晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

イギリスではMonk's hood(修道士のフード)と呼ばれるトリカブト

2011年10月05日 | 植物
日本では舞楽で被る”鳥兜”に似ているところから付いた名前らしいのですが、洋画が好きな私にはうす汚れた修道士が被っているフードが映画から思い起こされます。「ヘルメット・フラワーhelmet flower(兜花)」とも呼ばれていて、日本でも3大猛毒に数えられるほど特異な個性を持つトリカブト。独特な花の形はそれを象徴しているように思えました。
さらに、ギリシア神話では、トリカブトは地獄の門を守る三つ首の魔犬ケルベロスのよだれから生えてきたと語られていました。この犬は、英雄ヘラクレスによって地獄から太陽の下へ引き出されるのですが、苦悶のあまりよだれを垂らします。その跡に生えたのがトリカブトだそうです。


誇り高げに生いし草 その葉は青く 美しく
 
医学に知らるるトリカブト この毒草の地下の根は
 
神の手ずから植えしもの 人を惑わすこと多く
 
墓場にまでも導きて 黄泉の臥床に送り込む

(チェーホフ『シベリアの旅 サハリン島』 神西清訳


一方では、存在感があり誇り高さをも感じられるトリカブト。花言葉の「人間嫌い」「騎士道」「騎士の武者修行」「栄光」「あなたは私に死を与えた」「復讐」は、良く似合います。
日本でも保険金殺人事件などで耳目を集めました。キンポウゲ科なので、葉が愛らしい二輪草の葉に酷似しているのも皮肉です。画像横に添えた詩は、作家チェーホフが集めた詩の中にトリカブトを歌ったものがあったので紹介しました。
サハリン(樺太)に送り込まれた重罪人の中には、絶望のあまりトリカブトをあおって死ぬ者も少なくなかったそうです。彼らには罪作りな花というより救いの花だったのかもしれません。





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2 コメント

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Unknown (jelly)
2011-10-07 09:46:01
>うす汚れた修道士が被っているフードが映画から思い起こされます

うふふ、そうなのね。
私はジャパニーズよりなのか、兜のイメージが強かったの。
でも舞楽の「鳥兜」とは知りませんでした。

根っこは猛毒でも、綺麗な紫の花。
ちょっと怖くて魅力的だね。
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いらっしゃーい (bamboo)
2011-10-07 17:28:29
>根っこは猛毒でも、綺麗な紫の花。
ちょっと怖くて魅力的だね

綺麗な花には~の典型ですよね。

スケア・クロウもマスコミに取り上げてもらって、嬉しい悲鳴をあげているみたい・・・。忙しくて大変そうなのも伺えました。
頃合が難しそう・・・。

明日、熊本を通過して宮崎の山へ行きます。三角と熊本間を走るライナーにも興味があるんだけど・・・ね
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