしては内場ダムに次ぐ二番目のダムとして1952年(昭和27年)に竣工しました。
長柄ダムは1989年(平成2年)に竣工した田万ダムと連携した綾川水系の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水の補給と安定した河川流量の維持を目的としています。
ダムの容量は不特定利水容量が大きく、主として既得取水権としての灌漑用水の安定した補給が主目的と言えます。
1995年(平成7年)に綾川ダム群再開発事業として長柄ダムと田万ダムを導水トンネルで結ぶ計画が採択されますが、その後の検証により長柄ダムの単独再開発に変更されました。
そして2018年(平成30年)に綾川水系河川性に計画が変更され、2022年(令和4年)3月に長柄ダム再開発事業の全体計画が策定されました。
 
ダム下流は小さな公園になっていますが、ダム直下まで行くことはできず、掲載した写真が精一杯。
クレストにラジアルゲート2門を装備、右手の白い建屋は利水放流設備を兼ねた低水位放流設備です。
 
香川県唯一のラジアルゲート
現在計画中の嵩上げが実施されると自然調節方式に変更されるため香川県のダムからはラジアルゲートが消えることになります。
 
右岸から。
 
天端は車両通行可能
円蓋のついた親柱は明らかに戦前のデザイン。
 
苔生した導流面と減勢工のエンドシル。
 
ダム湖の長柄湖は総貯水容量421万立米。
嵩上げ再開発で1020万立米と2倍以上になる予定です。
 
正面は管理事務所。
 
上流から
折からの雨で水位がかなり上がっています。
 
取水設備は重力式ダムとしては珍しい傾斜式シリンダーゲート。
六角形の建屋がオールドダムの雰囲気にマッチしています。
 
香川県営ダムではよくみられる立派な竣工記念碑。
 
1995年(平成7年)に再開発事業が採択されましたが、民主党政権の成立などもあり現在のところ事業はほとんど進捗していません。
 
2166 長柄ダム(元)(1255
香川県綾歌郡綾川町東分
綾川水系綾川
FN
30メートル
124メートル
4210千㎥/4110千㎥
香川県土木部
1952年
--------------
3331 長柄ダム(再)
香川県綾歌郡綾川町東分
綾川水系綾川
FN
45.4メートル
197メートル
9440千㎥/7740千㎥
香川県土木部
1995年~

永富池

2018-03-31 00:39:32 | 香川県
2018年3月21日 永富池
 
永富池は香川県綾歌郡綾川町枌所東の綾川水系貞重川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば起源は18世紀中盤明和年間に遡り当初は周辺の地名から錆田池と呼ばれていました。しかし完成間もない1772年(安永元年)に大水により決壊、1831年(天保2年)に復旧が叶い、永く富み栄えるという願いを込めて永富池に改称しました。
戦後になり1972年(昭和47年)にかけて県の事業により改修が行われ、ダム便覧ではこれを持って永富池の竣工年度としています。
その後、老朽化による漏水が激しくなり1997年(平成9年)にかけて国営総合農地防災事業による大規模な改修が行われ現在に至っています。
池の管理は永富池土地改良区が行い590ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行う一方、現地標識によれば周辺地域の簡易上水道の水源にもなっているようです。
 
県道39号線から東に折れ貞重川沿いの細い町道を東進すると集落の先で左手に永富池の堤体が現れます。
 
池手前の水路は右岸から延びる洪水吐導流部です。
 
1997年(平成19年)にかけての国営総合農地防災事業による改修記念碑。
 
堤体を通路が斜行して登っています。
 
コンクリート製の通路を登ると!
 
右岸の湖畔に斜樋があります。
 
池は総貯水容量35万6000立米。
 
右岸の洪水吐
ここからの導流路が上から2番目の写真へと続きます。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
右岸高台に建つ由来碑
文字が摩耗して判読は困難。
 
底樋は確認できませんでした。
なお俳優の火野正平さんが自転車で旅をするNHKBS放送の『にっぽん縦断こころ旅』2017年(平成29年)11月8日の放送で永富池が投稿者のこころの風景として登場しました。 
 
2150 永富池(1254)
ため池コード
香川県綾歌郡綾川町枌所東
綾川水系貞重川右支流
23.2メートル
92メートル
356千㎥/356千㎥
永富池土地改良区
1972年

田万ダム

2018-03-30 17:39:41 | 香川県
2018年3月21日 田万ダム
 
田万ダムは香川県綾歌郡綾川町枌所東の綾川右支流田万川中流部にある香川土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
香川県最長河川である綾川水系では1952年(昭和27年)に長柄ダム(元)が完成しますが、流域の治水・利水をさらに盤石にするために事業化されたのが田万ダムです。
田万ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、長柄ダムと連携した綾川水系の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1989年(平成2年)に竣工しました。
貯水容量のうち不特定利水容量が大きく、主として既得取水権としての灌漑用水の安定した補給を主目的としています。
その後、長柄ダム(元)と田万ダムを導水トンネルで結んで2ダム一体運用を図る『綾川ダム群再開発事業』が採択されましたが、その後の検証により長柄ダムの単独再開発に変更されました。
 
ダム下から
低気圧通過による大雨で水位が上昇しオリフィスから放流しています。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート8門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートが1門、さらに低水位放流施設としてコンジットゲートがあります。
今回はオリフィスとコンジットから放流していました。
 
ダム下から遊歩道で右岸ダムサイトに上がります。
 
天端は車両通行可能。
 
綾山湖と名付けられたダム湖は総貯水容量160万立米。
県営ダムとしては小さなダム湖ですが、香川県ダムではこんなものです。
 
左岸に管理事務所があり事務所の裏手の艇庫からインクラインが伸びています。
 
天端から
いわゆる利水放流設備が見当たらず、コンジットがこれ替わります。
 
 
上流面。
 
案内板。
 
2187 田万ダム(1253
香川県綾歌郡綾川町枌所東
綾川水系田万川
FN
49メートル
180メートル
1600千㎥/1450千㎥
香川県土木部
1989年

小山ダム

2018-03-13 17:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 小山ダム
2018年  3月11日
 
小山ダムは茨城県高萩市横川の大北川本流上流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
大北川は水戸藩領としては最北に位置する河川であることが名前の由来とされています。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、大北川の洪水調節、既得取水権として流域への灌漑用水の補給と安定した河川流量の保持、北茨城市への上水道用水と工業用水の供給を目的として2005年(平成17年)に竣工しました。
総貯水容量・堤頂、堤高・堤体堰ともに県内最大のダムです。
 
ダムは県道22号線沿いにありアプローチは簡単です。
ダム左岸管理事務所横に立派な駐車場と小山ダム物産所があり週末限定でダムカレーを食べることもできます。
まずは下流から
オリフィスから放流しています。
 
左岸上流から
クレストには非常用洪水吐として22門の自由越流式ゲートが並びます。
洪水調節容量が大きいためこれで常時満水位。
巨大な城壁の様ですです。
(2018年3月11日)
 
左岸の竣工記念碑(2018年3月11日)。
 
左岸から下流面(2018年3月11日)。
 
天端は歩行者のみ通行可能
堤頂長は462メートルで往復で1キロ弱。
(2018年3月11日)
 
左岸には管理事務所と小山ダム物産所が並びます
管理事務所裏からは浮桟橋へ通じる階段が伸びています。
(2018年3月11日)
 
減勢工
減勢工を跨いで『こやまダム』の植栽。
 
ダム湖(こやま湖)は総貯水容量1660万立米
職員さん曰く「歩きなら一周できるよ」。
 
右岸から(2018年3月11日)。
 
背の高い導流壁(2018年3月11日)。
 
評判のダムカレーを楽しみに行きましたが、ちょうど我が家の直前で売り切れ!!
帰宅後調べるとダム湖上流に小山調整池ダム跡があることが判明。
ダムカレーのリベンジも含めて再訪したいところです。
 
追記
小山ダムには1370万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに130万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0550 小山ダム(0088)
茨城県高萩市横川
大北川水系大北川
FNWI
65メートル
462メートル
16600千㎥/15000千㎥
茨城県土木部
2005年
◎治水協定が締結されたダム

花貫ダム

2018-03-13 04:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 花貫ダム
2018年  3月11日
 
花貫ダムは茨城県高萩市秋山の花貫川本流中流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、花貫川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、高萩市への上水道用水の供給、松久保工業団地への工業用水の供給を目的として1972年(昭和47年)に竣工しました。
ダム下は花貫さくら公園として整備され県内有数の桜の名所となっているほか、ダム湖上流は花崗岩による景勝が続く花貫渓谷となっており紅葉期には渋滞が発生するほどの観光スポットとなっています。
花貫ダムには2015年(平成27年)に訪問、2018年(平成30年)に再訪しました。
 
花貫ダムは国道461号線沿いにありアプローチは簡単です。
まずはダム下のさくら公園から
まだ冬枯れの公園は人気もなく閑散としていますが、桜の時期には多くの花見客でにぎわいます。
(2018年3月11日)
 
ゲートは中央に非常用ラジアルゲート1門、その両側に常用高圧ラジアルゲート2門を装備。
それぞれを区切る複雑な導流壁に目が行きます。
(2018年3月11日)
 
ゲートをズームアップ.
 
 
天端は職員駐在時のみ立ち入り可能。
 
減勢工。
 
海岸からわずか10キロ、海が見えます。
 
左岸上流から
中央に非常用洪水吐のラジアルゲートがあり、両側には常用洪水吐の予備ゲート。
右手は取水設備。
 
上流から遠望(2018年3月11日)。
 
追記
花貫ダムには175万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに25万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0544 花貫ダム(0087)
茨城県高萩市秋山
花貫川水系花貫川
FNWI
45.3メートル
223.6メートル
2880千㎥/2000千㎥
茨城県土木部
1972年
◎治水協定が締結されたダム

十王ダム

2018-03-12 20:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 十王ダム
2018年  3月11日
 
十王ダムは茨城県日立市十王町友部の十王川本流中流部にある茨城県土木部が管理する多目的的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、十王川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、日立市への上水道用水及び工業用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
ダム右岸は十王パノラマ公園として整備され市民の憩いの場となっているほか、毎正時に鳴るカリヨンの鐘に合わせて吹きあがる噴水は十王ダムの名物となっています。
2015年12月の訪問に続き、2018年3月に再訪しました。
 
十王市街から県道60号を西進し、常磐道を潜ると左岸ダムサイトに到着します。
ダム下に下りる遊歩道がありまずはダム直下から見学します。
ゲートは自由越流式のほかローラーゲートが3門並び、中央のゲートだけ越流面が低くなっています。
初回訪問時にはダム下左岸(向かって右手)に東京発電川尻川発電所がありました。発電所の取水は十王ダム湖をバイパスして行われダムと直接の水のやり取りはありません。
 
再訪時は折からの雨で水位が上がりローラーゲートからの放流を見ることができました。
一方前回訪問時にあった東京発電川尻川発電所はすでに撤去されていました。
(2018年3月11日)
 
左岸下流側から
背の高い導流壁が特徴です(2018年3月11日)。
 
左岸上流から
対岸高台が十王パノラマ公園になっており、その下の斜面に『十王ダム』の植栽 があります。
 
天端は十王パノラマ公園に通じる車道になっています。
真っ赤なゲートピアが特徴的で、ゲート操作室壁面には桜が描かれています。
(2018年3月11日)
 
減勢工と背の高い導流壁(2018年3月11日)。
 
反対側のゲート操作室には旧十王町の名物である海鵜が描かれています。
(2018年3月11日)
 
堤体右岸が屈曲しており、いわゆる『カド』のあるダムです。
(2018年3月11日)。
 
右岸から
堤体が屈曲しているのが分かります(2018年3月11日)。
 
ゲートをズームアップ
改修工事中です。
 
右岸から
前回は工事中だったゲートも改修を終えて奇麗に並んでいます(2018年3月11日)。
 
名物の噴水
お天気がいまいち(2018年3月11日)。
 
右岸高台から俯瞰
『カド』が俯瞰できます。(2018年3月11日)
 
最初の訪問でパスしてしまったパノラマ公園からの眺めや噴水を見ることができましたが、逆に天気がいま一つ。
 
追記
十王ダムには178万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに32万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0549 十王ダム(0086)
茨城県日立市十王町友部
十王川水系十王川
FNWI
48.6メートル
205.5メートル
2860千㎥/2100千㎥
茨城県土木部
1993年
◎治水協定が締結されたダム

楮川ダム

2018-03-12 16:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 楮川ダム
2018年   3月11日
 
楮川(こうぞがわ)ダムは茨城県水戸市田野町の那珂川水系田野川右支流楮川にある水戸市水道部が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
約5キロ離れた那珂川の枝内取水場から取水された水を揚水して貯留し、隣接する楮川浄水場を経て市内に配水しています。
高度成長以降の水需要の増加に加えて、災害等で那珂川での取水が困難になった場合のバックアップ水源として1985年(昭和60年)に竣工しました。
ダム湖貯水量は197万立米でこれは水戸市の上水道約20日分に相当します。
 
ダム堤体は右岸側がくの字型に屈曲した『カド』のあるダムです。
またダム周辺は森林公園や市民運動場が整備され、ダム湖周回道路では多くの市民がはサイクリング・ランニング・ウォーキングを楽しんでいます。
 
水戸市成沢町で県道51号を南に折れ市道を南下すると楮川ダムを示す標識があり、これに従って左折すると楮川ダムに到着します。
ダム左岸にある楮川浄水場。
 
左岸から上流面
正面は取水設備。
 
取水設備(2018年3月11日)。
 
ジャジャンボ池と呼ばれるダム湖、総貯水容量は197万立米で水戸市上水道の20日分が貯留されています。
 
減勢工
楮川自体は小河川で実質的に河道外貯留方式のため減勢工は小規模なものとなっています。
(2018年3月11日)
 
放流設備
河川維持用の放流管に加えて常用洪水吐のバルブを備えています。
(2018年3月11日)。
 
天端は車道になっており、右岸側がくの時に屈曲しています。
(2018年3月11日)
 
さらに引いた場所から。
 
楮川ダムの『カド』(2018年3月11日)。
 
ダム下から
ダムとしては自由越流式洪水吐2門の簡易な形状です。
 
0553 楮川ダム(0085)
茨城県水戸市田野町
那珂川水系楮川
35メートル
364メートル
1970千㎥/1960千㎥
水戸市水道部
1985年

藤井川ダム(再)

2018-03-12 12:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 藤井川ダム(再)
2018年  3月11日
 
藤井川ダムは茨城県東茨城郡城里町下古内の那珂川水系藤井川中流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1947年(昭和22年)のカスリーン台風での甚大な被害をきっかけに県は藤井川の本格的な治水事業に乗り出し、1956年(昭和31年)に治水専用ダムとして藤井川ダムが竣工しました。
完成当時は全国最大規模の治水専用ダムで、普段は貯水池に水を貯めないいわゆる『穴あきダム』として完成しました。
1976年(昭和51年)に高度成長による人口増や流域氾濫原の宅地化に対処するために、建設省(現国交省)の補助を受けた多目的ダム化事業が竣工し、藤井川ダムは藤井川の洪水調節に加えて不特定利水、新規農地への灌漑用水の供給、水戸市及び城里町への上水道用水の供給を目的とする補助多目的ダムとして生まれ変わりました。
しかし1986年(昭和61年)8月豪雨を受け県は『藤井川ダム再開発事業』に着手、ダム湖掘削による貯水容量の増大を軸とした再・再開発事業が2007年(平成19年)に竣工し、現在に至っています。
 
再開発にあたり、常用洪水吐としてコンジット高圧ラジアルゲートと低水管理用バルブを増設したほか、ダム上流左岸にラジアルゲート3門を装備した非常用洪水吐を新設しました。
主堤体と洪水吐が離れているいわゆる『非越流型重力式コンクリートダム』となっており、同様のダムとしては小河内ダムや三浦ダムなどがありますが、堤体と洪水吐がここまで離れているダムは非常に珍しいのではないでしょうか?
一方ダム周辺は城里町総合野外活動センター『ふれあいの里』となっておりキャンプ場や各種レクリエーション施設、公営の日帰り入浴施設などが整備され茨城県屈指のレクリエーション施設となっています。
 
藤井川ダム主堤体と非常用洪水吐の位置関係
緑マルが主堤体、赤マルが非常用洪水吐
 
県道51号と52号に藤井川ダムや『ふれあいの里』を示す案内板があり、これに従うと藤井川ダムに到着します。
堤体下部に再開発によって増設されたコンジット高圧ラジアルゲートがあります。
直近の雨により水位が上がりゲート放流が行われています。
(2018年3月11日)
 
左岸から下流面
堤体は1956年(昭和31年)当初のまま。(2018年3月11日)
 
天端とゲート操作室
天端は町道でそこそこの通行量があります。
(2018年3月11日)
 
右岸から
写真手前には低水管理用バルブがあります。
(2018年3月11日)。
 
ダム湖はうなぎ地蔵湖
見た目は小ぶりですが、名前の通りウナギのようにくねくねと蛇行しており総貯水容量は446万2000立米あります。
 
こちらはダム湖の左岸上流にある非常用洪水吐
赤いラジアルゲートとおしゃれな機械室が並んでいます。
(2018年3月11日)
 
非常用洪水吐の天端
こちらも車道になっておりロッジ風の機械室が並びます。
 
非常用洪水吐導流部。
 
(2018年3月11日)
 
非常用洪水吐天端高覧にあるミミズクの彫刻
城里町のマスコットキャラクターです。
(2018年3月11日)
 
2度の再開発が行われた歴史的経緯、主堤体と洪水吐が離れた場所にある構造的側面、二つの点で非常に珍しいダムとなっています。
 
追記
藤井川ダム(再)375万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに45万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0545 藤井川ダム(元)
茨城県東茨城郡城里町下古内
DamMaps
那珂川水系藤井川
FNAW
37.5メートル
90メートル
4000千㎥/3750千㎥
茨城県土木部
1956年藤井川ダム竣工(治水ダム)
1976年再開発竣工(多目的化)
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3162 藤井川ダム(再)(0084)
茨城県東茨城郡城里町下古内
那珂川水系藤井川
FNAW
37.5メートル
90メートル
4462千㎥/4412千㎥
茨城県土木部
2009年 再・再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム

三野輪池

2018-03-12 09:38:53 | 茨城県
2018年3月11日 三野輪池
 
三野輪池は茨城県水戸市三野輪町の那珂川水系桜川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では所在地が東茨城郡内原町になっていますが、これは誤りです。
現地竣工記念碑には1954年(昭和29年)より従来からあった溜池の改修工事が着手されるも、完成直前の豪雨で決壊、1964年(昭和39年)3月に復旧工事が竣工したと記されており、ダム便覧ではこの復旧事業の竣工を竣工年度としています。
池の管理は中妻地区土地改良区が行っています。
 
堤体は犬走りを挟んで2段構成、草はきれいに刈られています。 
 
左岸の洪水吐。
 
天端。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
洪水吐吐導流部。
 
洪水吐の越流堤は緩やかに湾曲しています
総貯水容量43万2000立米と関東の溜池としては比較的大きなサイズ。
 
天端からの眺め。
 
右岸の斜樋。
 
右岸から上流面。
 
竣工記念碑。
 
底樋は確認しませんでした。
 
0542 三野輪池(1252)
ため池コード
茨城県水戸市三野輪町
那珂川水系桜川左支流
16メートル
120メートル
432千㎥/432千㎥
中妻地区土地改良区
1964年

不動谷津池

2018-03-12 04:24:02 | 茨城県
2018年3月11日 不動谷津池
 
不動谷地池は茨城県笠間市小原の那珂川水系涸沼前川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1978年(昭和53年)に友部町土地改良区の事業で竣工と記されています。
一方現地竣工記念碑には1977年(昭和52年)に農水省及び県の補助を受けた団体営かんがい排水事業、つまり友部町土地改良区の事業によって竣工と記されています。
ここでは竣工記念碑の1977年竣工を採用することにします。
池の管理は現在も同土地改良区が行っています。
 
下流面はきれいに草が刈られています。
 
左岸から下流面
左岸に洪水吐があり導流部が流下しています。
 
堤体左岸に伸びる洪水吐導流部。
 
天端は関係者以外立ち入り禁止。
 
洪水吐越しの貯水池。
総貯水容量は22万2000立米。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
上流面はコンクリートで護岸
右岸に斜樋があります。
 
斜樋をズームアップ。
 
洪水吐越流面には切れ込みがあり、木板がはめ込まれています
ここで貯水量の調整を行うようです。
 
竣工記念碑。
不動谷津池のほか友部土地改良区が管理する溜池や関係した事業が記載されています。
 
ダム下の底樋は草が深く確認しませんでした。
 
0546 不動谷津池(1251)
ため池コード
茨城県笠間市小原
那珂川水系涸沼前川左支流
16.6メートル
112メートル
222千㎥/222千㎥
友部町土地改良区
1977年。

飯田ダム

2018-03-12 00:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 飯田ダム
2018年  3月11日
 
飯田ダムは茨城県笠間市飯田の那珂川水系涸沼川右支流飯田川上流部にある茨城県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、涸沼川および飯田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、茨城県中央広域水道(水戸市他9市町村)への上水道用水の供給を目的として1993年(平成5年)に竣工しました。
ダム湖の笠間湖は、人造湖ながら複雑な地形で水深も浅く小魚や水生動物が繁殖しやすい環境となっており、茨城県による生態系環境創造事業の効果もあり、県内有数のバードウォッチングのスポットになっています。
 
笠間市街から県道39号を北上、『飯田ダム』の標識に従って右手の側道に入ると正面に飯田ダムが見えてきます。
堤高33メートルに対して堤頂長219.5メートルと横長のダムで、クレストには11門の自由越流式洪水吐が並びます。
 
左岸から。
 
ダム下から
オリフィスゲートからの越流を正面から見ることができます。
 
同じくダム下から(2018年3月11日)。
 
天端は歩行者のみ通行可能
円形のおしゃれな管理事務所。
 
減勢工(2018年3月11日)。
 
ダム湖(笠間湖) 
総貯水容量244万立米
人造湖ですが、複雑に入り組んだ入江が形成され、結果として野生生物の生息に最適な環境になっています。
野鳥も多く、県内有数のバードウォッチングのスポットです。
 
右岸から下流面
細長い減勢工と、それを囲む堤趾導流壁が特徴的。(2018年3月11日)
 
右岸から上流面(2018年3月11日)。
 
ダム湖上流から(2018年3月11日)。
 
追記
飯田ダムには113万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに35万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0551 飯田ダム(0083)
茨城県笠間市飯田
那珂川水系飯田川
FNW
33メートル
219.5メートル
2440千㎥/2240千㎥
茨城県土木部
1991年
◎治水協定が締結されたダム