小さな食品小売店が三軒、電気屋一軒、郵便局はあるけれど、銀行はなく、飲食店もろくになかった。もちろん病院なんてないし、後期高齢者のおばあちゃんが経営する床屋が一軒、パーマ屋なし。
村の男衆にとっては刺激のないところ。お酒が飲みたい時もあり、町まで繰り出すのも飲酒運転になるし【と言っても、昔は結構飲酒運転をしれっとしていたようですが】
そんな酒好きをターゲットに食料品店の空き部屋に作られた小さな居酒屋は、その店の女店主がきりもりしてた。
一応縄のれんがかかり、カウンター席だけの三畳ほどの店。
夕方になりその店の前を通ると、酔いどれ達の大きな声。卑猥な会話が飛び交っていました。
子ども心に不思議でしたよ。何故大人、おじさん達は酒を飲むのだろう。あんな臭くてまずいもの【幼い頃、父親にふざけて酒やタバコを飲まされた事があります】をわざわざ好み、挙句に人が変わったかのようにしどけない姿でしつこく絡んで横柄になる。
その店は村人顔パスポートでツケがききました。
父も開店当時は何度か足を運び、でも酒癖が悪かったので出禁となったようです。
酔いどれの相手をするおかみさんは大変だったろうな。店で古くなった魚や肉、野菜を惣菜にして肴として出していたようです。少し空いた店のドアから中を覗いた事がありますが、異様な空気感のある不思議な光景でした。
お酒は人恋しさを増長させる媚薬なのかもしれませんね。
※我が家の私のみ常連客、私がおかみの居酒屋の今夜の肴。
牛サーロインのステーキとはんぺん焼きとほうれん草炒め
ワインソーダ