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音楽大好き男の徒然なる日記

「時代は貨物」鉄道界の長老が説くコロナ後の経営(週刊東洋経済 Plus)

2023-09-21 | 鉄道
(ブログ初出:2021年9月21日付)

さて、
JR北海道・根室線富良野~新得間の再生と活性化には
「旭川~帯広間の貨客混載特別快速(ライナー)列車」が必須条件と
以前書いた。

富良野市・南富良野町・新得町沿線住民の乗降客数と彼らだけ使う「鈍行」のみで判断すれば存続はもはや無理だが、
大手宅配便会社さんに荷主ならぬ「運行主」になっていただき、
高速道路のない「旭川~帯広」の区間を平均速度95~100km /h 、
所要時間3時間0分くらいで駆け抜ける「特別快速(特別乗車料金350~400円)」
(仮名称「クロネコライナー」「飛脚ライナー」)にアップグレードすれば
現在4時間10分かかっている同区間バス「ノースライナー号」から乗客を奪取できるだけでなく、
新規観光・ビジネス客の関心を呼び、貨物量で活性化の可能性がある筈です。
つくづくJR北海道さんは整備新幹線や旅客数単位の「木」ばかり見て、「森全体」を見る視点が欠けていると思います。

ただ、
今のままで大雨や大地震で土砂崩れ・路盤損失が起きたなら
釧網線・花咲線も、北見~網走間の石北線や名寄以北の宗谷線でさえ、
即座に「富良野~新得間」と同様に“廃止対象”になり兼ねない。

今、ここを維持するためには、天候の安定している今すぐにでも
「路盤と線路の強化」が必要だろう。

いや、北海道は国境の島だ。
本来、国土防衛の意味でも、稚内~旭川~帯広~釧路~根室間、および石北本線、釧網線 網走~知床斜里間は
防衛装備の運搬・配置のためにも、防衛予算ででも「維持と強化」が必要の筈だ。


しかし、これはもう北海道だけの問題じゃなくなった。
今後人口減少社会は大都市圏への移動で
鉄道そのものの維持には「貨物」なしには有り得ない、という
コラムを見つけた。

以下、お届けいたします。

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週刊東洋経済 Plus 2021年8月5日付
「『時代は貨物』鉄道界の長老が説くコロナ後の経営」

https://premium.toyokeizai.net/articles/-/27725/?utm_campaign=EDtkprem_2108&utm_source=edTKO&utm_medium=article&utm_content=445593&login=Y&_ga=2.77953620.1192556651.1631971599-1249253077.1601726885#tkol-cont

人口減少による鉄道利用の縮小に警鐘を鳴らし、
「新幹線を物流で活用することの必要性」を説くのがJR九州の初代社長である石井幸孝氏だ。


今後テレワークが定着することで鉄道の旅客減少は続くのか。
また、JR旅客各社の貨物シフトは加速するのか。
さらには、新幹線物流の事業化をめぐり、JR旅客各社とJR貨物の連携はあるのか。

石井氏は、1987年に旧国鉄の分割民営化から誕生したJR九州の最も経営が厳しい草創期に経営トップを担ったこともあり、
「鉄道業界の長老」とも言われる。
石井氏にJR旅客とJR貨物の行方について聞いた。


★貨物が伸びる時代に入っていく★
(聞き手:森創一郎 氏/東洋経済記者)――もともと人口減少で鉄道利用者は減少するとみられていました。
コロナ禍でテレワークが定着し、利用者の減少はさらに加速しそうです。

「あと30年経つと(日本の)人口は今の4分の3になる。
IT化が進むのも間違いないだろう。
IT化で人が動かなくなる一方、モノは電子的に送れないので、物流は伸びていく。

今回のコロナ騒ぎで歴史のプロセスが早送りされ、
人流(人の輸送)から物流へのシフトは30年繰り上がった。
物流を手がけなければ、もはや鉄道会社の経営は持たない。

鉄道は本来、国会が政策的につくるもので、もともと旅客列車と貨物列車の両方が走るものだ。
これは古今東西、どこでも同じだが、これからの鉄道は貨物が伸びる時代に入っていく。」


(聞き手)――JR旅客各社の新幹線物流への取り組みも小ぶりではありますが、
実証段階から事業化の段階に入りました。

「物流を本気でやらないといけないと気づき、各社とも出だしの一歩を踏み出した。
書類などの小荷物を少し乗せた「レールゴーサービス」は別として、
各社が新幹線に生活用品を乗せ、荷物輸送(車内販売用の準備室や空き座席を利用して小さな荷物を運ぶ輸送)
の事業化に本格的に踏み出した2020年は記念すべき年だ。

ただ、旅客列車のすいている席で荷物を運ぶ輸送程度だと売上高は小さく、
いわば学生のアルバイトのようなものだ。
そのうち、旅客各社とも客室を改造して車両の半分くらいに荷物を乗せ始めるだろうが、
これから主流になってくる新幹線の貨物輸送(専用車両で大型コンテナを運ぶ輸送)の物量はそんなものではない。」

(聞き手)――JR旅客が貨物事業を本格化した場合、貨物輸送が専業のJR貨物はどのような存在になりますか。

「旧国鉄改革で1987年にJR貨物が誕生したが、これまでの30年はいわば創業期だった。
貨物新幹線を含め、これからいろんなことができる会社だ。
ある意味ではいちばん将来性がある。

経営陣も民間出身者が多く(注・社内取締役6人のうち4人は銀行、ゼネコン、食品といった民間会社出身)、
国鉄時代のしがらみがない。
旅客会社の経営者は国鉄出身者からJR入社組に世代交代しつつあるが、
まだ国鉄時代のしがらみに縛られている。

新幹線はいずれ、旅客ではもたなくなる。
在来線では、旅客列車が「主」で貨物列車が「従」になっている「線路使用料」のルール
(注:JR貨物が旅客会社に支払う線路使用料は、
貨物列車が走らなければ回避できる修繕費など一部だけを負担するルールになっている) がある。

しかし、新幹線では貨物列車を「主」に考えて、時代にふさわしい仕組みにしなければならない。」


★いまは貨物新幹線を議論するチャンス★
(聞き手)――JR貨物は貨物新幹線の導入に積極姿勢ですが、
なかなかJRグループ全体での議論に広がっていきません。

「コロナ禍で苦境にあるとはいえ、国鉄改革以降、
JR東日本、東海、西日本の本州3社は見事に生まれ変わり、JR九州も上場を果たした。
国鉄の分割民営化で80%はうまくいった。

しかし当然、自社の利益を優先させ、それぞれの独立性を先行させる。
経営者は自らの権限が及ぶ範囲の中でしかものを言わなくなる。
だからJRトータルとしてやる仕事がうまくいかなくなる。

セクショナリズムは国鉄が内部崩壊した原因でもあった。
今は、これが貨物新幹線の議論が進まない原因になっている。

確かに、旅客会社の事業は基本的に各社のテリトリーでしかできない。
物流は北から南まで全国を流れていき、JR各社のテリトリーなど関係ないので、議論の調整は難しい側面がある。

(東京・品川区にある)東京貨物ターミナル駅の隣に東海道新幹線の車両基地があるのは、
国鉄時代に新幹線で旅客も貨物もやろうとしていたことの証だ。
いま、各社とも経営が逼迫していて、セクショナリズムでものを言っていられなくなった。
貨物新幹線の議論を本格化させるチャンスだ。」


(聞き手)――石井さんは、まずはダイヤに余裕があり、
公的所有になっている北海道、東北、北陸、九州の「整備新幹線」

(注:1973年に政府が整備計画を決定した5路線。北海道新幹線〈新青森~札幌〉、
東北新幹線〈盛岡―新青森〉、
北陸新幹線〈東京―新大阪〉、
九州新幹線〈西九州ルート、鹿児島ルート〉)
で貨物輸送を始めるべきだと主張していますね。

「日中でもダイヤに余裕がある整備新幹線では、すぐにでも貨物輸送を始めるべきだ。
とくに、(盛岡以北の)東北・北海道新幹線は(需要が乏しく)
貨物を中心にしなければ、今後成り立たない。

極端に言えば、整備新幹線は人が乗るからつくっているのではない。
道路と同じように、新幹線をつくることで仕事を生み、雇用を生んでいる。

それで経済を回している。
利用者のいない在来線をつくるのはやめたが、新幹線は利用者がいなくても、まだつくり続ける。

利用者がいないのであれば、最大限物流で活用するべきだ。
新幹線はまさに公的なインフラであって、国家国民のインフラだ。
これをどう使い、どう生かすのか。
骨太の方針を出さなければならない。」


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・・・随分とまた乱暴な発言が出てきたもので。

人の乗らない新幹線なんかのために、
“北海道の顔”的な札幌の商業施設「ESTA」「PASEO」が犠牲にならなければならなかったのか?

人が旅をやめたこのコロナ禍が収束するまでは、
いったん整備新幹線の建設はストップして、
その分開業を延期すべきではないのか?

そうでなければ、ただの浪費だ。

また、その新幹線のために、「住民の足」たる在来線が切り刻まれている。
JR貨物も「貨物線路使用料」で運営する、
JR貨物に線路使用料を負担させるために、第3セクター鉄道は旅客列車を増やさないほうがいい、
と言うのもおかしい。


ここまでくれば、
もはやJRは「 在来線東日本(旅客&貨物)」
「 在来線西日本(旅客&貨物)」
「 高速鉄道(新幹線&リニア)」
「 ホールディングス(持ち株会社)」 にまで再編しなければならないのではないか。

さらには、整備新幹線で切り刻まれた第3セクター鉄道間の繋がりを取り戻すためにも
全会社「ICカード1枚で乗り換え可能にする」ため「信用金庫」のようなネットワークが必要だし、
その経費は「JRホールディングス(仮名)」が負担すべきではないのか?

整備新幹線開業にあたって在来線をJRから分離する身勝手な形態を作ってしまったのは
自民党だった。
ならば、政権交代でこそ、これらを修正・実現して頂きたいです。


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2021年9月25日付追記:

言ってるそばから、日経でこんな記事が。

日本経済新聞 2021年9月24日付記事
「JR西日本、JR九州・佐川急便と貨物輸送 新幹線活用」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF247VB0U1A920C2000000/

JR西日本は24日、
佐川急便やJR九州と共同で新幹線を使った貨物輸送の検討を始めたと発表した。

鹿児島と大阪を新幹線で運び、駅と荷主・届け先までの集荷や配送は佐川急便が手掛ける。
早ければ当日に配送できる。
新型コロナウイルス禍で鉄道の利用客が減るなか、新たな収益に育てる。

10月1日に鹿児島県の漁港から大阪市の飲食店に、
海産物を輸送する「貨客混載」の実証実験を始める。
「鹿児島中央~博多間」は九州新幹線、
「博多~新大阪間」は山陽新幹線で輸送する。

鹿児島から大阪までトラックで運ぶと20時間かかっていたが、
新幹線を使うと荷主から届け先まで約8時間ですむ。
早ければ当日中に配送できるようになる。

JR西日本は貨物輸送に力を入れている。
7月から福山通運とも新幹線を使った「貨客混載」の事業化を検討している。

新型コロナ禍の外出自粛で新幹線など長距離路線の利用者は特に減少幅が大きい。
8月の中長距離の運輸収入は19年比で約3割の水準だった。

やはり「貨客混載」の波は、今後どんどん大きくなるのだろう。


2023年9月21日付訪問者数:186名様
2023年9月22日付訪問者数:110名様
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お付き合いいただき、ありがとうございました。

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