堺市で今年1月に発生した窃盗事件を巡り、大阪府警北堺署が無関係の男性会社員を2回にわたり誤認逮捕していたことが分かった。大阪地検堺支部は窃盗罪で起訴された男性を釈放した。事件への関与を裏付ける物証だった防犯カメラの撮影時刻の記録が誤っており、逮捕された男性は事件発生時刻に別の場所で車を運転していたことが判明したという。同支部は男性の起訴の取り消しか無罪論告などを検討し、府警は捜査に問題があったとして調査を始めた。

 府警などによると、事件は1月中旬、堺市北区のコインパーキングで発生した。駐車車両からガソリンスタンド(GS)の給油カードが盗まれ、その直後に近くのGSで何者かに使われた。同署は4月24日、事件発生時刻にGS近くの防犯カメラに堺市の男性(42)が映っていたとして、カードを盗んだ容疑で逮捕した。

 男性は容疑を否認し、刑事処分が保留(6月4日付で不起訴)とされた。しかし、同署は5月15日、盗まれたカードを使用したという新たな容疑で男性を再逮捕。同支部は6月4日、男性を起訴した。

 ところが、物証とされた防犯カメラ映像の時刻表示に誤りがあることが弁護人の調査で判明。さらに、府警が認定した事件発生時刻に、男性はGSから数キロ離れた高速道路のインターチェンジを通過していたことも分かった。

 同支部は17日、男性は無実の可能性が強いとして、同日に予定されていた初公判期日の取り消しを裁判所に請求し、男性の勾留取り消しも認められた。

 府警幹部は「極めてずさんとしか言いようがなく、非常に恥ずかしい」と話している。


 堺市内で1月に起きた窃盗事件で、大阪府警北堺署が逮捕した男性会社員(42)を、大阪地検堺支部が事件に無関係だったとして釈放したことがわかった。犯行を裏付ける有力な物証とした防犯カメラの時刻が正しく設定されていなかったといい、男性のアリバイが確認されたという。

 男性は85日間、勾留された。検察側は今後、起訴を取り消すか、公判で無罪判決を求めるか検討する。府警幹部は「時刻について標準時とすりあわせる基本が欠けた、きわめてずさんな捜査といわざるをえない」と話し、誤認逮捕の原因を調査するとともに、改めて窃盗の捜査を続けている。

 捜査関係者や弁護側によると、事件は1月12~13日に発生。堺市北区のコインパーキングの乗用車から給油用カードが盗まれ、13日朝、堺市西区のガソリンスタンドでの給油(25リットル、約3500円分)で使われた。


 大阪府警北堺署が、盗んだ他人名義の給油カードを使った窃盗容疑で、無関係の男性会社員(42)を誤認逮捕していたことが20日、府警への取材で分かった。男性は犯行時間帯に防犯カメラに写っていたとして逮捕、起訴されたが、カメラの時間表示がずれていたことが発覚し、大阪地検堺支部が釈放した。
 
男性は一貫して容疑を否認し、勾留は85日間に及んだ。府警刑事総務課は誤認逮捕を認め、「ずさんな捜査と言わざるを得ない」として経緯を調査し、男性に近く謝罪する。地検堺支部は、起訴取り消しや無罪論告を検討している。 


 大阪府警北堺署が、堺市内で起きた窃盗事件で男性会社員を誤認逮捕していたことがわかった。

 犯行を裏付ける有力な物証だった防犯カメラの時刻がずれていたという。本来の犯行時間帯のアリバイが確認され、大阪地検堺支部は男性を釈放した。府警は、捜査に問題があったとみて調査を始めた。

 捜査関係者らによると、事件は1月に同市内のコインパーキングで発生。駐車中の車内からガソリンカードが盗まれ、同市内のガソリンスタンドで、このカードが使われて給油された。

 同署は、スタンド付近に設置された防犯カメラの映像などから男性の犯行と断定。男性は否認したが、5月にカードの窃盗容疑で逮捕した。同容疑は不起訴になり、同署はカードを使ったガソリンの窃盗容疑で再逮捕。同支部が6月に男性を起訴した。

 ところが、男性の弁護人の調査で、犯行時間帯に男性が別の場所で車を運転していたことが判明。府警が調べたところ、防犯カメラの時刻設定がずれており、男性は、犯行があったとされる時間帯より前に給油していたことがわかった。