goo blog サービス終了のお知らせ 

江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

芸能人の政治的発言と新聞報道

2021-04-14 | 随想
昨日、「中村哲医師1周忌のつどい」実行委員会事務局の一人として、昨年12月に実施した同イベントにビデオ出演していただいた加藤登紀子さんの事務所にお礼を兼ねて謝礼金を届けに出向いた。
ご本人は関係スタッフとの打ち合わせに忙しく、残念ながらお会いすることはできなかったが、秘書の方と1時間余り対談することができた。

加藤さんは歌手歴55年になる超ベテラン芸能人であるが、今なお現役として忙しく活動されている。
今週の土曜日には熊本で2度延期になった「中村哲先生追悼 ペシャワール会支援 加藤登紀子チャリティコンサート」に出演されるとのことだった。

また、今年度のコンサートツアーの予定は「時には昔の話を」を銘打ったものが多く、『紅の豚』が脳裏をかすめた……。
そして、自分が学生だった頃の事も思い出されるのであった。




この前置きで終わってしまいそうだが、実は秘書の方と話していて気になったのは、「選挙で特定な人を公には応援できない」という事だった。
特にNHKは厳しくて出演前には必ずチェックされるという事だった。
選挙に応援ばかりか、時には政治的な発言さえ制限されるとも言っていた。

「どうして、こうもうるさいのでしょうかね。アメリカではレディーガガがあんなに派手に活動しているのに…」
「芸能人は政治には口を出すな!って雰囲気が本当に強く漂っていますから…」
「登紀子さんは政治だけでなく社会の色々な問題にも関心が深く、ご自分の意見もしっかり持っているんですが、メディアに出演するする時はこちらでも凄く神経を使いますからね。」

私と同学年だというその秘書の方とは実に話が合い、「そうですよ!何てったって私らは全共闘世代ですからね。」
彼女は笑いながら言った。

それに続けて私はこう言った。
「歌手や芸能人が政治的発言を控えるって事は、その人たちだけにとどまらず世間一般に広がり、『政治的な事はあまり喋らない方が良い』みたいな風潮になってくるから、影響力は非常に大きいと思いますよ。」

私はとりわけ芸能人たちにオピニオンリーダーになってほしいと思っているわけではないが、もともと自己主張に慣れていない日本人はメディアに登場する人たちの発言にかなり影響を受けるのではないかと危惧するのである。


メディアという話に関連させると、日本の大手メディアは今大きな問題になっている「東京オリンピック・パラリンピック」の開催の是否について明確な発信を行なっていない。
世論でさえ「中止する・再延期する」という意向が8割程あるにも関わらず、社の独自取材に基いた詳細な追及はほとんどなく、せいぜい海外メディアがこう伝えたという様に外圧を利用した報道にとどまっている状態だ。

私の知る限り独自に取材して開催の不合理を追求しているの新聞記事は東京新聞に見られる程度だ。
それでも、社説できっちり主張はしていない。

ラジオやテレビでもオリンピックに関連する話題を提供しているが、ラジオは新聞とは比較にならないほど積極的に言及する番組もあるが、テレビに至っては一部の局のごく一部の番組のみが抵抗の姿勢を見せて頑張ってはいるものの、全般には政権の意向を忖度しているとしか思えない報道の仕方である。

それもそのはず、読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞はオフィシャルパートナーに、産経新聞・北海道新聞はオフィシャルサポーターに名を連ねているからだろうか…。



例の聖火リレーがスポンサーを前面に出した動きになっているが、まさにオリンピックがスポンサー漬けになっている事を如実に示したものと言える。
つまり、オリンピック主催側がスポンサーに気遣っている代わりにスポンサー側は主催者に気遣い自社の使命感は投げ捨ててしまったのかもしれない。

もう、これだけ見てみてもオリンピックの虚構があらわになっているのだから、いくら一定の忖度が必要であってもメディアの本業は果たすべきではないだろうか。

政治やスポーツ、社会問題の全てにわたって、芸能人も一般国民も自由に発言して行動できる国こそが民主主義国家と言えるのだ。
そして、言論の世界をリードするのはメディアに他ならない。
政権批判をしないメディアなら存在意義はなく、むしろ害悪に過ぎない。
海外の独裁国家の在り方を批判する前に、自国の政治をしっかり監視して正確な真実を伝える努力をしてほしい。


<すばる>

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 学校とジェンダー | トップ | 計算できない?テレビ局スタッフ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

随想」カテゴリの最新記事