SYUUの仕事部屋:ものづくりの世界のしくみをもっと深く知ろう!

製造業(メーカー)の仕事の仕組みをご紹介しています。

新入社員時代:怖いおじさん1

2023-06-25 10:19:50 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代水生植物園にて・半夏生    6月8日撮影)

 

 さて、担当も決まり業務が本格的にスタートしました。当然のことですが、上司の助けを得ながらの日々の業務ですが、いつの間にか一人前の顔をして職場の雰囲気にも慣れていきました。

 そんな中で、ビクッとすることが時々起こります。それは「怖いおじさん」の登場です。実は怖いおじさんは二人いました。今日はそのうちの一人についてお話します。

 その人は、私の担当するR製品の生産管理部門の主任さんです。生産管理部門とは、生産が予定どおり進むように計画し、フォローする部門です。(詳しくは「カテゴリー4000製造業の概要」を参照ください。)
 私の担当の立場では、生産に必要な材料や部品の購入依頼をしてくる人ということになります。つまり仕事の依頼元です。
 その人は、舘野さんといったのですが、小柄な私からするとヒグマのような人です。身長は180cm以上、体重は100Kg以上もありそうな人で、見ただけでも圧倒されます。しかも体以上に態度は横柄で「おい!これ頼む」と購入依頼の伝票を私の目の前に差し出すのです。

 普段は依頼の伝票は社内便で送られてくるのですが、直接持ってくることもあって、そんな時は決まって、納期はほとんどない購入依頼の時です。

 私「こんな短納期ではこの部品は買えません。」

 館野さん「そうか、それなら納期の遅れている部品をすぐ全部入れろ!」

 私「そんなこと出来ません」

 館野さん「それなら、この部品何とかしろ!」

 これがいつも行われるやり取りです。 とこかく、でかい体で、威圧してくるので、まあ怖かったですね。
 結局、言われたとおり受けざるを得ず、苦労して業者と交渉、時には業者の工場に出かけて交渉するということもありました。
 基本、買い手の方が立場は上なのですが、納期に関しては平身低頭でお願いするということも時にはあったのです。

 ということで、館野さんがやってくると、『また来た!』とドキドキものでした。

 館野さんとの仕事上の付き合いは、この新人時代の1年でした。

が、それから13年ほどして、私も生産管理部門の責任者の立場になるのですが、そこでまた再会することとなります。その話は、その時にでもしたいと思います。

 

 今日はここまでです。次回はもう一人の「怖いおじさん」のお話をしたいと思います。

 

(つづく)

 

 


新入社員時代:担当決まる

2023-06-18 10:25:51 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のアジサイ    6月8日撮影)

 

 配属からどれほど経ってからかは記憶していませんが、おそらく1か月後程度だったと思いますが、担当業務が決まりました。 

 担当は、基本購入品目毎というのがこの会社では一般的でした。例えば、事務用品担当、機械や工具などの担当、それとメーカーですので主な購入品は原材料や部品となりますが、部品の場合は品目毎(ゴム・樹脂部品、加工外注部品、ネジ・ナットなどの市販品、等々)ということになります。

 品目毎担当というのは意味があります。品目の特性を熟知することで、それぞれの品目の価格分析などの手法を深めることが出来るためです。販売側は当然その品目の専門家ですから、購入側も専門性を深めないと価格交渉で不利となるためです。それと、価格面だけでなく、納期管理の面でも、購入依頼の納期に無理がないかなどの確認もその品目の特性を知っている必要があるからです。

 ということですが、私の場合は新人ということで、深くということより、広い知識を持てるようにということもあったと思います。品目別担当ではなく、ある製品に使われる部品全般の購入担当ということになりました。当然、部品全般といっても、その製品は生産量の少ない製品でしたので、新人でもこなせる事務量でした。

 その製品は社内用語でR製品と言われていたのですが、ということで、Rの部品購入担当の仕事がスタートしました。
 担当は1年ほどだったと覚えています。もっとも、この担当で価格決定などの苦労の記憶は全くないのです。古い製品で同じものを繰り返し購入するだけで、新規に購入する部品はほとんどなかったためです。

 ということで、業務は順調に進んだかというと、そうでもありませんでした。
苦労することになったのは、納期管理の面でした。その話は次回にしたいと思います。

 

(つづく)

 

 


新入社員時代:初仕事(その2)

2023-06-11 09:43:17 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のアジサイ    5月30日撮影)

 

 

 初仕事(その1)からの続きです。

 

 もちろん、すべての手順は上司から教えてもらいながら、となりますが、見積入手後がいよいよ本格的な発注先・価格決定の業務となります。

 個人の物を購入する場合なら、見積を比べて、安い方に発注する。あるいは、高い方に、他社の方が安いので、それより下がらないか交渉するといったこともすると思います。
 会社の業務でも、基本的には同じです。これをネゴ(ネゴシエーション)と呼びます。基本的にはこれまで発注実績のある業者を中心にネゴによる価格決定をします。特に今回の事例のように金額的にも少額の場合は業務効率という点でもネゴ中心の価格決定になります。

 しかし、初仕事、つまりは勉強でもあるわけで、この場合は、価格決定の基本的な手順をしっかり教育されました。

 見積比較、ネゴもその手順の一つです。次にコストの妥当性の分析という業務があります。ネゴによって安く買えたと思っても、その価格で本当に妥当なのかの分析をするわけです。

 価格の妥当性分析の一つは「コストテーブル分析」です。それは、新規の部品と同類の部品の購入価格と比較するという方法です。今回の部品は特にリング上で単純な形状の部品ですから、同じ材料で作られた同類の部品が多くありました。それらの中で、より近い(例えば重さやサイズ)物と比較して、見積価格の妥当性を分析するという方法です。

 もう一つは、原価分析手法です。まさに、この部品はいくらで出来るかを評価することです。
 原価分析ですから、大きくは材料費と加工費それと管理販売費と利益を、図面をもとに評価するということです。当然どう造られているかを調べないとコスト分析は出来ません。

 ということで、メーカーの工場に早速見学に行きました。作業はいたって単純でした。板状の材料に金属で出来たリング状の型を当てて、木槌で打ち抜いていました。これで、一応原価分析は出来そうです。

 まず材料費です。一枚の板から何個部品が取れるか、つまり1枚の材料費÷取れる個数=1個当たりの材料費となります。1枚当たりの材料費は市販の価格を調べました。

 次に加工費ですが、1個当たりの作業時間×加工費率(いわゆる分単価)で算出できます。作業時間は実際に見ているのでほぼ分かります。加工費率は企業規模などから想定します。

 これで材料費と加工費は分かりましたので、これに管理販売費と利益を掛け合わせれば、妥当な価格が分析できます。

 さて、以上で、価格の妥当性が評価できましたので、これを武器にして最後の価格交渉に臨みました。
 結果としては、交渉は難航しました。勉強の意味で行った「コストテーブル」や「原価分析」の手法ですが、単純な部品で、少額なため、これまでネゴで価格は決まっていたので、交渉相手も戸惑ったようです。なかなか納得してくれませんでした。こちらが新人ということもあったかもしれません。
 最後は、上司が同席してくれて、交渉は成立しましたが、どう落とし込んだかは覚えていません。

 もっとも、この新人の時の最初の経験は、その後の購買部門での業務の基本として続けられこととなります。

 

(「初仕事」終わり)

 

 

 

 

 


新入社員時代:初仕事(その1)

2023-06-04 10:08:03 | 888私の履歴書ー仕事編-

(神代植物公園のアジサイ    5月30日撮影)

 

 

 前回お話したように、入社式の翌日から配属先の資材部購買課での仕事がスタートしたことになります。配属先では、新人向けの特別な教育システムなどなく、いわゆるOJT教育がスタートしたと思います。「思います」としたのは、どんな教育を受けたのかは全く覚えていないからです。

 ただ、一つだけ、それが初仕事だったかはあいまいですが、覚えていることがあります。それは、ある部品の購入価格を決めることでした。

 購買の仕事は、大きく2つにわけることが出来ます。それは注文と納期管理です。前回もお話したように、詳しく知りたい方は「11000購買管理」カテゴリーをご確認いただきたいですが、注文の業務は特に重要な業務です。

 注文の業務は、他部門から生産に使用する部品などの注文依頼を受けたときから始まります。今なら、端末を起動して注文依頼一覧を確認する業務となりますが、当時は、個人に端末がある時代ではありませんから、依頼は紙ベースで行われます。
 正式には「購買依頼票」という伝票が送られてきます。その伝票には購入依頼の品名(部品などの場合は品番も)と数量、希望納期が記入されています。

 購入依頼内容を確認して業務がスタートします。まずやることは、依頼品の過去の購入履歴です。過去に実績があれば、原則として過去の発注先にその時の価格で発注します。
 購入履歴ない場合は、購買部門では一番大事といえる業務になります。発注先と購入価格を決める業務です。

 初仕事は、この大事な業務をするように上司から指示されたことです。もちろんさほど重要な部品ではありませんでしたが、「パッキン」と呼ばれる部品でした。配管と配管のジョイント部分のシール材として使用されるもので、ワッシャのようなリング状の物です。

 新規の購入品の場合は、まず図面を入手し、発注先を決めるために、見積依頼先を検討します。この部品の場合は、サイズが違うだけで、同じものはこれまでも多く購入されていますので、見積依頼先は同様の部品の購入実績ある業者に依頼しました。
 見積依頼は原則2社以上に出すことになります。ただ、この部品の場合は10円以下と安価で数量も数個だったため、事実上発注先は決まっていたとも言えます。

 見積を入手し、発注先と購入価格の決定の業務が始まります。

 

(続きは次回に)