(神代植物公園のアジサイ 5月30日撮影)
前回お話したように、入社式の翌日から配属先の資材部購買課での仕事がスタートしたことになります。配属先では、新人向けの特別な教育システムなどなく、いわゆるOJT教育がスタートしたと思います。「思います」としたのは、どんな教育を受けたのかは全く覚えていないからです。
ただ、一つだけ、それが初仕事だったかはあいまいですが、覚えていることがあります。それは、ある部品の購入価格を決めることでした。
購買の仕事は、大きく2つにわけることが出来ます。それは注文と納期管理です。前回もお話したように、詳しく知りたい方は「11000購買管理」カテゴリーをご確認いただきたいですが、注文の業務は特に重要な業務です。
注文の業務は、他部門から生産に使用する部品などの注文依頼を受けたときから始まります。今なら、端末を起動して注文依頼一覧を確認する業務となりますが、当時は、個人に端末がある時代ではありませんから、依頼は紙ベースで行われます。
正式には「購買依頼票」という伝票が送られてきます。その伝票には購入依頼の品名(部品などの場合は品番も)と数量、希望納期が記入されています。
購入依頼内容を確認して業務がスタートします。まずやることは、依頼品の過去の購入履歴です。過去に実績があれば、原則として過去の発注先にその時の価格で発注します。
購入履歴ない場合は、購買部門では一番大事といえる業務になります。発注先と購入価格を決める業務です。
初仕事は、この大事な業務をするように上司から指示されたことです。もちろんさほど重要な部品ではありませんでしたが、「パッキン」と呼ばれる部品でした。配管と配管のジョイント部分のシール材として使用されるもので、ワッシャのようなリング状の物です。
新規の購入品の場合は、まず図面を入手し、発注先を決めるために、見積依頼先を検討します。この部品の場合は、サイズが違うだけで、同じものはこれまでも多く購入されていますので、見積依頼先は同様の部品の購入実績ある業者に依頼しました。
見積依頼は原則2社以上に出すことになります。ただ、この部品の場合は10円以下と安価で数量も数個だったため、事実上発注先は決まっていたとも言えます。
見積を入手し、発注先と購入価格の決定の業務が始まります。
(続きは次回に)