原題：『渇水』
監督：髙橋正弥
脚本：及川章太郎
撮影：袴田竜太郎
出演：生田斗真/門脇麦/磯村勇斗/山﨑七海/柚穂/宮藤官九郎/池田成志/柴田理恵/田中要次/大鶴義丹/尾野真千子
２０２３年/日本
体を張る重要性について
令和３年８月の群馬県の前橋市は雨が降らず給水制限されているのだが、そういうこととは関係なく水道代を払わず滞納している住民に対して主人公の水道局職員の岩切俊作は「停水執行」の業務に就いており、それぞれの家庭にそれぞれの事情があるものの、「停水執行」をしなければならない俊作は、妻の和美とも上手くいっていないことも相まって葛藤を抱えており、切りがないのでなるべく他の家庭には踏み込まないようにしている。
小出有希は恵子と久美子の母親だがシングルマザーで、たまたま出会った男に上手く取り入ろうと家を留守にしてしまい、恵子と久美子は生活費に困るようになる。恵子がスーパーで万引きしている現場にたまたま居合わせた俊作は、恵子を連れ出して久美子と共に公園で水道を全開して水遊びに興じ、水道局を辞めさせられることになるのだが、それは恵子と久美子の信頼を得るきっかけになる。「渇いている」のは二人だけではなく俊作も同じで、口だけではなくそれを態度で示したことで理解し合えるのである。
冒頭の空っぽのプールの中での恵子と久美子のスイミングのシーンからラストで水の張ったプールに二人が飛び込むまでの間に映されるひまわり畑や滝などのロケーションも素晴らしく、名作と言っても良いのではないだろうか。
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