晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

ブログDEロードショー「I am Sam」を観ました

2011年01月25日 | 映画
(あらすじ)スターバックスで働く7歳の知能しか持っていない中年男サム(ショーン・ペン)は娘、ルーシー・ダイアモンド(ダコタ・ファニング)と幸せに暮らしていた。しかし7歳になったルーシーはサムの知的能力を追い抜いてしまい、サムは父親として養育能力がないという判断をソーシャル・ワーカーに下されてしまう。ルーシーは施設で保護されることになり、サムは失意にくれる。彼は法廷で闘う決意を固め、エリート弁護士のリタ(ミシェル・ファイファー)に依頼。リタは行きがかり上無報酬で弁護を引き受けることにしたが、どう考えてもサムには不利な裁判だった。

『知的障害を負っている父親と幼い娘の純粋な愛を描いた感動作』こういう触れ込みの映画には、今までいっさい手を出そうとも思わなかったし観てきませんでした。しかし、今回“ブログDEロードショー”に取り上げられおそるおそる観ました。結果、いかに私が先入観にとらわれれていたかと恥かしくなるぐらい素敵な映画でした。

核心を突いていると思った気に入った3シーン。
エリート弁護士のリタとサムが一緒にお茶を飲み、サムが「今日は僕がおごる」と代金を払おうとした時リタが困ってしまいすぐさま断わろうとする。そこでサムは「一人前の男だったら当然のことなのに、僕が障害者だからおごってもらえないと思っているのだろう」と憤慨。「そうじゃないの・・・」と言葉詰まるリタへさらにサムが詰め寄ります。「それじゃあ、君はやはり僕がルーシーの面倒を見れないと思っているんだ」「そんな人に僕の弁護をして欲しくない」とサムは云うのです。差別の本質を鋭く突いた台詞に一撃をくらいました。
「ルーシーが8歳、9歳、10歳となってサムを追い越し、ルーシーの云ってる言葉が理解できなくなった時にどう対処するのか」という質問へサムが答えます。「ルーシーの云うことに耳を傾け聞いてやる。分からない時は分かった振りをすればいい。僕は黙って聞いてあげれば良い」のだと、サムが絞り出すように紡いだ言葉ー。人はしゃべっているうちに自ずといつか結論を出せるはず。これこそ人と人との係わり合いで重要なことだと諭されているような素直な感動が押し寄せたのです。
ラスト・シーンのサッカーの試合でルーシーがゴールを決めた瞬間、サムがルーシーを誇らしげに高々と抱き上げる場面に涙ぐんでしまった私。手離しの愛情を降り注げるのはサムが一般的な親のように目線が高くないから・・・。
障害を持っているサムだからこそ、子供が成長してできるようなあんなことやこんなことを心から「良くできたね」と褒めてあげられるのでしょう。私はこれほど掛け値なしに自分の子供を抱きしめたことがあったのだろうか・・・。
ミシェル・ファイファーを初めとし、里親・ランディを演じたローラ・ダーン、アニー役を演じたダイアン・ウィーストと鼻っ柱の強い女優陣は、いつしか、彼の溢れ出る優しさに絆されていくのです。

BGMに軽快なビートルズの曲を持ってきたり、サムが仲間らとビデオを観賞する会を開いているという設定は、センスの良さと高いクォリティを求めていると、私には好ましく思えました。
酷評も結構あるようですが、私自身が謙虚に見れたことが何より嬉しい映画でした。

推薦して下さったワールダーさんありがとうございました!





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8 コメント

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こんにちは☆ (miri)
2011-01-25 17:26:11
>酷評も結構あるようですが、私自身が謙虚に見れたことが何より嬉しい映画でした

あぁこれは私の事~
今回の企画では、今のところ私だけです、トホホ・・・。

今回もご鑑賞と記事を有難うございました☆
ご自身がそのように思われて本当に良い機会になりましたね~♪
記録にリンクさせていただきますね!

まだまだ寒さも続きそうですが、どうぞご自愛くださいませ~♪
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メッセージもありがとうございました (bamboo)
2011-01-26 11:34:03
>あぁこれは私の事~
今回の企画では、今のところ私だけです、トホホ・・・。
そうなのですか!意外ですね。私はもっと酷評が多いのではと予想していましたよ。

メッセージへのお返事は後ほど致しますが、色んな感想があってナンボだと思っています。歌会の合評などは、もっと激しく応酬が飛び交います
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わたしも謙虚に (宵乃)
2011-01-26 11:39:40
観られればよかったんですが、ひとつひっかかる事があるとそれまでの感動まで忘れてしまう・・・。悪い癖です。

>ルーシーの云うことに耳を傾け聞いてやる。分からない時は分かった振りをすればいい。僕は黙って聞いてあげれば良い

これはホントいいセリフですよね。自分があまりできないでいることなので、グサッときました。

これからもいろいろな映画を皆で観て、たくさんお話しましょうね~。
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皆さんの感想を拝見 (bamboo)
2011-01-26 12:29:20
してどれもこれも頷けます。
やたらと涙腺を刺激するような映画では?と警戒して観たために、意外といいじゃんと思えたのもあるかもしれません。あざとさを感じる部分も全然なかった云えば嘘になるのですが、そこをカバーして心に響いたのでした。

我が家はどちらかといえばアチさんがサムタイプです。闘病しながらの子育て中、時に情緒が不安定になり自分を保つことで精一杯な私は、感謝する一方で、子供に愛情を注げる彼を傍らで感じながら、何て自分はダメ母なんだろうと劣等感に苛まされたのも本当です。

だからことさら心に沁みたのでしょうね
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はじままして (ワールダー)
2011-01-26 21:41:35
こんばんは、bambooさん。
今回作品を選ばさせていただきました、「JUKEBOX」のワールダーと申します。
お忙しい中、鑑賞とレビューをありがとうございます。

これまではこういった作品にはノータチのようでしたが、今回鑑賞していただき何か少しでも感じていただけたのならば幸いです。
ボク自信も再見にあたり、謙虚に見れたような気がします。

賛否両論の作品にも関わらず、嬉しい映画と評していただきありがとうございます。
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御丁寧に☆彡 (bamboo)
2011-01-27 22:14:45
ワールダーさん、初めまして!
>お忙しい中、鑑賞とレビューをありがとうございます。
こちらこそ「ありがとうございました

こんな機会でもなければ観ることが叶わなかった映画です。自分が未知の色んなジャンルを観賞できるのは“ブログDEロードショー”ならではでしょう!

あなたもいつかサムに負けない素敵なパパになられます様に!
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素晴らしい映画でしたね! (なるは)
2011-02-06 09:38:55
今回のブログDEロードショーに参加させて頂いた、なるはです。
(かなり遅くにコメントですみません)

意外にも、あまりよい評価をされる方が少なかったですね(^^;)
色々なレビューが読めておもしろかったです。

私はbambooさんと同じように、
良い作品だった、ということで気持ちがまとまりました!
「果たして現実問題そんなにうまくいくかな…」と不安になったり
頭を抱えたこともありましたが。

>子供が成長してできるようなあんなことやこんなことを
>心から「良くできたね」と褒めてあげられるのでしょう。
>私はこれほど掛け値なしに
>自分の子供を抱きしめたことがあったのだろうか・・・。

お子さんがいらっしゃるんですね!
そうすると、またこうした映画に対する見方が変わりますよね…!
この一文に、とっても心を動かされました…!

>人はしゃべっているうちに自ずといつか結論を出せるはず。
>これこそ人と人との係わり合いで重要なことだと
>諭されているような素直な感動が押し寄せたのです。

はああなるほど…!!!
そうですね…!!
サム自身、答えにたどりついていたけれど、
それは人との関わりを経て…なんですよね…!

映画レビュー、参考になりました!
ありがとうございました(^0^)
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ありがとうなるはさん! (bamboo)
2011-02-07 12:15:26
なるはさんのブログへ返信しました
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