はくちょう 川崎 洋(1930~)かわさきひろし
東京生まれ。父の急死により西南学院英文中退。
米軍基地ガードマンなどの職を転々とする。ともに
『詩学』の投稿入選者だった茨木のり子と『櫂』創刊。
ナイーヴな感覚を駆使した詩集「はくちょう」はじめ
方言採集、童話、放送作家としての活動も旺盛。
★『はくちょう』(昭和30年刊)
はねが ぬれるよ はくちょう
みつめれば
くだかれそうになりながら
かすかに はねのおとが
ゆめにぬれるよ はくちょう
たれのゆめに みられている?
そして みちてきては したたりおち
そのかげ が はねにさしこむように
さまざま はなしかけてくる ほし
かげは あおいそらに うつると
しろい いろになる?
うまれたときから ひみつをしっている
はくちょう は やがて
ひかり の もようのなかに
におう あさひの そむ なかに
そらへ
すでに かたち が あたえられ
それは
はじらい のために しろい はくちょう
もうすこしで
しきさい に なってしまいそうで
はくちょうよ