江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

言葉であそぼう 詩であそぼう  その5 ~アクロスティック~

2014-05-25 | 随想
『ことばのこばこ』(和田誠著 瑞雲舎)は、言葉あそびを楽しむ絵本です。
イラストレーターの和田さんの挿絵は、どこかユモーラスでとても温かい。
イラストと共にしりとり、句読点遊び、回文、かぞえうた、なぞかけなど18種類の言葉あそびが紹介されています。

幼児からおとなまで、言葉あそびがとにかく楽しい。
思わず、クスッと笑ってしまったり、ブフッと吹き出してしまったりします。
はるか異境の地を訪れたような、幻想的な世界が拓かれます。
野原で手足を伸ばして寝転んでいるような、大海原をゆらゆら浮遊しているようなとても穏やかな気分にもなるのです。
勿論、子どもたちと授業で大いに楽しむこともできます。
まだ、ご覧になっていない方には、お勧めの一冊です。

今回は、「アクロスティック」の紹介です。
「アクロスティック」とは?
「それぞれの行の最初に出ていることば」の「先頭で使われている文字」をつなげていきます。
すると、ある単語が浮き出てきます。
一種のレトリックです。
隠しことばを織りこんで、相手に伝えることもできます。

古来、短歌や俳句では「折り句」と呼ばれてきました。
《伊勢物語》の和歌
~から衣きつつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ~
に隠されて言葉は、<か・き・つ・ば・た>でした。

この方法を使って「アクロスティック」という言葉あそびが作り出されました。
まず、それぞれの行の最初にものの名前や人の名前などを一字ずつ置いていきます。
そして、その後の文を続けていきます。
行のなかばや、行の終わりに置く方法もあります。

「アクロスティック」が面白いのは、制約がある中で、言葉を発掘していくことにあると思います。
普段使いの語彙の範疇になかった言葉までも、繰り出さないと詩が続きません。そこで、新たな言葉との出会いがあり、思いもよらぬ雰囲気をもった作品が仕上がることにもなるのです。
和田さんの「ことばのこばこ」から、実際の「アクロスティック」の作品を1,2紹介すると……。

らはおもくて       
くさんあるくと     
かれるけれど
りしてたてた
っぱなおうち   

れいな
きよだ
ていられない 

もう一つ、谷川俊太郎さんのおとなむけの作品です。「フフ…。」ですね。

くびがでるわ
やけがさすわ
にたいくらい
んでたいくつ
ぬけなあなた
べってころべ 


子どもたちと授業で取り組むときは、まず、「きつね」などの簡単なお題で「アクロスティック」の遊び方を知ります。
次に、だいたい自分の氏名をお題にします。
その後、作品発表会をします。ともだちの作品に新たなともだちの一面を発見して、感心しきりでした。子どもたちの作品(仮称)の一部を紹介します。

ーティだ
くだは うたい
ちょうは おどる ……。
 
まにいく 
だつかないかな
ろいゆき
うそく ともして  ……。 

(つづく)


<K> 

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