ロシアの野党指導者で元第一副首相、現ヤロスラブリ市議会議員ボリス・ネムツォフ氏(55)が、モスクワ都心で射殺された。モスクワ市警がタス通信に伝えた。

 「ワシリエフスキー坂で、ボリス・ネムツォフ氏が、何者かに4発の銃弾を発射され射殺された。現場で捜査が行われている」

 殺害現場には、モスクワ市警の長官も立ち会っている。市警広報部がタス通信に伝えた。

 「事件は既にウラジーミル・コロコリツェフ内務相に報告された」と同スポークスマンは述べるとともに、現在容疑者の捜索が行われていることも明らかにした。

 一方、ネムツォフ氏が所属しているリベラル系野党「国民自由党」(略称・パルナス)のイリヤ・ヤーシン氏は、「誠に遺憾ながら、それは本当だ。私は今、ボリショイ・モスクヴォレツキー橋に立ち、ネムツォフ氏の遺体を目の当たりにしている」と電話でタス通信に伝えた。

 一方、ロシア通信の報道によると、ネムツォフ氏殺害は、直ちにプーチン大統領に報告された。これを受けて大統領は、捜査委員会、内務省、FSB(連邦保安庁)の各長官に対して、捜査員会を設置するよう指示し、捜査を自らの指揮下に置いた。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官が記者団に伝えた。

 「この残虐な殺害は、あらゆる点から暗殺とみられ、もっぱら挑発的な性格を帯びている、とプーチン大統領は指摘した」。ペスコフ報道官はこう述べた。